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オレの技術は使えるのか?異業種転職したエンジニアの本音(2)IT・コンサル編 責任は重いが「経営者の視点」がわかる アビームコンサルティング
企業のシステム投資の回復で、IT・コンサル業界が再び活性化している。激しい競合を勝ち抜くためには、現有勢力だけでは手いっぱいで、異業種エンジニアへの採用戦略を強める企業もある。第1回目の「自動車編」に続く第2回目は、「IT・コンサル編」だ。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/高橋マサシ イラスト/関根庸子) 作成日:05.11.02
PART1:転職状況が厳しい中、業務知識、ユーザー経験、ITの提案力を生かす
 IT・コンサル業界で生かされるのは、やはり旬の技術を、プロジェクトを通して実現した経験だ。技術の専門性と、一社にとどまらない幅広い業務知識、そしてマネジメント力が求められる。
IT・コンサルティング業界が熱望する異業種からの実務経験例
 IT・コンサルティング業界はかつては高賃金が魅力で、異業種からの転職者にとって憧れの業界のひとつだった。「未経験で潜り込み、数年で一人前の顔をする」という転職例も多かった。
 しかし、現在の同業界には未経験層を広く採用するだけのキャパシティは少なく、経験者の即戦力採用に傾いている。この場合、やはり確実なITスキルとプロジェクトマネジメント経験は必須だ。一方で転職者の転職動機も、「社内の業務改革をIT専門家として経験したので、今度は世の中のビジネス全体を変えたい」といった、いわば部分最適から全体最適を志向する例が増えてきた。
 一般にユーザーサイド(事業会社)からサービスサイド(IT・コンサルファーム)に回ると、仕事のスタイルそのものがガラッと変わる。コンサルタントならいきなり経営層を前にしてのプレゼン、ITエンジニアなら顧客の語る内容の半歩先を行く提案力などが必須となる。それだけ高いプロ意識が必要なのだから、やはり異業種転職は簡単ではない。
 近年は、ユーザーサイドとサービスサイドを、何度か行き来する転職例もまれではなくなった。こうした往復を通して、知識と経験の幅をスパイラル的に高める道も開けている。

PART2:物流大手企業からアビームコンサルティングへ
 物流専門大手で物流情報システムの開発や、荷主企業へのコンサルティングなどを経験したエンジニア。2000年にアビームコンサルティング(当時はデロイト・トーマツ・コンサルティング)に入社。クライアント企業の多様なニーズに幅広い問題解決を提供できるのが、現在の仕事の醍醐味だという。
「経営者の視点でビジネスが見えるようになった」物流専門会社からコンサルティングファームへ移った四十谷裕之さん
もっと経営の勉強がしたいと大学院へ
 前職は物流大手。自社で提供する3PL(サードパーティ・ロジスティクス)サービスやSCMソリューションを、製造業向けに提案・提供するのが四十谷さんの仕事だった。在職12年で物流システムコンサルタントとしての専門性は培ったが、多様な顧客ニーズに対して提供できるのは、あくまで自社のソリューション・メニューだけ。

「クライアントからの依頼は物流コスト低減だけを目的にしているように見えても、真の願いはサプライチェーン全体の業務改革にあったりします。そのためには、制約条件を付けない、聖域を取り払った、幅広く柔軟なソリューション提供が必要」という思いは募る一方だった。
 その自己課題を解決するために、経営者と同じ視点で物事を考えられるよう、自分自身を自己武装する目的で、2年間大学院で経営を学んだ。これを機に、物流専門会社から、より視野の広いコンサルティングファームへの転職を決意した。
重圧の中で生まれた中国ビジネスの支援
 アビームへの転職後は、専門のITロジスティックを得意分野としながらも、それにとどまることなく、クライアント企業の株主価値を上げる全社改革などに取り組む。
「クライアントの経営トップと相対して話をするため、最初のころはかなりの重圧。一業務システムの改善提案にとどまっていた前職とは随分異なります。加えて、ソリューションを特定できない『もやっと』した経営課題に対し、日夜遅くまで議論を戦わせて右往左往しながら、結論を導き出さざるを得ないことも多々ありました」

 四十谷さんの業績のひとつが、大手文具メーカー、コクヨグループの中国現地法人が展開する、オフィス用品カタログ通販事業の構築支援。新規ビジネスモデル構築に一からかかわり、マーケティング戦略や営業戦略の策定、コールセンターの設置、3PLベンダー選定等を行い、今年6月から無事に事業を開始した。
 そして、コクヨの黒田章裕社長とともに写った四十谷さんの写真は、「Real Partner」キャンペーンとして8月に新聞広告、機内誌、専門誌等に掲載された。
「経営者の視点からビジネス課題を見ていけるのは、総合コンサルティングファームならではの醍醐味。ただ、責任の重さは増す一方ですけど(笑)」
四十谷裕之さん
製造/流通事業部
シニアマネージャー
四十谷裕之さん(41歳)
コクヨグループ中国現地法人のオフィス用品カタログ
四十谷さんが担当したコクヨグループ中国現地法人のオフィス用品カタログ
 
朝倉美奈氏
人事部
朝倉美奈氏
人事の話:評価されたのは【専門知識とプロジェクトマネジメント力】
 当社の数ある事業部のうちでも、製造/流通事業部はコンサルタントの人材ニーズがとりわけ高いところのひとつです。多くのお客様の新しい案件をお受けするためには、まだまだ多くのリソースが必要です。
 四十谷さんのように物流業界の業務知識とPL/PMとしての経験が豊富で、なおかつ経営視点に立ってビジネスを考えていこうという志向性のある人材は即戦力です。今までの知識や経験に満足せず、さらに知見を広げ、より上質のサービスを提供していこうという意欲と活力、実行力が求められています。

PART3:IT・コンサル業界への転職を成功させるカギは「プロジェクト経験」
 はっきりいえば、以前ほどIT・コンサル業界への異業種転職は簡単ではない。ユーザーサイドからサービスサイドへの転職例でも、単なる業務知識以上の実績が問われるようになってきた。重視されるのは実際にプロジェクトを担当した経験だ。
業務知識だけでは難しいIT系への異業種転職
 SI会社などのIT企業やコンサルティングファームへの異業種転職では、事業会社から移る流れがある。例えば、金融機関の社内SEや、金融系システム子会社のシステム構築担当者が、金融分野を強化したいSI会社やファームに、SEやコンサルタントとして転職する例だ。
 この場合、専門技術は変わらないが、それをユーザーとして利用する側から、IT企業として顧客に提供する側へと立場が移行することになる。

「第二新卒層の若手ならまだしも、30歳前後の経験者となると、この流れはけっして太いとはいえません。かつては、コンサル対象業界の業務知識が豊富であればそれだけで評価されたものですが、今は業務知識に加えて、実際の開発経験、プロジェクトや外注管理の有無やその中身が、吟味されるようになってきました」
 というのは、リクルートエイブリックの村山雅哉氏。なかには「社内SEの経験者」というだけで採用に二の足を踏む企業もあるという。
IT業界のスピード感についていけるかが課題
 その理由として、IT・コンサル業界における、プロジェクト管理の重要性が増してきたことが挙げられる。実際にどれだけの人員・規模のプロジェクトを回してきたのかという点が、即戦力採用のポイントになるのだ。また、「スピード感」の違いも重要。通常の社内SEは、どちらかといえば外部ITベンダーやコンサルからのソリューション提案を待つ立場。この姿勢に慣れきっていると、IT業界の革新の速さに戸惑うことになる。

 逆にいえば、プロジェクト経験やそこで培った経営感覚、あるいはスピード感を身につけている人なら、事業会社からの転職も十分可能。村山氏は次のようにアドバイスする。
「製造業のCADエンジニアが、そのCADソフトの開発・販売元のアプリケーション・エンジニアや導入コンサルタントに転身する例はときどき見かけます。より深い専門性やユーザーとしての経験を体系化できる視点があれば、サイドが変わってもそれは通用する。採用スペックがピンポイント的に当てはまることは十分ありうるので、長いスパンで求人情報を探索することが大切です」
村山雅哉氏
リクルートエイブリック 
第一ビジネスユニット
IT通信サービスマーケット CA1グループ
グループマネジャー
村山雅哉氏

IT・コンサル業界への異業種転職を成功させる方法:サービス提供側に視点を移して、プロジェクトスキルとスピード感覚を磨こう
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  高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ  
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
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四十谷さんのコクヨの中国プロジェクト、掲載しているカタログを撮影したのは、今回の取材で四十谷さんを撮影したカメラマンでした。偶然ってあるものですね。カメラマンは上海に1カ月滞在して、何千カットも撮ったそうです。最終回である3回目の異業種転職は「家電編」です。どうぞご期待ください!
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