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スピード昇進に嫉妬の目、経験豊富な部下でやりづらい エンジニア式★「昇進プレッシャー」との賢いつき合い方
昇進は喜ばしいことだが、何かと戸惑いがつきもの。やっかむ周囲の目や新しい部下への対応、一気に広がる責任範囲に頭を悩ませる人も多いのでは? 昇進直後のエンジニアを襲う「プレッシャー」の実態と対処法について考えてみた。
(取材・文/総研スタッフ 木下ミカエル イラスト/内山弘隆)作成日:05.04.20
Part1:30代管理職が感じた「昇進直後の重圧」。その中身とは?
やっぱり悩む「業務領域や責任範囲の拡大」
 昇進してうれしいはずが、気が重い。あなたにもそんな経験はないだろうか。 Tech総研が30代管理職エンジニア200人に実施した調査では、「昇進直後に最も感じたプレッシャー」でトップに立ったのは「役割やミッションの変化」(41%)。

 管理職になったばかりのエンジニアでは、「慣れない予算や人材の管理業務」、さらに上の役職に昇進した場合は、「部下の数や担当領域、責任範囲の増大」に戸惑いを感じることが多いようだ。
周囲のやっかみも脅威に
 第2位は、「部下への接し方」(23%)。自分より年上、もしくは業務知識に精通した部下への対応に悩む声がよく見られた。

 第3位は、「周囲の見る目の変化」(15%)だった。「仕事ができて当然という目があり、失敗できない」(36歳・ネットワーク設計・リーダー)、「スピード昇進して、同世代の同僚からねたまれた」(38歳・研究・係長)とあるように、昇進した本人をシビアに「値踏み」する部下(時には上司)の目や、同僚や先輩からの嫉妬が思いもよらぬ重圧になるようだ。

 Part2では、実際に上記の「昇進プレッシャー」に悩むエンジニアたちの実例を紹介しよう。
Q.現在の役職に昇進して、いちばんプレッシャーに感じたことは?

Part2:あなたは大丈夫? 「昇進プレッシャー」実例FILE
 張り切ってマネジメント業務に臨むエンジニアに立ちはだかる、プレッシャーの壁。昇進直後に陥りがちな3つの事例を、エンジニアの人材教育に詳しく、自身も現役の管理職エンジニアとして活躍する人材コンサルタントの芦屋広太氏に診断してもらった。
CASE1:「急に仕事の範囲が広がり、こなしきれるか自信がない」
<主任から課長に昇進したNさん(38歳・システム開発)の場合>
 課長になり、30人の部下をもつようになりました。これまではPLとして自分の担当プロジェクトのことだけを考えていましたが、昇進後は、複数のプロジェクトの進捗状況や損益状況の把握と管理、要員計画の立案などに忙殺されています。
 自分に余裕がなく、ひとつでもプロジェクトがトラブッてしまうと気持ちが落ち着きません。成果を早く出さなければと焦る一方で、管理していけるか自信のもてない日々が続いています。
人材コンサルタント芦屋氏の診断:「情報不足」が不安の要因。まずはプロジェクトに関する情報収集を。
 部下や担当プロジェクトが一気に増えて戸惑っているようですね。
 Nさんのいちばんの問題は、次に打つべき手がわかっていないこと。管理職は、自分で仕事の全体像を把握して、コントロールしなければなりません。
 そこで必要なのは、「情報」です。まずは、周囲と対話して、全プロジェクトに関するおおまかな情報を集めてみましょう。目的やこれまでの背景、目的達成に必要な業務要素、もちろん部下や顧客の特徴も含めてです。さらに、これらの情報から、プロジェクトを進める際に想定されるリスクを洗い出し、対処するシナリオを考え、一つひとつ実行してみる。
 そうすれば、主任時代に培ったプロジェクト管理経験も生かせるはず。漠然とした不安も消えるでしょう。
CASE2:周囲の嫉妬「スピード昇進したが、周りの目が気になる」
<主任から課長に昇進したNさん(38歳・システム開発)の場合>
 同じ課にいる同僚や先輩よりも先に昇進しましたが、周囲の目がとても気になっています。
 部長や課長からは信頼されていると感じるのですが、同僚や先輩の態度が一変。何かとやっかみを言われたり、距離を置かれたりするようになりました。ギクシャクすることが増え、やりにくさを感じています。
人材コンサルタント芦屋氏の診断:まだ周囲に実力を認められていない証拠。「さすが」と納得させるには、意識改革から初めてみる。
 Yさんがやっかまれてしまうのは、まだ実力が評価されていないから。人は、「あいつなら、仕方がない」と思う相手には、嫉妬しないものです。
 こうした状態には、昇進しただけの仕事をして、周囲を納得させるしかありません。メンバーをうまくまとめる、常に新しいことを仕掛けていく、などがありますが、その基本は、「ビジョンをもち、それを意識した言動を心掛けること」。例えば、3年後に目指したい組織の姿を常に頭に置きながら、周囲への言葉や態度に反映させていく。
 いつまでたっても「あいつは違うな」と言われない人は、何も意識が変わっていない証拠。日々、なりゆき任せで仕事をしていないか、振り返ったほうがいいかもしれません。
CASE3:部下への接し方「自分より経験豊富な部下ばかりで、やりづらい」
<主任から課長に昇進したNさん(38歳・システム開発)の場合>
 主任への昇進と併せて、部署を異動。これまでとは畑違いの領域を任されることになりました。
 現場経験の豊富な部下が4人つきましたが、自分だけが仕事をわかっていないため、プレッシャーを感じています。
  また、4人のうち2人は年上で、指示を出す際に非常に気を使います。
人材コンサルタント芦屋氏の診断:気後れした状態では、いつまでも信頼は得られない。部下を支援する努力をしつつ、自分なりのカラーを出していく。
 自分に情報や知識がない場合、まずは遠回りのようでも、部下たちに聞くしかありません。担当業務の内容や進め方、また問題になっていることは何か、真摯に彼らの話に耳を傾けるのです。
 そして、部下を支援する姿勢を見せる。例えば、プログラムのテストに手間取っていたら、自動テストツールを提案して、効率的に仕事ができる手助けをする。顧客とのやり取りで困っていたら、みずからが矢面に立つ。
何か起こったときに「自分にはわからないから」と逃げてはダメ。必死に取り組むことで、次第に彼らの信頼も得られ、未知だった分野の知識もついてきます。
 さらに、新しい仕事のやり方や視点をもち込めば、Sさんなりのカラーが出せるでしょう。
仕事熱心な人は要注意?管理職エンジニアを襲う★昇進後の「うつ」
昇進に伴う業務量のプレッシャーから、抑うつ状態に
 熱心な仕事ぶりが認められて、花形部署のプロジェクトマネジャーに昇進。最近、そんなエリート層のエンジニアが、昇進後「うつ」になるケースが増えている。

「これは、優秀で仕事熱心な人が『業務量のプレッシャー』にまいってしまうのが特徴のうつ病で、私たちはT型と呼んでいます」と語るのは、エンジニアをはじめ“知識専門職”の心の病に詳しい、光洋クリニック院長の市川光洋氏だ。

「昇進すると、より大きな仕事を任され、責任範囲も広がります。このタイプのうつ病になる人は、仕事に熱中するあまり、自然と残業時間が増えてしまいがち。日々、深夜までの残業に追われるうちに、精神的に疲弊してしまうのです」(市川氏)

 抑うつ状態の兆候としては、仕事への集中力や能率の低下、イライラ、ミスの増加が挙げられる。うつが進むと、就業意欲の低下や睡眠障害、さらに職場から逃げたいという逃避欲求が生じるという。
自分の働き方、管理していますか?
 市川氏いわく、「T型のうつ病になる人は、自分の業務時間を把握していない場合が多い」という。

自衛手段としては、まず自分の残業時間と睡眠時間をチェックし、生活パターンを振り返る、さらにできるだけ「夜12時前に床につく」機会を増やし、脳を休めるのが効果的だそうだ。

「最終的には、いかに業務量の負荷を減らせるかが鍵。ただ、本人のポジション的に難しいケースもあり、その際は会社側の協力も欠かせません」(市川氏)

 何かとせわしない昇進直後はムリをしがちだが、心の健康にも気を配りたいものだ。
仕事熱心な人は要注意?管理職エンジニアを襲う★昇進後の「うつ」

Part3:「昇進プレッシャー」と賢くつき合うには?
 Part1、Part2では、昇進プレッシャーの実態をみたが、これらのプレッシャーとうまくつき合うにはどうしたらいいのだろうか?
最後に、プレッシャーを乗り越えてきたエンジニアたちからのアドバイスを紹介しよう。
仕事の仕方
周囲と対話する機会を多くとる
「同僚・上司・部下とのコミュニケーションを密にするよう心掛けること」
(37歳・社内情報システム・課長)
情報を集める
「常に周囲とのコミュニケーションをとって、仕事や人間関係の情報を多く知ること」
(38歳・システム開発・リーダー)
目指すゴールを確認し、どう進むかを考える
「求められるアウトプットと、リソースを正確に見極め、もっとも効率のよいアクションをとる」
(34歳・コンサルタント・マネジャー)
自分らしさを出す
「自分だけの経験とノウハウを武器にすること」(38歳・品質管理・係長)
意識のもち方
役割、立場の変化を認識する
「昇進とは、『これまでの仕事は部下に任せ、自分の新たなミッションを発見、実行すること』と割り切る」
(36歳・システム開発・課長代理)
「周囲から期待されている役割を把握する。これからの業務は、今までのとは違うものだと考える」
(34歳・パッケージソフト開発・マネジャー)
少しずつ、確実に進むことを心掛ける
「目標を明らかにしたら、いっぺんに解決しようと気負わない。毎日一つひとつやろうと心掛ける」
(39歳・研究・課長)
周囲と協力することを考える
「自分や部下の性格、能力を見極める。そのうえで、自分の立場や部下の能力を活用させて
もらうぐらいの気持ちでスタートする」
(36歳・生産技術・主任)

 昇進して新しい役職に就くと、慣れない環境も手伝って、つい肩に力が入ってしまうことが多い。
 エンジニアとして、いいモノを作りたい、成果を出したいと思うからこそ、プレッシャーに襲われる。これまでに培ってきた知識や経験と、昇進を認められた管理職としての資質を信じながら、一歩一歩、新たな実績を積みたいものだ。
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  木下ミカエル(総研スタッフ)からのメッセージ  
木下ミカエル(総研スタッフ)からメッセージ
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今回は、「昇進はうれしいけれど、重圧を感じている」ケースにテーマを絞りました。一方で、「本来やりたい仕事から離れるので、昇進したくなかった」「管理職になったが、マネジメント業務は苦手で自分には合わず、困っている」という声も聞きます。こんな「昇進ストレス」も、いつか取り上げてみたいと思います。
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