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満員電車の通勤地獄、家賃が高くて狭い部屋…都会の魅力って何? スローライフから東京砂漠へ!それでも都会エンジニア
「都会を離れ、地方でスローライフを満喫しながら仕事を!」――いまやすっかり定着した「UIターン転職」。しかしその一方で、地方で就職しても、“やっぱり東京!”と大都会を目指すエンジニアも! のんびりした地方の生活を捨て、都会を目指したエンジニアの転職のわけを探ってみた。
(取材・文/川畑英毅 総研スタッフ/タニー只野)作成日:06.05.24
地方エンジニアにとっての、都会の魅力とは何ですか?
地方で働くエンジニアの4人に1人は「大都会転職」にリーチ
 エンジニアにとって、働く場所は都会ばかりとは限らない。大手企業の研究・開発セクションの地方移転、あるいは、地方のキラリと光る技術系企業の登場……。もちろん、「仕事に就くなら東京で」と上京する人、あるいは東京近辺の大学を出てそのまま就職をする人は相変わらず多いが、「活躍する場所」の選択肢が広がるにつれて、都会から地方を目指す「UIターン転職」も、すっかり一般化したといえよう。
 しかしその逆に、一度は地方で就職し、地方ならではのメリットもわかった上で、「でも働くなら東京!」と都会への転職を目指すエンジニアも存在するのだ。
 Tech総研が行った、地方で働くエンジニアへのアンケート調査によれば、「大都会の企業に転職して働くことに興味がありますか(データ@)」との問いに、「今すぐにでも行きたい」「いずれ行きたい」と答えた人は、およそ4人に1人。ただし、「興味はあるが現実的には難しい」と、実現可能性は別として興味をひかれている人を足せば、全体の7割にも達する。
 また、編集部に近い複数のエンジニアに尋ねたところ、実際に地方からこうして都会に転職してくる人が身の回りで増えつつあるとも言う。
「情報の集積」こそが都会の魅力
 現在の日本は、かつてのように何でもかんでも東京一極集中、東京に出なければ仕事がない!……などという状況ではない。そうしたなか、すでに地方でエンジニアとしての仕事を持っていながら、東京を指向する理由はどこにあるのだろう。
 先のアンケートで、「都心で働きたい理由(データA)」について訊ねた結果は、右表の通り。「給料が高い」「転職の選択肢が豊富」など、いわば『働く場所の多さ』も人気だが、何といっても「技術を含めた多くの情報が集まる」「最新の技術が身につく」など、『情報・スキルの集積』が多くのエンジニアを惹きつける理由。

 もちろん、これらは普通に考えて、充分に予想がつく回答傾向と言えるだろうが、では、本当に地方から東京への転職で、本当により多くこれらのメリットを享受できるようになるのだろうか。またその反対に、失うものは何なのか。
データ@ 大都会の企業に転職して働くことに興味がありますか?
都会で働きたい理由は何ですか?
経験者に聞いた、転職のビフォーアフター
「東京で働くことの“本当の”良さはどこにある?」「東京に出てきて、改めて思う地方の良さ/東京のデメリットは?」――実際に「地方→東京」の転職を果たした2人のエンジニアへのインタビューで、その中身をチェックしたい。
静岡→東京 27歳 システムエンジニア
「新しい技術を作っている」と実感したいなら、やはり東京に行くしかない
ソフト系企業(従業員数300人程度)(静岡1社目): 年収300万弱
ソフト系企業(従業員数300人程度)(静岡2社目): 年収350万程度

ソフト系企業(従業員数30人程度)(東京1社目): 年収420万程度
ソフト系企業(従業員数100人程度)(東京2社目): 年収450〜470万

地方では、開発の仕事が実現できなかった
 静岡出身で、静岡の大学を卒業。そのまま地元のシステム会社に就職。その後、大手システム会社の静岡の拠点に転職をしました。
 もともと最初の会社で働いていた頃から、javaのobject指向に興味があり、「開発をやりたい!」という希望があったのですが、この2社ではそれが実現できませんでした。地元にもjavaのobject指向を専門的にやっている会社はない。また「これでは自分の欲しい能力が身に付かない」と思ったのが、東京の会社への転職を志したきっかけです。また、残業がまったくないので、給料も少なかったことも大きな理由のひとつでした。
組込みにも興味を持ち再度転職
 転職活動はウェブサイトの検索から。転職した先は中国人の社長が経営する30人程度のベンチャー企業でした。ただ、当初は開発の仕事が半分くらいあったものが、その後経営方針の転換で営業中心になったため、再び転職活動を開始。その時までに手掛けたなかに、携帯電話の組込みソフトウェアの仕事があり、それがとてもいいなと思ったので、その方面の仕事をと、探して入ったのが現在の職場です。
想定と現実のギャップ
想定と現実のギャップ
都会エンジニアをやってみた感想は?
 ボク自身にとっては、東京への転職はメリットが多かったと思います。新しい技術に触れることができるし、そこで興味が湧けば、いっそう頑張れる。周囲にフリーのエンジニアも多いのですが、地元ではあまり聞いたことがない……やはり地方ではフリーというスタイルは成り立ちにくいのかも。こちらでは独立の話も頻繁に耳にしますし、それもまた刺激になりますね。
 しかし、多少慣れたとはいえ、通勤ラッシュはやはり大変。現在、在宅で仕事が出来る今のバイト先への転職を誘われているのですが、ちょっと心引かれるかな……。こういう選択肢に広がりが出るのも、色々な人と出会う機会の多い東京のメリットですね。
宇都宮→東京 34歳 システムエンジニア
東京は競争が激しい、厳しい世界。しかし「チャンスを掴む」にはココしかない
ソフト系企業(従業員数120人程度): 年収450万程度

ソフト系企業(従業員数24人): 年収500万程度
仕事は、10年前に開発されたものを改修していく感じ
 出身は山形で、地元の大学を卒業後、3年間山形で働いた後、未経験で仙台のIT企業に転職をしました。そこから出向の形で宇都宮の会社に勤務、ここで3年半働きました。
 仕事の内容は制御系組込みソフトウェアでしたが、およそ10年も前に開発されたものを改修していく感じ。とりあえず身に付いたあと、「その先」を考えたときに、どうしても行き詰まりを感じざるを得ませんでした。
  できればビジネス系に移りたいと思ったのですが、宇都宮周辺は大企業の工場が集中している場所ですから、そうした仕事は少なく、それも東京へ出たいと思った理由です。
自発的にIT関係の講習に行きまくり、転職
 宇都宮から転勤で東京に出てきたのですが、基幹業務をやるという話が、結局オペレーター。そこで、ウェブの基幹系の仕事をする企業に転職、さらにその仕事の一方で、自発的にIT関係の講習に行きまくり、スキルを磨きました。
 一時ITから離れて営業の仕事にも携わりましたが、再び開発の仕事に戻り、さらにその後、小さなベンチャー企業に役員として加わりました。東京では会社がたくさんあるとはいえ、納得できる会社にすぐ出会えるとは限らない。むしろ情報の選別が難しい部分がある。
 ずっとITをやってきて思うのは、ITは「目的」ではなく、『何かをするためにあると便利だよね』という、「手段」であるということ。そんな考え方を実現できるのはチャンスの多い都会と考え、現在はリアルな商材を持つメーカーと組んで、新しい会社を独立開業する設立準備中です。
都会エンジニアをやってみた感想は?
想定と現実のギャップ
転職を振り返って
 ITの技術は日進月歩。半年単位で新しい技術を自分に取り入れていかなければ、「新しいモノを追いかける」仕事はできない。そのためにはやはり東京だと思う。
 その一方で、悪く言えば東京は競争が激しく、時には“だまし合い”もある厳しい世界。そのための処世術も必要です。しかし、一旗上げようという上昇志向があるなら東京。そのメリットとデメリットをはき違えると大変なことになると思う。
自分にとって、「幸せな職場」を見つけられれば
 地方には地方の、東京には東京の良さがあるのはもちろんのこと。結局は、自分の生活や、エンジニアとしてのライフプランにとって、どちらが適しているかを見極める目が必要、ということになる。そのメリット・デメリットをもう一度整理してみよう。
4割は「一生都会で働きたい」
 アンケートからは「生活環境重視なら地方」「常に新しいモノ・情報に触れ、スキルを高めていきたいなら東京」――という“おおよその傾向”はありながら、実際に地方から都会への転職を果たした2人のエンジニアの体験談のなかにあるように、双方、さまざまなメリット・デメリットがある。
 右グラフ(データB)に見るように、「東京への転職」を考える人の半分近くが、「転職を果たしたら、その後ずっと東京で働き続けたい」と考えている。しかし、東京で働いていれば地方の、地方で働いていれば地方の「イメージ」についつい心引かれがちではあるが、単に『隣の芝生は……』的なアコガレだけで転職しては、もしかしたら、後々大きな後悔をするハメにもなりかねない。体験談の2人も、東京への転職のメリット自体は大きかったが、1社目では長くいられる会社と出会うことができなかった。転職が以前より一般的になった世の中とはいっても、地方と東京のように距離がある場合、転職活動もやはり同じ地域で行うより制限されることは、冷静に見極めよう。
都会に転職した場合、どれくらいの期間働きたいと考えていますか?
自分の環境を見つめなおそう
 都会(東京)と地方について、さまざまな面を取り上げて比較してみたのが下の表である。
 表では、それぞれの項目について主にメリットに焦点をあてたが、メリットとデメリットは表裏一体。例えば「都会でのメリット」は「地方でのデメリット」に通じる。
 大切なのは、「自分が求めているモノは何か」「それを得るためには、何かを犠牲にしてもいいと思えるかどうか」ということ。地方から都会へ、あるいは都会から地方へ、いずれの転職をするにしろ、そうした「自分を見直す目」こそが、最も大切なことと言えるだろう。
代表的なものをピックアップ!「都会と地方の違い」
  都会 地方
求人面 さまざまな業種、企業、職種の求人があり、選択肢は広い。 選択肢は少ないが、応募数も少ないので競争率は低いことも。
技術面 書籍や人と出会う機会があるため知識は増える。展示会、講習も多く、自発的にスキルを磨く手段には事欠かない。 大手メーカーの研究開発が拠点を構えていたり、独立企業の意外なニッチトップの技術を追求できることも。
金銭面 給料は地方に比べ高め。家賃や食費、交通費など、出費が多い。「通勤圏内の持ち家」へのハードルも高い。 給料は都会に比べ低め。地域差はあるが、東京に比べれば物価も低め。余計な支出が少ない分、給与を有効に使うことができる。
職場面 さまざまな人に会える機会が多く、そのぶん刺激も多い。生活上での人間関係は希薄になりがちだが、その分の煩わしさはない。企業との契約形態もさまざま。 日常会う人の顔ぶれはほぼ固定的。しかしそのため、近所や職場の人と密な付き合いができる。変化は少ないが安定性が高い。
生活面 便利なものが多く揃っており、買い物には困らない。一方で、職住は遠距離になりがちで、通勤ラッシュにもまれる。 一戸建てや自然の豊かな環境で生活することができる。
趣味面 時間とお金があれば趣味の充実を図ることができる。アミューズメント施設、イベントは数多いため、音楽や絵画などはナマのものに触れやすい。 特に自然に関わる趣味は充実する。地域にもよるが、釣りやハイキング、スキーなど、郊外型の行楽は享受しやすい。
 
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タニー只野(総研スタッフ)からのメッセージ  
タニー只野(総研スタッフ)からのメッセージ
今回取材したお二人からは、東京の魅力とともに地方の良さも語られていました。どちらがいい/悪いではなく、たとえるなら住宅選びのように、何に優先順位をつけるかによって判断基準が変わると思います。自分も以前、東京から脱出して地方で働きたくなったことがあり、今もふと、環境を変えたくなるときがあります。現在の環境が本当に満足かどうかを考えてみるヒントになることを祈っています。

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