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懐かしの“アレ”がエンジニアの原点だ! Vol.18 組み立て簡単、リアルな動き!『ゾイド』の魅力
人型ロボットがはやった時代、それとは一線を画す二足歩行ではない恐竜や動物の型をしたおもちゃが作られた。簡単にできて、しかもリアルに動く。その独特の楽しさをもったゾイドに惹かれたエンジニアを追ってみたい。
(取材・文/金沢桃子 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:06.09.06
座談会テーマ:ゾイドはエンジニアにどのような影響を与えたか?
 今回の座談会では、ゾイドを愛し続けてやまないエンジニアおふたりに来ていただき、そのゾイドにかけた日々と愛を語っていただいた。
ゾイドとは?
タカラトミーが発売している恐竜や動物型のメカ生体おもちゃシリーズ。接着剤が不要で、組むのが簡単。またほかのゾイドと部品を交換し、自分のオリジナルゾイドを作ることなどもできる。さらに、ゼンマイやモーターなどで動かすことができ、恐竜や動物の動きを精巧に再現している。ゾイドのシリーズには背景となるストーリーがあるものもあり、それを元にアニメやマンガ、ゲームやカードが作られ、現在ではオンラインゲームも展開している。
ゾイドを愛し続けているエンジニア2人のプロフィール
平野さん 納谷さん
平野さん(仮名・28歳)
ネットシステム担当
納谷さん(仮名・29歳)
システム担当
まずはゾイドとの出合いについて教えてください。
平野:
モーターシリーズ
モーターシリーズ
小学2年生くらいのころに、弟が毎週ゾイドを買ってもらっていたんです。ゾイドが動いているのを見て、目も光るし、かわいいなと思ったのがゾイドを好きになったきっかけですね。中型から大型のモーターで動く(※1)のが多かったです。デスザウラー(※2)とかみんな各種3体はありましたね。個人的にはコマンドウルフ(※3)が一番のお気に入りだったんですけど、動きの面ではアイアンコング(※4)とかも好きでしたね。
納谷:
ゼンマイシリーズ
ゼンマイシリーズ
同じく小学2、3年くらいです。祖父母のところに行くと、おもちゃを買ってくれて、最初はレゴを買ってもらっていたのですが、ゴジュラスを見て、ゾイドを買ってもらうようになりました。恐竜図鑑とか好きで、国立科学博物館で写生をするような子だったので。それにさらにメカっぽい外観がついて、印象に残ったのかもしれないです。そんなに頻繁にではないですが、ゼンマイで動く小型の物(※5)を買っていましたね。大型や超大型のものは高価でしたので、なかなか買ってもらえなかったです。
平野:
小学4、5年になったら自分でゾイドを買うようになりました。弟とかに持ち出されるのがイヤだったので、ハムスター用の首輪を買ってきてつけて、それをベッドにつないでおきましたね(笑)。一緒に寝たりもしましたが、子供なんで、朝になると寝相が悪くて崩しちゃったりしていて、泣きながら組み直したりして……。小さくて軽いのでパーツとかすぐに欠けるんです。戦わせているうちに外れちゃったりとか。
納谷:
シールドライガー
シールドライガー
自分が持っていたのはゼンマイ中心で、シールドライガー(※6)とかサラマンダー(※7)サーベルタイガー(※8)などを持っていました。中でも印象に残っているゾイドはグスタフ(※9)で、輸送用という設定がリアルでとても惹かれましたね。
趣味嗜好や遊び方についてお聞かせください。
平野:
獣、猛獣型が好きですね。元の系統の想像がつきますので。動かしたりして、人形代わりに楽しめました。
納谷:
まず目を惹かれるのは恐竜です。でも実際は目新しいものに惹かれましたね。先ほどのグスタフ、ウオディック(※10)とか。ウオディックは恐竜型とかではなく、その名のとおり、魚型のゾイドなんです。
平野:
遊び方は普通に作って楽しんだり、数が多かったので一直線に並べて、どれが一番速いか競わせたり。円の中でゾイドを戦わせて、円から出たら負けとか。BB弾が撃てるのでそれで戦ったり。あとは塗装を変えたりですね。塗装は装甲を塗ったりとか。オプションよりは動かして楽しむほうでした。
納谷:
あとは中に人が入るので、それを変えたりしました。ゾイドは基本色が地味だから、やはり塗り替えましたね。箱の裏に塗装例があったので、それを見ながら塗ったり。あとは同じくゾイドに相撲をさせて、倒れにくくするためにプラ板で補強をしたり、友達とゾイドを持ち寄って改造して遊んだりしました。強くするために手を長くしたり。そういう改造もかっこよければ残すのですが、素材が竹串だったので、戦いの後は外しました(笑)。
ゾイドならではの魅力は何でしょう?
平野:
プラモデルを少しやってみたのですが、接着剤の扱いが面倒くさいなと。ゾイドはポリキャップ(※11)で作るから接着剤がいらなかったので。
納谷:
当時のプラモデルはそれほどクオリティが高くなかったですし、色も自分で塗らないといけなくて、大変でしたからね。色をたくさんそろえないといけないからお金もかかるし……。当時は組み立てれば箱のとおり作れるというのが、ゾイドしかなかったですね。
平野:
兵器っぽい色がよかったんですよね。それなのに、最近は妙に派手な色になっちゃったり、クリアパーツとかメッキパーツとか多用されて、ちょっとゾイドの魅力が薄れてきてますけど……。
納谷:
ゾイドは「本当に動く関節」(※12)によってリアル感があって、想像をかきたてられました。特に中型はモーターが回るものや、パーツの組み合わせで歩いたり、羽が動くとか、とにかくいろんな動きに変わるのが面白かった。
平野:
マッドサンダー
マッドサンダー
ゾイドは動くから面白かったんですよね。ウルトラザウルス(※13)とかペット的でよかったんですけどね。歩くときに首が上下して、尻尾が左右に動いて。友達の家で見て惚れ込んですぐに買っちゃいましたよ。マッドサンダー(※14)トリケラトプス型(※15)をしているんですが、角がドリルになっていて回るんですよ。
納谷:
元になっている動物の動きを想像できるからいいんですよね。ウオディックは実際に水に浮くんですよ。そして両サイドの背びれや尾びれを動かして泳ぐんです。だから思わず一緒にお風呂に入ったりしましたね(笑)。
ゾイドの世界観やアニメ・ゲームなどについてはいかがでしょう?
納谷:
ゾイドを買うと説明書に2、3ページ程度、ゾイドのシチュエーション設定に関する説明があったんです。それでリアリティを感じて、惹かれていきましたね。
平野:
デスザウラー
デスザウラー
デスザウラーとかに帝国(※16)後半の主力とかの説明がついていましたよね。荷電粒子砲(※17)っていうのがついていて、よくわからないけどすごいんだなと思ったり。後付けの設定集なんかも読みました。
納谷:
絵で共和国(※18)のゴジュラスが倒されていくのを見て、デスザウラーってすごいんだと思いました。あとは年表があって、しばらくたつと本やゲームが出て、それでまた設定を知るわけです。
平野:
ゲームは99年のアニメ化(※19)のときに出たゲームボーイ版を買いました。あとはアーケードのゾイドバトルを見たり。
納谷:
小学校のときにファミコンのゾイドソフト(※20)を買いました。ドラゴンクエストを発売日に買わないでゾイドを買いましたよ(笑)。内容は理不尽でしたが、ゾイドだからOKって感じで。ステータス画面のゾイドの絵がきれいで、装備とかも変えられたので楽しかったです。
平野:
ゾイドってひとつの世界を共有していて、その中でいろいろあるみたいな感じですよね。大ざっぱな年表を見て、頭の中で補完していく。
納谷:
世界観に関して、あまり矛盾は感じなかったですね。その場その場で納得したというか。小学生なので2つのリーフレットを比べておかしいとかは思いませんでした(笑)。
ゾイドが今のお仕事にどのように影響していますか?
平野:
機械いじりに抵抗がなくなったことですね。ゾイドのモーター部分とかいじりましたから。中古のシールドライガーをあけてモーターを組み替えて直したり、ミニ四駆のモーターと入れ替えたり。物をいじるのとか好きなんです。ゾイドの影響があって、それがパソコンを扱う仕事につながっていったんだと思います。
納谷:
組み立てをするのが好きになりました。パソコンを自作するのもゾイドの組み立てをしていたからだと思います。立体を想像したり、動きとか構造が頭でイメージできるから、システム設計の場面でお客さんの漠然としたイメージを形にできるんだと思います。
あなたにとってゾイドとは?
平野:
ウォディック
ウォディック
ごはんを食べないペットの一種です。動物を飼いたかったのですが、親が動物の毛の手触りとかがダメだったので。今も仕事で遅いとか、家を空けるとかあるので、生のペットは飼えませんね。今、部屋で飼っているのが5匹いるんです。バーサークフューラー(※21)とかお座りしたりお手したりするライガーゼロ(※22)とかが部屋にいます。倉庫を借りているので、小さいのを合わせると3けたくらいいっちゃいますね(笑)。
納谷:
男のロマンを構成する要素が全部詰まっているものですね。メカだし兵器だし、組み立てするし分解するし改造するし。あらゆることが詰まっているのがゾイドだと思うのです。今の子供にも昔のゾイドに触れてほしいですね。
中型から大型のモーターで動く(※1)
組み立てキット時代のゾイドは動いた。電動モーターで動くものは中型、大型、超大型がある。モーターによって歩くだけでなく、ドリルが回ったり、目が光ったり、さまざまなギミックが組み込まれている。弾が撃てるものもある。

デスザウラー(※2)
帝国が最終兵器として開発した恐竜型ゾイド。帝国で最大の超大型ゾイドで、たった一機で共和国のゾイドをなぎ倒し、共和国に首都を放棄させた。軍事バランスを崩すほどのゾイドで、レーザービーム砲やミサイルランチャー、電磁クロウ、荷電粒子砲などの武器を満載している。

コマンドウルフ(※3)
1986年に発売されたオオカミ型ゾイド。高速戦闘用の中型ゾイドで、共和国が開発。総合的なバランスがよく、その後もたくさんの改良型が生まれた、パワーゼンマイゾイドで、コックピットが独特である。

アイアンコング(※4)
1985年に発売されたゴリラ型ゾイド。大型ゾイドで、目のライトが点滅し、鳴き声を出す。帝国がゴジュラスに対抗するために作った。格闘戦に高い機動力を誇るゾイドだが、ゴジュラスに先制攻撃を仕掛けるために長距離用兵器も武装している。
ゼンマイで動く小型の物(※5)
小型、中型で動くゼンマイ式のゾイドがある。モーターのものほどギミックは多くないが、歩行などができ、小型のものは安価であったため、ゼンマイのものも人気があった。「動くからゾイドなんだ」と組み立てキットを愛するゾイドファンは多い。

シールドライガー(※6)
共和国初の高速戦闘ゾイド。サーベルタイガーを母体としているため、機体構造も似ている。背中にビーム砲を、両サイドにミサイルポッドを収納。敵のビームを弾き返すシールドのあるたてがみ部分も展開するようなギミックがついている。

サラマンダー(※7)
共和国が開発した翼竜型戦闘爆撃機ゾイド。低空でも高い高度でも何なく進む機動性を誇る。大型でほかのゾイドを空輸でき、空戦能力、爆撃能力にも優れている。足を前進させながら、翼を羽ばたかせ、くちばしも動き、同時に尾を左右に、首を上下に振るギミックがある。

サーベルタイガー(※8)
帝国が開発した虎型ゾイド。高速戦闘用の白兵戦向きのゾイドで、帝国が最初にこのゾイドを戦場に出したときは、共和国にはなすすべがなかった。すべての高速ゾイドの基本となったゾイド。
グスタフ(※9)
昆虫型の輸送用ゾイド。装甲が分厚く、地形を選ばずに走れるため、輸送専用のゾイドとなった。傷ついた味方の回収や補給にも活躍。共和国・帝国ともに採用したが、戦闘力は低いため、犠牲が多かったようだ。

ウオディック(※10)
帝国が開発した魚型ゾイド。帝国が中央大陸に帰還するための強襲戦闘用に作られた海戦用ゾイドで、水中戦においては最強を誇った。水陸両用ではあるが、上陸できるという程度で地上戦には向かないようだ。座談会にあるとおり、実際のキットも泳ぐ。

ポリキャップ(※11)
ゾイドの部品は塗装済みで、ポリキャップというものが採用されており、接着剤を使わずに簡単にはめて組み立てることができた。きれいに仕上げたい人はニッパーを使って切り離し、切断面を磨いていたようだが、ただ外してくっつけてもちゃんと箱にあるような姿になった。

「本当に動く関節」(※12)
ゾイドの関節は動く。歩くギミックがついているため、歩行がきちんとできるような間接になっていて、さらにほかの部分も動くようになっていた。ゾイドについている武器なども出し入れできたり、細かい作りがされていた。

ウルトラザウルス(※13)
共和国が開発した恐竜型の超大型ゾイド。共和国の旗艦となるゾイドで、搭乗要員が8人は必要であり、移動基地ともいえるものであった。普段は水上におり、水上戦も得意。レーダーや通信などの機能も兼ね備え、攻撃兵器としてもウルトラキャノンと呼ばれる高速キャノン砲など圧倒的な火力とパワーを誇った。
マッドサンダー(※14)
共和国が総力をかけて開発したトリケラトプス型の超大型ゾイド。帝国のデスザウラーに対抗するために作られた決戦兵器ゾイドであり、マグネーザーと呼ばれる回転する2本のドリルは恐るべき破壊力をもつ。帝国との決戦時、マッドサンダーはマグネーザーでデスザウラーを裂き、共和国に勝利をもたらした。

トリケラトプス型(※15)
白亜紀後期に北アメリカに生息した恐竜。草食性で三本の角を有する角竜。肉食恐竜から身を守るためにこの角を持っていたといわれており、マッドサンダーはこの姿形を踏襲している。

帝国(※16)
ゼネバス帝国のこと。ゾイドストーリーはこの帝国と共和国の戦いをメインに描かれている。惑星Ziにある帝国で、共和国大統領へリック2世の弟・ゼネバスが共和国に反旗を翻して作った。惑星Ziには暗黒大陸に本拠地を置くガイロス帝国という帝国もある。

荷電粒子砲(※17)
荷電粒子を高速に撃ち出して、物質を破壊する砲。高速に撃ち出すためには加速器が重要で、現在でも加速器研究は行われているが、小型化はまだ難しい。だが、SFアニメなどでは多用されており、ゾイドにおいては最強兵器のひとつとしてほかの火器より上に扱われている。デスザウラーの荷電粒子砲は光速にまで加速されているという設定になっている。
共和国(※18)
へリック共和国のこと。帝国と同じく惑星Ziにあり、中央大陸を統一したへリック・ムーロワの長男へリック2世が大統領を務める。共和国と帝国は中央大陸戦争を起こし、さまざまなゾイドを開発して戦争に投入。それがゾイドストーリーの広がりを作っている。

99年のアニメ化(※19)
1999年から「ゾイド -ZOIDS-」というアニメが毎日放送・TBS系で放送された。少年バンと記憶をなくした少女フィーネを中心とした物語で、シールブレイカーやコマンドウルフなどたくさんのゾイドが劇中で活躍する。以降も数々のゾイドアニメが作られた。

ファミコンのゾイドソフト(※20)
「中央大陸の戦い」「ゼネバスの逆襲」の2本がある。トミーではなく、東芝EMIの発売。一応RPGだが、敵との戦闘は3Dシューティング。マップが非常に広く、暗号がものすごく長く、当時の子供たちは大変だったと思われるが、ウルトラザウルスやマッドサンダーを手に入れるため、子供たちは必死にパーツを集めた。擬似3D迷路があったり、隠し通路が難しかったり、難易度が高かったという話が残っている。

バーサークフューラー(※21)
帝国が開発したティラノサウルス型ゾイド。最強戦闘部隊「鉄竜騎兵団」の旗艦ゾイドでオーガノイドシステムを搭載したゾイドに匹敵するパワーをもつ。任務ごとに装備を換装し、超高速ドリルバスタークローなど最新の技術を採用したゾイドである。

ライガーゼロ(※22)
共和国のライオン型ゾイドであるが、帝国のゾイドを奪取したもので、バーサークフューラーの兄弟機。完全野生ベースで、バーサークフューラーと同じく任務ごとに装備を自由に換装させられるため、さまざまな場所で活躍した。
白熱!「ゾイド」座談会を終えて
組み立てたり、色を塗ることだけではなく、動きや構造をイメージできる楽しみを与えてくれる……。
モノづくりのイメージを限りなく膨らませてくれたゾイドもまた、エンジニアにとってのひとつの原点と呼べる。
コラム1:ゾイド担当者が語る、昔のゾイド・これからのゾイド
ゾイドをこの世に送り出したタカラトミー。今回はそのタカラトミーで、現在、ゾイドをメインで担当している田島豊さんにお話をお伺いした。初期のゾイド時代から現在のゾイドまで、さまざまなお話を伺うことができた。
・田島さんとゾイドのかかわりについて教えてください。

1988年に(株)トミーに入社して、2年目にゾイド部門に配属になりました。
そして、91年まで開発のサポートなどをしていました。
99年になり、アニメとともに復活ということになったときに、メインの担当になりその後、コロコロコミックとのタイアップや、新しいゾイドの開発、ゾイドストーリーとの調整などゾイドの復活に全面的にかかわりました。

8年の間に何度も復活案はあったんです。
でも、トミーにとって、ゾイドは大事なコンテンツだったので、なかなかできなかったんです。
それが99年になって、CG技術を駆使してアニメーションを製作しよう、という動きが出てきました。
アニメだとゾイドのかっこよさが出ないという悩みがあったのですが、CGとの融合でそれがかなったんです。モデリングがすごく大変でしたけどね。


・ゾイドで苦労した点は?

開発面ですね。復活時に、新しいのを作ろうとか、小型化しようとかいろんな意見が出たのですが、まずは過去に販売した製品の金型を利用してスタートしようということになったんです。
そして、新ゾイド「ジェノザウラー」を開発しようということになって、金型からデザインから、とにかくすべて一から作りました。

ゾイドの開発現場というのは、最初にゾイド部門に入って先輩たちの仕事を見ていたときからそうだったのですが、モノづくりにこだわっていて、時間をかける、妥協しないという世界でした。

その自分が見てきた当時と同じような感じで開発をしたかったのですが、復活のころには、デザイナーもエンジニアもアウトソーシングを多用する形になっていて、最初は昔みたいにできるのかと正直、不安でしたね。でも過去にゾイド開発にかかわった会社さんとかも協力してくれて、開発・修正を繰り返しながらなんとか無事、完成にこぎ着けました。

ゾイドはスタイリングやデザインにすごくこだわっていて、しかも動くので、とても難しいんです。「かっこよくありながら、ちゃんと動く」を成立させたいのですが、動かすこととデザインってなかなか両立しないんですね。ですので、「デザインと動きと組み立てやすさ」、それをすべてクリアするために苦心しましたね。
あと、今まで開発してきたもので思い入れがあるのは「セイスモサウルス」ですね。2003年のメインアイテムで、2002年に恐竜博でセイスモサウルスを見て発想を得ました。
設計図どおりにできても、試作してみると「組み立てられない」とか「電池が持たない」「突起が痛い」など、いろいろトラブルが発生して開発に10カ月かかりましたが、思い入れが深いですね。


・ゾイドにかかわっていて良かった点は?

いっぱいありすぎて何から言えばいいのか……ひとまず、ゾイドやってますというのは看板になりますし(笑)、ゾイドのおかげで多くの人とかかわれました。
少年誌のコロコロコミックとかテレビの「おはスタ」に“Dr.T”として出ていたので、イベントで子供にサインを求められたりとか、普通はできない体験をさせてもらいました。
お子さんたちのことでは本当に楽しい思い出ばかりです。

それは、ゾイドが少年ホビーであってほしいと思っていた自分の思いが反映したのかもしれません。おもちゃは子供のものだと思うし、思いたいです。大人のために作っていますとは言いたくないんですよね。両立するという方法があったとは思うのですが、それよりも子供のために開発していくスタンスで常に取り組んでいましたね。もちろん、大人でも満足できるクオリティを守りつつですが。

・今後、ゾイドはどのような展開を?

今まではあまり大人向けというのをやっていなかったので、本格的にやってみたいですね。
ゾイドは大人でも満足できる質感がありますので、組み立ては省く方向で、でも動きはゾイドならではの特徴をだしつつコンプリートで出す形でいこうかなと思ってます。


・読者へのメッセージ

8年ほどゾイドに携わっていますが、23年前の最初のゾイドは偉大だなと改めて思いますね。
なんでゾイドが魅力的なのか、本質的な部分を今さらながら初期のゾイドに学ばされます。
ですから、初期ゾイドのように、理屈抜きで「ゾイドって素晴らしいですね」と言ってもらえるような製品をこれからも、作っていきたいですね。
田島豊さん
田島豊さん
(株)タカラトミーマーケティング統括本部
トイマーケティング本部
ボーイズマーケティンググループ
ボーイズオリジナルチーム
チームリーダー
好きだったのはデスザウラー。
ゾイド発売20周年を記念して発行された、「ゾイドコンセプトブック」
コラム2:ゾイドの商品ならここにおまかせ【ゾイドコア・ドットコム】
今回はもう1本。ゾイドの商品をネットで販売するオンラインショップ【ゾイドコア・ドットコム】の運営会社、株式会社ハピネット・オンラインさんにお伺いした。
・ゾイドコア・ドットコム立ち上げのきっかけについてお聞かせください。

1999年のゾイド復活ブームで立ち上げようということになりました。
立ち上げ当初は組み立てキットがメインで、ジャンルもあまり多くありませんでしたので、トミーさん(現タカラトミー)とタイアップして限定品を作ろうということになりました。
初めての限定品は「ジェノブレイカー・ジェット」。ジェノブレイカーの色替え版です。
本当に売れるのか?という一抹の不安があったので少なめに作ったのですが、限定3000個のうち2000個が、ものの数分で売れてしまいまして。
何カ月もかけて売るつもりだったので、そのときはゾイドの根強い人気にとても驚きましたね。


・ゾイドコア・ドットコムを利用している世代は?

基本は大人です。メインターゲットである30代が主体ですね。
30代だと結婚してお子さんがいらっしゃる方も多いので、そこから低年齢層に波及しています。
当社主催のものやタカラトミーさん主催のもので、合わせて年に1〜3回程度、改造コンテストを行っているのですが、始めてから1、2年すると年齢層が拡大して、ジュニア部門ができるほどにユーザーの幅が広がりましたね。


・売れ筋のゾイド製品を教えてください。

最近のメインは組み換えが簡単でカスタマイズしやすいブロックスになっています。アニメの影響などで美少女フィギュアなども人気ですね。
ただ、アンケートでは昔の組み立てキットが欲しいという声は多いですね。コアなファン層は昔のままのゾイドにこだわりをもっていますからね。


・今後の展開は?

これからはネオブロックスやフィギュアなどを積極的に展開していきたいと思います。 新商品や限定品についても今後、各メーカーさんに要望をあげていくことで、商品開発のお手伝いができればと思っています。

それから、シールドライガーのプラモデルが10月に出る予定で、新しい解釈のデザインとなっていて、本格的なディテールのモデリングとポージングができるものです。また、今後はタカラトミーさんに提案して、ネオブロックスの限定品とかも出していきたいですね。
ゾイドのファンは範囲が広いのに、リアルのお店での取り扱い数が少ないので、当ショップでたくさんの種類を取り扱っていきたいと思います。

・読者へのメッセージをお願いします。

スタンダードなキットをうちはこれからも大事にしていきたいと思いますし、新しい種類が出ても根強く扱っていくつもりです。
当ショップはタカラトミーさんと、そして何よりもお客さまの強力なバックアップがあって成り立っています。

便利で面白いショップを目指して作っていますので、ぜひショップを見てください。
西尾昭弘さん
西尾昭弘さん
株式会社ハピネット・オンライン
ゾイドコア・ドットコム担当
(上)「ゾイドコア・ドットコム」ホームページ http://www.zoidscore.com/
「ゾイドコア・ドットコム」限定品として発売された、“ヘビーアームズケーニッヒウルフ”(中)と、“ジェノブレイカー・ジェット”(下)。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ  
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
参加者の口から機関銃のように次々と吐き出されるゾイドの製品群の数々……。何ひとつ知らない私に、目を輝かせながら一つひとつ懇切丁寧に説明してくださった参加者の表情を見て、ゾイドのもつ魅力の一端を垣間見た気がしました。

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