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最新! 8つのエンジニア職種から採用動向がわかる!職種別 採用天気予報  [08年4〜6月期]
2008年春、新期のエンジニア転職市場はどうなるのか。これまでの市場動向を基に、技術系職種を大きく8つに分け、4月から3カ月間の短期予想を載せた。取材先は各分野のベテラン転職アドバイザーたち。それぞれの分野での求人動向と、企業の求める人材像に注目だ。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ)
全体動向 景気減速の影響はまだ現れず。5月の本格始動のために準備怠りなく
 サブプライムローン問題に端を発する、米景気の減速傾向がはっきりしてきた。アジア各国の域内輸出は依然堅調だが、対米輸出の伸びは鈍化し始めている。さらに日本経済にとっては原油高、円高などのリスクも無視できない。こうした影響が、求人面にどう現れるかが目下の関心事だ。

 しかしながら、3月初めの取材段階では、キャリアアドバイザーたちに景気減速が求人数の大幅な減少につながるという見方は少ない。そもそもこの数年の中途採用は、団塊世代の退職や少子化などを踏まえて、企業内の人材構成のバランスを調整する狙いもある。こうした構造要因に支えられているとすれば、短期的な景気変動で採用が一気に落ち込むということは考えにくいというのだ。
 とはいえ、企業の中途採用数が景気動向を反映するまでには、常にタイムラグがある。春から夏にかけては順調だとしても、秋以降の気配は不透明だ。影響が如実に表れる前に転職を決めてしまうというのも、ひとつの方法かもしれない。

 4〜6月期といっても、年度頭の4月から5月にかけては、企業の採用担当者の多くは新卒採用事務に駆り出されるもの。中途採用者を集めても、面接などに割ける時間が少なくなって十分な選考ができないという理由から、この時期はあえて求人数を絞る傾向が毎年見られている。従って、5月中旬ぐらいまでは出足が鈍いのが通例だ。
 転職希望者としてはこの時期までに企業・業界研究や市場調査を進め、応募書類の整備などを心がけておき、GW連休明けや5月中旬以降に出てくる本格求人に備える。こんな「待ちの戦術」もあり得るだろう。
業界別求人人数の推移と今後の予測
 ※2007年1月の「機械・自動車・化学」の求人人数を0値として、職種ごとの求人数の推移をグラフ化した。
 ※リクルートエージェントのデータ(2008年2月まで)を基にTech総研編集部が作成。
 ページ内の各職種へリンクします
制御系SE アプリ系SE コンサルタント ネットワーク
電気・電子系 機械・メカトロ系 半導体系 化学・材料系
制御系SE
晴れ
まだまだ欲しい組み込み技術者。品質管理の専門家に熱い視線
狙われるのはこんな人 通信機器制御、ファームウェア・ドライバ・アプリ開発、QA/QC技術
 組み込み・制御系エンジニアの需要は、この期も引き続き堅調でしょう。全体的には「絶好調」というほどではないにしても、これ以上減速するマイナス要因が見あたりません。
 まず家電業界では、Blu-rayに一本化された次世代DVDの製品需要や北京オリンピックによる需要拡大など、製造業を後押しする要素もあることから、組み込み系エンジニアの採用ニーズを押し上げるのではないでしょうか。また、ポータブルナビシステムなど新しい製品の人気も、この動きに貢献するでしょう。

 NGN(Next Generation Network)にかかわる通信機器関連の組み込み需要が発生しつつあります。通信関連では、WiMAX関連のニーズも出てきます。一方、自動車関連の組み込みエンジニアニーズも相変わらず強いものがありますが、やはり強いのは東海圏のメーカーです。
 広い意味での制御技術ということで私たちが注目しているのが、品質管理(QA/QC)の技術者求人です。いわゆる組み込みソフトウェアの品質検査やテスト工程です。テストというと開発の後工程の1作業というイメージも強いですが、今では製品の品質を保証する極めて重要な工程です。開発工程がオフショアや外部化される中で、日本製品の品質を保つ生命線といっても言いすぎではありません。

 単に計測機器を使ったテストを実施できるというだけではなく、ソースコードを読めて、テストの方法論の構築やテスト項目の設定にもかかわり、さらに外注管理などもできるQA/QC技術の専門技術者が求められています。ここまでできるエンジニアは意外と少ないものです。
 全体に制御技術の内製化を進めたいというメーカーは多く、派遣・請負社員の正社員化の動きも強まっています。エンジニアを大事にし、長期的な視点に立った教育プログラムをもつ企業を狙いながら、スキルアップできるチャンスだといえます。
リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
畠田 仁氏
畠田 仁氏
アプリ系SE
晴れ
金融、通信で活発なシステム投資。採用スペックは高止まり
狙われるのはこんな人 金融システム、IT統制などがわかるPMおよび経験豊富なSE
 対米輸出の減少など景気後退を危ぶむ声もありますが、IT業界のシステム投資ではネガティブな話はほとんど聞きません。景気うんぬんにかかわらず、やらねばならないシステム投資が山積しているためです。とりわけ、金融・保険業界ではそのニーズは強い。
 例えば、金融商品取引法による内部統制の強化はシステムリスクの強化やIT統制にも波及するもので、そのためのシステム要員が必要というわけです。また、企業統合、保険窓販、富裕層向けの店舗、コールセンター、商品ラインナップなどで銀行間の個性化・差別化が進んでおり、その特色を担保するためにIT投資はもはや欠かせないものになっています。

 一方で、通信業界でもシステム投資は活発です。製造業系SI子会社などでは、従来の製造業向けシステム開発を、金融・通信へシフトする動きもあり、それぞれの業界に強いSEやプログラマの需要が目立つようになってきました。また、シンクタンク系SI企業でも、SI力の強化を目指してかなりの数のSE求人をしています。
 この動きは4〜6月期も継続すると思いますが、とはいえ、採用スペックが緩む気配はありません。PMクラスになるととりわけ見る目が厳しく、SE・リーダークラスでは経験5〜6年前後ある方が求められます。

 パッケージベンダーは製品やシステム基盤のSOA(サービス指向アーキテクチャ)、SaaS対応などの動きもあって、求人要件が幅広くなっている印象があります。各企業が求人票に記載する職種やポジションの項目が以前に比べると、かなり網羅的になっているのです。それだけ必要とされる技術が広がってきているのでしょう。合致しそうにない意外な職歴の人がポンと採用されることもあるので、チャレンジしがいはあると思います。
 インターネット系企業も全般的には活況ですが、モバイルコンテンツ企業のアプリケーション開発では、キャリアによるフィルタリングサービスの影響が心配されます。総務省が「青少年を有害情報から守る」ことを目的として、有害情報へアクセスできないように、各キャリアに対して要請を行っているものです。
 現状、中途採用への影響はそれほど広がってはいませんが、規制の範囲によっては、今後のモバイルコンテンツ企業のビジネス構造に多少の変化が出てくるかもしれません。
リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
グループマネジャー
江川理絵氏
江川理絵氏
コンサルタント
ピーカン
まだまだ欲しい金融系コンサル。SI企業は採用年齢拡大
狙われるのはこんな人 製造・流通・金融業の業務知識。上流工程からの構築・運用経験者
 コンサルタント求人は、昨年同期と比べても約3割の伸びを示しています。それを牽引しているのが、金融系システムのコンサルタントです。景気減速の予測から今後、日本企業のシステム投資は落ち着くのではという見方もありますが、一方で日本の金融システムはまだまだグローバルレベルでは遅れているので、私はこの分野のシステム投資は依然堅調、従って金融系コンサルの需要は底堅いと見ています。
 求人ニーズが旺盛なのは、金融業界本体の情報企画部門、金融業界に強いSI企業などが主たるものですが、最近はマネーロンダリング防止関係のパッケージソフトベンダーなどの新分野も交じるようになりました。

 もちろんSI企業の中には、サブプライムローンの影響を受けた金融業界の投資意欲減退を予測し、逆に製造業・流通業での売り上げを増やしたいと狙う企業もあります。そこでは、業界に精通していてプロジェクトを仕切れ、顧客を動かすことのできるコンサルタントやPM需要が新たに発生するでしょう。経験値を重視した採用傾向がますます強まってきました。
 また、同じコンサルタントを目指すにしても、SI企業とコンサルティングファームでは、業務へのアプローチの方法論が少し異なります。一般的によくいわれるのは、ファームが上から理想論を展開するのに対して、SI企業は下からの積み上げ型。転職に当たっては、どちらが自分の方法論、やりたいことに近いのかを見極めながら、業態を選択すべきでしょう。

 一方、ERPベンダーの動きですが、最近ではパッケージソフトもSOA化する動きが強まっています。SOAは、業務プロセスを一定の業務機能部品(サービス)として扱い、サービスを組み合わせることによって、システムの構築、拡充、連携を実現することを特徴としています。
 既存システムとの連携も重要になるため、SOA基盤構築では、スクラッチでの開発経験とパッケージ導入の両方の経験をもつコンサルタントにニーズが集まります。
リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
石田真一氏
石田真一氏
ネットワーク
晴れときどき曇り
WiMAX浮上、MVNO、MVNEなど仮想移動体サービスに転職チャンス
狙われるのはこんな人 UNIX、Linux、Windows、IPネットワーク技術、動画圧縮技術など
 技術別に見ると、ネットワークエンジニアにとっての新しいチャンスが広がる春です。最大通信速度が毎秒75Mbpsの次世代無線通信技術「WiMAX」は、免許割り当てを受ける事業者がようやく決定したことで、既に基地局構築などの設計工程にかかわる技術者求人が出てきています。
 今後は、設計が実際の展開フェイズに入れば、さらに求人層も拡大すると期待しています。この段階では無線技術の経験がなくても、IPネットワーク構築の経験があれば、十分採用に至ると思います。

 IPネットワークの長所を取り入れて再構築される、次世代通信網「NGN」の動きにも関心が高まっています。直接にNGNと明示する求人は少ないのですが、ネットワーク上で音声やハイビジョン品質の映像などを融合させる技術ですので、ネットワークの知識に加えて動画圧縮の技術など、複合的な技術をもつ人への潜在的ニーズは強いはずです。
 欧米では主に音声サービス分野においてMVNO(仮想移動体サービス事業者)が成立し、移動体通信市場の発展に寄与しています。日本でも、通信事業者やシステムインテグレーター、機器メーカー、コンテンツプロバイダなどが、主にデータ通信サービス分野におけるMVNOのビジネスモデルについて検討を進めてきました。
 他業界からの事業参入意欲も高まっており、ネットワークエンジニアにとっては新たな転職機会が増えています。

 他業態から移動通信事業に参入するMVNOに代わって、物理的な回線をもつ事業者(MNO)との交渉や、認証・課金システムの提供、端末の調達などを支援するビジネスも誕生してきました。MVNE(Mobile Virtual Network Enabler)と呼ばれるものですが、ここにもエンジニアが活躍できるフィールドがあります。
 サーバー系では、運用のアウトソーシングが進む中で、運用設計ができるエンジニアのニーズに依然高いものがあります。その一方で、システム技術のコア人材を正社員として内部に抱える必要性も企業は認識しており、社内SEのニーズも減ってはいません。
 全体的に言えば、年度当初は景気判断を含めて様子見という企業が多いでしょう。しかし、IT投資自体は減ることはないので、5月には求人が活性化してくると予測しています。
リクルートエージェント
ITカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
松本青磁氏
松本青磁氏
電気・電子系
晴れときどき曇り
景気に左右されない中途採用の構造。正社員化ニーズにも期待
狙われるのはこんな人 OA機器開発、電力制御、省エネ技術、ファームウェアの知識など
 バブル崩壊後に人材採用を抑制していた企業では、組織内での年齢構成バランスが崩れており、この数年の中途採用はそれを是正し、正常な状態に戻すという側面もありました。
 とりわけ30代前半層が細くなっており、この年代がこのまま年数を重ねて30代後半や40代になると採用が難しくなる。そこで今のうちにこうした構造の改善を急ぎたいという理由があるのです。そうでないと、現場が人手不足で疲弊してしまうという危機感さえ漂っています。
 つまり、中途採用が継続化しているのは、組織構成上の要請があったのです。もちろん事業再編や業績悪化などによる短期的変動はあるにしても、円高や北米輸出減少があるからといって、急に採用をゼロにするというようなことは考えにくい。そうした傾向が、特に電気・電子系では目立ちます。

 もうひとつ、これも構造的要因といえるかもしれませんが、派遣や請負社員の正社員化ニーズも転職市場に好影響を与えています。開発の現場では非正規雇用の比率が7割に達するような事業所もあります。偽装請負問題へのコンプライアンス対応もありますし、何よりこのままでは技術ノウハウが現場に蓄積されません。それを是正しようという動きがあるのです。
 現在派遣で来ている人をそのまま正社員として雇用する動きもありますが、派遣元との関係もありなかなか難しい。そこで、一般の中途採用市場からも正社員を募集したいということです。

 業種別にみると、相変わらず元気なのは重電や発電などのエネルギー系。火力・原子力発電所の発電プロセス開発や電力制御系のエンジニアがまだまだ足りません。自動車は電装品需要が根強く、当分は上昇基調に期待。家電は製品分野ごとの勝ち負けが比較的はっきりしてきましたから、採用意欲には企業ごとの濃淡が出てくるでしょう。
 これから面白いのは、コピー、FAX、複合機などのいわゆるOA機器のビジネスです。コピー機ひとつをとっても、回路設計やソフト開発は規模が大きく、さらに紙送りの機構部分や光学技術、印刷技術、トナーの化学技術など、実はかなり複雑な構造をもつ総合技術の固まりです。
 この分野での日本製品の技術レベルは高く、世界的シェアを誇ります。しかも、最近は製品自体に環境対応、セキュリティ対策が求められており、エレクトロニクス技術導入の余地はますます増えています。こうした背景が人材需要を高めています。
リクルートエージェント
EMCカスタマーマーケット
グループマネジャー
平川 俊氏
平川 俊氏
機械・メカトロ系
晴れときどき曇り
年度予想は伸びの鈍化。ピンポイント、即戦力採用へシフト
狙われるのはこんな人 機械設計および設備設計、工程設計、品質管理などの生産技術
 この期の求人は、新卒採用が一段落するゴールデンウイーク明けが焦点になります。今年度全体の予想をすると、昨年度に比べると求人数の伸びは若干鈍化するのではないかと思います。その兆しと呼べるものとして、募集要件のピンポイント化、即戦力重視という傾向が既に見え始めています。量よりも質への転換が進んでいるのです。
 一方では、社員が他社へ転職しようとするときの「引き留め」が、かなりキツくなっていると聞くようになりました。転職について相談するとさまざまな条件改善が提案されるため、決意が鈍る人もいるようです。社員の出入りを多くするよりも、優秀な人材は引き留めて新たな採用数も厳選するという意向が、企業側に出ています。

 これまで機械系求人を支えてきた自動車業界は、現時点で知りうる各社の年度採用計画を見る限り、全体的には昨年度よりもややマイナスという傾向です。もちろんこれはあくまでも平均であって、もちろん採用増に向かう企業もあります。
 建機業界のマイナス幅は、自動車よりは小さくなるものと考えられます。昨年の中途採用を振り返っても、充足感はまだまだという企業が多いからです。
 一方、エレクトロニクス業界における機械系求人は増加傾向でしょう。中でも生産技術エンジニアの求人の勢いが止まりません。その背景にあるのは主に工場など新規設備の投資需要ですが、企業間の統合や事業提携がそれを後押ししています。

 また、航空機部品設計、プラントの機械設備設計、火力・原子力などのエネルギー事業といった、「大物」の機械設計エンジニアの需要も活発です。これらの設計では今やコンピュータ・シミュレーションが不可欠ですが、シミュレーション技術は急速な勢いで進化しており、機械設計者もそれに追いついていかなければなりません。
 さらに、単に個々の機械を設計ができるというだけでなく、全体なモノづくり、生産プロセス、品質管理までを見通したところで、いわば全体感をもって設計できる技術者のニーズも高くなっています。
リクルートエージェント
EMCカスタマーマーケット
グループマネジャー
小野 崇氏
小野 崇氏
半導体系
晴れときどき曇り
事業再編進める大手半導体。勤務地移動の納得がカギに
狙われるのはこんな人 回路設計者、プロセスエンジニア、FAE、SOC関連の技術者
 これまで求人が止まっていた総合電気メーカーの半導体事業部門からの求人が、4月以降に回復するという動きがあります。新たな半導体工場を建設する大手メーカーもあるなど、求人が活発に動きそうです。
 一方で、大手半導体専業メーカーがシステムLSIの採算悪化から、早期退職優遇制度の導入を発表し、500人規模の希望退職者を募っています。ただ、これは事業再編の一環で、体質がスリムになれば業績の向上が期待されます。これとは別に半導体事業を分社化する大手企業も出てくるなど、新たな事業再編や業界再編の動きが出てきました。
 企業のビジネスモデルの差が人材戦略にも出てくると思います。このあたりには注意が必要です。

 現在の半導体増産を支えているのは、車載用、ディスプレイ用、フラッシュメモリといった需要です。その傾向はしばらくは変わらないでしょう。HDD(ハードディスクドライブ)を置き換えるといわれる、SSD(ソリッド・ステイト・ドライブ)搭載のPCが普及し出していますから、これが伸びればフラッシュメモリ需要はさらに高まることでしょう。
 アップルのiPhoneが日本にいつ上陸するかわかりませんが、こうした革新的デバイスが半導体需要を押し上げるということがあるわけで、半導体エンジニアはその動向をたえずウオッチしておくことが必要でしょう。

 ただし、現在求人を増やしている半導体企業は、いずれも勤務地は首都圏ではありません。中部、九州、東北からは半導体エンジニアのニーズがたくさんあるのに、人の多い首都圏のエンジニアがなかなか動かないという地域間のミスマッチが発生しています。転職希望者にはそれぞれの事情があるにしても、もったいないことです。
 今に始まったことではないものの、地域間移動についてエンジニアの意識がもう少し柔軟になれば、チャンスが広がるのではと思います。
リクルートエージェント
EMCカスタマーマーケット
グループマネジャー
平川 俊氏
平川 俊氏
化学・材料系
晴れときどき曇り
ポスドクの転職市場が生まれる。液晶コンビナートからも求人
狙われるのはこんな人 化学・物理系のポスドク。液晶パネルやプラスチックの材料設計者
 先日、当社としては初めての、理系のポストドクター(博士研究員)を対象とした「研究者としてのキャリア設計セミナー」というものを、茨城県つくば市で実施しました。
 前回のこの欄でも述べましたが、これまで博士号取得者は、大学や研究機関の研究職、教授職などを最優先の道と考えていたわけですが、大学・国研の独法化などによって研究者の定員はなかなか増えません。そこで、民間企業の研究職へと方向を転換する人が増え、新しいキャリアの選択肢として注目されつつあるのです。

 セミナーには遠方からも含め100人以上のポスドク研究者が参加されました。これまでもポスドクの方からは、「民間企業の採用情報が入りにくい」「転職マーケットでの自分の位置がつかめない」「自分のキャリアやスキルの広げ方がわからない」という声を聞いていたので、私がポスドク求人の全体状況について説明をさせていただきました。
 皆さんはアカデミックの道以外でも就職を考えていきたいという意欲が強く、マーケットとしての手応えを感じました。ポスドクを対象とした企業求人も増えており、これからが大いに期待できるという実感を受けました。

 さて4〜6月期の求人ですが、5月いっぱいぐらいまでは企業の採用業務が新卒者対応に割かれるという事情もあり、本格化するのは6月に入ってからというのが今年の傾向です。そんな中で注目したいのが、液晶コンビナートなど大規模な工場新設から発生する求人の動き。こうした場合、最初は生産技術系が多いのですが、春以降は化学系求人も伸びると見ています。
 また、有機ELにしても材料の開発がキーとなります。今後もFPD関連の求人の数は増え続けると思いますので、FPDでキャリアを伸ばしたいエンジニアには大きなチャンスです。

 自動車、化学業界の求人意欲は相変わらず強いものがありますが、化学メーカーでは化学・材料系に加えて、機電系ニーズも高まっています。各地で高まるプラント建設、工場新設に伴うものと見ています。
 全体としては、昨年秋などと比べると採用ニーズは落ち着いています。それに伴い、採用スペックは高くなる傾向があります。専門技術があるというだけでなく、人物を重視した採用をする企業も目立ってきました。コミュニケーション能力やマネジメント能力も不可欠の要素になるわけで、それを意識した面接対策が重要になっています。
リクルートエージェント
EMCカスタマーマーケット
キャリアアドバイザー
羽田野直美氏
羽田野直美氏
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