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懐かしの“アレ”がエンジニアの原点だ!Vol.16 日本中の少年を“一目惚れ”させた「スーパーカー」の魅力
ランボルギーニ・イオタ、ロータス・ヨーロッパ、トヨタ2000GT、フェラーリ308GT/4レインボー……かつてこれらの名車の模型や消しゴムを集めていたエンジニアも多いはずだ。今回はスーパーカーとエンジニアのかかわりを追ってみたい。
(取材・文/金沢桃子 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:06.07.05
座談会テーマ:スーパーカーはエンジニアにどのような影響を与えたか?
 今回の座談会では、子供のころ、スーパーカーに憧れたエンジニア2人をお招きし、スーパーカーの思い出を語っていただいた。
スーパーカーとは?

高級スポーツカーの1ジャンル。一般的な乗用車に比べ、特徴的なデザインをしており、技術の粋を集めた高性能で高出力な車を指すことが多い。レーシングカー並みの高速が出るといったメーカーの最新技術が注がれるだけでなく、時代を先取りした未来的なデザインをしたものがスーパーカーと呼称される傾向にある。

スーパーカーに惚れ込んだエンジニア2人のプロフィール
長田さん 加藤さん
長田さん(仮名・40歳)
電機メーカー 設計
加藤さん(仮名・39歳)
研究開発・技術顧問
まずはスーパーカーとの出合いについて教えてください。
加藤:
日本にスーパーカーが入ってきたのをテレビで見たのがきっかけで、スーパーカーの中ではフェラーリ365GT/4BB(※1)がいちばん好きですね。デザインがきれいで、排気量のわりにハイパワーで、とにかく加速がすごいのが魅力です。
長田:
小さいころから車は好きだったのですが、マンガがきっかけですね。『サーキットの狼』(※2)ではまりました。エンジンは弱いんだけど、コーナリングがよくて勝つというロータス・ヨーロッパ(※3)に惹かれましたね。
加藤: 当時、『サーキットの狼』は周りで知らない人はいなかったですよね。ありとあらゆる車が出てきて、チューニングはなく腕で競い、非力な車が勝っていくのがよかった。
長田: 実車が出てくるんで、それで車の名前を覚えました。パーツなんかも『サーキットの狼』で覚えましたね。
スーパーカー好きが趣味としてどのように発展していきましたか?
加藤:
スナック菓子を買ったりしましたね。コーラのふたの裏にあったものを集めたり。消しゴムも人気で、男子はもちろん、女の子でも持っている子がいました。スーパーカーの消しゴムが出るガチャガチャがあったんですよ。数百個は持っていましたね。
長田:
うちも箱いっぱいに消しゴムがありました。友達と交換して種類をそろえました。イオタ(※4)が人気でしたが、実車が少ないものはガチャガチャにも少なかったんですよ。
加藤: あと消しゴムでいうと机の上で、ボールペンでスーパーカー消しゴムを弾いて、机の上から相手の車を落とせたら、相手の車をもらえるという遊びがありましたね。
長田: あれには貴重なものは出さなかったんです(笑)。戦闘要員用として、3、4台ダブったものを使っていました。
加藤:
レインボー
レインボー
当時20、30円だったスナック菓子にカードが付いていましたね。ピニンファリーナ(※5)デザインのフェラーリのレインボー(※6)のレアカードが欲しくてたくさん買いました。
長田: 自分は仮面ライダースナックのころから買っていて、同じ流れでスーパーカーのものも買いました。消しゴムと同じく友達と交換をして、種類を埋めていくのが楽しみでした。その後は、展示会に行ったり、プラモを作ったり、ラジコンを買ったりしましたね。ランチャ(※7)とかロータス・ヨーロッパのプラモデルを「風吹」風にアレンジしたりしてました(笑)。
加藤: 後はミニカーを集めだしたり、その後、それより大きな2000円台のものを集めだして、イオタを買ってもらいましたね。
 ラジコンは、タミヤのモーターにCRCをかけて回転をよくしたり、3倍の強さのあるブラックモーターを使って改造をしたりしました。
スーパーカーの実車に触れたのはいつごろですか?
加藤:
アルビーヌルノーA310
アルビーヌルノーA310
展覧会が最初です。CMで展覧会をやるのを知って、親に連れて行ってと頼んで。車からかなり離れていたところでしか見られなかったのですが、見慣れている車とは別物でした。特に印象に残っているのは、アルピーヌルノーA310(※8)です。四角いランプがフラットにずらっと並んだデザインには衝撃でしたね。
長田:
同じく自分も晴海の展示会に行きました。人を見ているのか車を見ているのかってくらい込んでいたのですが(笑)。ランチアのラリーカーを見たのですが、緑と赤のラインが入ってなおかつ、ライトが至るところに取り付けられているのには、びっくりしました。
加藤:
ポルシェやフェラーリも本物はぜんぜん違いましたね。あんな太いタイヤは初めて見ました。
スーパーカーの条件や魅力はどこにあるのでしょう?
加藤:
まず「見て瞬時に目を引くもの」であるってことですね。人間でもありますよね、きれいな人が歩いていたら「え!?」って見るじゃないですか。そういうのがあるんですよ、スーパーカーには。
長田: デザインは大事ですね。ロータスとかスマートで、後ろのウイングのあるなしで本当に印象が違うんですよ。それに世界一車高の低い車なんですが、乗ってみると意外に狭くないんです。ただ、エアコンがかけられないような状態で(笑)。
加藤:
カウンタック
カウンタック
フェラーリのくさび形や、赤と黒のツートンカラー、流れるようなボディーに魅力を感じました。車高が低くなおかつワイドで存在感が違うんですよ。スーパーカーはカラーも特徴的で、カウンタック(※9)の一号車はオレンジだったのですが、そんな色は当時、日本にはなかったんです。
長田: デザインだけでなく、馬力とスピードといった性能もスーパーカーの条件ですね。 ロータスのコーナリングを高めるためにあるスタビライザーなんかも魅力的で。『サーキットの狼』を見て、ポルシェカレラ(※10)とかに勝つのを見て感動したものです。
加藤: 印象に残っている性能は、V12エンジンですね。あんなにシリンダーがいっぱいあるエンジンとか、バランスを取っていく技術は当時の日本では無理でした。フェラーリ365とかがそうで、あの排気量でV12というのは普通はあり得ないものでした。シリンダーが小さいですから。ひとつのシリンダーが365ccなんですよ。それが12個ってことで。そんな排気量であのシリンダーを付けるなんてトラックでもなかったですから……もう、ガラスの彫刻のように繊細にできたエンジンでした。
そういうスーパーカーの性能はどこで知ったのでしょう?
加藤:
カタログを集めて学びました。車名を覚えて、パンフを見比べて、性能を比較していました。パワーと最高速を見るのがメインでしたね。
長田:
自分も速さやパワーがあるのに惹かれて、いろいろカタログを見ていました。家で車を買うときにセリカを親に推したのですが、買ったのはカローラでした(笑)。
年を経て、スーパーカーとのかかわりはどうなりましたか?
長田:
中学のころ、近所にポルシェとロータス・ヨーロッパを持っている人がいて、車庫まで見に行きました。そしたら車庫から出してくれて、中を見せてくれて、パネルとかも見ました。車庫から出すときに音を初めて聞いたのですが、ちょっとかわいい音でしたね。それから興味はF1に移りました。
加藤:
二輪の免許を取ってツーリングに行くようになって実車を間近で見る機会ができました。フェラーリ308(※11)を高速で見たりとか。18歳ですぐに免許を取って車を買いました。
 ロータスショップに遊びに行って、初めて現物に触りました。もちろんF1にも興味がいきましたよ。自分で車のレースをしていましたし。
ご自分の車はどのようなものを?
加藤:
最初に買ったのはホンダCR-X Si(※12)です。足回りと給排気を無限に変えて。音が最高でしたよ、無限は。コニのサスを入れてラリーで使えるやつにして。それでZとかターボカーを抜くのが最高でした。
長田:
私も18歳ですぐに免許を取って、カローラレビン(※13)を買いました。マフラーを変えて、ホイールを変えました。サスペンションは買うときから変えましたね。
加藤:
若いころはスピードとパワーでした。ローンでスカイラインGTR(※14)を買って、800馬力にしました。タイヤ代で月20万円かかったのですが、ボイラーのアルバイトで稼ぎましたよ。30歳でランボルギーニ・カウンタックを買いました。ABCコンプリートカーのベンツ(※15)とかNSX(※16)とかインテグラ(※17)ももっているのですが、ヨーロッパ車の内装に一度慣れると国産車には乗れなくなりました。ハンドルは重いし、ミッションは堅いし、大変だけどそれをねじふせる喜びがある。
長田:
自分はカローラをつぶして、プレリュード(※18)を買ったのですが、結婚して、普通の乗用車になってしまいました。結婚したときにプレリュードも売れって言われちゃいましたし(笑)。
スーパーカーがエンジニアのお仕事にどのように影響をしていますか?
加藤:
機械いじりが好きなのは、やはり影響をされているんだと思います。大学時代もそういう学部でしたし。そのまま学者になろうと思ったのですが、会社のほうが学校より研究費が出るとわかり、企業に入りました(笑)。
長田:
モノづくりがやっぱり好きというのがありますね。FAXを作っていたことがあったのですが、どういうスペックを出すかというのに心を砕きました。読み取りを速く、プリントアウトを速く、そのためにはモーターの回し方を変えて……という感じで。電気屋さんやメカ屋さんと集まって、性能を上げるというのを考えるのとかは、車の改造に共通していると思います。
加藤:
スーパーカーは同時代の中で群を抜いた存在で、それに影響されて、人と同じことをしたくない、最先端に自分が行きたいと考えるようになりました。人が不可能といったらやりたい、発想できるならやれるはずと思って、自分で設計して作ったモノは、世界一の性能を発揮できるようになったり。イメージできない人間は何も作り出せないと思うし、そういう意味でスーパーカーは私にとって、発想力を限りなく膨らませてくれる、格好のイメトレ素材だったんだと思いますね。
あなたにとってスーパーカーとは?
加藤:
道を指し示してくれたきっかけです。自分が車やメカニックが好きなんだと、スーパーカーが気づかせてくれたと思うんです。もしこの経験がなかったらエンジニアになっていなかったかもしれません。
長田:
夢中にさせてくれたもの、想像力を広げてくれたものです。理論立てて考えるようになり、調べる癖もつきました。中3でエンジニアになると決めたのも、スーパーカーの影響からです。
 
フェラーリ365GT/4BB(※1)
1971年のトリノ・ショーで発表されたデイトナの後継モデル。4.4l12気筒。ランボルギーニ・カウンタックに対抗して作られた車で、カウンタックより最高速度が少し速いといわれている。2005年には『The Engine:Ferrari 365GT/4BB』という本も発売されている。
フェラーリ365GT/4BB
『サーキットの狼』(※2)
1975年1月〜1979年6月まで『週刊少年ジャンプ』で連載された池沢さとしのマンガ。ポルシェやフェラーリ、ランボルギーニといった多数の実車が登場し、主人公・風吹裕矢もロータス・ヨーロッパを操る。公道で走り屋をし、さらにはF1ドライバーにまで上りつめた。

ロータス・ヨーロッパ(※3)
1966年にロータスが発売したミッドシップエンジンのロードカー。シリーズ1、2、ツインカム、スペシャルがある。グラスファイバーを使用しているためボディーが軽く、当時、富裕層にしか手にすることのできなかったミッドシップ型の車を庶民にも、ということで、さまざまなコストカットがなされた。
ロータス・ヨーロッパ

イオタ(※4)
幻のスーパーカーと呼ばれた車。ランボルギーニのテストドライバーであるボブ・ウォレスが生みの親で、最初はミウラをベースにして、何度も改良をし、軽量化などが施されたが、その後、イオタは炎上したため実車は残っていない。ミウラSVを元にレプリカが何台か作られ、ウイングなどを装着したSVRという車もあり、これが「日本人が思っているイオタ」であるといわれている。

ランボルギーニイオタ
ピニンファリーナ(※5)
Pininfarina。フェラーリなどの自動車デザインを担当するイタリアの企業で、車だけでなく、時計や船舶などのデザインも行っている。2006年冬季トリノオリンピックでもカウントダウンの時計のデザインなどを担当した。スーパーカーブーム時代のデザイン会社、デザイナーの名は多く知れ渡っており、カウンタックのデザイナーであるマルチェロ・ガンディーニなども有名でファンも多い。

フェラーリのレインボー(※6)
フェラーリのコンセプトモデルカ―。イタリアトリノの自動車デザイン製造メーカー・ベルトーネのデザイン。フェラーリ308をベースにしているが、シャープで直線的なシルエットをもつ車。

ランチャ(※7)
イタリアトリノの自動車製造メーカー。現在フィアットの傘下にある。ランチア・ストラトスは人気のスーパーカーのひとつで、抜群の回頭性からコーナリングスピードが素晴らしく、人気を呼んだ。ラリー仕様はさらに人気がある。
ランチャ
アルピーヌルノーA310(※8)
1971年にジュネーブで発表されたA110の後継車。アルピーヌはフランスの自動車メーカーで、ルノーに買収され、ルノーのモータースポーツ部門となった。そのため、ルノーアルピーヌA310が正式。6灯ライトが特徴。

カウンタック(※9)
1971年に発表されたランボルギーニ車でミウラの次世代機。スーパーカーの代名詞ともいわれる車で、発表時には大きな衝撃を与えた。ランチア・ストラトスやランボルギーニ・ディアブロをデザインしたマルチェロ・ガンディーニのデザイン。

ポルシェカレラ(※10)
ポルシェカレラの名をもつものはいくつかあるが『サーキットの狼』では主人公の宿命のライバル早瀬佐近が、ポルシェカレラRSというマシンに乗っていた。ポルシェ356の後継車、ポルシェ911カレラRSのことで「ナナサンのRS」と呼ばれる名車。
ポルシェカレラ
フェラーリ308(※11)
GTB、GTS、GT4がある。GT4はディーノ246GTの後継車として、1973年にパリサロンで発表された。フェラーリの最初の8気筒マシン。『サーキットの狼』でフェラーリの女豹・田原ミカが乗っていた。ベルトーネデザイン。

ホンダCR-X Si(※12)
ホンダの小型車でFFライトウエートスポーツというジャンルに属するスポーティな車種。1984年に16バルブDOHCのエンジン「ZC型」を搭載した「Si」グレードのものが発売された。

カローラレビン(※13)
1972年〜2000年までトヨタが生産していた、カローラをベースにした小型のスポーツクーペ。英語で「稲妻」の意味をもち、AE86型は「ハチロク」と呼ばれている。マンガ『頭文字D』の主人公が、ハチロクを愛車にしている。

スカイラインGT-R(※14)
日産が発売しているスカイラインの中でもレースベースの車両。1969年のPGC10型からR34まで多数のモデルがある。1994年〜2003年まで全日本GT選手権に出場しており、5回チャンピオンに輝いていて、ほかにも多数のレースで優勝している。2007年に新たなGT-Rを発表するとゴーン氏は発言している。

ベンツ(※15)
メルセデス・ベンツ。ドイツのダイムラー・クライスラーの高級車のブランド。1886年にカール・ベンツというドイツのエンジニアが創設した世界最古の自動車メーカー。ミニバンからロードスターまでいろいろなものがあるが、日本で見かけるベンツはCクラスやEクラスなどのセダン型が多い。

NSX(※16)
1990年〜2005年まで発売されていたホンダのスポーツクーペ型の乗用車。ミッドシップエンジン、リアドライブ。発売していた15年間ずっと日本最高額のスポーツカーだった。2005年12月に生産を終了。後継モデルを開発中といわれている。

インテグラ(※17)
1989年に発売が開始されたホンダの車。ラテン語で「統合」という意味をもつ。マイケル・J・フォックスやブラッド・ピットといった有名俳優をCMに起用していた。ミニバンやコンパクトカーが流行し、2006年に生産が中止となった。

プレリュード(※18)
アコードをベースにして作られたホンダのスポーツクーペ。1978年から2001年までの間、販売された。ホンダベルノ初の専売車種となったスペシャリティカー。NSXが登場するまではホンダベルノ専売の最上位モデルとして位置づけられていた。現在のレジェンドに技術が継承されている。
白熱「スーパーカー」座談会を終えて
その存在そのものが、多くの少年たちに大きなインパクトを与え、そこから「エンジンとは」「サスペンションとは」といった具合に、“自動車のいろは”についての知識を貪欲に吸収していく……。

メカニックの面白さを身をもって教えてくれた「スーパーカー」もまた、エンジニアにとってひとつの原点と呼べる。
コラム これぞスーパーカー! イタリアの粋を集めた『ランボルギーニ』
今回はランボルギーニの日本正規ディーラーである株式会社アール・ピー・エム ランボルギーニ江戸川店におじゃまし、ランボルギーニの整備を担当されている森さんにお話をお伺いした。

・整備士になったきっかけは何ですか?

小さいころからプラモとか機械いじりが好きで、手を動かす仕事に就きたいと思ったのがきっかけです。前の会社で初めてポルシェを見て、ポルシェの整備士になりました。最初に手がけたのはポルシェ964カレラ2だったと思います。
その後、その会社がランボルギーニを扱い始めたのでランボルギーニの整備士になりました。ただ偶然スーパーカーの整備士になったわけではなく、「自分で買えない車をいじりたい」と思い、自らこの道を選びました。

・スーパーカーの整備で大変なことは何ですか?

「何を外すにしても面倒なこと」ですね。デザイン優先なので、そこにいろいろ押し込んでるから大変です。国産車なら作業性を考えているし、整備のためのスペースとかもあるんですが、スーパーカーはそういうことは一切考えられていないので、ある種、整備士泣かせの車ですね(笑)。

例えばスターターモーター(エンジンをかけるためのモーター)を外すのにエンジンをずらしたり、マフラーまで外したりしないといけないんです。国産車ならモーターだけで外せるんですけどね。そのうえ、エンジンも大きくて動かすのも大変ですし。

何か一つ整備するにもワンアクションではいけないんですよ。

ランボルギーニは車体の設計図も少なくて、マニュアル書にはエンジンの下ろし方も書いてないですからね。ドアの内張りを外すにも、ビスの場所がわからないので、ここだとあたりをつけてやったりと、手探りで場所を確認してやらないといけないんです。

ユーザーさんにはエンジンが悪いとか、燃費が悪いとかそういう調整を整備では頼まれます。昔から乗っている方はこんなもんだろうと思ってしまう人が多いのですが、自分たちから見ると調子が悪いなという車もありますね。

・ランボルギーニの魅力は何でしょうか?

初めて見たときのインパクトでしょうか。あまり具体的ではないですが、これだなという衝撃がありますよね。人とは違ったものであるという感覚があります。
自分も仕事していて、マニュアルのある国産のほうが整備は楽なんだろうけど、それではつまらないと思っています。自分で考えて、自分で悪いところを見つけてやるのが面白いし、車自体が少ないから「ランボルギーニの整備をここまで知りつくしているのは自分だけ」という優越感がありますね。

前の会社のときも、スーパーカーは流れ作業ではなく、1台の車に何人も集まって、一緒になって、悪い個所を探してました。10年以上前の車でも整備をすると、新たな発見があることも多いです。

・森さんにとってランボルギーニはどのような存在ですか?

これから先も自分の人生は8、9割がランボルギーニだと思うのです。今、ランボルギーニがなくなってしまうと、自分の行くところがなくなってしまうと思うくらいです(笑)。
ランボルギーニの車と自分がとても合っているんだと思います。どこか大ざっぱで、でもだれにも負けたくないというところがあって、整備をやっていると本当に楽しいですね。

ほかの車をいじれるようになりたいとは思いませんね。今は世界のどの車よりもランボルギーニの整備が面白い。「車の整備士」というより「ランボルギーニの一番の整備士」になりたいんです。これからも浮気せず、ランボルギーニ一本でスペシャリストになろうと思います。

・読者へのメッセージ

ランボルギーニはほかのスポーツカーに比べて、完成されていないところがあるけれど、それが実は楽しいところでもあります。またスーパーカーに思いを呼び起こしてもらって、お店で実車を見てほしいですね。
ランボルギーニをいじっているのは、つらくても楽しい仕事だと思います。若いエンジニアの人にもそういう楽しみを見つけてほしいですね。

森俊匡さん
森俊匡さん
株式会社アール・ピー・エムランボルギーニ江戸川サービス課整備士
江戸川店開店時から現在まで整備を担当しており、ランボルギーニの車の整備にかかわって8年のキャリアをもつ。
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山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ  
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「スーパーカーはクルマではない」。今回取材でランボルギーニの実車を目の前にして思わずそう、口にしてしまいました。言葉では表現しきれないその存在感は、昔も今も色あせることなく、今年、車を買い換える予定の私も思わずその候補に……、という現実感ゼロの妄想にその一日、ふけっていました。

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