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エンジニア給与WAVE! Vol.45 『資格』を取るのはお金のため?スキルアップのため?
エンジニアにとって、資格は自分の知識を積み上げ、スキルアップするうえで目安となるもの。最近はより専門分野に
則した資格も続々登場しつつある。その資格取得の目的や資格手当の現状、手当への満足度をアンケートで
尋ねた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也) 作成日:06.02.01
[Part1]自分の知識を裏付け、仕事へのモチベーションを高めるために
 技術職という仕事の性格上、エンジニアは仕事を続けていくため、たえず最新の技術を習得する必要性に駆られている。そのため、資格試験のための勉強が、技術をキャッチアップするためのよいきっかけになる。

 業界の中で広く認められるスタンダードな資格をもっていれば、それが技術力の証明や裏付けになるという点も見逃せない。社内の昇進・昇格の際、あるいは転職において、資格の内容が、技術者のスキルを推定するバロメーターになる。

 業界によっては、デファクト・スタンダードな製品・規格をもつ有力ベンダーとパートナーシップを結ぶためには、一定数のベンダー資格取得者を社内にそろえる必要がある場合もある。その場合は、資格取得はいわば会社が事業を進めるうえでの必須条件となり、資格取得は奨励のレベルを越え、一種の業務命令に近いものになる。

 資格を取得するもう一つのメリットは、資格手当などの直接的なインセンティブ、金銭的報酬だろう。世の中の流れとしては、福利厚生的な意味合いの強い「手当」は廃止される傾向にあるが、それでも試験に合格すれば受験料の補填や、「報奨金」「奨励金」などの名目で一時金を支払う企業は少なくない。金銭目当ての資格取得は本来の姿ではないにしても、試験勉強に取り組むうえで励みになることもまた確かだ。

 今回、Tech総研では100人のITエンジニアを対象に、保有する資格の状況や、資格手当などの有無についてアンケートを取った。その結果を引用しながら、エンジニアと資格についてあらためて考えていきたい。
[Part2]初級レベルを中心に7割がなんらかの資格を取得
 アンケート対象者は、25〜39歳のシステム開発、パッケージソフト開発、社内情報システム、運用・保守・テクニカルサポート、ネットワーク設計・構築などに従事するITエンジニアたち。情報処理技術者試験系の国家資格のほかに、シスコシステムズ、マイクロソフト、オラクル、SAPなどのいわゆるベンダー資格が広範に整備されている職種・業界である。さらには、C言語、Java、VisualBasic などプログラミング能力を評価する資格があり、昨今はPMP(Project Management Profes)やITコーディネータなどの管理能力に特化した民間資格も多数存在する。

 アンケートによれば、資格取得者が多いのは、「第二種情報処理技術者(※現在は「基本情報技術者」)」(26人)「初級システムアドミニストレータ」(26人)「ORACLE MASTER silver」(12人)、「MCP」(10人)「CCNA」(8人)などである。アンケート調査に当たって編集部がリストアップした資格は全部で59種におよぶが、回答者のうち70%が「いずれかの資格をもっている」と回答している。ITエンジニアにとって資格取得は、ほぼ当たり前の行為といってよいのではないだろうか。

 ただ、上記に具体的にあげた資格はいずれも、国家資格・ベンダー資格の中では「初級」に位置づけられるもの。IT業界のなかではいわば「入門編」と考えられているものばかりだ。

 例えば、ネットワーク技術者のデファクト・スタンダードであるシスコ技術者認定の中でも「CCNA」は、あくまでもネットワーキングの基本的な知識を示すもので、100ノード以下の小規模ネットワークに対する、LAN、WANなどの設定・運営を行えるレベルにすぎない。このレベルの資格であれば、いまや学生でも持っていることが多く、それだけでは必ずしも「できるエンジニア」の証明になるとはいえないだろう。

 シスコ技術者認定についていえば、さらにその上の段階、プロフェッショナル(CCDPやCCIPなど)やエキスパート(CCIE)へのステップアップが求められている。
[Part3]実際の企業は、より高度な資格を求める傾向
 そこで知りたくなるのが、実際に企業が欲しがっているレベルの資格とはどんなものか、ということだ。ここでは、リクルートの「リクナビNEXTスカウト」上で、企業がスカウト対象者を保有資格で検索したランキングが、参考になるだろう。企業は、こういう資格取得者を探しているという具体例の一つだ。

 それによれば、「CCNA」「CCNP」「ORACLE MASTER gold」が上位にランクされ、以下、同率で「CCDA」「Network+」「Server+」「e-Biz+」などが並ぶ(※DATA1)。「Network+(プラス)」などCompTIAが認定を行っているベンダー非依存資格が多数ランクインしているのが目立つ。これまでの国家資格、ベンダー資格に加え、IT各業務に関する実務能力について業界横断的に判断する新しい“ものさし”が注目されているということだろうか。

 また、「ORACLE MASTER silver」よりも「ORACLE MASTER gold」のほうが検索数が多いなど、より上位の資格に企業の関心が向かっている、という傾向もうかがえる。
DATA 1 企業がスカウト条件検索で使用した資格ランキング
1位
CCNA
2位
CCNP
3位
ORACLE MASTER gold
4位
CCDA
4位
Network+
4位
Server+
4位
e-Biz+
4位
MCSE
4位
ORACLE MASTER silver
4位
第二種情報処理技術者(※現在は基本情報技術者)
4位
第一種情報処理技術者(※現在はソフトウェア開発技術者)
4位
システム運用管理エンジニア
4位
情報セキュリティアドミニスレータ
4位
ORACLE MASTER platinum
4位
ORACLE certified developer
4位
MCP
4位
Linux+
4位
i-Net+
4位
A+認定プログラム
4位
CCNA-WAN Switching
※2005年12月度分を集計
[Part4]資格手当・一時金には6割が不満
 エンジニア給与WAVEシリーズとしては、こうした資格取得が手当額や昇給・昇格にどのような影響があるかについても関心がある。

 アンケートの結果を振り返ると、しかしながら、手当や一時金についてはかなり“お寒い”現状が浮かび上がる。今回のアンケートでは、なんらかの資格をもつ人が全体の7割に達したのに対して、資格手当を得ている人は全体の10%、一時金を支給されている人は20%強にすぎない。金額は企業によってまちまちで、例ば「初級システムアドミニストレータ」でも、月額の資格手当は500円から5000円と幅がある。

 合格報奨金(一時金)も同様の傾向がみられる。同じ「CCNA」の場合でも、3000円の人もいれば、5万円の人もいる。今回最も多額の一時金は30万円で、いずれも国家資格の「アプリケーションエンジニア」(ネットワーク設計・構築、29歳)と「システム監査技術者」(運用・監視・テクニカルサポート職・26歳)の資格を取得した2人だった。
DATA 2 6割のIT技術者が資格手当に不満
6割のIT技術者が資格手当に不満
 こうした資格手当・一時金の現状についてはエンジニアの間に根強い不満がある。「とても/まあまあ満足している」人は全体の9%にすぎず、「やや不満」(19%)「かなり不満」(39%)を合わせると、全体の6割近くが現状に不満をもっている。(※DATE2)

 企業としても、例えば年俸制や業績連動型など成果主義的な賃金体系へシフトするなかで、必ずしも目に見えた成果に繋がらない資格には金銭的なフィードバックをしにくい、という事情はあるかもしれない。

 しかしながら、エンジニアの“努力”を客観的に評価するものさしがいまだ社内に整備されているとはいえないことも多く、外部のIT資格制度の評価を活用する企業もある。
DATA 3 IT技術者100人に聞いた
資格手当が出る資格上位ランキング
1位
初級システムアドミニストレータ
1位
第二種情報処理技術者
(※現在は基本情報技術者)
2位
CCNA
2位
ORACLE MASTER gold
2位
システムアナリスト
2位
アプリケーションエンジニア
2位
ソフトウェア開発技術者
2位
テクニカルエンジニア(ネットワーク)
2位
テクニカルエンジニア(データベース)
2位
テクニカルエンジニア(システム管理)
2位
上級システムアドミニストレータ
2位
基本情報技術者
2位
ネットワークスペシャリスト
2位
データベーススペシャリスト
2位
第一種情報処理技術者
(※現在はソフトウェア開発技術者)
DATA 4 IT技術者100人に聞いた
資格取得一時金が出る資格上位ランキング
1位
基本情報技術者
2位
テクニカルエンジニア(ネットワーク)
2位
テクニカルエンジニア(データベース)
4位
上級システムアドミニストレータ
5位
初級システムアドミニストレータ
5位
アプリケーションエンジニア
5位
ソフトウェア開発技術者
5位
テクニカルエンジニア(システム管理)
5位
第一種情報処理技術者
(※現在はソフトウェア開発技術者)
5位
情報セキュリティアドミニスレータ
5位
第二種情報処理技術者
(※現在は基本情報技術者)
5位
システム監査技術者
※2006年1月調査
[Part5]資格取得への努力が正当に報われる会社へ
 資格取得が当たり前になる一方で、それに対する金銭的な見返りは少ないという現状がある。エンジニアたちは資格取得をどのように考えているのだろう。「自分のスキルアップにつながる」と前向きにとらえる人が、全体の6割以上いる事実は重要だ。資格制度を整備するベンダー、業界団体、そして企業はその“ひたむきさ”を真摯に受け止め、より受験しやすい資格試験制度、出題内容のアップデート、そして実態に見合った金銭的報酬をこれからも考えていってほしいものだ。
「資格は取りたいが、そのための時間がない」という声が案外多いことにも、注意を喚起しておきたい。

 その一方で、「資格などなくても、仕事に支障がないので、興味なし」とするエンジニアが3割を占めている。これはエンジニアとしての自信の表れと見るべきなのだろうか。こうした意見の中には例ば、「資格がなくても仕事には影響ないので今はどうでもよいが、転職するときにはそれなりの証拠みたいなものになるかもしれないのでもっていて損はないと思う」(システム開発Web・オープン系・33歳)という声も含まれている。

 さらに、「会社から推奨があるので、しかたなく取得している」(11%)「資格がないとできない仕事なので取得している」(2%)という現実派もいる。資格取得のための勉強は決して簡単なものではない。みんなが「しかたなく」取り組まざるをえないのだ。だからこそ、その努力が正当に報われることを願わざるを得ない。
DATA5 IT系資格取得に対する本音は?
DATA5 IT系資格取得に対する本音は?
情報処理技術者試験、4月から「情報セキュリティ」で新資格
 ITエンジニアにとって技術レベルのマイルストーン(目標)の一つである、経産省の「情報処理技術者試験」。そのなかに新しい試験区分「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)試験」がこの春に誕生する。

 情報セキュリティ分野については、情報システムの利用側を想定した試験として「情報セキュリティアドミニストレータ試験」が2001年から設置されていたが、今回の「テクニカルエンジニア(情報セキュリティ)」は、情報システムの開発側・運用の試験という位置づけがある。

 出題内容は、情報セキュリティの全般をカバーしており、実際にセキュアな情報システムを設計・開発し、運用部門に確実に引き渡すことのできる能力を判断する。昨今のセキュリティ技術の進歩はめざましく、新規技術が出現する一方で、既存技術の陳腐化・ブラックボックス化のスピードも速い。こうしたブラックボックス化された技術を使えるだけでなく、その中身を理解して実システムに適用できるエンジニアを育てる、という狙いもある。

 同試験は2006年4月16日(日)の平成18年度春期情報処理技術者試験が第1回目の実施となる。申し込み締め切りは郵便局窓口受け付けが2月13日まで。詳しくは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)のサイト http://www.ipa.go.jp/ で。
情報処理技術者試験(14区分)
情報処理技術者試験(14区分)
マイクロソフト、MCP資格体系を大幅に改定
 マイクロソフトは、情報システム関連の技術者を対象とした、マイクロソフト製品の技術的知識に関する世界共通の認定資格制度である「マイクロソフト認定資格プログラム(MCPプログラム)」の資格体系を、この春から大幅に改定する。

 新資格体系では、情報システム関連の技術者が自己のもつ技術知識や職務遂行能力をより詳細に明示することができるよう、資格体系を階層と専門分野を分けて実施するのが特徴。 「MCP資格について、実際の市場におけるニーズや実態をこの数年にわたりグローバルに調査をしてきた。その結果を受け、その資格をもつエンジニアが具体的にどのような知識をもち、どんな仕事ができるか、資格そのもので証明できるよう、よりわかりやすい体系に改めた。資格=技術スキルの証明という原点に立ち返っての改定だ」というのは、マイクロソフトラーニンググループ、シニアマーケティングスペシャリストの中川ゆう子氏。

 新資格体系は、「テクノロジー シリーズ」「プロフェッショナル シリーズ」「アーキテクト シリーズ」の 3階層。各階層は複数の専門分野に分かれ、特定の分野に関するスキルを適切に評価できるようになっている。 「結果的に、取得に要する費用と時間の負担を大幅に軽減することが可能だ」(中川氏)。

 新資格体系は、今後発売される新製品から順次適用され、Microsoft(R)SQL Server 2005 と Visual Studio(R)2005 が新資格体系に対応した最初の製品。米国では2006年1月初旬より関連試験とトレーニングコンテンツの提供が開始されているが、日本語での提供は2006年春頃より開始の予定だ。

 また、2006年4月30日(日)までの期間限定で、新資格へのアップグレードを支援するキャンペーンを実施する。詳細は、同社のLearningサイトで
http://www.microsoft.com/japan/learning/mcp/newgen/default.mspx
MCP資格制度の新体系
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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
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