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若きベンチャー経営者があえて転職市場に挑戦!大企業→外資系に選社基準を転換 希望の企業に再転職したE・Yさん
E・Yさんは大学在学中にホスティングの会社を起業し、軌道に乗せた経験をもつ。一度は社会を知ろうと転職サイトを使って電力会社に転職したが、自分に合わないと判断し再び転職活動を開始。今度は失敗すまいと自分なりの“3つのルール”を設けて……。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:05.07.27
Profile
大手SI企業 システムエンジニア E・Yさん(27歳)
大学院時代にネットベンチャーを起業。そこそこの収益を上げるが、一度は大企業に勤めてビジネスの仕組みを見たいと考え、某電力会社に就職。システムエンジニアの道を歩みだす。
転職活動1回目:父親の期待にこたえ、電力会社に就職する
 起業家としての成功に疑問を抱き、急きょの転職活動
転職1回目(26歳)業種:電力会社/職種:システム保守
転職理由
大組織で運営の仕組みを学びたかった
企業選びの条件
大企業であること
転職で犠牲にしたこと
経営者の地位と収入
転職活動で工夫した点
職務経歴書を友人に見てもらった
活動期間
2カ月
活動方法
転職サイト
内定社数/応募社数
1社/3社(2社は辞退)
転職活動の反省点
転職はマイナスという意識 自分の意思より親の意向を優先したこと
 大学で環境工学を専攻していたのだが、折からのネットブームに便乗し、ITに強い友人とともにインターネットのホスティングビジネスを起業した。テニスサークルの運営などを通して人材マネジメントに自信があったので、組織づくりの中核を担った。学費と生活費分を稼ぐつもりで始めたはずが予想以上に儲かり、大学院に進んだころには会社はいっぱしの企業になっていた。このまま経営を続けるのが順当なのだろう。だが、自分の中に釈然としないものがあった。もっと社会の仕組みを見たり、大きな組織にもまれたりしたほうが、後々のことを考えたらよいのではないかと思えたのだった。そこで少々もったいなかったが修士課程の修了と同時に経営を下り、後は共同経営者の友人にゆだねて、自分は就職することにした。ちなみに、今もその会社は立派に存続している。
 通常の就職活動時期は既に終わっていたこともあり、中途入社の市場に自分を売り込むしかなかった。
 流れの中で決まった会社選び
 当時のアピールポイントとしては、IT企業の経営を通して得たマネジメントとWeb系システム構築をトータルに行って培った技術とノウハウである。20代半ばの人間に管理職を期待するニーズはないだろうから、必然的にシステムエンジニアを募集している企業にアプローチすることになった。経営者の椅子から下りてまで転職するのだから、社会や組織を学べる環境にこだわり、大手企業にターゲットを絞った。幾つかの転職サイトに登録しつつ、そのサイトに掲載されている企業情報を分析した。

 そうして応募企業を、当時システムエンジニアを募集していた3社に絞った。一つは某電力会社で、残りの二つが大手電機会社と大手SIerである。電力会社に応募したのは、父の影響と意向が大きかった。父は別の電力会社に勤務しており、企業としての安定性や地域貢献の大きさなどをたびたび語っていたし、そんな電力会社に就職することを強く勧めたからである。結果的に、この電力会社に行くことになった。面接日を融通してくれたり、翌年の新入社員扱いで入社させてくれたりと、便宜を図ってくれたことも大きかった。残りの2社は日程的に訪問が難しく、途中で辞退した。何となく、主体的ではなく、流れの中で行き先が決まったみたいだった。
転職活動2回目:外資系・キャリアプランetc……選社基準を明確にして、自分なりの条件をつける
 3つの選社基準を設定して、再び転職活動を開始
転職2回目(27歳)業種:大手SI企業/職種:システムエンジニア
転職理由
会社の風土・環境が合わなかった
企業選びの条件
1. 
外資系
2. 
キャリアプランが自分で描ける環境
3. 
刺激を受けられる人材がいそう
転職で犠牲にしたこと
将来の安定性
転職活動で工夫した点
会社を比較検討する際に自分が譲れない条件を設定し、必ず検証した
活動期間
1カ月半
活動方法
転職サイトとそのオファー、知人
内定社数/応募社数
1社/3社(2社は辞退)
転職活動の反省点
選択肢をもっと広く取ってもよかったかも
 電力会社は1年ももたなかった。新人の意見などまったく聞き入れられず、上司・先輩の経験に基づく判断が絶対の風土だったからだ。確かに安定して電力供給を行う事業のためには、組織をトップダウン的にガッチリ固めたほうがいいのだろう。だが主張を抑えることが苦手な、“ベンチャー育ち”の私には窮屈だったのだ。任された社内システムの保守・メンテナンス業務も、重要な役割と認識していたが、自発性が発揮できない中では退屈だった。いずれ、社歴を増せばシステム部門の責任ある立場で活躍できる日はくるだろう。でも、それまで待てなかった。翌年早々に転職活動を再開した。

 今度も転職サイトを使った。ただ、前回の反省を生かして、自分が本当に満足できる仕事や組織であるか、細かい分析のうえで確実に把握してから応募することを心がけた。また、企業選びに際してはどうしても譲れない条件を設定し、“おいしい話”に安易に流されないようにした。その条件とは、1に年齢より実力を重視する外資系であること、2に自分のキャリアプランを自分で描けること、3に尊敬できる上司や同僚に出会えそうな社風、というものであった。

 再び膨大な求人情報から応募ターゲットを3社に絞り込んだ。最初にアプローチしたのは世界的に事業展開する総合IT企業A社、次は数々のプロジェクト実績で知られる大手SIerB社、最後はコンピュータメーカーとしても知られるSIerC社である。この3社の順に面接に臨むことになった。
 ITコンサルタントになりたい……転職活動を通してキャリア目標が明確になった
 最初にアプローチしたA社からは大きなインパクトを受けた。直接応募はせずに、既にA社で働いていた友人のつてで人事担当を紹介してもらい、すぐに面接してもらえることになったのだが、そこでA社の人材開発にかける並々ならぬ投資を知ったのだ。同社には、社員本人の意を汲んで明確なキャリアパスが用意され、それを支援する数々の教育・研修体制が整っているという。実はそのころになってITコンサルタントという目標が固まりつつあった。A社はコンサル部門ももち、優秀なコンサルタントを数多く輩出している企業としても知られている。それだけに、A社への関心はいっそう高まった。そしてこの人事面接から日を空けずに2次面接が入った。相手は自社システム開発部門のトップだった。A社は、まず自社に最先端のアプリケーションを導入し、その効能を確認してからソリューションとして外販する。つまり最先端部門だ。そのトップの人間と自分の将来的なキャリアプランについて前向きな話ができたのだから心が躍った。A社なら3つの優先条件をすべてクリアできる。

 次いでB社、C社と面接に臨んだ。いずれも仕事内容や社風には好印象をもったし、3つの条件もほぼクリアできるのだが、A社ほど完璧ではなかった。取りあえずA社の対抗馬としてC社を残し、B社を候補から落とした。

 それからさらに1週間後、A社と再度の面接となったが、内々定が出たようだ。面接の内容は待遇条件の調整に関するものだったからだ。その確信どおりにA社に合格。現在は入社したばかりで社内システムの運用を担当しているが、間もなく1カ月間のERPコンサルタントの研修に入る予定だ。ようやく自分が納得するスタート地点に立てたと実感している。
考察:E・Yさんの転職活動1回目/2回目を徹底比較 何が変わったのか?
 E・Yさんの1回目の転職は、本人も言っているように後ろ向きの意識があったようだ。ベンチャー企業の経営者として成功を手に入れたが、それを安易に実力と思わず、一度は企業を経験してみるべきだと考える冷静な判断力があった一方で、「大企業ならどこでもいい」という考えは確かに後ろ向きだ。「今の会社が嫌だから、他ならどこでもいい」という考え方と大きく変わらない。どんなケースにしろ、自分がやりたい仕事、なりたいキャリアを明確にできてこそ、探すべき企業が見えてくる。
 本来は考え方が明晰なE・Yさんゆえ、失敗には早く気づき、軌道修正しようとしたのが2回目の転職。今度は自分なりの判断基準やビジョンをもち、それにしたがって活動したところ、満足のいく結果となったようだ。
E・Yさんに学ぶ転職ノウハウ E・Yさんの“3つの選社基準”のように、転職するうえで、自分が決して譲れない希望ポイントを事前に絞り込む
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