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トップエンジニア4人も悩んだ営業・顧客の“ありがち質問”(1) 「社長ブログをつくりたい」にあなたならどう答える?
エンジニアを悩ます、顧客や営業などからの、なんとなくわかったような、わからないような――ちょっとピンボケの質問。そんな「ありがち質問」に、ITの各分野で活躍中の4人の回答者が答える!
(文/川畑英毅 総研スタッフ/根村かやの イラスト/岡田丈)作成日:06.02.08
 中身がよくわからないのに、「はやってるんだから、アレやってよ!」「コレを使えば、ウチの問題、パパッと解決できるんじゃないの?」と、要望や疑問をぶつけてくる顧客や営業。――エンジニアなら、相手が「なるほど」と思わず納得する答えを返したいもの。

 と、そんな「お答え」の例を示したのが、昨年、3回シリーズでお届けしたレポート、【営業・顧客が「さすがプロ」と言う、ありがち質問への模範解答】
 ただし、そこに挙げたのは、あくまでも模範解答の「一例」。「もっとこんな説明の仕方のほうが納得されやすいのでは?」「こういう基本こそ押さえてもらわなきゃ」なんて意見が、総研周辺のエンジニア諸氏から噴出!

 ということで、今回はITの各分野で活躍する4人のエンジニアに登場していただき、それぞれの立場から回答を寄せていただいた。もちろん、質問する側にとっては「素朴な疑問」でも、本当は奥深〜い技術のこと。これらの回答をもとに、ぜひ、皆さんも自分なりの回答を組み立てていただきたい。
難問・珍問に悩んでくれた4人の回答者(登場順)
川村晶子さん
菊池豊さん
ただただしさん
前村昌紀さん
川村晶子さん 菊池豊さん ただただしさん 前村昌紀さん
IT企業勤務のかたわら、高知県において、ITを活用した女性の自己実現を目的として同じ志をもつ仲間とともに2000年10月「NPOとさはちきんねっと」を組織化。
オタク成長標準コースをたどり、現在、某地方の理系単科私立大学教員。研究でネットワークするのに飽きたらず地域インターネットベンチャーを興し、単年度黒字にするべく奮闘中。いまだに MS word がどうにも使えない42歳。
某IT企業勤務のエンジニアにして、ウェブ日記システム「tDiary」の開発者。個人的な日記サイト「ただのにっき」は、エンジニアの間でも人気が高い。Tech総研ブログ上でも、「ただただし@『ただのにっき』のエンジニアいとをかし」を展開中。
フランステレコム日本研究所勤務。大手ISPの立ち上げに携わって以来、インターネットのネットワーク設計やコーディネーションに携わる。日本ネットワークオペレーターズグループ(JANOG)運営委員、日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)理事。
Q.ありがち質問1 「ブログが大流行だし、あれって、簡単にできるんでしょう? わが社のPRの一環として、社長ブログを立ち上げるのはどうだろう?」
川村晶子さん
A.
川村晶子さんの[Q.1]への回答
川村――現在はツールもいろいろ出ているので、構築は簡単になってきているのは確かです。ただし、ブログがあるから情報発信ができる、ということではない。「なぜブログを使うのか」を明確にすることが大切です。
「なぜほかのツールではなくブログを選ぶのか」が重要です
顧客の社長室長――技術的にはそれほど難しくないわけですね?
川村――ツールも揃ってきて、「ブログを開くこと」自体は、ますます簡単になってきていると思います。ある程度のものなら、素人でも少し勉強すればできるかも。ただ、「簡単だからブログ」というのではしようがありません。「なぜブログを使うのか」自体が重要なんですよ。
社長室長――う〜ん。社長に日記でも書かせたいなと思ってるんですが……。
川村――人がなぜブログを見にくるかといえば、そこに「個性」と「読ませる何か」があるから。だから、「公」のものより、より私的なもののほうがブログという形式に適しています。
 私がいま住んでいる高知県でも、橋本知事のブログは好評を博しているんですが、これも県のサイトからは独立した個人サイトとして、かなり個人的なことも書いているからこそ成り立っていると思います。企業サイトで社長ブログを立ち上げるなら、どこまでそんな「私的」な色づけができるかどうか。
 そしてマメな更新も必要。少なくとも、普通の日記もマメに書けないような人だったとしたら、ブログの更新は無理。義務感だけで続けられるものではありません。御社の社長は、その点、大丈夫でしょうか?
 単に情報をアップするだけなら、BBSのほうが見やすいという場合だってあります。
菊池豊さん
A.
菊池豊さんの[Q.1]への回答
菊池――「何をしたいか」……もともと、ブログを書くだけの“中身”があるのかどうか。明確なテーマ設定はできていますか? たとえ始めるのは簡単でも、多くの人に見てもらい、良い評価をもらうのは大変ですよ!
そこでしか読めない“中身”はありますか?
顧客の社長室長――でも、これだけブログがはやっているんだから、それなりに読者も獲得できるのでは?
菊池――それは逆。ブログがはやっているということは、それだけ競争相手も多いということ。始めるのは簡単でも、「読んでもらう」のは大変。『土佐日記』じゃありませんが、「だれもがすなるブログといふものを、自分もしてみむとてするなり」だけでは読んでもらえない。中身が問題なんですよ。
社長室長――では、ブログにふさわしい中身とは?
菊池――そこでしか読めない、こぼれ話や裏話、あるいは斬新な切り口とか……。
 僕自身、かつて「社長ブログ」を書こうと思ったことがあるんです。しかし、みんなが「おおっ?」と思い、興味をもって読んでくれそうな“面白い話”というのは、“表に出せない話”であることも多い。それで、結局、断念したんです。
 企業のブログで多くの読者から評価されることを目指すとなると、非常にハードルは高い。その点をしっかり考慮すべきだと思いますね。
ただただしさん
A.
ただただしさんの[Q.1]への回答
ただ――技術的には難しくありませんが、問題は運用。実際に、企業が開設・運営するブログがトラブルに見舞われる例が、最近頻発しています。そんな“危険性”を十分考慮すべきでしょう。
企業ブログには、個人ブログとは異なる「計算」が必要
顧客の社長室長――ブログでトラブルが起きるって、どういうことなんですか?
ただ――ある企業が、新製品に対してモニターを募り、そのモニターを筆者とするブログを開設させたことがあります。ユーザー間のコミュニティ形成が目的でしたが、モニター自身の不用意な発言が別の掲示板にさらされて大炎上。わずか数日で閉鎖に追い込まれました。こういう事件が実際に起きています。
 個人のブログなら「問題が起きればたたんでおしまい」ですみますが、企業の場合は大きなイメージダウンにつながりかねません。
 ブログといえば「気軽に開けるもの」と思いがちですが、企業がPRの手段として運営するなら、徹底的に計算しつくさないとダメなんですよ。
社長室長――どんな「計算」が必要なんでしょうか?
ただ――ブログとは、「一方通行のメディアでなく、筆者と読者が語り合いながら何かをつくり上げていくもの」というイメージでしょう。しかし、企業の広報手段と割り切るなら、表向きは親しみやすい場を装いながらも、ブログ経験者や、思慮深い人を担当者にして、発言を徹底的にコントロールしなければやっていけないんです。夢のない話になってしまいますが……。
 あるいは、本当に率直な「物言い」が許容される場合もあるかもしれません。でもそれは、「この人だったら/この会社だったら」という、強烈なキャラクターを持っている場合だけ。そのへんの判断が重要だと思いますよ。
Q.ありがち質問2 「Wikiって、複数の人が共同でWebを編集できるって聞いたんだけど、それを使って楽に企業サイトをつくれない?」
前村昌紀さん
A.
前村昌紀さんの[Q.2]への回答
前村――Wikiは確かに複数の人が共同でWebページの編集を行えますが、そのサイトを見る人、皆に編集を許すのが基本。企業サイトでは、見る人には編集させたくない場合がほとんどなので、Wikiが役立つことは少ないでしょう。
見る人全員が編集権をもっていてこそのWiki
顧客のWeb管理者――つまり、Wikiの用途というのは別にある?
前村――本来、Wikiが役に立つのは、ひとつのグループやコミュニティで情報を共有して、更新したり共同制作したりするケースです。つまり、見る人全員が編集権をもっていてこそ。
 そうしたWikiの特性がいちばん端的に表れているのが、「ウィキペディア」(http://ja.wikipedia.org/)でしょう。これは、利用している人だれもが項目を編集できる百科事典。内容を見ても、いまや項目によっては印刷された百科事典の品質を超えるものもあります。
Web管理者――では、ビジネスユースとしてはふさわしくないんでしょうか?
前村――企業サイトにおいて、各事業部など、別々のセクションに編集権を与えるということであれば、CMSを使うなど、Wikiとはまた別のやり方があるだろうと思います。
 ただし、内部での情報共有に使うということであれば、その特徴を生かすこともできます。メーリングリストでは見落としが発生して機能しないといった場合でも、Wikiならば、常にアップデートされた共通の情報を閲覧することができますからね。
菊池豊さん
A.
菊池豊さんの[Q.2]への回答
菊池――Wikiは万能ではありません。コミュニティがしっかりしているところでならば、ナレッジを共有できるメカニズムとして、威力を発揮します。一方で、デザイン・レイアウトの自由度があまりないことも手伝って、「外向け」のシステムとしては向かないと思う。
ルールが守れるコミュニティ内で威力を発揮しやすいシステム
顧客のWeb管理者――広く一般向けのサイトの編集手段としては、Wikiは使えないんでしょうか?
菊池――「Wikiを使えば負荷が分散できる」というのは、イコール、「責任の分散」でもある。基本的には参加者でつくり上げていくものなので、「〜するときには、必ずこうしてください」という約束事をしっかりと定めておくことが必要。しかもそのルールを皆が守れなければ、たちまちシステムが瓦解してしまう危険性をはらんでいます。
Web管理者――では、どんな使い方がふさわしい?
菊池――メーリングリストの代替、というイメージが最も近いのではないでしょうか。
 時系列で並ぶメーリングリストでは、長期間運営していくと、どこに何があるのかわからなくなりがち。Wikiなら、ファイルやメッセージをWWW上に整理しながら置きますから、そういうことにはなりません。「この種類のファイルはここに置く」などのルールを参加者がきちんと守れば、ですが。
 コミュニティがしっかりしているところで、その内部での情報共有の手段としてこそ意味のあるものだと思います。
ただただしさん
A.
ただただしさんの[Q.2]への回答
ただ――「だれでも編集できるWiki」というのは、使えるシーンは限られていると思う。企業が、しかも公開用として使うのであれば、完全に簡易CMSとして使う場合でしょう。
辞書的なコンテンツをつくるなら、ブログよりWiki
顧客のWeb管理者――それって、例えばどんな使い方なんですか?
ただ――「だれでも書ける」のがWikiだけに、「どんどん勝手に書き換えられちゃうんじゃないの?」という危惧は、誕生以来、常に問われ続けてきたこと。
 しかし例えば、編集用のWikiと、公開用のWikiというのを厳然と区別する運用で、簡易CMSとして使うならアリなんですね。CMSとして考えれば、導入自体が安価ですし、定形のデザインが簡単にできます。もちろん、テキスト主体で、見た目の派手さは求めないという条件付きですが。
Web管理者――ブログも簡易CMSとして使えると聞いたことがありますが……。
ただ――「ブログはフロー、Wikiはストック」という有名な言い回しがあります。ブログでは時系列的に記事が並び、Wikiでは個々のページが逐次更新されていくというイメージですね。ですから、コンテンツの中身によって、ニュース的なものならブログがいいでしょうし、辞書・用語事典的なものであればWikiのほうが適しているといえます。
 簡易CMSとして使うにしろ、企業サイトとして公開するものであれば、ワークフロー管理や、編集に携わるメンバーの認証などは必要です。そのあたりは運用を工夫しなければいけませんね。
Q.ありがち質問3 「RSSって、どういうものなの? 最近はやっているみたいだけど、ウチもやらなくていいのかな?」
川村晶子さん
A.
川村晶子さんの[Q.3]への回答
川村――XMLという記述形式を使い、いろいろなページのドキュメントを、つまり見出しやサマリー、更新情報などを効率的に公開できるようにしたものがRSS。「情報の伝わりやすさ」を考えるなら、導入を図るべきでしょう。
サーチエンジン対策として、広告を打つより効果的
顧客の広報担当者――RSSって、更新情報をメールで流すっていうこととは違うんですか?
川村――違います。XMLを使って、「表から見える」ページに加えて、各種のドキュメントをつくっておくんです。ユーザーは、RSSアグリゲータとかRSSリーダーとか呼ぶソフトを使って、自分の好みのサイトのサマリーや更新情報を簡単に手元に集約して読むことができます。
 私自身、つい2年くらい前までは、「RSSの普及もまだかな?」と、ちょっと首をかしげていたんですが、最近になって、利用しやすいアグリゲータもたくさん登場して、一気にエンドユーザーの間に広まったように思います。
広報担当者――でも、そのRSSとやらの構築って、手間やコストはどうなんですか?
川村――確かに、単にHTMLでひとつのページをつくることに比べたら、データを二重にもたせるわけですから、手間はかかります。しかし情報を広めたいと思うなら、RSSは有効な方法でしょう。
 RSSを意識したサイト構築を行えば、サーチエンジンのロボットの巡回にも引っかかりやすい。少なくとも、手間とコストをかけて広告を打つなどしてサーチエンジンの上位を狙うことを考えるなら、RSSを使うほうがずっと効率的だと思いますよ。
ただただしさん
A.
ただただしさんの[Q.3]への回答
ただ――RSSは、情報感度の高い人たちの間にはすでにかなり浸透しています。少なくともテクノロジー層を相手にしている企業なら、情報リテラシーの高さの証明として、今やっていなければ遅い!と言っても過言でないと思います。
ネットでの効果的情報発信に導入は必須!
顧客の広報担当者――結局、RSSを導入して、どんないいことがあるんですか?
ただ――身もふたもない言い方をするなら、現時点でほとんどいいことはありません! エンドユーザーの間に広まってきたとはいえ、利用者はそれほど多くなく、まだ新しモノ好きの人だけかもしれない。
広報担当者――それじゃ、わざわざ手間をかけて導入する意味なんてないんじゃ……?
ただ――しかし、インターネットで情報提供を行っていながら、オピニオンリーダーにまったく情報が届かないというのでは、大きな損失でしょう? そういう人ほど、むしろRSS“しか読まない”傾向にあることが問題なんです。
 しかもインターネットの世界の進歩は速い。近い将来、大多数のユーザーが当たり前にRSSを利用する時代が到来しそう。RSSをつくっている会社は技術に明るい、情報リテラシーが高い会社だと思ってもらえるのも、今がギリギリのタイミング。
 特に、ニュースの更新を頻繁に行っているなら、最低限、プレスリリースのRSS化は必須だと思います。
 さて、3つの“ありがち質問”にあなたならどう答える?
「私ならこう答える」「この回答に異論あり!」などの回答案やご意見を、ぜひTech総研ブログ「ピンク少佐の秘密工作室」へのコメント、トラックバックでお寄せいただきたい。
 前線の現場エンジニアの“なるほど回答”をお待ちしている。
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あるときは「まっとうな質問ですね」、またあるときは「この質問はトンデモすぎるのでは?」などと言われながら、4人の方にご協力いただいた本レポート。皆さんはこんな質問に遭遇したことはありますか? そして、もし遭遇したらどんな回答を返しますか? 4月上旬に掲載予定のシリーズ第2回では、社内LANやドメイン管理の“ありがち質問”を取り上げます。
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