SEといえば、毎度毎度定番になるネタが徹夜。飽き飽きするほど出てくる話が徹夜。風呂に3日入ってねぇよ〜とか、床で寝たせいか体中がかゆいんだよ〜とか、そんな話は耳にタコで特に目新しくもない話。
　ところがちょっと奥さん！会社によってはそんな状況を憂慮して、シャワールームとかマッサージ椅子とか仮眠ベッドとか完備してくれてるとこがあるらしいですよ！うそん、それってまさに理想の職場環境？　社員思いのいい会社〜!?
　さて、果たしてそれはどうでしょう。では、以降の物語をご覧あれ。

　よろしくない症状が出たときに、とりあえずその症状だけ押さえ込んじゃえ……というのが対症療法という奴です。例えば、身近な例でいえば、「バグが出たぞ〜」という時に、「とりあえずそこだけパッチあててごまかしちゃえ」というのも対症療法。でも、原因を突き止めないままパッチあてしてパッチあてしてごまかしたシステムって、いつかどどんと火を噴いてタッタカターンとデスマーチを奏で始めたりするんですよね。もうお約束っていっていいくらいに。

　要するに対症療法はしょせん一時しのぎなのです。そして、仮眠ベッドやシャワールームなんてのも、やはりそうした「対処療法」的なものにすぎません。「徹夜でしんどいよ〜」という状況は、その根本的な対策をとらない限り、いつかはどどんと火を噴いてもおかしくないのです。それは例えば肉体的にくるかもしんないですし、例えば精神的にくるかもしんない。だって普通に考えたら、「会社に泊まり込むのが快適になりましたよ〜」って変ですもの。それを喜んじゃう環境にあるというのがもうヤバい。

「今はとりあえずこれで我慢してくれ、だから“今だけは”社員一丸となって頑張ってくれ」なんて話でこうした環境が与えてもらえるなら、素直に喜んでいられますけどね。俗に「ゆでガエル」という言葉があります。熱湯にカエルを放り込むとびっくりして逃げ出すけど、水からゆっくりゆでていくと、自覚のないままにゆであがって死んじゃいますっていう通説を指す言葉です。くれぐれもゆであがってしまわぬようご自愛あれ……。