平均貯蓄額504万円！エンジニアの給与と貯蓄を大検証

Ｔｅｃｈ総研が2005年8月に行った、25～35歳のエンジニア200人を対象にした給与調査から、今回は収入、貯蓄、小遣いに絞って紹介しよう。調査対象者たちの平均年収が583万円で、貯蓄額504万円という数字は、あなたの財政と比べるとどうだろうか。

（取材・文／広重隆樹　総研スタッフ／宮みゆき　イラスト／kucci(クッチー)　撮影／加納拓也)　作成日：05.09.07

年収8割以上の平均貯蓄額!?

　今回の調査では年収の全体平均が583万円である。職種別では高い順に「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」（798万円）、「セールスエンジニア、FAE」（709万円）、「光学技術」（700万円）、「ハード系研究、特許、テクニカルマーケティング」（682万円）となっている。調査対象の母数が少ないだけに、厳密な意味での賃金統計とはいえないが、それでも一つの傾向はうかがえる。（DATA1）

　毎月の貯蓄額には３つの山がみられた。一つは「月々２万～３万円程度」、二番目が「月々５万円」、そして「月々10万円以上」という人も17％いる。貯蓄していないのは全体の7％程度だ。

　貯蓄方法で最も多いのは、銀行預金（61％）で、財形貯蓄（18％）、株式投資（8％）と続く。（DATA３）実際はいくつかの方法を組み合わせるケースもあると思われるが、投資信託、外貨預金などは少ない。超低金利の時代にいまなお銀行預金に頼る人が多いのは少し驚きだが、マネービルディングには関心が少ないのかもしれない。

　それでもエンジニアの貯蓄額は少なくない。現在の貯蓄額は全体平均で504万円。ほぼ年収の8割以上の貯蓄があるということになる。総務省が発表している全国消費実態調査によれば、シングル世帯の平均貯蓄高は、30歳未満の男性で161万円、30～39歳でも498万円というから、それに比べても高い金額だ。これをもってして、「エンジニアの貯蓄額は平均よりも突出している」と言い切ることはできないものの、かなり健闘している数字ということはいえるだろう。

DATA1　職種別で検証！エンジニアの平均年収・貯蓄額・お小遣い

職種分野	職　　種	平均年収	貯蓄額	ひと月のお小遣い
ソフト・ネットワーク関連	コンサルタント、アナリスト、プリセールス	798 万円	758 万円	14 万円
	システム開発（Web・オープン系）	579 万円	431 万円	5 万円
	システム開発（マイコン・ファームウェア・制御系）	550 万円	447 万円	4 万円
	システム開発（汎用機系）	540 万円	454 万円	6 万円
	ネットワーク設計・構築（LAN・Web系）	637 万円	621 万円	6 万円
	パッケージソフト・ミドルウェア開発	564 万円	489 万円	5 万円
	運用、監視、テクニカルサポート、保守	580 万円	693 万円	7 万円
	研究、特許、テクニカルマーケティング、品質管理ほか	567 万円	666 万円	6 万円
	社内情報システム、MIS	654 万円	506 万円	4 万円
	通信インフラ設計・構築（キャリア・ISP系）	596 万円	559 万円	6 万円
ソフトウェア・ネットワーク関連　合計		591 万円	525 万円	6 万円
ハードウェア関連	サービスエンジニア	632 万円	604 万円	3 万円
	セールスエンジニア、FAE	709 万円	850 万円	5 万円
	回路・システム設計	496 万円	950 万円	4 万円
	機械・機構設計、金型設計	501 万円	287 万円	4 万円
	研究、特許、テクニカルマーケティングほか	682 万円	700 万円	5 万円
	光学技術	700 万円	750 万円	3 万円
	制御設計	498 万円	517 万円	3 万円
	生産技術、プロセス開発	557 万円	308 万円	4 万円
	半導体設計	620 万円	800 万円	5 万円
	品質管理、製品評価、品質保証、生産管理	601 万円	418 万円	5 万円
ハードウェア関連合計		568 万円	461 万円	4 万円
総計		583 万円	504 万円	5 万円

年収が高ければ貯蓄も多い。ソフト系がハード系を60万円上回る

　貯蓄額を職種別、つまりソフトウェア・ネットワーク系（コンサルタント、システム開発、ソフト開発、ネットワーク設計、運用・監視、テクニカルサポート、研究・特許関連などを含む）とハードウェア系（回路・システム設計、半導体設計、機械設計、品質管理、生産管理、セールスエンジニアなどを含む）に分けてみるとどうなるだろうか。ソフト・ネット系が525万円であるのに対して、ハードウエア系は461万円と60万円以上の開きがある。これはほぼ現在の年収に比例している。ソフト・ネット系の平均年収が591万円であるのに対して、ハードウェア系は568万円だからだ。

　先にみた職種別年収の上位、「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」（貯蓄額758万円）、「セールスエンジニア、FAE」（850万円）、「光学技術」（750万円）、「ハード系研究、特許、テクニカルマーケティング」（700万円）は、貯蓄額でもいずれも上位にランクされている。年収が多ければおのずと貯蓄も多い、という当然の傾向がうかがえる。

　貯蓄額は年代によって当然差があるもの。20代後半だと平均393万円と、400万円に達しないのに対して、30代前半になると536万円と増える。ただし、これも結婚などライフスタイルの変化を機に増減する可能性はある。たとえば結婚資金としていた貯金は、結婚を機にかなりの部分が支出されるが、結婚後はしばらくダブルインカム・ノーキッズ（DINKS）の生活が続くので、貯蓄額が増えていく、といったパターンだ。
　一般的には、この DINKS 時代が生涯家計資産のベースをつくる時期といわれており、この時期にどれだけ蓄財に励むかで、40代、50代の貯蓄も変わってくる。

DATA2 同年代より年収は多い？少ない？

DATA3　エンジニアの貯蓄方法は？

1位	銀行預金	61%
2位	財形貯蓄	18%
3位	していない	10%
4位	株式投資	8%
5位	郵便貯金	4%
6位	その他	3%
7位	住宅公庫	2%
7位	投資信託	2%
9位	外貨預金	1%
9位	保険	1%

月々のお小遣い平均5万円。ほとんどが飲食費に

　貯蓄に励みたいのはやまやまだが、しかし20代、30代はまだまだ遊び盛りでもある。たとえ結婚したとしても、子どもが生まれる前は、若い夫婦で年に一度は海外旅行、月に一度は豪華ディナーなどというカップルも多いはず。たとえ夫婦単位で行動しなくても、何かと出費の多い年代ではある。そこで聞きたいのが、月々のお小遣いの金額だ。

　平均では5万円という数字が出た。これも、ソフト・ネット系が6万円、ハードウェア系が4万円と、職種による差が見られる。なかでも平均年収、平均貯蓄額でもトップだった、「コンサルタント、アナリスト、プリセールス」職種では14万円と突出している。ただ、ほかの職種ではそれほど大きな差は見られない。また、20代後半と30代前半での年代差も大きくはない。

　主な小遣いの使い道としては、自由回答形式で答えてもらった。たとえば、「食費3万円、飲み代2万円、交友費1万円、ショッピング2万円、雑費1万円」（計9万円、外資系大手・システム開発・25歳）というリッチ派がいるかと思うと、「お菓子5000円、飲み代5000円」（計1万円、国内大手・研究・特許関係・27歳）というつつましい派まで、さまざまだが、全体的には小遣いの大半は飲食代に消えているようだ。