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21歳で最初の特許申請、25歳で工場、29歳で研究所設立… 自分と比較! もしエジソンが29歳でレジュメを書いたら
エンジニアのキャリア形成や市場価値の把握において、「レジュメ」の果たす役割はますます大きくなってきた。レジュメ作成術については以前にも特集したが、今回は思い切って視点を変え、あるエンジニアの「レジュメ」を味わってみたい。
(取材・文/中村光宏 総研スタッフ/山田モーキン イラスト/Shu-Thang Grafix)作成日:06.02.22
【はじめに】もしも発明王エジソンが転職するとしたら……歴史をひもとき、レジュメを代筆
 登録しておけば市場価値を相対的に把握できたり、登録者のレジュメを熟読した企業から、スペックや志向にふさわしいメッセージが届く、エンジニアのキャリア形成に役立つリクナビNEXTスカウト。ところが、いざ登録するためにレジュメを作り始めてみると、自分のことをうまくアピールできずに苦労するエンジニアは多い。そこで、Tech編集部はだれもが知っている超有名エンジニアのレジュメを作成してみることで、何かしらヒントが得られるのでは?と考えた。
 今回取り上げたのは、ご存じ「トーマス・アルバ・エジソン」。白熱電球や蓄音機など生涯で1000以上の発明を生んだ生粋のエンジニアである。
 エジソンには大きな転機がある。29歳のとき、自分の研究所を設立したのである。「発明や研究に没頭したい、もっと世の中を便利にするものを自分の手で生み出したい」という強い思いを抱いて研究所を設立したわけだが、こうした思いや決断は現代のエンジニアも日常的に感じたりしているのではないだろうか。

 そこでエジソンが、「もしも29歳のとき、自分の研究所を設立せず、企業に転職するつもりだったら……」と仮定してTech編集部でレジュメを作ってみた。 転機を感じている方は、ぜひ自分のエンジニアキャリアと比べてみてほしい。また、リクナビNEXTスカウトに登録している方は、書き方の参考に。

 それでは早速、エジソン29歳の「職務経歴」「自己PR」「キャリアプラン」をご覧いただきたい。
profile
1847年、オハイオ州ミランで生まれる。12歳にはグランドトランク鉄道列車の新聞売りとなり、15歳で車内新聞『グランド・トランク・ヘラルド』を発行。同年、マウント・クレメンズ駅の駅長に電信技術を学び、それから電信技師としてのキャリアをスタートさせることになる。
ゆめみ
【職務経歴編】Tech総研編集部の仮説 電信分野で一貫したスキルアップを図り、特許取得に取り組んだ実績を強調するはず
1862年(15歳) 電信技術を習得
独学でモールス信号を、約3カ月で電信キーを完全にマスターする
1863年(16歳) 鉄道駅の電信員として勤務……(ポイント1)
カナダ・オンタリオ州ストラトフォード駅で夜間電信員として勤務
その後、ミシガン州、オンタリオ州、インディアナ州、オハイオ州、テネシー州などの鉄道駅で電信員として勤務
  ・1級通信士の資格を取得
  ・二重通信方式の電信用中継器を試作
  ・ニューヨーク〜メンフィス間の電信用中継器を開発
1865年(18歳) AP通信に勤務
ケンタッキー州ルイヴィルのAP通信支局に報道通信の通信員として勤務
  ・カッパープレイト書体を完全マスター
  ・自動調整機能付き中継器、増幅中継器を構想
  ・マイケル・ファラデーの『電磁気学』を独学で習得
1868年(21歳) ウェスタン・ユニオン社に勤務
ウェスタン・ユニオン社のボストン支局に電信技師として勤務
  ・電気投票記録機を開発、最初の特許を取得……(ポイント2)
1869年(22歳) ゴールド・アンド・ストック相場電信会社に勤務
単身ニューヨークへ移転、ゴールド・アンド・ストック相場電信会社に勤務
  ・監査役、後に通信部門の責任者を務める
  ・ニューヨークじゅうの加入者へ取引価格を配信する大規模ネットワークを構築
  ・株式相場の電信表示器(ティッカー)を開発、特許取得……(ポイント3)
同社を退職、フランクリン・ポープと共同で「ポープ・エジソン商会」を設立
  ・主な業務内容は、私設回線リース業、警報機設置、通信機材購入代行など
  ・ティッカーの特許を4万ドルでゴールド・アンド・ストック相場電信会社に売却
1870年(23歳) 独立して自分の工場を設立
4万ドルの自己資金を元手に独立、ニュージャージー州ニューアークにティッカー製造工場を設立
1872年(25歳) 独立して自分の工場を設立
工場建設を進め、計5カ所に拡張……(ポイント4)
自動電信機、二重通信方式、四重通信方式、電気ペンなどを開発・特許を取得……(ポイント5)

  ・自動電信機…1分間に1000語以上の送信が可能な自動電信機を開発(手動電信機は1分間に50語程度)
  ・二重通信方式…1本の電線で同時に2つの通信文を送信する方法を開発
  ・四重通信方式…4つの通信文を1本の電線で同時に送信する方法を開発
  ・電気ペン…電気インパルスを使って文字を送信する電信用のペンを開発
1875年(28歳) 「エーテルの力」を発見
電磁誘導を超えた非電気的な現象を発見。エネルギーが自由に空間を移動していることを示唆
【職務経歴】 Dr.スカウトの分析「企業はこう見る!」
 エジソンの実家は決して経済的に困窮していたわけではないが、彼は12歳で働き始める。それだけ独立心旺盛で、自ら道を切り開くことに意欲的だった。16歳で電信員としてアメリカとカナダで築いた実績(ポイント1)は、電信にかける彼の情熱と積極性をアピールしている。またこの間、技術と知識の習得に人並み以上の努力を払ってきたことは、資格取得や独自の中継器開発に見て取れる。

 発明王としてのスタートは、電気投票記録機の発明に始まる(ポイント2)。しかし、この記録機はアメリカ議会ではまったく受け入れられなかった。次いで特許を取得したティッカーでは(ポイント3)、4万ドルという大金を手にする。この実績を記載することで、自身の発明が社会にとって価値があるもの、企業にとっては利益を生むものであることを示している。余談だが実はこのとき、エジソンは小切手に記された金額を4000ドルだと思い込んでいた、というエピソードが残っている。
 
 ニューヨークでのエジソンは、独立起業を経て事業の拡大に邁進するが(ポイント4)、同時に現役エンジニアでもあり続けた。経営者として5つの工場を切り盛りする一方で、数々の開発実績、特許を取得している点(ポイント5)は、プレーイングマネジャーとしての才能もうかがわせる。
職務経歴作成の詳細に関しては、こちらをチェック!
企業にスカウトされるレジュメ作成術 職務経歴編
【自己PR編】Tech総研編集部の仮説 ほかのエンジニアにはない自分だけの強み、採用企業への貢献の可能性をアピールするはず
自己PR 「通信員として6年間の現場実績を積んだことで、電信に関するスキルをひと通り身につけました。また、各地方の通信事情を実際に経験したことで、電信の分野で今、何が求められているのか、これから注目すべき技術は何なのか、身をもって知ることができました。そうした実績を生かして電信機などの装置をいち早く開発し、数々の特許を取得しています。そのためパテントに関する知識・経験も豊富です。また自ら工場を興し、50人以上の従業員を指揮してきた経験があります。今後は、組織のまとめ役を果たすのと同時に自らの研究・開発を推し進め、電信分野を中心とする先端かつ大きな開発案件を実現できるのではと考えています」
自己PR Dr.スカウトの分析「企業はこう見る!」
 ほかのエンジニアが経験していないような実績を強調することで、自分の強みをアピールしている。また、技術開発では避けて通れないパテントの問題についても知識と経験が豊富であるとして、自らが取得してきた数々の特許を単なる過去の栄光ではなく、これからも存分に生かせる有益な体験に変えている。さらに、実績ある技術者でありながら組織運営にも意欲的なことを訴え、企業の拡大に寄与する存在であることを印象づけている。
自己PR作成の詳細に関しては、こちらをチェック!
企業にスカウトされるレジュメ作成術 自己PR編
【キャリアプラン編】Tech総研編集部の仮説 エンジニアとして、自分がこれから何を追求していきたいのかを具体的に訴えるはず
次のキャリアで
実現したいこと
「これまで電信で培ってきた経験を生かして、通信事業の新たな開拓に取り組んでみたいと考えています。より具体的には、文字だけでなく、音声の伝送や記録といった技術を確立できればと思っています。それにより、私たちは飛躍的に多くの情報を、遠隔地の人と簡単にやりとりできるようになるはずです。将来は、映像の伝送まで発展させていきたいと考えています。また、通信を支えるエネルギーである電力についても、さらなる技術開発が可能であるとみています。その中で私が取り組みたいのは、電力による明かりの開発と、電力そのものの安定供給です。人々の暮らしを現在よりも豊かで幸福にできる技術を追求していきたい、というのが私の希望です」
キャリアプラン Dr.スカウトの分析「企業はこう見る!」
 明確なキャリアプラン、自分がこれから携わりたいと考えている事業や研究・開発の案件などがあれば、それについて具体的に書くのもひとつの方法。自分が望むプランに期待をかけてくれる企業や、これから注力していこうとする事業分野などがそのプランと何かしら合致する企業があれば、オファーを受ける確率は当然高くなる。自分が目指すキャリアプランが、これからの社会全体に貢献するものであることもさりげなく盛り込みたい。
キャリアプラン作成の詳細に関しては、こちらをチェック!
企業にスカウトされるレジュメ作成術 キャリアプラン編
レジュメのポイント 失敗の多かったエジソンの人生。だからこそそれを強みに変えて表現
 今回のエジソンのレジュメでは、彼が15歳で電信技術を習得したところから、電信員として各地の通信所に勤務し、特許で得た大金を元手に23歳のときにニューヨークで自分の工場を設立し、28歳でさらなる可能性を秘めた発見をしたところまでを職務経歴とした。エジソンの発明として名高い白熱電球や蓄音機が彼の経歴に登場するのは、これよりももっと後のことである。

 確かにエジソンは偉大な人物ではあるが、ご覧いただいたように、若いころは各地を転々としている。それはとりもなおさず、行く先々で数多くの失敗を体験していることを意味している。今回、「天才とは1%のひらめきと、99%の努力」と言ったエジソンの生きざまを裏付けるようなレジュメになった。だからこそ逆に、その流転を貴重な経験として、プラスの強みに変えて訴えるようなレジュメをイメージした。 もし、本当にエジソンが29歳でこのレジュメを活用して転職していたら、その後どんなキャリアを送ったのだろうか? 興味は尽きない。

 皆さんも、未知なる可能性にかけて、ご自身のレジュメを作ってみてはいかがだろうか? そこにはきっと、自分自身が今まで気づかなかった新たな発見があるはず。

コラム 発明王エジソン、29歳からの“ホントの人生”は……
 最後に念のため。実際には転職などせず、29歳で拠点をメンローパークに移し自ら研究所を設立。以降、そのエジソン研究所から数々の発明を生み出したエジソンの人生を簡単に紹介しておこう。

1876年(29歳) ニューアークの工場を処分し、新たに研究所をニュージャージー州メンローパークに設立。同年、炭素電話機を発明
1877年(30歳) 円筒式蓄音機「フォノ・グラフ」を発明
1878年(31歳) 電球の研究に着手。「エジソン電灯会社」を設立
1879年(32歳) 炭素フィラメントの白熱電球を発明
1880年(33歳) 発電機を開発。電気照明用のシステムを発明。初の電気機関車実験に成功
1881年(34歳) パリ電気博覧会に発電機を出品。最高名誉賞を受ける。「エジソン電気照明会社」設立
1882年(35歳) ニューヨークのパール街に電灯(街灯)をつける。
1884年(37歳) 電球の改良中に「エジソン効果」を発見。後の真空管発達の基礎をつくる
1887年(40歳) 研究所をニュージャージー州ウェスト・オレンジに移転
1888年(41歳) 系列会社が合併し、「エジソン・ゼネラル・エレクトリック社」を設立
1889年(42歳) のぞき映画「キネトスコープ」を発明。ジョージ・イーストマンの協力で映画フィルムを開発
1890年(43歳) 鉱山事業に取り組む
1892年(45歳) エジソンの辞任により、社名を「ゼネラル・エレクトリック(GE)社」に変更
1898年(51歳) 鉱山経営に失敗。地下配電のヒューム管を発明し、セメント事業に着手
1909年(62歳) アルカリ蓄電池を開発
1927年(80歳) 人工ゴムを開発
1931年(84歳) ウェスト・オレンジの自宅で死去
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  山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ  
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
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エジソンのレジュメ、いかがでしたか? 改めて今回、資料を調べながら彼の偉大さを再認識しましたが、単なる技術力以上に、未知なる技術開発への飽くなき探究心と粘り強さが、彼のいちばんのアピールポイントなんだと思います。それはきっと世の中の多くのエンジニアの方もポテンシャルとして秘めているはず。その部分をうまくレジュメでアピールできれば、転職のハードルは今よりもっと低くなるのでは、と感じます。
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