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エンジニアの現在年収と希望年収には180万円もの開きがあった 社長に見せたい!エンジニア版☆勝手に年収査定報告
成果主義の拡大や中村訴訟などの社会的な影響で、自分の年収に対する現状の評価待遇に不満を抱くエンジニアは多い。そこで「本当はこれだけもらっていいはず」という視点から、エンジニア自身に自分の年収を評価査定してもらった。
(取材・文/植村恒有  総研スタッフ/山田モーキン) 作成日:05.06.01
Part1 現在の評価・待遇に対する不満噴出!
 プロジェクトマネジャー・リーダークラスのエンジニア100人を対象に、現在勤務する会社の経営に対する不満についてアンケート調査を実施したところ、「自分自身の評価・待遇」に対する不満をもつ人が約30%、「自分を含めたエンジニア全体に対する評価・待遇が、ほかの職種に比べて冷遇されている」と感じている人が約20%と、およそ半数のエンジニアが現在の評価・待遇に不満を抱いていることがわかった。(図1)

 さらに今回の調査では、現在の年収と希望の年収との間に、平均180万円もの開きがあることが判明。180万円といえば、毎年支払っている住宅ローンに相当する金額、新車が毎年買える金額だ。多くの企業が成果主義を導入したことにより、エンジニアの現在年収と希望年収との格差が広がるばかり。この格差を埋めるには自分の年収を世間相場観でとらえるのではなく、“自分の仕事の成果がどれだけ会社の利益に貢献したのか”を具体的な数値で把握し、理論的に自分の年収をはじき出すことから始めなければならない。そうしたセンス・スキルを磨くことは、エンジニアの強力な武器になるはずだ。
図1:現在の経営者に対する、不満の内訳
エンジニアからの不満の声
「製品に非常に大きな付加価値をつける生産技術を開発したのに、それに対する報酬はほんのわずか」
(31歳/生産技術)
「営業は何もわかっていないのに、むちゃな受注を取り付け、後は放り投げてしまう。しかし、おいしい実績は営業につく」
(33歳/ネットワーク設計・構築)
「ある部署が独断で行ったプロジェクトが失敗し、その損失を全社員のボーナスで補填したため、関係のない人のボーナスまで下がった」
(35歳/システム開発)
Part2 5人のエンジニアが自分の年収を勝手に自己査定!
 そこで同じくエンジニア100人に、自分が携わった仕事の成果物の売り上げ、費用(コスト)、収益から、自分がもらうべき年収を自己査定してもらった。その中から、いくつか特徴的なケースを紹介。希望年収を算出するエンジニア個人それぞれの評価基準について探ってみた。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)希望年収800万円 現在年収650万円 差額150万円
損益計算表
売上 4000万円
費用 1300万円
利益 2700万円
売上金額の詳細
個人売り上げのみで4000万円。
通常業務の売り上げを加えると売上金額は6000万円になる。
費用金額の詳細
移動費、通信費のみで、残りの90%以上は私の給与。
希望年収を算出した理由
私の技術力が収入源となっており、売り上げの20%は欲しい。
現在の年収と希望年収にギャップが生じる理由
営業がダンピング販売するツケが回ってきているからだと思う。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)現在年収650万円 希望年収800万円 差額150万円
 「個人売り上げで4000万円」「私の技術力が収入源」と、申告の内容や文面からも、エンジニアとしての誇りと自信が十二分に伝わってくるAさん。それだけの自信があれば実際の現場でも、上司や経営者相手に堂々とご自身の成果を主張しているのかと思いきや、現在は早急な転職を考えているとのこと。自信があってもそれだけで希望年収を獲得するのは、やはり難しいのが現実ということか。
ケース2「月給3万円アップ」とささやかな?要求をするシステム開発Bさん(37歳)希望年収816万円 現在年収780万円 差額36万円
損益計算表
売上 12億円
費用 9億円
利益 3億円
売上金額の詳細
開発・運営しているサイトの受注掲載料金として12億円。
費用金額の詳細
営業・スタッフが約120人で、平均年収650万円×120=約8億円。ランニングコストは月約250万円×12=3000万円。設備投資はサーバーなどの追加などで1000万円。開発外注費は年間平均3プロジェクトで、平均2000万円×3=6000万円。
希望年収を算出した理由
システムのほぼすべての仕事をこなしており、かつサイトでの売り上げが総売り上げの50%を超えているにもかかわらず、ここ数年私の年収はほとんど上がっていない。プロジェクトを完璧にオンスケジュールで動かしているのだから、月3万円ぐらい上がってもいいと思う。
現在の年収と希望年収にギャップが生じる理由
上司・経営者が、部下がどれだけの仕事をしているのかを評価・判断できない。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)現在年収650万円 希望年収800万円 差額150万円
 希望年収が40万円アップで月額にして3万円アップと、何ともささやかな要求。Bさんが動かしているプロジェクトは会社の柱となる事業で、しかも完璧にスケジュールどおりにマネジメントしているという。それだけ仕事に自信があって大きな成果を生み出しているのなら、希望年収を勝ち取る日はそう遠くなさそうに思える。いっそのこと「○百万円UP要求!」ぐらい大きく出てもいいのでは?
ケース3「接待費が年間5000万円!」スケールの大きいイコンサルタント Cさん(38歳)希望年収2000万円 現在年収1700万円 差額300万円
損益計算表
売上 10億円
費用 5000万円
利益
9億5000万円
売上金額の詳細
私が提案したプロジェクトで10億円の売り上げを上げた。
費用金額の詳細
接待費がほとんどで、1回の接待が50万円程度。約100回接待したので、飲食費が合計5000万円。
希望年収を算出した理由
私の企画で10億円の売り上げを上げたので、その2%が私の報酬ととらえている。
現在の年収と希望年収にギャップが生じる理由
人事評価制度に実績・実力制度が根付いていないから。完全に実力主義に移行したときに戸惑わないように、いつでも自分の成果の書類を提出できるようにしている。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)現在年収650万円 希望年収800万円 差額150万円
 1回の接待50万円×約100回=合計5000万円が飲食費!? バブル全盛のころならあったのかもしれないが、にわかには信じられない数字だ。でも、3日に1回50万円もの接待というCさんの健康状態は大丈夫なのだろうか……。 また「私の企画だから売り上げの2%は私の報酬」という数字は、どうやって算出されたのかは非常に興味があるところ。
ケース4「現在と希望年収の差額は約1000万円!」システムエンジニアDさん(29歳)希望年収1500万円 現在年収450万円 差額1050万円
損益計算表
売上 5億円
費用
4億7000万円
利益 3000万円
売上金額の詳細
私が担当している製品の売り上げが一人当たり5億円。
費用金額の詳細
一人当たり経費が2000万円、半導体の仕入れが4億5000万円。
希望年収を算出した理由
私1人で3000万円の経常利益を上げたので、半分の1500万円は欲しい。
現在の年収と希望年収にギャップが生じる理由
年功序列主義がまだ残っていて、成果主義が十分に反映されていない。また半期ごとに上司に対して詳細な活動報告を行っているが、どうしても営業サイドの貢献度合いが高く見られ、実際にシステムを構築するSEの貢献度は低く見られる。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)現在年収650万円 希望年収800万円 差額150万円
 希望年収が現状の1050万円アップという数字は、今回の回答の中で最大の上げ幅。1人で3000万円の経常利益を上げていると申告していることから、ケース1の方と同じように、エンジニアとして会社の利益に大きな貢献をしているという強い自信が、今回の大幅アップの要因か? また現状と希望年収との大きな差額の原因として、営業の貢献度のほうがエンジニアの貢献度より高く評価されているという不満は、ほかの多くの回答者からも挙げられている。エンジニアにとって、営業に対する被差別意識は依然根深いようだ。
ケース5 「福利厚生・固定資産・通信費…」緻密なコスト意識をもつシステム開発Eさん(31歳)希望年収760万円 現在年収660万円 差額100万円
損益計算表
売上
3億6000万円
 
費用
3億5000万円
利益 1000万円
売上金額の詳細
私が始めたサービスで年間2億1000万円の売り上げを上げた。また、プロジェクトのメンバーが始めたオプションサービスで年間1億5000万円を売り上げた。
費用金額の詳細
プロジェクトが総勢10人なので、福利厚生費などを含めて人件費が2000万円×10人=2億円。サーバーなどの固定資産費が平均50万円×400×1/4年台=5000万円。通信費が帯域1GB/月額250万円×12=3000万円。人材派遣費などは600万円×3人=1800万円に+αで2000万円。物件費は全社で4000万円、われわれプロジェクトメンバーが半数を占めるので2000万円。
希望年収を算出した理由
プロジェクトの利益が1000万円出たので、それをメンバーそれぞれの貢献度に応じて配分する。その結果、現在の年収に比べて100万円程度の開きが出てくる。
現在の年収と希望年収にギャップが生じる理由
年功序列的な社風が強く、実績が給与にまだ反映されていない。現在の会社での実績の給与反映は半分あきらめて、余った時間で副業と投資を行う。
ケース1「私の技術力が会社の収入源」と豪語するサービスエンジニアAさん(29歳)現在年収650万円 希望年収800万円 差額150万円
 Eさんはコスト感覚が非常にしっかりしていて、また自分のアイデアで始めたサービスが年間1億5000万円の売り上げを上げたのだから、きっと仕事もできる人に違いない。プロジェクトメンバーの貢献度に応じて配分するとのことだが、その貢献度の評価基準についてはもっと突っ込んで聞いてみたい気も……。また現在の会社での、実績の給与への反映はあきらめて、余った時間を副業と投資に使うというのは、ひょっとしたら会社から独立するための準備なのかもしれない。
コラム 希望年収を獲得するために知っておきたい会社の数字
経営層は給与の3倍規模の業績貢献を望んでいる
 今回、仕事の成果について「売り上げ」、「費用(コスト)」、「売り上げ−費用=利益」をもとに自分の年収を自己査定してもらったが、マネジメント・コンサルタントの森英一氏は経営の視点からいくつか注意点を指摘している。まず、プロジェクトの売り上げと会社の決算上の売り上げは違うということ。プロジェクトの売り上げは製造業における出荷価格に当たり、決算上の売り上げにはそれに営業部門や間接部門の経費が加算される。

 もうひとつ数年にわたるプロジェクトの売り上げには、期間を設定して業績をとらえる期間業績という考え方を導入する必要があること。また費用項目の主たる人件費には、エンジニアの手取り給与のほかに、社会保険費や福利厚生費、退職金引当金、環境整備費なども含まれる。そのため、給与を人件費レベルで見ると、その2倍はかかることになる。さらに、利益貢献がないと当然会社としての成長が望めないので、利益貢献も含めて給与の3倍は業績貢献してほしいというのが経営層の考え方だ。

 以上が一般的な会社のコスト構造で、このことを理解したうえで自分の成果を主張すれば、「経営のことがわかっているエンジニア」と評価され、より希望の年収に近づく可能性が広がるに違いない。
森 英一氏
森 英一氏
マネジメント・コンサルタント・オフィス 代表取締役

人事考課をはじめ、人事制度をトータルで設計し、運用システムづくりを行うプロフェッショナル
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[]山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ[]
山田モーキン(総研スタッフ)からのメッセージ
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普段自分の年収に漠然とした不満をもっていたり、理想の年収を挙げてみても、その根拠を論理的に説明するのはかなり困難な作業です。人が人を正当に評価する難しさがここにあると思いますが、今回のような形で自分の成果を査定するのも、評価基準について考えるうえで結構重要なことなのかもしれません。皆さんもぜひ一度、ご自身の成果を査定してみてはいかがでしょうか?
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