異業種歓迎！人材不足のSI業界は未経験にもチャンス

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企業が今スカウトする専門スキルはコレだ！③
異業種歓迎！人材不足のSI業界は未経験者にもチャンス

企業が求める経験、スキルを業界別に分析する企画第三弾は、SI業界にスポットを当てる。人材不足感がまだまだ強いSI業界。異業種からの転職の可能性はあるのか、特にニーズが高いのはどんな人材かをレポート。

（取材・文／入倉由理子　総研スタッフ／宮みゆき　イラスト／Shu-Thang Grafix）作成日：05.06.15

　スカウトサービスに登録する際には、自らがもつ経験・スキルをスキルシート上でチェックする。企業側は登録している膨大な人材の中から、採用するポジションで必要な経験・スキルで求める人材を検索し、オファーを送信するという仕組みだ。アプリケーション開発、サイト構築、インフラ構築など多くの分野に分かれ、また進化の早いSI業界では、どのような人材を探しているのだろうか？

　SI業界での人材不足感の背景には、どんな企業でも今、システムの転換期にきていることが要因として考えられる。
　インターネットを多くの企業が活用し始めて7、8年が経過しようとしているが、最近、私たちが受けるサービスを取ってみても、飛躍的に複雑化・高度化している。金融業界では、銀行のネットバンキングや証券会社のネットトレーディングは当たり前のようになったし、流通、メーカーともにネット上の販売に力を入れている。住所、電話番号、クレジットカード番号などの情報も日常的にネット上を飛び交っており、個人情報保護法もこの4月に施行され、セキュリティへの関心も急速に高まった。

　さらに、テレコム業界や公共機関などで、これまで紙で発行してきた請求書や明細書のWeb化を模索する動きもある。顧客情報は膨大であり、安全で安定的なデータベース構築が必要とされる。

　このような動きを受けて、SI業界ではより安全、確実なインフラの構築を求められ、それを実現するための優秀な人材の確保に急ぐ。例えば証券会社では、刻々と変わる株価を見て、投資家は投資判断を行う。今、売ろう、買おうと思った瞬間にサーバーがダウンして取引ができなくなったら、その証券会社の信用は大きく失墜するはずである。
　インターネットバンキングでも、ネットショッピングでも、ネット上でサービスを行う企業で同様の課題を抱え、特にサーバー、ネットワーク、データベース関係の開発エンジニアに注目する企業が多い。開発案件は大型のシステムが主流。この数年、金融を中心に企業の合併も増え、システムの統廃合が進んだ背景も手伝って、大手の顧客を対象とした大規模開発に携わった人材ニーズは無限といっても過言ではないほどだ。

■ ネットワーク設計・構築
■ サーバー設計・構築
■ データベース設計
■ オラクル
■ DB２
■ SQL

　ニーズが多いのは、大規模システムに限らない。中堅・中小企業向けのインターネットシステムも同様に転換期を迎えているためだ。

　キーワードはオープン系への移行、システム開発の短期化。これまで汎用機やUNIXベースで開発されたシステムを利用してきた企業において、より小回りの利くWebベースのオープン系システムへの移行が鮮明になってきた。その理由は、オープン系に移行することにより、短期間でシステムの再構築や仕様変更に対応できるからだ。

　メーカーや流通の在庫管理システムを例に取れば、中間業者や店舗をWebでつなぎ、在庫を一括してデータベースで管理したとする。短時間で在庫確認ができ、在庫の適正化にもつながり、コストダウンに貢献できる。しかし問題は、営業所や店舗の統廃合が頻繁に起こり、その度にシステム変更を余儀なくされることだ。そうした場合に、オープン系システムの「簡便性」が効果を発揮するのである。

　このようなオープン系の開発案件は数限りなく、納期も２カ月後、３カ月後と短期間であることがほとんど。その中でスケジュール管理、外注も含めた人材管理、さらには予算管理を行い、プロジェクトをまわしていくプロジェクトマネジャー、リーダーを求める企業が増えている。

　とはいえ人材不足は深刻であり、若手人材の場合、インターネット業界の未経験者であっても、「C言語が使えれば基本的にOK」とする企業も少なくない。さらにJavaやネットワーク、データベースの知識やスキルがあれば、採用される可能性はアップする。

■ プログラミング・コーディング
■ 詳細設計
■ 基本設計
■ 要件定義・顧客折衝
■ C言語、C++
■ Java
■ Visual Basic

	もちろん企業にとっては、スカウトで採用するにあたり、サーバーやネットワーク、Webシステムのスペシャリストが採用できるにこしたことはない。しかし、既に述べたように、常に人材不足感の強い業界であり、その業務に最適な人材ばかりをターゲットにしていたら、仕事が回らないという現実も見え隠れする。そこで、多少、欲しい経験・スキルに満たなくても採用し、教育していこうとする企業も決して少数派ではない。
	これを働く側から見たときには、キャリアアップの大きなチャンスに間違いない。例えば、詳細設計の経験やプログラムの基礎知識しかなかった人が、徐々に要件定義や基本設計を任されたり、顧客との折衝や、リーダーとしての活躍の機会が与えられるため、短期間でのキャリアアップ感は大きい。あるいは、徐々に活躍の場が減っていく汎用系の優秀なエンジニアが、UNIXやWebベースの開発エンジニアに転換する機会を得る。このように考えれば、SI業界での転職で、キャリア展開が幅広くなる人は多いだろう。　大容量のネット環境が整備されてきたことで、「ソフト」「システム」「ネット」の世界はますます近づいてきた。「SI業界では経験がない」という人にも道は開かれており、成長意欲が高い人材にとっては満足感の高い仕事ができる業界の一つといえそうだ。

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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ

3回シリーズで家電、自動車、SI業界の企業がエンジニアのどんな専門スキルにスカウトしているかをお届けしました。共通していたのは、業界を問わず専門スキルと意欲をレジュメできちんと伝えることができれば、スカウトされる可能性が高いということ。あなたの市場価値を測り、異業界で活躍できるチャンスを試しに登録してみませんか？