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エンジニア給与WAVE! Vol.44会社はスキル研修・セミナーをどう支援しているか?

自らの技術スキルを高めることはエンジニアには欠かすことができないもの。企業には、組織として人材を育成する責任もあるが、実際には自己投資で行っているほうが多い。企業が行うキャリア研修、スキルセミナーなどの教育研修は、今どうなっているのだろうか。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也) 作成日:05.07.13
すべての企業が教育研修を行っているとは限らない
 人材育成のための教育研修。その内容はさまざまだ。新入社員、中間管理職、中堅社員などの階層別研修のほかに、職種に応じた職能別教育研修も行われている。エンジニアなら、コンピュータ言語や特定技術の研修、プロジェクトマネジャー研修、ベンダー資格や国家資格取得のための研修などがある。

 教育研修のスタイルは大きく、OJTとOFF−JTに分けられる。通常の職務の中で研修を積むのがOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)だ。一方、外部機関に社員を派遣して研修を受講させたり、通信教育、合宿研修、海外研修などの機会を与え、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修が、OFF−JTである。OFF−JTのひとつとして、最近は、インターネットを通じた学習方式「eラーニング」を実施する企業も増えてきた。これ以外にも、社員が職業能力を自発的に向上させるための「自己啓発」を企業が支援している場合、これを企業の教育研修のひとつに含めることもある。

 人材は会社の宝でもあるから、こうした教育研修はすべての企業で等しく行われていると考えがちだが、実際はそうでもない。厚生労働省が2003年度に行った「2003年度能力開発基本調査」によれば、OFF−JTを実施している企業は48.7%、計画的なOJTを導入している企業は41.6%という数字。いずれも半数以下というのはいかにもさみしい数字である。

 ちなみに、こうした教育研修に企業が割いている予算については、社団法人日本経営協会が発行した『人材白書2005』に調査データがある。それによれば、人材開発費全体の予算として年間「1000万円以上」という企業が全体の半数を超え、さらに「2001万円以上」とする企業が全体の3分の1を占めている(※調査対象は大手から中小まで252社)。同書によれば、人材開発の年間予算は年々増加しているということだが、例えば従業員1000人の会社が年間2000万円だとすると、一人当たり年間2万円にすぎない。決して潤沢な予算とはいえないところだ。
中小企業やベンチャーのお寒い研修事情
DATA1 勤務先のキャリア研修・スキルセミナーの支援状況 Tech総研が今回行ったアンケートでも、教育研修制度やその実態について、少々お寒い事情が浮かび上がる。キャリア研修・スキルセミナーなどを実施している企業は、全体の35%だった。つまり66%の企業にはそうした制度がそもそもないのだ。(※DATA1)この「支援制度がない」企業の割合は、外資系企業や国内大手よりも、国内中小企業やベンチャー企業で高まる。ベンチャーでは82%の企業が支援制度をもっていない。成長を急ぐあまり、広く人材を育てている余裕がないということなのだろう。

 たとえ支援制度があったとしても、それを有効に活用できているかどうかはまた別問題だ。アンケートでは「支援制度があり、利用した経験がある人」(17%)、「支援制度があるが、利用した経験がない人」(18%)が拮抗するという結果になった。せっかくの支援制度も現実的には利用しにくいのか、そこで研修を積んでも身につかないと初めから見放されているのか、その理由はわからないが、もったいない話ではある。
効果を上げる教育研修の必要性
DATA2 企業が教育研修に期待する効果とは 企業もまた現状の研修制度に問題を感じていないわけではない。『人材白書2005』によれば、人材開発研修を実施するうえでの最大の問題点は「教育研修効果がわからない」(48.4%)ことだという。たしかにどんな教育でもその効果を数量的に把握することは、簡単なことではない。しかし、効果測定の基準もないままに研修が習慣的・惰性的に行われているとすれば、それは問題である。また「教育・研修の時間が取れない」(31.0%)、「費用負担が大きい」(29.4%)ことも企業にとっての大きな課題になっている。いずれも現在の教育研修制度になんらかのシステム的な欠陥があることをうかがわせるデータだ。

 同書によれば、企業が教育研修に期待する効果は、「職務遂行能力の向上」(80%)、「管理職としての能力向上」(75%)、「組織活性化」(57%)などだが、その結果を「人事異動に活用」(29%)したり、「人事考課に活用」(28%)したりしている企業はさほど多くはないという現状も浮かび上がっている。(※DATA2)
 エンジニアの具体的で切実な要求に沿う形で研修メニューを整備し、当然ながら予算も増やし、教育効果もきちんと測定しながら、そこでスキルを高めた人を厚く遇するという対応ができていれば、教育研修に前向きに取り組むエンジニアはもっと増えるはず。教育研修にも一種の“成果主義”の導入が必要なのかもしれない。
DATA3 勤務先企業がバックアップしてくれる研修・セミナーの中身は?
具体的な支援制度の内容
職種
年齢
会社が毎年希望の研修を調査し、承認されれば受講できるネットワーク設計・構築31歳
会社が受講料の90%を負担してくれるコンサルタント33歳
選択式の社内研修や、社外講師による研修のほか、資格取得に関する報奨金や、外部研修費用の会社負担などがある 通信インフラ設計・構築30歳
ポイント制で自分のライフスタイルで好きな研修・セミナーが自由に選べる生産技術37歳
実費で通信教育を受けて、成績に応じて費用が還付される通信インフラ設計・構築30歳
通信教育や各地で行われるセミナー等に参加意思を示し、会社(上司)が認めれば費用を全額負担してくれる 機械設計35歳
自分で必要と思われる講習などは部署の予算内で受講可能。ベンダー資格取得時の報奨金もある コンサルタント28歳
イントラネット上で受けたいコース(社内、社外あり)を選択し、申請して受講する。業務上必要なものや、今後の業務などに関連しそうなものについては、全額会社負担で受講できる運用、監視28歳
試験を受けるとき、受かったときだけ試験料が負担される。落ちたら自己負担システム設計34歳
自分で探した社外講習などでも、上司が認めた場合には、その費用を全額負担してもらえる。ただし、最低限レポートの提出および社内での発表は必須汎用機系システム開発36歳
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  宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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先日会社負担で、あるセミナーに参加しました。もちろん社内メンバーへの情報共有は必須。個人で気軽にセミナーに参加するのとは、そこが大きく違うところ。会社のお金を使うならそれなりの実績を返さなければならないし、それをできる人とできない人が、会社がお金を出したくなる人、出したくない人の分かれ目。当たり前ですが、今後は成果評価と同様に、だれにでも等しく与えられるチャンスではなくなっていきそう。というわけで、ちゃんとレポート書かなきゃ……。
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