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エンジニアがはまるネットツール依存症!会話ナシで仕事は回るのか? 無口な職場に増殖!メールコミュニケーションの罠
社内外の連絡はメールのみ。黙々とPCに向き合うばかりで、職場での会話はほとんどないというエンジニアは多い。そんな会話がない職場であっても支障なく仕事が回っているのか。ミスやトラブルはないのだろうか。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/タラジロウ) 作成日:05.07.06
Part1:メールだけが飛び交う職場で、思わぬコミュニケーション・ギャップ!
 メールやメッセンジャーによる連絡や情報交換はもう常識。だが、それに頼るあまり、誤解を招いたり、仕事上のミスが生じることもある。便利なコミュニケーション手段である一方で、こんな声も──。
相手が読んだかどうかわからない…
メールは相手が読んだかどうかを確認できない。
重要会議にキーパーソンが来ないことがまれに発生する。(ソフト開発・33歳)
うちの上司は、大切なメールでも、読まずに捨ててしまいます(ソフト開発・32歳)
取引先へのメールでは、形式ばった書き方をしないといけないと思い硬い文章にしているが、
先方もなかなか打ち解けてくれない。(ネットワーク構築・35歳)
本来の意図が伝わらない…
受信したメールに「了解」という趣旨で返信しなかったら、
誤って「No」と解釈されてしまった。
(研究開発・25歳)
後輩からのメールに対し、一時の感情で怒りメールを送ってしまった。
メールは記録に残るから恥ずかしい。(システム開発/27歳)
直接話せばいいのに、メッセンジャーで延々と口論してしまい
先輩と気まずくなってしまった。(通信/26歳)
 メールは文章による非同期型コミュニケーションだ。記録が残る、いつでも送っておけるなどの利点があるものの、対面コミュニケーションと違って、顔色が読めない、ニュアンスが詰めにくい、臨機応変な対応ができないなどの弱点もある。
 メールだけに頼らず、ときには別のコミュニケーション手法も考える必要があるようだ。
 
Part2:気づけばネットツール依存症……コミュニケーションロスはどこで起きた?
 メールやメッセンジャーなどネットツールに依存するがゆえの、職場のコミュニケーションの問題を2人のエンジニアに具体的例を通して語ってもらった。あなたの職場にも似たような事例がないだろうか。
CASE1:顔色見ずしてメールに頼ると、後で泣きをみます──システム開発会社・システム開発エンジニア・Nさん・31歳
言葉の揚げ足取りでケンカに
 前の会社では、仕事の打ち合わせは全社メーリングリストで行っていました。新人が間違って「この仕事、ダルいね。早くウチに帰りたいよ」という私信を流してしまい、社長から大目玉を食い、結果的にクビに。メーリングリストは登録者全員に返信されることを忘れ、うっかり送信者に仕事に関係ない内容を返信した経験は自分にもあるので、冷や汗モノでした。

 今の職場でもメールの言葉の揚げ足取りでケンカになることがあります。
 ただ、トラブルメーカーはたいてい決まった人。「また始まったよ」と案外周りは冷静に見ている。でも、職場に気まずい雰囲気が漂うことはたしかですね。
単身赴任の打診も、メールですか?
 以前、「単身赴任で地方の会社へ行ってくれないか」という上司からの打診がメールで来たことがありました。こういう人事にかかわる重要な事項は直接会って話すものだと思っていたが、自分の常識が古いのかな。仕方ないので私もメールで「イヤです」とひと言。それきり何とも言ってきませんが……。逆に不安になります。
いつでも返事ができるとは限らない
 仕事で2、3日職場を留守にすることがあります。メールがたまって読み切れない。外からVPN経由でアクセスはできるものの、客先に長時間いたりするとアクセスする時間もないんです。そういうときに、「なんですぐに返事くれないんだよ」といわれるとムカつきます。
顔色をみれば一発でわかることなのに
 コミュニケーションが取れていないプロジェクトは必ず失敗するというのが私の経験。「進行状況は?」とメールで尋ねて、「進んでいます」とメールで返しても、実際は泥沼にハマっていた、なんてことがよくありますから。こんなの会ってその人の顔色を見れば一発でわかることなんですけどね。
Nさんのネットツール使用頻度 Nさんの対処法
メール 1日60〜70通。重要なものは20通程度
メッセンジャー メールで送るほどでもない用件に使用
グループウェア 会議のスケジュール調整などに使用
毎朝5分の定期ミーティングもバカにできない。
メンバーの顔色で進捗状況がわかる
月一回の「業務連絡会」という飲み会を利用して
日ごろのコミュニケーションロスを埋める
タバコ部屋での雑談を通じてコミュニケーションを密にする
 
CASE2:職場の風通しの悪さを、下手なメールが助長する──通信会社・システムエンジニア・Yさん・32歳
訂正指示が伝わらず大問題に
 プロジェクトのリーダーからあるメンバーにメールで指示があった。
 ところが、リーダーは思い違いをしていたことに気づき、先ほどの指示を取り消すメールを送ったが、後の取り消しメールは読み飛ばされてしまった。
 結果的に、最初の誤った指示のまま進み、プロジェクトの進捗に混乱をもたらすことになった。
 指示を取り消すというのは重要なアクションなので、それが伝わったかどうか、メール以外の方法でも確認をすべきだったと思いますね。
メール自体よりも組織構造が問題
 こうしたメールコミュニケーションの問題が発生するのは、たいてい仕事の役割分担が明確でないとか、職場の風通しが悪いとき。言い換えれば、コミュニケーション不足の原因は、メールの使い方や表現方法にあるのではなく、組織の構造そのものにあることが多い。スムーズに意思疎通ができるように、組織や仕事の流れを改善することが先決であって、根本問題を放置したままメールの使い方をウンヌンするのは、本末転倒というべき。
フリーアドレスを生かして営業と仲良く
 私の部署ではフリーアドレスの机を、SEも営業職も共有しています。
 自分のデスクの位置が決まってないというのは、いい面も悪い面もあるが、私はその利点を積極的に生かして、いまかかわっている仕事の担当営業の隣に座るようにしています。そうすれば、メールだけでなく、ちょっとした話しかけで、情報を密に共有することができ、対顧客活動もスムーズに運ぶことが多い。「デスクが隣同士」といったアナログ的な関係も、職場のコミュニケーションには案外重要なんじゃないでしょうか。
Yさんのネットツール使用頻度 Yさんの対処法
メール 1日50〜100通。重要なものは10通程度
メッセンジャー チーム内限定で、在席を確認する程度
イントラネット グループウェアや、Webサービスなどが一本化されておらず複数存在
長いメールは中見出しをつけ、個条書きなど工夫する
重要な伝達事項の場合は、電話などメール以外でも再確認する
フリーアドレスの特性を生かして、常時コミュニケーションを保つ人の近くに座る
 
Part3:アナログ的刺激を生かすデジタル時代のコミュニケーション法
 メール、メッセンジャーなどのデジタル・コミュニケーションは職場を活性化させる半面、過度の依存によるさまざまな問題も生んでいる。組織心理学に詳しい同志社大学の太田肇教授に、その問題点と対処法を整理してもらった。
デジタル情報の処理の仕方に慣れていない  
「デジタル・コミュニケーションが職場に導入されることで、情報伝達が速やかになり、部署や上下の壁を越えてスムーズに流通するようになりました。一方的に話しかけられて仕事を中断されるということも減るだろうし、情報伝達の曖昧さや誤解を減らすということも当初は期待されていたものです」
 と、太田教授はメールによる情報交換のメリットを認めたうえで、デスコミュニケーション問題が生じるのは、「以心伝心といったアナログな日本企業の風土の中に、いきなりデジタル・コミュニケーションが導入されたため、まだ十分慣れていないから」と指摘する。

 一般に人々は、文字によるデジタル情報だけでなく、目や耳から入るアナログ情報をも必要としている。PCとメールだけにこもっていると、このアナログ的な刺激が得にくくなる。
「周りの人の表情を見ながら仕事をすることが刺激になる。仕事の創造性を高める上でもこのアナログ的刺激は不可欠」と太田教授。

太田肇氏
太田肇氏
同志社大学政策学部教授、経済学博士。
組織論、とりわけ「個人を生かす組織・社会、働き方」についての研究が専門。
著書に『認められたい!』(日本経済新聞社)『ホンネで動かす組織論』(ちくま新書)『選別主義を超えて』 (中公新書)など多数。
ときにはPCから顔を上げて、周囲の顔色を読む
 上司の笑顔が何よりの励みになったりすることはよくある。人と雑談しているときにヒントを得られることも多い。メールコミュニケーションによる文字ばかりの世界に耽溺していると、そうしたアナログ的情報を受け止める感性がスポイルされる危険さえあるのだ。
「組織における意思決定と情報交換の仕組みづくりを、デジタル時代に合わせて再設計することが重要」と、コミュニケーションロスを防ぐのは、最終的には組織論の問題だと太田教授は指摘する。
 こうした指摘を踏まえながら、デジタル時代のコミュニケーションロスを防ぐ対処法、そのポイントを最後にまとめてみた。
職場のデジタルコミュニケーション・ロスを減らす対処法
1 対面コミュニケーションを意識した、意思疎通のための仕組み作りを、組織をあげて構築する。
たとえば、1日に1回は対面して自由に議論できる場を設ける。週に一度は全体ミーティングを開く、など。
2 メールコミュニケーションが浸透している外資系企業に学ぶ。
メールによるディベートの技法を伝授したり、定例のパーティ開催など場の雰囲気づくりを、意識して心がける。
3 飲み会や学習会、交流会の幹事などを経験してみる。
人の関係づくりの楽しさや苦労がわかり、コミュニケーション下手といわれるエンジニアにはオススメ。
4 周囲の人間に、日常的に声をかける習慣を身につける。
オフィスのなかにあえてリラックスルームやカフェのような“たまり場”を作って、自然な出会いと会話がはずむような工夫をしている企業もある。
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[] 宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ []
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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正確に情報を盛り込んだつもりでも、その情報量の多さに誤解やモレを生んだ失敗経験はよくあります。人はこちらが思うほど真剣にメールを読んでいないものなんですよね。逆に用件だけ伝えても同じことが起こる。対面にかなうものはないと知りつつ、今日も大量のメールを送ってしまいました(反省!)。
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