（取材・文／周防美佳　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：05.06.29

　技術とは縁遠い女性たちとの会話で、ついつい無意識に使ってしまいがちなエンジニア専門用語。果たして彼女たちはそうした専門用語をどこまで理解してくれるものなのか？　それを確かめるべく、街頭インタビューを敢行。質問した用語は、COBOL、C＋＋、オブジェクト指向のような難易度の高いものから、SE、クライアントなど一般常識の範囲で答えられるものまで合計16ワード。実験方法は、実際に街で無作為に女性を選出し、「この中で意味のわかる用語はありますか？」「この用語を使って例文を作ってください」などの質問方法で専門用語に対する一般女性の理解度を追求した。

　今回は街頭のネオンもきらびやかな夜の銀座・有楽町界隈で、アフター５を楽しむOLに突撃インタビューを敢行。今回は前回までの女子高生や女子大生とは違い、普段から実際の仕事でエンジニアと接する機会が多いからか、用語の意味をほぼ理解している方が大多数だった。そこで質問内容を変え、主にプログラマやSEのイメージについて質問してみた。早速、その回答シーンの一部始終を報告する。

知っている単語をすべて挙げてください。

「バイト　OS　ドライバ　バグ　クライアント」

「SE・・・・・・ほぼ全部だよね？」

こういった単語は、お仕事で使われているんですか？

「んー、仕事でパソコン使うし、身近にSEやプログラマの方もいますから」

「深い意味まではよくわからないですけど、なんとなく聞いたことはありますね」

どんなイメージをおもちですか？

「夜、帰ってこない。実は旦那がSEなんです！　仕事が忙しいみたい」

「専門的な知識がないとできないからね。皆、仕事バリバリ系だと思いますよ」

そんな方たちを見て、かっこいいなと思いますか？

「う〜ん、帰ってないから汚いイメージ!?　（笑）」

「社内の人は客観的に見られないですけど、一般的にはカッコいいんじゃないですかね」

ちなみに、結婚された理由はSEだったことと関係していますか？

「ぜーんぜん関係ありません！　流れかなあ（笑）」

知っている単語をすべて挙げてください。

「SEとか、クライアント？あとは、LANとか」

「ほとんどわかりますけど……、C＋＋はわからないなあ」

プログラマの方に対して、どんなイメージをおもちですか？

「数学的な考え方をするから答えを一つに絞りたがるっていうか、柔軟性がない人が多い気がしますね」

「理系で、細かいところまで気配りができる人が多いと思います」

SEとかプログラマの方は、会社など身近にいらっしゃいますか？

「私の父がSEなんです。だから、父のイメージがそのままSEのイメージなのかも」

実際に接していて、どうですか？

「会社でまったくわからない言葉が飛び交っていて、それで会話が成り立っているんですよ。それが不思議だな〜って思います」

「結構、普通に専門用語を使ったりするよね」

「そう！それで、聞き返しても同じようにわからない言葉が返ってくるから。もういいやって（笑）」

「きっと、説明しても無駄だと思っているんでしょうね！」

デバッグの意味はわかりますか？

「えー!?わかんない!!」

「これって、ネットとかやってると出てこない？」

どのように対処していますか？

「よくわからないから、はいとかいいえとかいろいろ押しまくって消してる（笑）」

「それでいいの!?」

では、どんな意味としてデバッグを使っていますか？

「無視してるから本当にわからないんです！」

「普段聞いていても、うまく日本語で説明するのって難しいね」

そういうことを質問できるSEやプログラマの友達がほしいと思ったことはありますか？

「あ！思います!!」

「そういうこと、気軽に教えてくれる人がいたらいいよね」

「でも、話が長くなりそうな気もする（笑）」

プログラマの方は、どんなイメージですか？

「仕事で忙しくて、泊まりがけでパソコンいじっているイメージですね」

「私もそんな感じです。身近にそういう人がいないので、正直よくわからないですね。すごいなあって、ただそれだけです」

「ちょっと暗そうかな？　メガネをかけて、ねこ背で、生まじめで理屈っぽいかも」

「強気な、仕事のデキるお兄さんって感じ」

専門用語を使って話をしている人は、どうでしょう？

「かっこいい！」

「ちょっとオタクっぽいって、どうしても思っちゃいますね。仕事で使うならかっこいいけど、プライベートではあんまり使ってほしくないです」

ちなみに、プログラマの人を想像して花束を作るとしたら？

友達にプログラマがいたらいいなと思うことはありますか？

「私、シスアドの資格も持っているんですけど、もう全部忘れちゃってるんですよね。だからいろいろと教えてもらえる友達がほしいですね」

「でも、暗いってイメージなんじゃないの？」

「うん、だからちょっと聞いたら答えてくれる感じの友達がいい！　近からず、遠からずみたいな（笑）」

プログラマの人と遊びに行くとしたら、どんなところに行きますか？

「うーん、オシャレなレストランとかかな？」

「やっぱり、六本木ヒルズでしょう！（笑）」

SEとプログラマの違いは何でしょう？

「プログラマはシステムを組むだけで、SEはお客さんと設計からやる感じ。営業が半分入っているような感じ」

プログラマの方に、どんなイメージをおもちですか？

「ずーっとパソコン使って仕事していて、いつも行き詰まってるイメージがありますね。実際に、友達がそうなんです！　SEは、そんなことないんですけどね」

「んー、とりあえず賢そう。あとは、黙々と仕事している感じ」

お友達のプログラマの方は、どんな方ですか？

「やっぱりホントに好きじゃなきゃできない仕事じゃないですか？　前も、バグったときに困って来てもらったんですけど、自分に相談してくれたってことをすごく喜んでました」

みほこさんは結構知ってますね。それではのりこさんに質問です。「○○バイト」には何が入るでしょう？

「え？これってあれじゃないの？」

「あれって？」

「あ！ごめん!!　間違えた（爆笑）」

「え？どういうこと？」

「私、アルバイトだと思ってた」

「あー!!ちょうど2文字だしね（笑）。これって、キロとかメガじゃないの？」

そうですね。

「もうー、やだ！　私、社会人として失格じゃない？」

「大丈夫だよ、何とかなるって（笑）」

「そっかー、キロかー、覚えとこう」

　今回のインタビューはさすがOLということもあり、単語の基本的な知識についてはほぼ正解。エンジニアが知人に「いる」と答えた方の割合は、女子大生と比較にならないほど多かった。それだけに、この回答は「リアル」なものととらえていいだろう。彼女たちの多くがエンジニア（SE・プログラマ）に対するイメージとして、「仕事ができる」という尊敬の念をもっている。しかしながらその一方、PCに長時間向き合うワークスタイルから、「オタク」や「暗い」というイメージと結びつきやすいようだ。同時に、エンジニアがあまりに専門用語を日常的に使うためか、一方的に「頭が固い」「わかり合えない」と決めつけている人も少数あった。

　以上の傾向を踏まえ、エンジニアのことを彼女たちに正しく理解してもらうためには、「専門的な仕事をやり遂げる知識と才能があること」と、「それを決して鼻にかけていないこと」をセットでアピールする必要がありそうだ。
　そのうえで専門用語を使って女性と会話をするときには、“丁寧かつ簡潔にまとめる”ことに尽きる。これだけでも彼女たちの反応は随分と変わってくるだろう。

　最後にエンジニアという職業が、世のすべての女性から羨望のまなざしを受ける存在になることを、今回の企画を通して切に願う次第である。