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SFロボット実現秒読み!世界がひれ伏す日本のモノづくり魂<前編> ロボカップ連覇!「Team OSAKA」精鋭ベンチャーたちの熱き魂
いよいよロボットの実用化が近づいてきた。大手企業だけではない。愛知万博やロボカップ2005大阪世界大会などでは、ベンチャーの活躍も目立つ。燃えたぎるロボットベンチャーのエンジニア魂を2回にわたってお届けする。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/宮みゆき  撮影/宮田雅臣) 作成日:05.08.31
世界2連覇!最先端ロボットを繰り出すドリームチーム「Team OSAKA」
 先ごろ大阪で開催された『ロボカップ2005大阪世界大会』。世界35の国と地域から400を超えるチームが参加し、ロボットによる各種の競技会が行われた。ダンスやレスキュー、サッカーなどさまざまなカテゴリーで熱戦の中、最も注目されたのは1チーム2体の2足歩行ロボットによって競われるロボカップサッカー『ヒューマノイドリーグ2on2』だろう。  

 そこで2連覇を飾ったのが、プレイヤーであるVisiON NEXTA(ヴィジオン ネクスタ)を開発したTeam OSAKAだった。Team OSAKAはロボカップを通して「RT(ロボット技術)都市・大阪」をアピールしようと、企業や大学の研究者によって結成されたロボットの研究開発のコンソーシアム(下記コラム参照)。他チームを寄せつけない圧倒的な強さを誇るTeam OSAKAの監督を務めるヴイストンの大和氏は次のようにチームの成り立ちを語る。

「世界レベルの競技会という過酷なフィールドで勝ち抜くという目標は、ロボット技術を究めようとするエンジニアの大きなモチベーションになります。そこで大阪を中心に、ロボットの進化に必要な要素技術を持った研究者やエンジニアが集結してTeamOSAKAが生まれたのです」
  この大会は彼らにとってお遊びではない。実際、チームメンバーは地元開催や前回優勝というプレッシャーに耐えながら、寝る時間を惜しんでVisiON NEXTAの開発に当たった。大会期間中も毎日深夜まで、いや試合開始ギリギリまで調整を重ねていた。

「突然フリーズしてしまう問題、会場の照明によるボール誤認の問題など、最後までてこずっていました」
  大和氏が試合後のインタビューで語ったように、試合直前のピット作業の緊張感はFIレース当日のそれを彷彿とさせた。
 最後まであきらめない……。そんな、エンジニアとして今できる最善・最大の努力を投入していこうという気概が、今大会の完全優勝をもたらしたのに違いない。
大和氏
「Team OSAKA」世界2連覇の舞台裏を熱い口調で語るヴイストン大和氏
ロボカップ2005大阪世界大会とは
“2050年、サッカーの世界チャンピオンに勝てる自律型ロボットのチームをつくる”を目標に、1997年から始まった、世界的なランドマーク・プロジェクト。世界各国のロボット工学や人工知能のエンジニアが参加し、最新のロボット技術を競う各種の競技会が行われる。今年の開催地は大阪で、世界35の国と地域から史上最多の419のチームが参加した。年々、世界のロボット技術者の技術の急速な進化がうかがえる。数ある競技の中で最も大会コンセプトを体現している『ヒューマノイドリーグ2on2』は、1チーム2体のロボットで行うサッカー。ロボットは遠隔操作ではなく、ボールとゴールをセンサなどで認識し、自らシュートしたりセーブしたりできる完全自律型。
先端技術を持ち寄って開発された『VisiON NEXTA』
華麗なシュートを次々と披露!
VisiON NEXTA
 
 前回のロボカップ2004年リスボン大会でも優勝したTeam OSAKAが、今回の大会に向けて新たにつくり上げてきたのが、身長47.5p、体重約3.1 kgの、完全自律2足歩行型ロボットVisiON NEXTAである。

 今回の大会でもほかのロボットを寄せつけない圧倒的な強さを見せたVisiON NEXTAは、動作制御を行うCPUと、画像処理や無線LAN通信を行うCPUをそれぞれ搭載。加えてバランスをとるために搭載された3個のジャイロセンサーで優れた運動性能を誇るほか、360度を瞬時に見渡せる全方位センサーによってボールを素早く捕そくして試合を優位に進められるといった特徴をもつ。さらには無線通信により2体のロボットでパス交換を行うなど、人間にまた一歩近づいたプレーが可能になった。
ロボットにかける情熱が産学の垣根を越える
 VisiON NEXTAがそうであるように、最新の自律型ロボットは制御、AI、精密加工、画像認識、モーター、素材など数多くの先端技術が統合したものである。ロボカップで勝つようなロボットをつくるには、世界最高レベルの要素技術をすべてそろえることが望ましい。抜きん出るには多くのエンジニアを擁す大企業のほうが有利といえるだろう。だがTeam OSAKAのように立場が異なる研究者やエンジニアたちが目標をひとつにしてコラボレートするスタイルは、大企業のロボット開発技術を凌駕する可能性を導き出す。そこで必要になるのが求心力だと大和氏は言う。
「個々で開発するよりも、それぞれが得意とする技術を持ち寄り、ひとつの目標に向かったとき、素晴らしい成果が生まれるのです。ロボカップはチームのベクトルをひとつにする役割を担ったのです。そこには産も学もありません。ロボット開発にかける情熱が垣根を取り払い、大阪のモノづくりの力を世界に示すことができました」

  大和氏が代表取締役を務めるヴイストンも、一般家庭で活躍するパートナーロボットの開発に取り組んでいるベンチャーだ。同氏は、ロボカップ優勝はゴールではないと語った。 「ロボカップ優勝を目指して頑張れるのも、そこで得た技術をベースに、自分たちの手で多くの人々に愛されるロボットをつくり上げたいという夢があるからです」  
 小規模でありながら高度に特化した技術をもち、他社とどんどん協業することで、世界最高水準のロボットを世に送り出す技術を整えるスタイルは。今後のロボット産業におけるひとつのビジネスモデルになるかもしれない。
転倒しても自分で
起き上がることが可能
敵のシュートを感知して
ナイスディフェンス
試合直前!
緊張のプログラミングチェック
TeamOSAKAとは
ロボカップで勝つことを目的に結成された、次の5つの企業および研究所から構成される組織。
ヴイストン株式会社
全方位センサーをはじめとする、大阪大学石黒教授の研究成果の実用化を目指して設立された産学連携ベンチャー
株式会社システクアカザワ
航空機開発にも活用される高度な精密部品加工技術をもちTeam Osakaには開発費の一部も提供
ロボ・ガレージ
ロボットクリエーター高橋智隆氏が創業した、京都大学初めての学内入居ベンチャー
大阪大学石黒研究室
ロボット技術、センサー技術を中心に、人間とかかわり、日常的社会の中で活動できるロボットの実現に向けた技術を研究
株式会社国際電気通信基礎技術研究所
チームにモーションエディタやセンシング技術を提供するほか、ロボットの商品化の技術バックアップも行う
Team OSAKA
〈前列〉 ヴイストン・今川氏 ヴイストン・高山氏
〈後列〉 ヴイストン・前田氏 ロボ・ガレージ・高橋智隆氏
ヴイストン・大和信夫氏
システクアカザワ・赤澤洋平氏
夢の力の大きさを見せた、はじめ研究所
 ロボット技術の精鋭企業や、大学研究所の力を結集して見事優勝したTeam OSAKAと、場内の期待を分け合ったロボットがあった。有限会社はじめ研究所の『はじめロボット15号機』だ。このロボットが注目を集めたのは『ヒューマノイドリーグ2on2』で3位に入ったからだけではない。同研究所代表の坂本元(はじめ)氏たったひとりで開発されたからだ。Team OSAKAに限らず、試合では数人から十数人の開発者で盛り上がるほかのチーム。そんな中、ひとりでロボットのセッティングを行う坂本氏の姿は異彩を放っていた。夢を追い続けて、ここまでこぎ着けたと同氏は語る。
  「中学から高校にかけてガンダムを見て感動し、将来はロボットをつくろうと思いました。大学は理工学部で制御を専攻、就職は大手メカトロニクス企業。すべて、ロボット開発に向けた選択でした。そして2002年に夢としてもっていたガンダムのような2足歩行ロボットの開発に着手。メカに関してはゼロからの勉強でしたが、試作を重ねるごとに運動能力を上げていきました」

  夢を追い続けて魅力的なロボット開発を実現した坂本氏だが、独力の限界は見えていないのだろうか。この質問に同氏は次のように答えてくれた。「私は独力にこだわっているわけではありません。今後はいろんな技術をもった企業とコラボレートしていきたいとも考えています。この大会でも世界各国のロボット開発者と技術やノウハウの教え合いができました。夢を共有する人々とオープンに接していくことで、不可能も可能になります」
 ロボット開発の最前線は出し抜き合いではなく、インターネット初期のようにオープンな技術交流が息づいているようである。

坂本元氏
有限会社はじめ研究所
代表取締役 坂本元氏
坂本元氏
会場のデモンストレーションで子どもにロボット操作をレクチャーする坂本氏
次回(9/7)は、世界最大のレスキューロボットを開発したテムザック、人間そっくりのアクトロイドで注目のココロ、ロボットスーツ「HAL」のサイバーダインが登場します。
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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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ロボカップ2005大阪世界大会では、ヒューマノイドタイプ以外にも中型ロボットリーグで、慶應義塾大学チームが優勝。「卒業してもロボット開発に携わる仕事をするの?」と、表彰式後のレセプションで尋ねたところ、一人の女子学生がこう答えてくれました。「もちろん!直接ロボットに携われなくても、今学んだ技術を生かしたエンジニアになりたい」。思わず胸が熱くなっちゃいました。日本のロボットの先端技術を担う彼らを心から応援したい。ホントそう思います。
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