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エンジニア給与WAVE! Vol.51 前年比7%増でも4割が不満!2005年冬ボーナス平均は68.5万円
景気回復を反映し、今年の冬のボーナスは3年連続アップが報道されている。だが当然、会社によってばらつきはある。Tech総研がエンジニア500人を対象に2005年冬のボーナスについて調査を行ったところ、支給額平均は68.5万円と前年を7%上回った。だが、エンジニアたちは決して満足はしていない。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也) 作成日:06.01.04
【Part1】ハード系職種がソフト系を上回る。評価への不満も根強く
6割の人がボーナス「増えました」
 Tech総研では、25〜39歳の500人のシステム開発、運用・サポートなどのソフトウェア・ネットワーク系、回路設計、機械・機構設計などのハードウェア系のエンジニアを対象に、2005年冬のボーナスについて調査を行った。

  それによると2005年冬のボーナスは、一人平均68.5万円(額面)ということになった。職種別では、ソフトウェア・ネットワーク系が67.2万円、ハードウェア系が69.9万円で若干ながらハード系職種が高いという結果が出ている。

  同時に2004年冬のボーナス支給額もたずねているが、その平均額64.0万円と比べると、前年比7%増で、平均4.5万円増している。また、 「増えた」という回答は、ソフトウェア・ネットワーク系が56%であるのに対して、ハードウェア系は64%と、ここでもハード優位の傾向が見られる。全体には6割の人が「増えた」としているが、その割合は国内大手企業が64%と最も高くなっている。

  ちなみに、日本経済新聞社が12月中旬にまとめた調査(830社)によれば、全産業の一人当たり税込み支給額は80万4458円で、94年冬実績に対して3.54%の伸びを示している。同調査によれば支給額は3年連続で前年実績を上回っており、景気回復のすそ野の広がりを反映する結果となっている。
DATA 1 2005年冬のボーナス・職種別に見た平均支給額
ソフトネットワーク関連 パッケージソフト・ミドルウェア開発 79.8万円
研究、特許、テクニカルマーケティング、
品質管理ほか
77.3万円
コンサルタント、アナリスト、プリセールス 75.7万円
システム開発(汎用機系) 69.3万円
システム開発(Web・オープン系) 68.4万円
システム開発
(マイコン・ファームウェア・制御系)
66.7万円
通信インフラ設計・構築(キャリア・ISP系) 65.8万円
運用、監視、テクニカルサポート、保守 61.1万円
ネットワーク設計・構築(LAN・Web系) 60.2万円
社内情報システム、MIS 52.2万円
 
ハードウェア関連 セールスエンジニア、FAE 97.3万円
研究、特許、テクニカルマーケティングほか 87.9万円
生産技術、プロセス開発 77.8万円
サービスエンジニア 72.0万円
回路・システム設計 71.1万円
半導体設計 69.4万円
品質管理、製品評価、品質保証、生産管理 63.9万円
機械・機構設計、金型設計 63.3万円
光学技術 60.0万円
制御設計 59.4万円
相変わらず4割が「不満だ」
 さて、このボーナスへの満足度はどうだろうか。回答で最多を占めるのは「普通」という感想だが、「非常に/まあまあ満足」が28.2%であるのに対して、「やや/かなり不満」が39.6%と、不満が強く出ていることがわかる。この傾向はほぼ昨年と同様だ。

  成果主義型の人事制度の浸透率は年々高まっており、今回の調査でも「今後導入予定」を含めると成果主義導入率は80%に達する。つまり、それだけ年功序列に沿ったボーナスではなく、部署や個人の業績がボーナス額に反映される傾向が強まっている。

  そのため「不満」と答える人の理由にも、大きく二つの傾向が出てくる。一つは同業他社、異業種と比べて支給額が少ないということだが、もう一つ、「正当な評価がされているとは思えない」という評価システム自体への不満も根強いものがある。アンケートでも65.4%が「正当な評価がされていない」と回答している。
2004年冬に比べてボーナスは増えた?減った?不満派が満足派を上回る!2005年冬のボーナス額・満足度
【Part2】評価を上げるためには、頑張るしかない? 〜エンジニア座談会〜
 ボーナスをもらったばかりのソフト系エンジニア3人に集まってもらい、冬のボーナスについて、何が満足でどこが不満か、今後、ボーナスをアップさせるためにはどうしたらよいか、本音を聞くことにした。
座談会出席者プロフィール
Oさん Iさん Sさん
Oさん(29歳)
Iさん(28歳)
Sさん(26歳)
光学メーカー系システム会社/画像処理ソフトウェア開発/大学卒/勤務歴7年目/独身
医療器械メーカー/ソフトウェア開発/大学卒/勤務歴7年目/独身
総合電機メーカー系SI企業/金融システム開発/大学院修士/勤務歴3年目/独身
◎2005年冬のボーナ ス
501,600円(額面)
411,486円(手取り)
2005年冬のボーナス
623,530円(額面)
500,987円(手取り)
2005年冬のボーナス
500,000円(額面)
340,270円(手取り)
グループ連結で、個人、部署、個社の業績が吸収されてしまう
──2005年冬のボーナス、いかがでしたか?
0:
月給換算でいうと、04年冬が2.6カ月だったのが、今期は2.2カ月と大幅ダウンです。いいときは3.1カ月ぐらいありましたから、なんか絶望的。でも、まだ夏よりはよかった。だって、夏は一部現品支給ってことで、そんなに欲しくもなかった親会社の製品を支給されたんですよ。
私の会社はメーカー系のシステム子会社。業績は悪くないんだけれど、親会社の業績がよくない。連結経営だから、結局、ボーナスもそれに連動してしまって……。親会社より多く支給できないってことはわかるんですが、こういうときだけは連結されちゃうのは困るなって思ったりしますね。
I:
私の会社も前年に比べたらあまりよくないです。外国製品に追われて、なかなかいま苦しいんです。ボーナスのベースも前年冬が2.4カ月だったのが、2.3カ月に減りました。先輩の話なんか聞くと、いいときには特別賞与が出たっていいますからねえ。
ただ、個人的には05年春に基本給のベースが上がったんで、04年冬よりもアップしています。05年夏との比較だと、夏は額面で60万円を切っていましたから、今回少しはアップしたという感じです。
S:
私のボーナスの構造は2つに分かれていて、本賞与が47万円、インセンティブ賞与が3万円で計50万円ジャストです。基本給の昇給分が反映されて、04年冬よりは2〜3万円アップしました。でも金融システム投資の好調で、部の業績はいいんだからもっと欲しいなあと。ちなみに手取りがこんなしかないのは、持ち株会への出資金や組合費など控除分が16万円以上あるためです。
うちの場合、年初に本賞与の年間支給額が決まってしまい、それを夏と冬で半分ずつにわけるから、冬は夏とほぼ一緒の金額になります。インセンティブ給与というのは、0〜10万円まで幅があると聞いていますが、どういう基準でそれが決まるのかはよくわからないところがあります。
評価はされるが、それがボーナスに反映されない不満
── 社内において、個人の成果をどう評価するのかとか、その評価結果がボーナスにどこまで反映されているのかとか、悩ましい問題がありますね。
I:
私は直属上司の評価はまあまあでしたが、その上の部長級からの評価は非常に高かったんですよ。前回と比べると1.2倍ぐらいの評価点をつけてもらっています。ただ、ボーナスにそれだけの差はたぶんないと思います。
S:
うちは私たちの上の30代のエンジニアの層が厚い。でも、彼らは基本的に年功序列なんですよ。これが一種の既得権みたいになっている。20代については、上司からの評価はもちろんあるけれど、その差が昇給昇格、ボーナスに反映されているかとなると疑問。ただ情報処理試験などの資格を取らないと評価は上がらないよ、とは言われています。
インセンティブ賞与というのも曖昧で、誰が見ても明らかに仕事の出来不出来がはっきりしている人は差がつくけれど、そこそこ頑張っている人だと、会社も差がつけにくいようで、一律になってしまう。制度としてあまり意味がないような。
ボーナスアップのためには、自分しかできない仕事を確立すること
──そのなかで、次のボーナスを確実にアップさせるためには、どうしたらいいでしょうか。
S:
ほとんどが親会社経由の仕事だし、業績も結局は親会社に連動する。黙っていても給料はもらえるという半面、「このままでいいのか」という気持ちはありますね。もっと自社から技術を発信するという姿勢があってもいいと思う。だから私も、この温室みたいなところがいやで、転職を考えています。
0:
業績低迷のなかで、自分一人だけ突出して評価を上げていくのは難しいですね。だから、会社の業績を上げていく、そのために努力するしかないと思っています。いま自分がかかわっている新製品は試作品のユーザー評価が高い。これが売れれば来期は少しはよくなるかなと期待しています。
I:
メーカー系の場合、やはり新製品が出て売れないとボーナスは上がらないという構造がありますよね。そのなかでいかに自分の評価をアップさせるかといったら、やはりプロジェクトの中で自分の発言力を高めていくことですね。自分のチームや部署の中で、自分にしかできない仕事をいかに数多く作っていくか、だと思います。私の場合は、組み込み系ですから、ハードウェアがわかっているということを強みにしていきたい。ハード仕様面からソフトウェア開発について意見を言っていくことが大切だと。
──最後に、冬のボーナスの使い道を聞かせてください。
I:
そろそろ独身寮を出なくてははいけない年齢なので、来年の引っ越し資金。それと車のローン、国内旅行の準備、ですね。国内旅行は今のプロジェクトが一段落しないと休みがもらえませんけれど(笑)。
0:
私も引っ越しを予定しています。あとはせいぜい新しいPCを買うぐらいかな。
S:
技術書をまとめ買いします。会社がなかなかこのあたりを支援してくれないので、仕方がありません。それと株式投資を少しやっているので、そのための軍資金補充。株は資産形成というより、ほとんど趣味のようなもの。今年は全体に負けが込んでいるものですから(笑)。
【Part3】30代は 「格差年代」。20代後半のためのボーナスアップ戦略とは
連結経営のマイナス面がボーナスに出る?
 景気回復は明瞭になり、冬のボーナスは製造業が前年に続き高い伸びを維持するとともに、非製造業も伸び率が拡大している。しかし、同じ製造業でも、業績はまだら模様で、ボーナスの企業間格差が広がっていることもたしかだ。

  たとえ一事業部の業績がよくても、会社全体の業績が伸びないと、なかなかボーナスに反映されない。また、グループ企業の中の子会社、孫会社に属している場合、単一でみれば業績がアップしていても、親会社への“遠慮”からボーナスを奮発することができないという構造も、基本的に変わっていない。そうしたグループ経営・連結経営のマイナスの側面が、ボーナスに現れると、もらうほうとしてはモチベーション維持に苦労する。
30代ではボーナスにもっと差がつく
 企業は、この10年ほどの成果主義賃金体系への移行で、個人の支給額に格差をつける方向で進んでいるが、座談会の様子を見る限りでは、20代ではまだ明確な差が現れていないようだ。そのことは人によって「安心」ともうつるし、「不満」ともとらえられる。30代、40代に比べると20代は、成果主義を徹底しにくいという面はあるものの、この“曖昧さ”が不満の温床になっていることは否めない。

  ただ、30歳に近づくにつれてその差がはっきりしてくることも事実。企業によっては、同期の大卒社員で3倍以上の格差というところもある。

  こうした「格差年代」に備えて、今から準備しておくことが大切だ。幅広い技術知識、業務知識はもとより、その人でなければできない特化した技術を習得し、そのアドバンテージを日常の仕事の中でたえずプレゼンテーションし、証明していくという姿勢がこれからは欠かせなくなるだろう。
30代は会社業績と個人の実績で評価が決まる?
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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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成果主義の浸透とともに、給与体制も年俸制制度を導入する企業が増えてきました。これまで年功序列に従い支給額が増えていった時代から、会社の業績と曖昧な評価基準とで先が見えないボーナスに対して、期待がもてる人、もてない人の明暗がよりはっきりしてくるでしょう。でも、目先の評価を上げるより、自分の成長を意識して、スキルが高まる仕事がしたい、お金は、その後についてくるものという今回の座談会のみなさんの言葉に私も励まされました。皆さんの今回のボーナスはいかがでしたか?
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