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Tech総研的★2006W杯記念(2)日本のエンジニア事情編 燃えよワールドカップ!俺たちサッカー狂エンジニア
世界中で300億人もの人がテレビ観戦するビッグイベント、FIFAワールドカップ。6月9日、2006年ドイツ大会の幕がいよいよ切って落とされる。サッカー狂のエンジニアは日本に何十万人(?)といるが、ここでは「何らかの形でW杯に関係する」人に登場を願った。Tech総研とエンジニアは日本代表を応援する!!!
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ)作成日:06.05.24
Part1 ロボカップもワールドカップも、日本の技術で世界を魅了する!
ロボット開発エンジニアならサッカーファン!?
 ご存じのようにロボカップの目的は、「西暦2050年に、サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームをつくる」である。つまり、ロボカップとFIFAワールドカップ(W杯)には切っても切れない絆があるわけだ。
 ならば、ロボカップにかかわるエンジニアにはサッカー狂も多いだろうと踏んで取材依頼をしたところ……大当たりだった。最初は自分たちの技術について、言葉を選びながら丁寧に解説していた2人が、W杯サッカー日本代表の「勝ちT」に着替えたとたん、小躍りして勝利の雄叫びを上げ始めたのだ。

 東京都西東京市のシチズン時計本社。廣澤靖治さんと行川昌昭さん。共に、腕時計用小型ステップモーターを応用した、モーターユニット内蔵のサッカーロボット「Eco-Be!」(エコ・ビー)の開発エンジニアだ。
「Eco-Be!」は、W杯と同時期にドイツのブレーメンで開催される2006年度ロボカップ世界大会に、エキシビション・プレイヤーとして参戦する予定。2人にとっては、ロボットもサッカー日本代表も同時に応援しなくちゃならない、忙しい夏がやってくる。シチズン時計はJリーグの審判用時計などの公式サプライヤーになっていた時期もあり、社内にはサッカーファンが多いそうだ。
6月が待てない! 今から臨戦態勢に入ってます
「僕は名古屋出身ですからグランパス命。ワールドカップは98年フランス大会の最終予選で、日本ホームの試合をいくつか観戦しましたよ。ほんとは会社に無理言ってジョホールバルまで行きたかったんですがねぇ……」と廣澤さんが言えば、「私は千葉出身なんで、なんたってオシム監督率いるジェフ市原・千葉のファン。選手時代のリトバルスキー(元ドイツ代表、現シドニーFC監督)とはちゃんと握手も交わしているんだから。そうそう、阿部勇樹って、小学校時代の同窓なんですよ」と、互いのサッカーファンぶりを披露する。

 ドイツW杯はもちろん日本のベスト16進出を信じるが、そこに立ちはだかるのが伏兵オーストラリア。「今度の連休に豪州旅行をするんで、チームを視察してこっそりヒミツ情報をもってきます(笑)」と廣澤さん。初戦突破のカギは、彼がもたらす情報次第ということだ。
 行川さんは、オシム監督の指導を見てきた縁で、旧ユーゴスラビア諸国のサッカーを高く評価。特に日本と同組のクロアチアには警戒を怠らない。それでも「優勝はスウェーデン」と、なかなかツウな予測をする。
「6月と7月は残業減らして早く家に帰ります」(廣澤さん)
「W杯に備えて37インチの液晶テレビを新調しました」(行川さん)
 早くも2人は応援モード、いや、対戦モードに入っている。
プロフィール
シチズン時計株式会社
時計開発本部 モノづくり革新部 新技術開発課
廣澤靖治さん(35歳:左)

時計開発本部 システム開発部 要素開発課
行川昌昭さん(31歳:右)
サッカーへの愛情が技術力をアップさせる! ロボカップドイツ大会にエキシビション参加する「Eco-Be!」

自社技術である腕時計用のステップモーターを応用
 シチズンが腕時計生産で培った精密加工技術を生かして作り上げたのが、サッカーロボット「Eco-Be!」。幅18mm×奥行き18mm×高さ25mmのミニ筐体に、腕時計用を応用して開発された高トルクのモーターユニット、赤外線モジュール、小型チップLEDなどを搭載し、25mm/秒のスピードで動き回る。
 廣澤さんらが昨年から「放課後クラブ」のような感じで開発を続けていたが、ロボカップ参加が決まって開発が本格化。大阪大学大学院との産学連携で、さらに技術と性能の進化が進んでいる。
ロボカップ新リーグが未来技術の試作フィールド
 6月のロボカップ・ブレーメン世界大会では、ディスプレイ上を動きながら、画面に描画されるボールを追い、ゴールマウスを狙うバーチャル・シミュレーションが披露される予定。
 同大会からシチズンがスポンサーの「ロボカップ・シチズンEco-Be!リーグ」が発足するが、これはそのプラットフォームロボットとしても使用される。同社にとってはロボカップへの本格参戦が、製品技術の告知の場になり、新開発部品の試作フィールドにもなる。
「動きながらリアルタイムに筐体の向きも変えられないと、ロナウジーニョのようなキラーパスは出せない。電圧が落ちると動作が不安定になるなど、フィジカル面での不足もあります。気まぐれのところもあって、今後の改善が必要」と、モーター制御を担当した行川さんは語っている。
俺の極秘情報でオーストラリアから勝ち点3をゲット!(廣澤) クロアチアに勝ち点1以上で、グループリーグ突破だ!(行川)
Part2 ドイツ大会は全試合をデータ分析。システム監視しながら祝杯をあげるぞ!
転職先を「サッカー」と「データ分析」で検索
 Jリーグやプロ野球などスポーツデータのマネジメント事業を行うデータスタジアム社。同社が収集・分析・配信するデータは、試合経過や結果だけでなく、野球ならピッチャーの球種や配球、サッカーなら選手のポジション、パスコース、右足・左足の違いまできわめて細かい。
「ワールドカップは僕らにとって絶好のビジネスチャンス。全試合の経過はもちろん、こういうデータも取ったら後でこんなふうに使えるんじゃないかと、ワイワイ言いながら構想を練っているところです」

 こう語るのは、技術開発担当の佐々木康雄さん。収集したデータを出力するシステムづくりを主に担当している。もちろん、彼にとってサッカー=ビジネスだけではない。かつては横浜フリューゲルス、今は浦和レッズのファンで、フリューゲルスの元キャプテン・山口素弘選手(現・横浜FC)が「アイドル」だ。
「エンジニアも営業もマネジャーも、この会社の人はみんなスポーツ好き。仕事以外でも、草サッカーをやったり試合観戦をしています。僕は転職者ですが、この会社を見つけたのは、『サッカー』と『データ分析』をキーワードに検索エンジンで探した結果なんです」
2010年には現地要員として南ア大会に行きたい!
 ワールドカップの魔力にハマったのは、94年アメリカ大会から。98年フランス大会は国内で開かれた最終予選の応援に駆けつけた。待ちに待った2002年日韓大会は、ベルギー戦での初の勝ち点をスタジアムで祝う。
「トルシエ・ジャパンはフラット3などポジション固定型のサッカーで、むしろデータには現れやすかった。ジーコ監督は個人を生かすサッカーだからわかりやすい分析データが抽出できるとは限らないけど、そこが面白いんです」と、システム屋さんならではの分析。

 今度のドイツ大会。データ的には、ボール支配率やパス成功率の高いオランダ、チェコ、ポルトガルに注目するが、データの成績だけで優勝できるとは限らないのもサッカー。
「ブラジルのロナウジーニョなんて、変幻自在のドリブルやパス。データ入力者泣かせの選手の典型ですからねぇ」
 なんてサッカーの話をしていると、ドイツに行きたくてたまらなくなる。でも、「たぶん会社で深夜のテレビ生中継を見ながら、データ分析システムの監視をしている」予定。ここで実績をつくって、2010年には、データ分析の現地要員として南アフリカに派遣されるのが夢だ。
プロフィール
データスタジアム株式会社
技術開発・営業支援グループ
佐々木康雄さん(27歳)
サッカーへの愛情が技術力をアップさせる!  JリーグやW杯を分析して勝利の方程式を描き出す「J-STATS Opta」
プレミアリーグやJリーグも採用するシステム
 Jリーグが2001年から公認スタッツ(分析データ)として認定しているプレー基準ノウハウは、イングランドで開発された「Opta」(オプタ)と呼ばれるもの。プレミアリーグの公式スタッツとしても採用されており、試合中のボールに絡む動きのすべてを約300項目に分解しデータ化することで、選手のパフォーマンスを数値化する。ポジション、パスコース、キックなどに始まる各データは、細分化されて膨大な量になる。
 現在はデータスタジアム社が独自に開発したソフトを用い、Optaの基準をもとにデータ収集や分析を行っている。
データのマルチユースでビジネスが拡大
 データ入力は「エキスパート」と呼ばれる、約50人のサッカー好きのアルバイトが主に担当。そのデータを戦術分析や選手の実績管理などマルチユースで展開し、ITソリューションにまで高めるのが、システム技術者の仕事だ。
 データスタジアム社が対象とするデータは、サッカー以外にも野球、格闘技、ラグビーと幅広い。配信メディアもテレビ、新聞、雑誌、ポータルサイト、携帯電話へと多様だ。個々の選手のメディカルデータを選手養成に活用したり、球場チケットの販売データを球団のマーケティングに活用したりするなど、用途も多彩。いわばスポーツとITソリューションの融合で、無限の可能性を秘めたビジネスが育ちつつある。

僕のデータじゃグループ突破確率49%。個人を生かせば勝ち抜け可能だ!
Part3 ワールドカップはこう見る。エンジニアもそうでない人も盛り上がれ!
 ワールドカップドイツ大会の見どころはどこか? サッカー専門誌『ワールドサッカーキング』の編集長である岩本義弘さんに解説してもらった。海外サッカー情報を専門に扱う同誌であるため、欧州への出張や取材も頻繁だという。
優位の欧州勢に南米勢がどう食い込むか
 ドイツが東西一緒になってから初めて迎える世界規模のイベント、もともとサッカー大国のドイツでは国民的な盛り上がりを見せるのは間違いありません。
 かつて欧州で開かれたW杯で、欧州以外の国が優勝したのは、1958年スウェーデン大会のブラジルのみ。今回も欧州勢優位とはいえますが、かつてと違って今は南米の選手も大勢欧州で活躍しています。ブラジル、アルゼンチンなどの強豪国にはやはり要注目でしょう。

  今回で3度目の参加になる日本。もちろん、グループリーグを勝ち抜いて前回のベスト16以上の記録を残してほしいのですが、日本が入ったF組の相手は普通ならなかなか勝てない国ばかり。
 ブラジルから勝ち点をもぎ取るのはどこの国でも至難の業ですし、クロアチアも強い。前回の日韓大会ではグループリーグで敗退しましたが、本来のパフォーマンスではありませんでした。今回は予選無敗で本大会出場を決めています。
6月12日、オーストラリアとの初戦に全国民注目!
 オーストラリアも侮れません。キューウェル、ビドゥーカ、ブレシャーノといった欧州トップリーグで活躍する選手を筆頭に、100人以上が海外でプレイしている。国際水準のサッカーの経験では日本選手を上回るでしょう。
 しかし、何がなんでも、このオーストラリアとの初戦に勝つしか、日本の上位進出の望みはありません。高原、久保、大黒に加えもう一人のFWがキーを握る。華麗なドリブル突破などよりも、ゴール近辺でつぶれてファールをもらい、中村俊輔がFKを決めるというような、日本独自の点を取るシナリオが重要になります。同時に、相手を上回る気力が絶対に必要です。

 W杯は年々大型化していますが、それを支えるテクノロジーという点で私が注目しているのは、映像や記事配信の技術。スタジアム上空を自在に動くワイヤーカメラが中継の迫力を増してくれるはず。テレビ携帯で現場から中継という試みも行われるかもしれません。つまり、大会の運営にはエンジニアの力が必要ですし、今後もますます重視されてくるということです。
 優勝はどこかとなると難しいですが、ベスト4はブラジル、イタリア、アルゼンチン、スウェーデンと予想しています。私も準備も含めて1カ月半のドイツ出張になります。大会の礎となるエンジニアの方を含めて、多くの方に熱戦の模様をお伝えできればと思います。
プロフィール
『ワールドサッカーキング』編集長
岩本義弘さん
1972年東京都生まれ。株式会社フロムワン取締役。サッカー専門誌『ワールドサッカーキング』の編集長と同時に、スカパー!でセリエA中継の解説者としても活躍中。
ワールドカップ2006ドイツ大会の見どころ
何といっても「気持ち」が大事。気合を入れて初戦突破だ!
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ  
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
この記事を執筆したライターは、ワールドカップ決勝戦のチケットを持っています。知り合いを通して正規料金で入手したとのこと。決勝戦を観戦した後は、しばらくベルリンを旅行すると言っています。「よかったですね。めったにないことなんだから、思い切り楽しんでください」と素直に言えない私の気持ち、サッカーファンならわかってくれますよね。

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