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営業職から会社立ち上げまで多種多様な経験は無駄ではなかった!

5回の転職を経てITコンサルタントとして活躍するK・Mさん

大手医療法人の情報システム部マネジャーという現在のポジションに就くまで、5回もの転職を重ねたK・Mさん。過去の職歴を見れば、営業職や物流管理業務など、およそシステム開発とはかけ離れている。その経緯について詳しく追ってみた。
(取材・文/中村伸生 総研スタッフ/山田モーキン)作成日:05.05.25

1社目
大手電機系列システム開発A社

システム開発の基礎を固める

 首都圏の大学に通っていたのだが、実家の都合で地元企業に就職しなければならなくなった。父親の健康が優れないというのが理由である。専攻が機械工学だったので自動車や大型機械のメーカーに就職するのが自然だったのだが、地元には都合のよい選択肢はない。次善の策として大手電機系列の情報システム企業A社に就職した。コンピュータにも興味があったのである。

 ここでは6年ほどの間にSEとして必要な基本スキルの多くを学ばせてもらった。プログラマとしてはCOBOLからCまで多様なプログラミングスキル、SEとしては上流工程から下流工程までのプロジェクト工程のすべてを経験した。業界に関しても自治体や流通や製造、業務も財務会計や販売管理など、本当に多種多様な開発を行ったのである。コンピュータエンジニアとしては恵まれたスタートだったといえるだろう。

 だが、そのころはそんな“恵まれた”ポジションに満足してはいなかった。上司とちょっとした意見の食い違いが原因で辞表を提出したのである。次の仕事などまったく決まっていなかったが、このころに父親が病床から復帰したこともあって、退職を勢いづかせたのだった。
PROFILE
医療法人
情報システム部マネジャー
K・Mさん(39歳)

1988年に私立大工学部を卒業。専攻は機械工学。実家の都合で地方の大手電機系列のシステム開発企業に就職し、今日まで5回の転職を重ねる。
K・Mさんの転職活動DATA
前勤務先 ソフトウェア開発企業 SE
転職した時期 2001年 10月
活動期間
(決意〜内定)
約6カ月
転職理由 待遇に不満
会社選びで優先したこと 待遇(給与)
実際に応募した社数 1社
内定社数 1社
落ちた社数 0社
辞退した社数 0社

応募からの日数
オファー受信
1日
1次面接
5日
2次面接
8日
(内定)
2社目 
外資系医療機器メーカーB社

意外な展開、営業として医療に関する知識を得る

 地元にこだわる必要がなくなって、転職の選択肢がぐっと広がった。前職で得たスキルを生かしてSI企業にアプローチするのが最も現実的だろう。最初の目標である機械系に挑むこともあり得た。でも、そのころに考えていたのは外資系、それも医療関連の業界だった。理由は単純。友人が著名な外資系医療資材メーカーに勤めていて、社風や雰囲気を聞いて面白そうだと思ったからである。

 友人と同じ企業に行こうとは思わなかったが、取りあえず転職情報誌を買って、イメージに該当するような企業に応募した。米国の医療検査機器メーカーB社の営業募集である。そう、エンジニアにはこだわっていなかったのだ。そして面接も意外とスムーズに進み、B社への入社がすんなり決まった。

 入社して実際に仕事をしてみると、この仕事が意外に自分に向いていることがわかった。医療機器もIT化が進んでおり、以前のコンピュータの知識がかなり役立った。それに医療機関の検査技師相手に製品の売り込みをすることも苦にならなかった。自然と営業成績は伸び、優秀セールス賞などももらった。3年半ほど続けただろうか。徐々に社内評価が高まり、担当地区は広範囲に広がっていた。
3社目 
健康増進セミナーC

仕事に対するポジティブな考え方に影響を受ける

 B社で安定した営業成績を残せたのは、医療に対する関心が高くなり、自分でもいろいろと勉強していたことも大きかった。ある日、図書館で医療の最前線に関する雑誌を読んでいて目に留まったのが、健康増進セミナーCだった。内容は決してうさん臭いものではない。体を健康に保つ精神の持ち方に関するもので、敢えていうなら東洋医学と“気功”をミックスさせたようなものになるだろう。

 数日後、このセミナーに参加してみて、強い説得力を感じた。そして、B社に在籍のままCの運営機関を社員として手伝うことになった。最初は休日だけだったが、いろいろと運営業務を任せてもらうようになり時間が足りなくなった。B社を辞めて移ろうと思い、思い切ってB社の上司に辞意を伝えたら強く引き留められた。それで週の半分はB社、半分はCで働いた。Cでの仕事の内容は健康機器のメンテナンス、健康食品の在庫管理と倉庫管理、販売管理などである。

 このCが魅力的だったのは、そのすべてにおいてポジティブな姿勢である。“偶然はない、すべての事象が必然である”“すべてのことに無駄はない”という考え方だった。これには相当な影響を受けた。気持ちが完全にCに傾いてしまったので、何かとよくしてくれたB社の上司には申し訳なかったが、完全にCに軸足を移すことになった。B社を辞めたのだった。
4社目 
健康食品会社D社

社内システム構築を一手に引き受ける

 Cで充実した日々を送っていたが、このCが母体となって健康食品販売の専門会社を立ち上げることになり、そちらを任された。もとより起業に興味があったので、喜んで引き受けた。ところがCに頼らない事業を指向したのが裏目に出て、なかなか収益が上がらない。ではネットワークビジネスを始めようということになり、ITに明るいということで社内システムとOA環境の構築を一手に手掛けることになった。環境が整い、いよいよ始めたネットワークビジネスだったが、これも軌道には乗らなかった。周囲との摩擦が増え、結局、自分ですべてやってしまいたいという気持ちになり、独立を前提にD社から離れることになった。
5社目 
ソフトウェア開発E社

オラクルやWeb技術を習得

 D社を辞めて程なくして、ソフトウェア開発E社からオファーが届いた。A社での経験が評価されたようだ。面接も無事に通過。SEとして再出発することになった。当初は仕事についていくのに必死だった。予想以上にブランクは大きかった。オラクルのデータベースにインターネット経由でアクセスするシステムの構築を担当したのだったが、システム開発を離れている間に、技術はどんどん進んでいたのだ。そこで本腰を入れてデータベースやネットワークについて勉強した。どうにか先端技術に追いついたと思えるまで半年ほどかかった。もう大丈夫だ。ところが仕事は軌道に乗ったものの、別の問題が見えてきた。入社前に示し合わせた給与を支払ってもらえないのである。あれこれ理由がつけられて、約束の3分の2ほどの収入だった。この仕打ちに不満が募り、またしても次を決めずに飛び出すことにした。
6社目 
大手医療法人F社

ようやくやりがいのある仕事に出合う
 E社を辞めて数カ月たったある日、転職サイトに“これは!”と思う企業が見つかった。著名な大型病院をいくつか経営している大手医療法人だ。注射器やカテーテルといった医療資材を一括管理して医療の最前線をサポートする商社機能を立ち上げるので、営業を募集していたのである。医療関連の営業には自信がある。グループの病院に医療資材を供給する仕事だから、営業職ではないように見えるが、ゆくゆくは外販も考えているのだろうと思った。
 面接に行くと担当者と思いがけず話が盛り上がった。示された待遇条件もけっこうよかった。しかし意外な展開となったのは、営業ではなくシステム担当として採用したいと提示されたことだった。経歴書を見た担当者が、今までの経験を総合するとシステム担当こそ適任で、グループのシステム戦略をぜひお願いしたいと言ってきたのだった。自分としても異存はなかった。期待されるとやってみようという気持ちになる。

 実際に入社して、今度こそ長続きできる仕事だと実感している。今までいくつかの業務システムの更新を取りまとめたり、新オーダリングシステムや電子カルテシステムの現場導入支援をしたりするなど、社内ITコンサルタントのような業務を任されている。病院のIT化はどんどん進んでいくはずだから、これからもっともっと出番が増えるだろう。

転職活動考察

 多種多様な仕事を通り過ぎてきたので、自分のキャリアステップは一貫していないように見えるが、実はそうではない。確かに狙いどおりに会社を辞めたり入社したりしたわけではないが、現在の仕事に今までの経験が何ひとつ無駄になっていないのだ。A社でシステム開発を幅広く学び、B社で医療業界の知識を習得し、Cで前向きに物事をとらえるマインドを吸収。D社では新規事業立ち上げのノウハウを獲得し、E社では最新のITにキャッチアップした。それらが今の私の血となり肉となり、今の責任あるポジションを支えているのである。
 空白期間にアルバイトなどをして有意義に過ごしたことも今のキャリア形成に役立っている。業態は異なるが、下請けで働く人々の苦労や考え方に触れることができたからだ。次が決まってから会社を辞めるにこしたことはない。でも、自分を磨き続ける意欲があるのなら、思い切ったチャレンジもよいかもしれない。
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