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地球温暖化の危機が叫ばれる昨今、エコロジー技術への関心がますます高まっている。かつてはエコロジーといえば、企業の社会的責任や規制対応という意味合いが強かった。だが最近では、省エネルギーや環境保護への技術レベルを、一般ユーザーが気にするようになっている。「商品選択を左右するひとつの要素」という声が、メーカー関係者からも多く聞かれる。エコロジーはモノづくりを行ううえで、既に努力目標ではなく必須事項へと変化しているのだ。 エコロジー技術は家電、自動車、化学といった業種によらず、各産業に共通する横断的な技術分野になりつつある。すなわちエンジニアにとっても特定の業界や業種、あるいは職種にもとらわれず、自分のスキルが生かせる場所はどこなのかを俯瞰的に見ていく目が求められてくる。 |
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東京・臨海副都心の国際展示場にて2006年12月14日から3日間にわたって開催された、エコプロダクツ2006。リサイクルから省エネ、再生可能エネルギー利用まで披露された環境技術の大規模エキスポジションだ。出展された多彩なテクノロジーの中から、最新技術やアイデア商品などをピックアップした。 |
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超小型燃料電池、地中熱利用……脱石油への光明が見えた 昨年で8回目の開催となったエコプロダクツ2006。出展者数572、来場者数15万3000人はいずれも過去最高の数字で、エコロジーに対する関心の高まりを印象づけた。出展内容もバラエティ豊か。植物由来のバイオプラスチック、リサイクル材料などの新マテリアル、家電や自動車などの省エネルギー技術、脱石油をはかる決め手のひとつといわれる再生可能エネルギー、CO2封じ込め技術といった未来技術なども発表され、会場はエコロジー技術の最前線との感があった。 家電、電子機器では、製品の消費電力削減やリサイクル性向上をうたう企業が多くみられたが、特に来場客の目を引いていたのは電池技術。ニッケル水素、リチウムイオンなど多くのタイプについて、将来技術を含めたさまざまな展示が見られた。 異彩を放っていたのは、カシオ計算機の超小型燃料電池。2007年にはPC向け燃料電池を発売、2010年にはデジカメなどさらに小型の電子機器にも燃料電池モジュールを適用するというロードマップを呈示するだけに、開発の本気度も半端ではない。まだ実物は完成していないが、燃料電池モジュールとアルコールカプセルを、現在の電池と同じサイズにまで小型化するコンセプトモデル(タイトル横の写真は単三電池タイプ)を展示。「2010年までには必ず実現させる」(開発エンジニア)と意気込みを見せた。 再生可能エネルギー利用技術では、太陽電池モジュール、超小型水力発電機などが多数お目見え。また、最近は「逆風」に悩まされている風力発電でも多くの企業が効率アップの新技術を披露し、未来に希望をつなげていた。 面白いアイデア商品としては、地中熱利用の「ジオパワーシステム」が目を引いた。「鍾乳洞や風穴から冷気が流れ出てくるのにヒントを得て考案しました」(関係エンジニア)というこのシステムは、季節に関係なく温度が一定する地下9mまで穴を掘り、そこに空気を通すことで、夏は室内を涼しく、冬は暖かくするというものだ。単体での使用もエアコンの補助として使うこともできる。エコの源は創造性であることを端的に表している製品だ。 |
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目立った省エネ、省資源、リサイクルへのチャレンジ 自動車業界からも完成車メーカーや部品メーカーなどがこぞって出展した。ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車などの先進技術と並んで注目を集めたのは、新開発のクリーンディーゼルを展示したいすゞ自動車だ。 ディーゼルエンジンは日本では「大気汚染の悪玉」というイメージが染みついているが、欧米ではCO2の排出量が少ないことが評価され、地球温暖化のソリューション技術として注目されている。いすゞの新型3 ![]() このエンジン技術と後処理装置を組み合わせれば、より排ガス規制の厳しいディーゼル乗用車の分野でも、北米を含む世界の次世代規制に対応が可能であり、大きなビジネスチャンスと位置づけられている。 また、リサイクル素材、生分解性プラスチック、バイオプラスチックなどマテリアル分野も、エコプロダクツ2006の大きな目玉だった。もともとリサイクルやバイオケミカルは日本企業が得意とするところであり、PET再生材料などで作られた高級感のあるビロード生地や手触りのよい化繊が並べられるなど、各社とも技術力を大いに誇示していた。 軽量化技術で存在感をアピールしたのは東レ。ボーイングの次世代旅客機787にも採用されている炭素繊維複合材を自動車など他分野の製品にも拡大したいと考えており、カーボンコンポジット材で作った量産車をシミュレート。「材料は鋼板に比べてまだ高価ですが、差は少しずつ縮まってきています。軽量化による性能向上、燃費低減といったメリットで相殺できると判断されれば、高級車やハイパフォーマンスカーを中心に採用が広がると思います」(関係者)。 今日、世界の製造業がターゲットとし始めたエコロジー技術。今年のエコプロダクツ展では、技術開発競争がさらにヒートアップするさまを目にするだろう。 |
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環境技術は多くの企業にとって、生命線ともいえる重要なテクノロジーになりつつある。環境浄化や再生可能エネルギーといった目に見えるエコロジーばかりでなく、モノづくり全般に省電力、省資源といったエコロジー思想を盛り込む必要が生じているからだ。環境技術関連のエンジニア需要も急速に高まっており、売り手市場の様相だ。リクナビNEXTでは「エコロジー」「環境」「省エネ」などをキーワードに検索すれば、求人情報をゲットできる。 エンジニアに求められるスキルはジャンルによってさまざま。材料メーカーであれば無機、有機、高分子化学といったマテリアル関連全般はもちろん、生物化学、触媒、不純物を取り除くための吸着・抽出技術などが有用。電機では回路設計、制御アルゴリズム開発、冷熱、インバーターなど。自動車では燃料噴射装置やECU、触媒材料、新素材、電気エネルギー利用、シミュレーション技術などが求められる。太陽光や風力などの再生可能エネルギーではジェネレーター、太陽電池モジュールはもちろん、インバーター、蓄電技術、高分子材料、風車を作る複合材などのスキルがあると転職しやすい。 このように、要求されるスキルを列挙してみると、「何でもあり」という感がある。環境技術がすべてのジャンルに必要なものとなっている以上、それは当たり前のことだ。大切なのはむしろ、各業界の得意とする技術をどのように環境技術の開発に生かしていくかという創造性。現有技術の高度化、発想を180度転換させたモノづくりなど方向性はさまざまだが、「モノを変えていくのだという意気込みと、高いスキルに裏打ちされたクリエーティブな発想力」(電機メーカー幹部)が求められているのだ。 転職を考えているエンジニア、当面はスキルアップに徹するというエンジニアともに、エコロジー技術という発想を頭の隅に置き、センスを磨いておくことは、決して無駄にはならない。 |
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