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遠隔運用管理サービスの「Oracle On Demand」が大幅成長! 日本オラクルが踏み切る「200人超採用」の舞台裏
「景気回復を受けて企業が取り組むシステム投資。新システムだけでなく既存のシステムを含めての再構築には、効率性、即時性、安全性が求められ、コスト削減も命題となっている。そんなニーズにこたえるべく、日本オラクルが本格的に動き出した。
(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ)作成日:06.09.20
Part1 前年比287%アップ「Oracle On Demand」へのサービスシフト
 日本オラクルは2006年度(昨年6月〜今年5月)の利益率と売上高が前年比10%増という二けた成長を達成。その牽引役の一端を担っているのが「Oracle On Demand」という遠隔運用管理サービスだ。同社のカスタマーサービスは大きな移行期にあり、今期も「最低目標」として二けた成長を目指す。
二けた成長の牽引役となった「Oracle On Demand」
 日本オラクルのカスタマーサービスは、製品単位で常にサポートを行う「ソフトウェア」と、それ以上の付加価値サービスを提供する「サービス」に大別される。後者は3つに分かれるが、成長著しいのはアドバンスト・サポートだ(図参照)。その牽引役である「Oracle On Demand」は前年比で利益率・売上高が287%増を記録、今後の事業の大きな柱になるという。

「これまでのサービスとは立ち位置が違います。従来は製品の障害に対応するなどの保守と、お客様の運用を技術支援するのがサポートの中心でした。Oracle On Demandはお客様の本番機に直に接続し、運用状態を24時間モニターしながら、障害時の優先対応から予防保守、改善のご提案までを遠隔操作で請け負うものです。お客様は東京証券取引所様、ソフトバンクBB様、東京スター銀行様などで現在45社あり、今期は100社を目指しています」
 Oracle On Demandの担当本部長である荻矢氏は、3年ほど前から始まったこのサービスは急速にニーズが伸び、顧客数だけでなく1件当たりの案件規模も拡大中だという。全世界で既に400社以上が利用しており、日本でも主流となることはまず間違いない。
荻矢隆雄氏
カスタマーサービス統括本部
オンデマンド本部長
荻矢隆雄氏
日本オラクルのビジネス状況
SDMを中核としたプロ集団によるサポート体制
 顧客から見たOracle On Demandの優位性は、コスト削減と即断的な事業展開にある。
「自社で同じ体制を取るよりもコストを半分以下に抑えられると思いますし、システムライフサイクルの戦略的な運用が可能です」
 このカギとなるのが、SDM(サービス・デリバリー・マネジャー)を窓口としたサービス体制だ。ひとりのエンジニアがすべてをカバーするのではなく、SDMが顧客とのリレーションシップ・マネジメントを担当し、技術的にはデータベースの専門家であるDBA(データベース・アドミニストレータ)やアプリケーションの専門家であるAMS(アプリケーション・マネジメント・サービス・エンジニア)が、それぞれの得意分野で対応する。彼らは1社あるいは複数社を担当し、サポートセンターで集中管理する。
「新しい製品やシステムの導入期はもちろん大切ですが、ライフサイクルで考えれば、その後の技術とサービスを提供するほうがはるかに長いんです。前者を1年とすれば、後者は10年といったところでしょうか。導入後のシステムをどれだけ充実させていくかを、お客様が真剣に考え始めました」
ソリューション・プロバイダーとして拡大するビジネス
 オラクルと聞くと即座に「データベース」と思い浮かべがちだが、Oracle Fusion Middlewareとして展開するアプリケーション・サーバー領域や、自社で培ってきたOracle E-Business Suiteやピープルソフト、シーベルを統合してさらに進化するインダストリー・アプリケーションなど、現在ではソリューション・プロバイダーへと移行しつつある。一方で、データベースやアプリケーションなど製品サポートのプロは多くても、エンドユーザーの視点に立った運用・保守の経験者はまだ少ないという。
「ビジネスが2倍、3倍と膨らむ中、社内でもそうした人材を育てていくつもりですが、現状で圧倒的に足りません。弊社のナレッジを広めてくれるエンジニアを、全社的に幅広く求めていきます」
Part2 エンジニアが語る日本オラクルのカスタマーサービス
 カスタマーサービス業務に就くエンジニア、Part1のOracle On Demandに携わるSDMと、製品単位でサポートを行うプロダクトサポートを紹介する。今後のカスタマーサポート強化に欠かせない人材であり、中途採用で期待するのも彼らのようなエンジニアだ。
大手メーカーの大規模システム運用を担当するSDM
遠隔サービスが始まる前からSDMに従事
 Oracle On Demandの中核となるSDMは、オラクルを代表する責任者だ。社外的には顧客の担当者であり、社内的にはDBAやAMS、必要があれば米国の開発部隊と連絡を取りながら、通常の運用・保守以上のサービスを提供する(図参照)。現在20人ほどいるSDMの中でも新関氏は古株で、実はOracle On Demandのサービス開始以前からSDMを担当している。
「当時はまだオン・デマンドの『オ』の字もなかったですね。アプリケーションの導入には半年や1年、大きなプロジェクトだと3年ほどかかりますが、その期間のサポートの代表窓口になり、調整業務や社内チームを交えた問題の解決などを行ってきました。また、トラブルを未然に防ぐために、推奨のパッチや製品、バージョンなどのご提案もしていました」

 このサービスが進化しOn Demandとなった現在は、提案した内容を手順にし、準備をして、適応作業を行い、結果を検証するまでになる。「より深い作業になった」と語る新関氏は現在、大手OA機器メーカーを担当している。
「領域の拡張やパッチを当てるなどの日常的な細かいメンテナンスから、弊社製品のリリースに合わせたシステムライフサイクルのご提案まで、仕事は本当に幅広いです。システムの規模そのものも大きいですし、OSやハードウェア、データベース、アプリケーションすべてにわたって最適化していくための提案となると、幅広い知識を深めていく必要があります。ほかのベンダーとも協力してOSやハードなど全体を多角的に見ていき、最善の策を探し出します」
新関 忠氏
カスタマーサービス統括本部
オンデマンド本部
サービスデリバリー・マネジメント部
アプリケーショングループ
サービスデリバリーマネジャー
新関 忠氏
大学理工学部の情報学科を卒業後、1999年に日本オラクルに入社。現在のEBS(E-Business Suite)のプロダクトサポートに約3年携わった後に、希望してSDMとなる。Oracle On Demandのサービス開始からSDMとして顧客を担当している。
Oracle On Demandのサービス概要
「使われてなんぼ」の製品・システムをベストに保つ
 どれだけ予防策を講じていてもシステムにトラブルは付き物。サポートの真価が問われる場面だが、SDMになって5年の新関氏もシステムダウンの経験をもつ。
「第一に障害復旧、第二に原因調査、そして暫定対応、恒久対応の順になります。DBA、AMSといったエキスパートがネットワーク経由で直ちに復旧作業、原因究明のアクションを開始。私自身はSDMとして、社内外の関係者との取りまとめなどのシチュエーションマネジメントを行うとともに、今後の対応に関する提案を行います」
 これまで見てきたようにSDMは顧客、協力会社、社内チームなどと密に連絡を取り合い、一定の条件下でベストの方向を見いだす仕事だ。新関氏は「平たい言い方ですが、やはりコミュニケーション能力が大切」と語る。
「難しい話を伝える、サービス内容や費用対効果を説明する、別の製品を使った横展開の提案をする、そしてお客様と信頼関係を築くためには欠かせないスキルです。当然ですが社内のメンバーに対しても同様です。私は製品やシステムは使われてなんぼだと思っているので、それを提供し続けるサポートビジネスに高い価値を感じています」
新製品と先端技術にもまれて育つプロダクトサポート
2年後の「サードレベル」を目指して現在奮闘中
 プロダクトサポートに携わるエンジニアの姿を、こう想像する人がいるかもしれない。インカムを付けて電話を取り、ソフトがうまく使えない顧客の不十分な説明を理解し、マニュアルどおりに対応する。製品知識は豊富でも、技術力はさほど必要ないのではないか。
 オラクルのプロダクトサポートはすべてにおいて異なっている。まず、問い合わせと対応はほぼ100%、Webやシステムを介して行われる。次に顧客は一般ユーザーではなくエンジニア、それもORACLE MASTERなどの資格をもつ、データベースの運用者やSI企業の開発者だ。しかも製品はビジネスアプリで奥が深く、プラットフォームやネットワークなどの周辺知識も必須となる。

「私はEBS(E-Business Suite)のプロダクトサポートに3年半いましたが、希望してDBに移りました。弊社の主力製品の知識を深めたかったからです。EBSは歴史が浅い分だけ海外の開発者と直接連絡する機会が多かったのですが、DBはスキルのある人が日本に大勢いるので、ほとんど国内で解決できますね」
 SEから転職した勝山氏がこう語るのは、サポート体制が3段階に分かれているからだ(図参照)。開発エンジニアとして約8年のキャリアとORACLE MASTERをもつ彼女であっても、現在はセカンドレベル。中途入社でセカンドレベルから担当する人はいてもサードレベルはめったにいないという。
「サードレベルの者は問題へのアプローチの仕方と、経験からくる当たりのつく速さが違い、お客様の問題を自社の環境であっという間に再現してしまいます。DBの知識不足もありますが、2年後に追いつきたいと思います」
勝山治子氏
カスタマーサービス統括本部
プロダクトサポート本部
データサーバー・サポート部
パフォーマンスグループ
シニアサポートエンジニア
勝山治子氏
高等専門学校の電子情報工学科を卒業後、SI企業2社でプログラマおよびSEとして勤務。2001年に日本オラクル入社。新製品の機能を日本に広める製品本部に約1年、EBSのプロダクトサポートに約3年半携わった後、今年5月よりDBのプロダクトサポートを行う。
日本オラクルのプロダクトサポート体制(データベース製品の場合)
最新製品とともに先端技術を学ぶサポートという仕事
 開発とサポートの双方を知る勝山氏は、両者の違いを次のように語る。
「開発は製品を生み出す喜びがあり、サポートは製品知識と高いスキルを同時に学べる点が魅力です。特にオラクルの製品はレベルが高く、お客様の使い方もわかりますから」
 仮に開発時期が3年とすれば、詳細設計の段階で使うアーキテクチャーは決まり、その間の技術レベルはさほど上がらない。サポートなら常に最新製品と接し、規模も緊急度もさまざまに対応を迫られるので、先端的なスキルをしっかり蓄えていくことができる。
「最高にうれしいのはお客様に感謝していただいたときです。弊社にはアンケートシステムがあり、お客様のコメントを閲覧できますが、『期待以上の対応をしていただき大満足でした』と書いていただいたのには感激しました。ひょっとしたら、最初の期待値が低かったのかもしれませんけど(笑)」
Part3 来年5月までに募集するのは200人以上のエンジニア
 日本オラクルの新しい柱は3つ。カスタマーサービスにおけるOracle On Demand、ピープルソフトとシーベルを母体としたオラクル・インフォメーション・システムズとの協業戦略、アプリケーションとデータベースをつなぐアプリケーション・サーバーを中心としたフュージョン・ミドルウェアだ。ここでは主にカスタマーサービスの採用計画を紹介する。
SEのポイントは案件規模、プロジェクト期間、カスタマー視点
 昨年度の10%増収増益を受けて、日本オラクルのビジネスは拡大路線に入っている。今期の中途採用は約300人、そのうち技術職は約200人以上を予定(表参照)しており、この人数は前期の約2倍となる。
「総じて言えることは、どんな職種であれ、その領域での完全なプロであることです。プロダクトサポートならORACLE MASTERをもつお客様に回答できるような技術知識、プリセールスなら弊社の製品や技術力を説明できるスキル、コンサルタントならプロジェクト内で発揮するテクノロジーベンダーとしての専門性。そうなると転職者の方には入社後に弊社の技術を深めてもらう必要があり、技術への探究心がまず望まれます。ちなみに現在募集しているのは40職種くらいで、社員の入退社などにより随時変更されます」

 例えばSDM(サービス・デリバリー・マネジャー)ならどのようなエンジニア像になるのか。システム全体の運用管理・監視を行い、顧客に効率的な活用やコスト削減を提案できる人材はそう多くない。
「SI企業でユーザーの概要設計から運用まで携わっている方。理想を言えば規模はC/Sで1000台、プロジェクト期間は半年以上です。社内SEでも社内のシステムを全体で見ていた方なら、カスタマー視点が前提となりますが大丈夫でしょう。20代後半まで開発SEで、転職した会社でユーザー部門の導入から運用まで携わる方なども候補です。また、運用管理のコンサルタントなどは即戦力になると思います」
鈴木宏彦氏
人事本部 採用企画部
ディレクター
鈴木宏彦氏
日本オラクルが予定する
今年度のエンジニア中途採用
職種
およその人数
プリセールス
90
コンサルタント
55
サポート
SDM
25
DBA・AMS
15
プロダクトサポート
25
合計
210
入社後のキャリアアップで希望職種が目指せる
 ただ、DBA(データベース・アドミニストレータ)やAMS(アプリケーション・マネジメント・サービス・エンジニア)、プロダクトサポートとして入社し、その後でSDMを目指すこともできるという。
「SEでも詳細設計や画面設計だけの担当や、プロジェクト期間の短い方なら、最初はプロダクトサポート、技術力が高ければDBAやAMSから入っていただく方法もあります。例えば会計系製品のプロダクトサポートをファーストレベルで担当、運用の問題点がわかったら次はSCMを担当、両者の運用を理解してSDMを希望するなどです。準備期間はまだありますし、弊社のキャリアパスは豊富なんです」

 ソフトエンジニアのキャリアパスはプログラマ、SE、プロマネと続くのが一般的だが、日本オラクルではかなり異なる。プロダクトサポートを深めて開発職へ、コンサルタントからプリセールスへ、プリセールスからSDMへなど、知識と経験を積み上げて複合的にキャリアを重ねることが可能だ。こうした意味でも、「仕事待ち人間」はいらないという。
「自分でプロアクティブに動ける方、日本だけでなくワールドワイドの動きを感知して提案できる方、物事を論理的に考えてコミュニケーションが取れる方。こうしたエンジニアの方に、ぜひ弊社に来ていただきたいです。英語力についてはほとんどの職種で問いません。たとえマニュアルやメールが読める、あるいは辞書を使えば読めるというレベルであっても、積極性と高めていきたいという強い意志があれば大丈夫です」
 先端技術、大型案件、上流工程。こんな環境でカスタマーサービスに挑戦できる機会が広がっている。
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  高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ  
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
個人的な意見なのですが、オラクルの方は優しいというか、人当たりのよい人が多いですね。荻矢本部長も気軽に上着を脱いで、ウェンディ(取材当日は出張中で実はぬいぐるみ)と一緒にポーズしてくれました。今回この記事をつくるに当たって、「これは意識が常にお客さんに向いている、カスタマーサポート職が多いせいかも」と思いつきました。真偽のほどは……オラクルのエンジニアに聞いてください!

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