社長に直撃「雇った社員は最後まで面倒見るんや！」

テックエンジェルの突撃会社訪問　Vol.7
　「雇った社員は最後まで面倒見るんや！」エンジニア思いの社長に直撃　訪問先：株式会社ECS

今回は金融関係のシステム構築をメインとする株式会社ECSさんに突撃訪問。社員のために福利厚生に力を入れる人情派の社長に対して、エンジェルはどこから攻め落とすのだろうか……。

（取材・文／山河宗太　総研スタッフ／山田モーキン）作成日：05.06.01

（編集部）	今回の訪問先は金融システム構築のプロフェッショナル、株式会社ECSさんです。なんでも社長さんがとてもユニークな方らしいんです。
（エ）	ほ、本当ですか！　実は事業内容からお堅いイメージがあったので、不安だったんですよ。
（編集部）	しかも社長はとても社員思いの方で、社員食堂代わりに居酒屋も経営しているそうなんです。
（エ）	居酒屋？　なんだかとてもワクワクしてきました！　早速行きましょ!!

こちらが今回の案内役、桑原さん

株式会社ECS　1991年創設。主に金融関係のシステム構築を手がけている。最近では、金融のほかに通信関係にも着手しており、その流れからモバイルコンテンツ構築へも進出を検討しているIT企業。今回の案内役は入社6年目のSE、桑原さん。誠実な人柄が見た目にもあふれている。

（エ）	では、さっそく株式会社ECS、代表取締役社長の黒田さんにお話をお伺いしていきたいと思います。社長、今日はよろしくお願いいたします。
（黒）	おお!!ほんまにエンジェルやな～。驚いたわ～（笑）。
（エ）	ひょっとして、社長は関西のご出身なんですか？
（黒）	そうですわ～。1991年に大阪で創業して、ちょうど6年前かな。こっちにも進出しよういう話になってな～。それで現在に至るってとこですわ。
（エ）	では、現在は東京にお住まいになってお仕事を？
（黒）	会社の隣が独身寮なんですわ。そこの屋根裏部屋に住んどります。
（エ）	屋根裏部屋!?　えーと、お話が脱線しそうなので、最初に会社のお仕事のことを少し聞かせていただけますか？
（黒）	そもそもは金融関連のシステム構築を手がける会社ということで起業したんですよ。一生懸命やってきたら、自然と業績が上がってきて今の規模までになったちゅうわけです。今では金融のほかにも通信関係へも着手し始めています。私たちの仕事は、いってみれば発注をしてくださる会社の顧客情報に触れることになるんですよ。ですからうちの社員は日中、銀行などの顧客の元へ行ったきりなんですわ。で、そこでの仕事を終わらせるとここへ帰ってくるわけです。最近では、本業のほかに、不動産とレストラン経営も始めていますよ。
（エ）	顧客情報を扱うんでしたら、法律改正があったばかりですから大変ですよね。それにしても不動産やレストラン経営？　また、なんで本業とは全く違う分野へ進出なさったんですか？
（黒）	そもそもITエンジニアというのは割と社員寿命が短いんですわ。40代になって仕事ができないから、はい、さよなら～では雇った側としてあまりにも冷たいと思うんです。せっかくうちの会社のために頑張ってくれた人が、年齢とともに不幸になるんですよ？これは我慢できませんわ。それでバブルがはじけた後で競売に出ている格安物件のテナントをいくつか購入したんです。現在は社員がまだ若いので、テナントとして貸していますが、いずれ彼らが現場の第一線から引退するときに、例えばネットカフェがやりたいなどの希望があったら、そこの物件を使ってもらって仕事をしてもらうんですよ。
（エ）	社長、とっても社員思いじゃないですか!!
（黒）	そりゃそうでしょう？だって、実際に身を削って働いてくれるのは社員ですから。そんな彼らを見殺しにはできませんがな。あ、そうそう。ちなみに隣のビルは、会社のワンルームタイプの独身寮なんですよ。そのビルを建てたときに、最初のうちは自分用に広い部屋を用意していたんです。そうしたら、転勤で東京に来ることが決まったエンジニア社員に家族がおりましてな。ワンルームじゃ狭い言うもんで、私の部屋を明け渡し、そのとき空いていた屋根裏の倉庫を自宅に改装して住むことになったんですよ。まったく、社員が社長の部屋を独占ですわ（笑）。
（エ）	社長は面倒見がいいんですね。社員の方は幸せでしょう。
（黒）	それだけじゃないんですわ。このビルの1階にある京都料理の居酒屋もうちの会社が経営しているんですが、社員割引があるんですよ。土曜日や日曜日、仕事が休みのとき、独身男は食事に困りますやろ？それでよっしゃ!!ってな具合につくってしまいました（笑）。ほかにも社内サークルなんかも非常に活発に行ってますよ。実はコーラス部いうのがありましてな。毎年課題曲を決めて、発表会で歌うんですわ（笑）。今年はビリー・ジョエルだったかな？　まぁ、サークル活動を通して、普段、なかなか顔を合わせない社員同士の交流を図っているんですよ。
（エ）	なんだかとても楽しそうな会社ですね。皆さん、会社に来るのが楽しくて仕方がないっていう雰囲気ですもの。それで社員の方、皆さん明るいんですね？
（黒）	わはは。多分、私が一番はしゃいで仕事をしているんじゃないですかね（笑）。
（エ）	もっともっとお話ししたいのですが、時間がなくなってしまいました（泣）。今日はお忙しいところ、ありがとうございました。

人柄のよさがにじみ出ている社長の黒田さんです

社員への思いを熱く語る社長

大手IT会社から、最優秀提携企業として表彰されました!!

大阪本社のゲストルーム!!　内装工事だけで4000万円かけた部屋は、大理石の床が自慢です

昼間はだれもいないコンピュータルーム

夜になると、ところ狭しとエンジニアたちがひしめき合います

職場風景

（エ）

昼間は本当にだれもいないんですね～。

（桑）

そうなんですよ。僕もそうなんですが、みんな、お客さまのところへ日中は行っています。そこの業務を終わらせてから、ここに戻って仕事をするわけです。

釣りざおとエンジニア

（エ）

なぜ、社内に釣りざおがあるんですか！？

（桑）

ああ（笑）、それは釣りサークルがあるからなんですよ。

（エ）

会社で釣りに出かけるんですか？

（桑）

行きますよ。社長はこの間、徳之島で“石鯛”をあげたんですよ。

（エ）

ああ!!　知ってる、知ってる!!　シマシマのお魚ですよね？

石鯛を釣り上げたのは、俺様の釣りざおだぞ～

社員食堂？　割烹居酒屋「萬蔵」前で、みんなでパシャリ!!

社員食堂の風景1

（エ）

こちらが先ほど社長がおっしゃっていた、京都料理の居酒屋ですね？

（黒）

はじめは社員のコミュニケーションスペースとしてつくったんやけど、インテリアや味にもかなりこだわったんで、一般客にも利用してもらおうと思い、ついに居酒屋としてオープンしてしまったわけですわ～。

（エ）

楽しみですね～。さあみなさん、早く中に入りましょ！

	割烹居酒屋「萬蔵」　東京都千代田区飯田橋4-5-6 電話：03-3511-8450　定休日：日・祝日

社員食堂の風景2

（エ）

みなさんはよく利用されるんですか？

（桑）

ええ、それこそ「社員食堂」代わりに頻繁に（笑）。本格的な京都の割烹料理が楽しめるので、関西出身の私にとっては、それこそ実家でくつろぐ感覚ですね。

（エ）

会社のすぐ下にそんな環境があるなんて、うらやましい限り！　それにしても仕事で疲れた後のビールっておいしいですよね（笑）。

取材が終わって親睦会!?いざ、かんぱ～い♪

サービスしちゃいます。社長、いかがですか？

当店の一押し!!名水で作った寄せ豆腐です

リビング

（エ）

なんだか一人暮らしとは思えない綺麗なお部屋ですね!!

（桑）

これで家賃が4万5000円ですから都心では激安ですよ（笑）。ウッド調の壁だって、疲れた体を癒してくれますし、ただただ社長に感謝です。

（エ）

いいな～。私が住みたいくらいです（笑）。

（桑）

あとはエレベーターがあれば言うことないんですがね（笑）。

見よ！独身貴族の洗練された隠れ家を

さすがエンジニア、ネットオークションで激安大量購入

山積みの缶コーヒー

（エ）

ちょっと桑原さん!!この缶コーヒーの山は一体なんですか？

（岩）

私、実はコーヒーに目がないんですよ。いつも飲んでいないと駄目なもんで。それでオークションで安いときに一括購入したんです。もちろん送料もただですよ。

（エ）

さすがですね。うまくネットを利用しているんですね～。

自作PC&模型

（エ）

このパソコンの本体、なんだか大きいですよね？

（桑）

じつはそれ、全部手作りなんですよ。1カ月自転車で秋葉原に通いつめて、部品を買い集めました。トータル25万円くらいかかったかな。でもハードは400GB、メモリーだって1.6GBですから、そこらのパソコンなんて目じゃないです。

（エ）

あれ？　ひょっとして、この戦車もですか？

（桑）

ああ、それは趣味です。戦争物が好きでして（笑）。もちろん手作りですよ。

（エ）

なんでも自分で作れるなんてカッコいいですね。

すべて手作り!!　自転車で秋葉原までわずか20分ですから～

趣味を兼ねたサークルはゴルフ部です。これは自慢のセットです

ゴルフバッグ

（エ）

桑原さんは、ゴルフが好きなんですか？

（桑）

ええ、大好きですよ。この間も社長と一緒に軽井沢まで行ってきました。

（エ）

おお!!勝負はどうでしたか？

（桑）

それは企業秘密です（笑）。でも、社長と行くと、ああいう方なんで非常に楽しいんですよ。

（エ）	さて、大阪から入社した途端に東京勤務になったという桑原さんですが、今回は桑原さんの目から見た会社について少しお話ししてもらえますか？
（桑）	そうですね～。もともとエンジニアとして別の会社で働いていて、転職するときに面接を受けたのがこのECSだったんです。面接は社長が行ったのですが、とにかく裏表のない方で、すぐにこの会社にしようと思ったんですよ。エンジニアの業務って、孤独な作業を強いられることが多々あるんですが、それってすごくストレスになるんですよね。特に、エンジニアだった方が社長になると、会社自体がそういう雰囲気になりがちだと思います。ですが、黒田社長は全く別のタイプでした。エンジニア特有の技術者的思考で経営を考えていなかったんです。とにかく社員は宝だし、ビジネス視点で経営を考慮していたんですよね。お話をして、ああ、この人にならついていって間違いないなと思いました。ですから、ほかの社員もそうだと思いますけど、仕事を楽しんでこなしていますよね。とかく、一人ぼっちになりがちなエンジニアにとって、自画自賛でおかしいんですが、この会社はモチベーションを高めてくれる数少ない企業だと思いますよ。
（エ）	私も、今日の訪問を通してそのことを実感しました。今日はこんな遅い時間までおつき合いさせてしまって申し訳ありませんでした。でも、とても楽しい訪問でした。
（桑）	私もですよ。ぜひ、また遊びに来てくださいね。