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エレベーター設計→タレントマネジャー・ITコンサル→編集者etc. イラスト
元”エンジニアの告白☆辞めたワケと今のキモチ
エンジニアを辞め、まったく違う業種へと転職すること。だれしも一度は考えるかもしれないがそう簡単に踏み切れるものでもない。なぜ、彼らはその選択肢を選んだのか。そのワケと今の気持ちを、“元”エンジニアたちに語ってもらった。
(取材・文/嵯峨やよ 総研スタッフ/山田モーキン イラスト/岡田丈)作成日:06.06.28
5人の“元”エンジニアが語る、それぞれの「過去」と「今」
 ひと口にエンジニアから異業種への転職といっても、そのパターンは実にさまざま。そのため、エンジニアを辞め、高校教諭、芸能マネジャー、編集者、マーケティング、営業へとそれぞれまったく違う業種に転職した5人の“元”エンジニアたちにインタビューを試みた。さまざまな立場から語られる多種多様な“元”エンジニアの生の声に耳を傾け、エンジニアの異業種転職とはどのようなものなのか、まずは探ってみた。
CASE : 1 「新しい夢に挑戦するための転職」……工場FA・SE→高校教諭Aさん
 Aさんは、「モノづくり」が大好きで、エンジニアの仕事自体には十分満足していたという。だが、会社の派閥争いに巻き込まれた折、友人から誘われたことをきっかけに、もうひとつの夢だった、高校教諭としての道を歩むことを即決した。
イラスト ■エンジニア時代のプロフィール
A大学工学部を卒業後、エンジニアとしてB社に就職。その後、C社に引き抜かれ、工場のFAシステムエンジニアとして29歳まで記録計の設計を担当。後に係長となり、海外の関係会社における技術指導役にも携わる。

■現在のプロフィール
最初は、工業高校にて臨任の機械科教諭として採用され、その後、正規雇用に。現在、教師歴15年。常に自分の力を試したい、新しいことにチャレンジしたいという意欲をもち、44歳にして今後の転職をも視野に入れている。
エンジニアを辞めたワケ……「私は、教師の夢をかなえるために辞めました」
 エンジニアとしての仕事は、公私共に満足いくものでした。当時の会社の方針は、「新しい設備を積極的につくろう」。そのため、さまざまな仕事を社員に任せてくれました。無論、非常に忙しかったし、ミスもたくさんしたけれど、その分やりがいも大きかった。自分のアイデアをどんどんと形にし、それを現場の人が喜んで使ってくれることがうれしくて。今でも、自分がつくったものが工場で動いているんです。形に残る仕事っていいですよね。 イラスト
 そんなエンジニアを辞めた理由は2つ。ひとつは社内の派閥争いに巻き込まれてしまったこと。もうひとつは、そんな折に、別の夢をかなえるチャンスが私の元にやってきたこと。かねてから、私は3つの夢をもっていました。ひとつは設計の仕事、残りの2つは教習所の講師と学校教師になること。エンジニアを辞め、新しい夢に挑戦することに躊躇はしませんでした。なんとかなるって思っていました。実際、なんとかなりましたし(笑)。
高校教諭になった今のキモチ……「今の仕事は、人を育てて自分も成長できる場だ」
 昔からの夢のひとつだからという理由で、高校教諭への道を踏み出したのですが、やはり最初は大変でした。工業系の教員免許は、教育実習をしなくても取ることができるので、教壇に立つのも初めて。自分が工業高校に通っていたときのことを思い出しながら、なんとか授業を進めました。幸運なことに、同じ学校に知り合いが何人か勤めていたので、悩んだときにはすぐに相談しました。 イラスト
 苦労したのは人のしかり方。私の勤務する工業高校はどちらかというと正直、やる気のない生徒たちが多い(笑)。学ぶ気がない相手に教えるって難しいんです。その半面、教師のやりがいは、そうやって四苦八苦して指導した生徒に「わからなかったことがわかった。ありがとう」と感謝されることなんですよね。卒業後もつき合いが続く生徒たちがいるのもうれしいことです。利潤追求ではなく、人を育てることの醍醐味を知りました。
 ちなみに、エンジニア時代の経験も、生徒たちに進路指導をする際にとても役立っています。また、エンジニア時代の名残か、物事を効率よくこなす癖がついているため、自由時間をたっぷり確保できています。その自由時間を趣味などに使うと、さらに人脈は広がっていきます。趣味であれ仕事であれ、人から学ぶことはとても多い。人とのつながりは、エンジニア時代に比べて確かに増えました。つまり、学ぶ機会も増えたということです。だから、今の仕事に満足しています。ただエンジニアの性分として、そろそろ新しいことに挑戦もしたいかも(笑)。
エンジニア時代のメリット
・大きなプロジェクトに挑戦できる
・自分のした仕事が目に見える形となって残る
・給与がよい
エンジニア時代のデメリット
・忙しすぎる
・利潤追求に走りがち
・人と接する時間が少ない
現在のメリット
・残業もなく、時間のゆとりがある
・人を育てるという醍醐味
・教師の立場は平等で、ノルマもない
現在のデメリット
・学校のシステム自体に無駄が多い
・すべきことがあらかじめ決まっている
・自分の力を試す場が限られている
CASE : 2 「肉体的、精神的つらさに耐えかねて転職」……IT系システム提案・プロジェクト管理→雑誌編集者Bさん
 大学卒業後、Bさんは大企業に就職。SEとして活躍していたが、入社1年後に任されたシステム開発のプロジェクトがトラブル続発。肉体的にも精神的にも追い込まれ、転職したいと思っていた矢先、雑誌編集者への道が切り開けた。
イラスト ■エンジニア時代のプロフィール
新卒で大手企業T社に入社し、SEとして3年間、同会社に勤める。在職中は、中堅中小企業向けのシステムの提案、およびプロジェクト管理、ネットワークの販売業務など、多岐にわたる業務に携わっていた。

■現在のプロフィール
IT雑誌の記者兼編集者へと26歳のときに転職。企画出しや取材はもちろんのこと、エンジニア時代のプロジェクト管理の経験を生かし、雑誌制作におけるもろもろの進捗管理までこなしている。
エンジニアを辞めたワケ……「私は肉体的、精神的苦痛で、辞めました」
 最初の1年は楽しかったんです。コンサル的な仕事が多かったので、クライアントの役に立っているという実感も得られましたし。
 問題は、その後、リーダーを任された住宅関係のアプリ開発。頼るべき上司や先輩もいない状態で、すべてを取り仕切らねばならなかったんです。しかも、このプロジェクトが難航して。いくら綿密にスケジュールを立てても、その開発業者は納期を破るのが日常茶飯事。残業時間は月250時間にものぼり、精神的にも肉体的にもつらくて。歩道橋を通る際、下を見下ろしては、「飛び降りたら楽になるかなぁ」なんてことを考えてしまうくらいに。 イラスト
 そのプロジェクト終了後、いわゆる“燃えつき症候群”になってしまい、再びこんな案件を押し付けられたらという不安にも悩まされました。結果、異動願を出しつつも、転職も考えている状態で、転職サイトをうろついているうちに、何げなくクリックした求人応募のバナーがたまたま今の仕事でした。
雑誌編集者になった今のキモチ……「今の仕事は、私にとって自由気ままな適職だ」
 たまたま応募したのが、編集者という仕事だったのですが、実際この仕事に就いてみて、この転職は自分にとっては成功だったなと思います。最初こそ、文章力はないし、右も左もわからない状態で、まさにゼロからのスタートだったのですが、慣れるに従ってどんどん面白くなり、そのうえ給与も転職前に比べてアップしましたから。 イラスト
 もちろん、編集者は忙しいし、2週間に一度の頻度で締め切り間際には苦しむんですけどね。それでも、あの会社でSEをしていたころのつらさに比べれば良いと思います。要は締め切りまでに間に合えばいいわけで、スケジュールも自分で自在に組み立てることができますし。すべきことさえしっかりしていれば、平日に休みを取ることも可能です。この自由気ままなワークスタイルは、自分の性分に合っています。
 ちなみに、エンジニア時代に培った交渉力は取材の依頼時に非常に役立っています。さらに、仕事の調整力は編集業務のスケジュール管理に役立っているので、エンジニア時代の経験も無駄になっていません。
 このように、前職の経験も生かすことができる今の仕事には、とても満足しています。ただ、SEの仕事も好きだったので、それほど忙しくなければ、またSEに戻ってみたいなとも思います。今の経験を生かしてコンサル的な仕事がやれるならなお、いいですね。
エンジニア時代のメリット
・特定の顧客の役に立てたという満足感
・開発スパンが長い
・大きなプロジェクトの責任の重さ
エンジニア時代のデメリット
・超過労働
・他人のスケジュールに振り回される
・数カ月、数年、半年に一度の修羅場
現在のメリット
・スケジュールが自由に組める
・多くの人と話すことができる
・給与アップ
現在のデメリット
・2週間に一度の締め切り
・感覚で仕事を進める同僚のしわ寄せ
・読者の評価が実感しづらい
CASE : 3 「ガムシャラに没頭できる仕事を探して転職」……エレベーター設計エンジニア→タレントマネジャーCさん
 Cさんは、ミュージシャンになるという夢に見切りをつけ、エレベーターの制御盤を設計するエンジニアに。業務にも慣れたころ、ずっとPCの前に座り続ける単調な仕事を続けていたら後悔しそうだと思って退社。より夢に近く、没頭できる仕事を探してマネジャーに。
イラスト ■エンジニア時代のプロフィール
高専卒業後、21歳でエンジニアに。子供のころから興味をもっていたエレベーターの設計に携わりたいと思ったのがその動機。エレベーター制御盤の設計と、部品の手配業務に携わる。エンジニア歴は4年。

■現在のプロフィール
俳優の知人から声をかけられたことがきっかけとなり、現在、芸能プロダクションでマネジャーとして働く。複数のグラビアアイドルのマネジャーを兼務している。将来の夢は、音楽プロデュースの道へ進むこと。
エンジニアを辞めたワケ……「私は将来の方向性に“ズレ”を感じたので、辞めました」
 エレベーターといってもさまざまな種類のエレベーターが存在するので、設計はとても面白かったです。エンジニア時代、一番やりがいを感じたのは、難しいオーダー設計にもかかわらず、設計ミスがひとつもなかったときですね。トラブルが起きたときは残業で夜中でも作業するということもありましたが、基本的に土・日は休みでしたし、人間関係も良好で、働きやすい職場でした。ものすごい数の部品チェックは退屈でしたけれど(笑)。 イラスト
 ただ、仕事に慣れてくると、毎日がとても単調なものに思えてきて。ふと、この先10年、20年、ずっとPCの前で作業をしているのかなと考えると怖くなったんです。ここでこれ以上居続けることに意味があるのかどうか。将来の自分のことを考えると、もっと、より多くのことを学ぶことができる仕事がほかにもあるんじゃないかと。そこで、エンジニアを辞めました。そして、本気で打ち込める仕事を真剣に探し始めたんです。
タレントマネジャーになった今のキモチ……「今の仕事は、私にとって未来への投資だ」
 求職中、友人が、知り合いの社長が芸能マネジャーを探しているって、私に声をかけてくれたんです。そのプロダクションは音楽のマネジメントも手がけていて、将来、その仕事ができたらいいなと思い、まずは下積みのためと芸能マネジャーになりました。
 さて、このタレントマネジャーという仕事ですが、給与はエンジニアをしていたころよりも下がりましたし、休みも全くありません。常に新米のアイドルをどのようにプロデュースするかに心を砕き、プライベートな時間は皆無です。しかし、それでも、私はこの仕事にハマっています。なぜなら“元”エンジニアだからでしょうか、毎日が勉強の連続で、それが楽しいんです。いろんな場所に出向き、いろんな人に会って刺激を受けています。まるで、ロールプレイングゲームのよう。いろんな人と出会うことにより、少しずつ経験値を上げてレベルアップしている実感が得られます。そしてこの経験は、後に財産となるはず。営業先のリストも増えますしね。将来のための投資と思って、今はがむしゃらにマネジャーという仕事に没頭しています。
 ちなみに、エンジニア時代に培った記憶力とPC技能が、現在の仕事に役立っています。事務所に所属している女の子たちのスリーサイズもすぐに覚えられますしね(笑)。また、複雑なスケジュールを組む際にも、エンジニア時代の経験が役立っています。いかに効率よくスケジュールを調整するかということは、この仕事においてとても大事なことなんです。 イラスト
エンジニア時代のメリット
・土・日はしっかり休めた
・人間関係に気を使わないでOK
・給与が良かった
エンジニア時代のデメリット
・毎日単調な仕事の繰り返し
・人と話をする機会が少ない
・先が見えない不安
現在のメリット
・多くの人に出会える
・将来性が感じられる
・日々、刺激がある
現在のデメリット
・休日がまったくない
・低い給与
・神経を使う
CASE : 4 「開発センスのなさに自分の限界を感じて転職」……COBOLシステム開発→情報処理・営業Dさん
 文系の学部を卒業したDさんだが、ソフト会社に入社し、プログラマとして勤務することに。その後、どうしても乗り越えられないプログラムセンスの壁にぶつかり転職を決意し、エンジニア経験を武器に同業種の営業職に就いた。
イラスト ■エンジニア時代のプロフィール
私立大学の文系学部を卒業後、C言語などの知識がまったくないにもかかわらず、ソフト会社にプログラマとして入社。クライアント先に常駐し、COBOLシステム開発に6年間、携わってきた。

■現在のプロフィール
大企業のシステム営業に転職。四国や北陸などでバーコードプリンターの販売に8年間携わる。その後PCとは無縁の事業部に異動になったことをきっかけに、再び転職を決意。現在、SES契約に基づいて社員を派遣する営業職に携わる。
エンジニアを辞めたワケ……「私は開発センスのなさに気づいて、辞めました」
 エンジニアとしての知識はまったくなかったのですが、もともと新しいもの好きなので、最初のうちは言語や文法を必死になって覚え、プログラマとしての仕事を楽しんでいました。ゼロからモノをつくり上げ、それを人に使ってもらえることにやりがいを感じていましたね。 イラスト
 でもキャリアを積んでいく最中、私は自分の開発センスのなさに行き詰まってしまったんです。開発センスのある理工系の後輩に先に出世されて、それを実感しました。私は大卒、彼は高卒でした。開発センスというものは、おそらくもって生まれた素養で、私にはどう頑張っても越えられない壁でした。開発センスがある人は、まず全体を見通してからトップダウン式のロジックを組むのですが、私はどうしても細部からロジックを組んでしまう。結果、とてもバグが多いものができ上がってしまうんです。エンジニアに向いていないなと思った私は、今までの経験を生かせるシステム営業へと転職することにしました。
営業になった今のキモチ……「今の仕事は、私にとっての天職だ」
 エンジニア5年目にして、自分の開発センスのなさに気がつき、進路変更を決意。では、次の仕事は何にしようと考えたとき、学生時代にしていた接客のアルバイトが好きだったことを思い出しました。もともと屋内にこもる仕事は苦手だったので、プログラマの仕事に閉塞感を感じていました。あまりにも人と話す機会がないので、ディスプレイに話しかけることもあったほどです(笑)。 イラスト
 そこで、人と接する仕事で、かつエンジニアの経験も生かせるだろう仕事はと考え、大企業のシステム営業へと転職しました。出張が多い仕事でしたが、前職と比べ対人関係が一気に広がったので、とてもやりがいを感じました。その後、紙事業部に異動になり、技術的知識が生かせなくなったことをきっかけに再び転職を決意しました。周囲には猛反対されましたけれどね。大企業で興味のない仕事に就くよりも、小さい企業でもいいから、やりがいのある仕事をしたいと思ったのです。
 そして、今、エンジニアを派遣する会社の営業職へと就きました。私は、この仕事を自分の天職だと思っています。エンジニア時代の経験を生かして、新人のエンジニアにアドバイスをし、進路相談に乗り、個々人のよさをプロデュースする仕事は本当に楽しい。より自分の理想に近い業務を展開すべく、5月から正社員をやめ、コミッション契約にチェンジしました。今は24時間365日、自分の時間はありません。それでも今の仕事に夢中です。
エンジニア時代のメリット
・ゼロからモノをつくる楽しみ
・人に使ってもらえるものをつくる醍醐味
・目新しい仕事に従事している満足感
エンジニア時代のデメリット
・人と話す機会がほとんどない
・向いていない仕事のため、非効率的
・開発センスがないため、キャリアプランに不利
現在のメリット
・人脈が広がる
・エンジニア時代の経験を生かせる
・人の将来をプロデュースする醍醐味
現在のデメリット
・将来が未知数
・安定性に欠ける
・他人のことで振り回される
CASE : 5 「社内のエンジニアの扱いに見切りをつけて転職」……情報システム開発設計→新製品企画・マーケティングEさん
 ソフト開発のコンサルティング会社に就職したEさんは、経営コンサルティング業務に携わりたかったにもかかわらず、開発部門に配属されてしまう。その後、社内で立場が弱いエンジニアに見切りをつけてマーケティングへと転職した。
イラスト ■エンジニア時代のプロフィール
ソフト開発の大手コンサルティング会社にて、ソフト開発部門に配属され、情報システム開発の設計運用に携わる。リース会社の会計システムや営業支援ツールの制作に従事。エンジニア歴は7年。

■現在のプロフィール
外資系企業にて、新製品の企画とマーケティング業務を担当。需要予測はもちろんのこと、広告を含む、新製品のプロモーション企画を考えたり、他国における製造数の指示出しまで行っている。

エンジニアを辞めたワケ……「私は社内のエンジニアの扱いに見切りをつけて、辞めました」
 
 理系大学を出たからソフト開発へ、そんな会社の偏見によって、入社当初はまったく考えていなかったソフト開発部門に配属され、エンジニアとして働くことになったんです。
 エンジニアの仕事にはすんなりと適応できました。顧客に感謝されるという醍醐味も味わえましたし、ひとつの難しい物事を分解してわかりやすく顧客に説明する能力を体得できたのはとてもよいことだったと思います。
イラスト
 しかし、私が従事していたのはシステム開発だったので、開発したものは目に見えませんし、やりがいは正直少なかったんです。そのうえ、社内におけるエンジニアの立場がかなり低く、発言力もまったくない状態。正社員にもかかわらず、同じ社員とは思えない扱いを受けていました。単に言われたことを早くこなす人が重宝がられ、営業は仕事を丸投げしてきますしね。そういう状況を客観的にかんがみて、私はエンジニアを辞めました。
マーケティングになった今のキモチ……「今の仕事は、自分が主体となって動ける」
 エンジニアを辞めて、1年半休職し、その間にMBAの資格を取りました。その後、2年間ほどソフトウェアの営業に携わった後、現職のマーケティングに転職しました。この職種を選んだ理由は、営業っぽい仕事だけれど、固定収入が得られ、営業よりは楽な仕事だと思ったからです。社内での発言力が強いという点も非常に魅力的でした。今までの経験のすべてを生かせるなと思いました。 イラスト
 マーケティングのやりがいとしては、社内における発言力が大きいため、さまざまな場面で意思決定に携われることです。単に言われたことをそのまま忠実にこなすだけではなく、自分の頭でさまざまな物事を考察し、アイデアを出していくことは、やっぱり面白い。いろんな人と接する機会も格段に増えたことも私にとってはよいことでした。
 ただ半面、当然のことながら自分が提案した企画には責任をもたねばならないし、常に斬新な発想をアウトプットし続けることは大変なことでもあります。
 ちなみに、エンジニア時代の経験は、現在もプロジェクト管理やスケジュール管理において非常に役立っています。システマティックに物事を考え、管理できること。これが元エンジニアの強みです。プロジェクト単位ですべきことを明確化し、常にメンバーに把握させ、あらゆる二度手間を防ぐためのドキュメント管理も得意なので、実際上司にも重宝がられています。
エンジニア時代のメリット
・顧客に感謝される
・責任があまり重くない
・難しいことをかみ砕く楽しみ
エンジニア時代のデメリット
・発言力がない
・社内の地位が低い
・明るい将来を感じられない
現在のメリット
・発言力が強い
・時間にゆとりがある
・仕事に貢献しているという満足感
現在のデメリット
・責任の重さ
・周囲の仕事の進め方が非効率的
・常に斬新な発想を生み出す苦しみ
まとめ:エンジニアを辞めたその後のキモチは……
 以上、5人の“元”エンジニアのケースを見てきたが、全員が今の仕事に満足しているし、エンジニアの経験も決して無駄にはなっていないことがわかる。

 ちなみに、エンジニアを辞めて他業種へと転職した100人を対象にTech総研が行ったアンケート結果からも同じ結果が見てとれる。約8割が、転職したことを後悔しておらず7割弱の人がエンジニア時代の経験がなんらかの形で役に立っていると考えているのだ。(右図参照)

 ただし注意してもらいたいのは、およそ3分の1の人がエンジニアの経験があまり役に立っていないと回答していることと、2割弱の人が転職に失敗したと考えていること。

一般的に、だれしも自分の転職を正当化したいもの。にもかかわらず、失敗したと後悔している人がこれだけいる意味も、当然、よくよく考慮する必要があるだろう。

 アンケートの声の多くは、エンジニアを辞めてほかの仕事を選ぶスタイルのメリットとして、激務から解放されることと人脈が広がること。半面、デメリットとしては非効率的に物事を進めがちな人々と仕事を共にしなければならないことと、エンジニアとしての満足感、モノを形にする喜び、人にそれを使ってもらい感謝される喜びなどは、決して他業種では得ることができないという。

 これらメリットとデメリットをきちんと把握し、かつ自分が本当にやりたいことを見つめ直して優先順位を決め、慎重に今後のキャリアプランを練ってもらいたい。
エンジニア時代の知識・経験が今の仕事に役立っている?

今の仕事を選んで、どう思う?
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普段“現役”エンジニアの方からお話を聞く機会が多い私にとって、“元”エンジニアの方が話す内容はいつもと違う視点で「エンジニア」という職業・仕事を再認識することができました。また今回の企画、実は以前掲載した公開企画会議にご出席いただいたO.K.Z.さんのご提案により実現しました。この場を借りてお礼申し上げます。
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