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賛否両論!アジア技術者が採点する日本技術者の実力 (3) インド編 インド技術者は日本の技術力を評価するが英語力は不満
欧米企業をはじめ、インドでの自社開発拠点設立や、ソフト面のオフショア開発が一般化している。 コスト優位性に加え、最新技術と英語を駆使し、グローバルに活躍するインド人技術者たちが採点する、日本技術者の実力とは……?
(取材・文/小平達也 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/有田満弘) 作成日:05.04.13
Part1 世界のオフショア拠点インドと日本のパートナー関係とは
 中国とともに新興経済大国BRICs(ブラジル・ロシア・インド・中国)の一角を占めるインド。購買力平価でみるGDPでも、米国、中国、日本に次いで4位となる。この大きな経済成長を支えているのが、ソフトウェアの輸出である。最近では、化学・製薬や、家電、自動車などの開発もインドで展開している企業も出てきた。いったい「なぜ、インド?」なのだろうか。

インドが世界のオフショア拠点に成りえた理由
 インドが世界のオフショア拠点となった現状は、やはり密接な関係にある米国を抜きに語れない。インド経済に詳しく、『インドのソフトウェア産業(東洋経済新報社)』の著者である拓殖大学教授、小島眞氏はその背景についてこう解説する。
「インドが世界のアウトソーシング拠点になったきっかけは、やはりシリコンバレーにあります。数字と理工系に強いインド人技術者はシリコンバレーの30%を占め、米国のIT産業を支えるうえでは欠かせない存在でした。その後、各企業はコア事業への特化とともに、ノンコア業務のアウトソーシング化を、大量の技術者の頭脳、英語力、低賃金といった点に生かして、インドで展開したのが、オフショア開発の始まりです。このときに留学などで渡米しシリコンバレーで働いていたインド人が、今度は『還流』する形でインドに帰国赴任をしたので、米国とインドのビジネスコミュニケーションもスムーズに成功したのです」

 このように、インド人技術者は米国との関係が深く、受託開発の70%が米国向けといわれている。だが、日本向けはたったの3%と対照的だ。英語でのビジネスが中心のインドに比べ、日本語が話せる技術者が多く、コミュニケーションコストがかからない中国のほうに、日本の目が向いているという事情があるからだ。だが、家電、自動車などの情報化時代に向け、ソフトウェア技術者の不足に悩む日本企業にとって、高い技術力をもつインドの豊富な技術者に頼るのは、避けられない選択肢になってきた。一方、携帯電話やパソコン、家電、自動車など、インドを新たな消費市場として進出を図る日本企業も現れているが、韓国企業などに比べ、出遅れが目立つのも事実である。
インドと日本を取り巻くアジア四極の相関図
Part2 インド人技術者たちは日本人の技術者をこう評価する
 インドの技術力は、特に品質管理分野でも定評がある。CMM(ソフトウェア能力成熟度モデル)の最高位、レベル5をもっているインド企業は、今年の1月時点で84社もあり、全世界で取得している企業の半数以上を占めている。では、その高い技術力をもつインド人技術者にとって、日本人技術者の実力はどう映っているのだろうか。「インドのシリコンバレー」と呼ばれ、大手IT企業が軒を連ねるバンガロールの技術者100人に、日本人技術者に対する印象を尋ねた。以下、調査結果を見てほしい。

インド人技術者が日本人技術者の実力を採点
※インド(バンガロール)在住の25〜39歳技術者(大卒、75,000ルピー以上)100人に調査(2005年2月)
技術力は評価するが、コミュニケーションは下手?
 まず、「インドの技術者と比べた日本人技術者の技術力・専門知識」という質問では、インド人技術者の大半が、日本人の技術力を「高い」もしくは「ほぼ同じ」と回答している。「低い」という回答は1割にも満たないなど、日本人の技術力に対し、おおむね高い評価をしているようだ。

 技術を高く評価する一方で、賛否両論の結果が出ているのが「日本人技術者のビジネスコミュニケーション能力」だ。回答者の約3割が、それぞれ「高い」「低い」と正反対の回答をしている。インド人技術者のコメントによれば、「日本人技術者はコミュニケーション能力に問題がある」(システム開発)、「インド人技術者の英語力は日本人技術者よりもはるかに優れている」(コンサルタント)というような回答が目立つ。

 一般にいわれるように、日本人技術者は全体的に英語が得意とはいえない。一方で「英語は得意」といわれているインド人技術者の英語も、日本人にとっては早口でインドアクセントが強い。インドでの駐在経験があり、現在は日本でインドとのオフショア開発に携わる日本人技術者Sさんに、インド人技術者とのコミュニケーション・ギャップの経験をこう語る。 「同じインド人でも出身地方によって言葉が異なるので、インド人同士でもみんなヒンディーなまりの英語で話をしています。しかも早口なので、インドに赴任して最初の3週間はインド人の英語がまったくわからず、慣れるまでは苦労しました」。

 また、要求定義・仕様書の扱いの違いから生まれるコミュニケーション・トラブルもある。インド人技術者にとって、要求定義・仕様書のもつ意味は大変重要だ。提示された仕様書に基づき、工数、コスト、手順などを割り出し、仕事を進めるのが当然だからである。だが日本の場合は、あい昧な要求定義から始まり、頻繁な仕様書の変更が当たり前になっていることが多く、当然トラブルを生む原因にもなる。相手の理解度など「顔色」を見ながら仕事を進めている日本人技術者にとって、インド人技術者とのビジネスコミュニケーションは難易度が高い。「課題解決力・トラブル対応力」に関しても同様に、相互理解が必要といえよう。

 インド人技術者の日本人技術者観で評価が高かったのは、中国、韓国同様、「技術・研究開発への情熱・意欲」「会社への貢献・仕事の責任感」である。「個人型」で仕事をするインド人技術者にとって、「チーム型」の日本人技術者は、組織への団結感、忠誠心が高く映るようだ。
インド人技術者は日本人技術者のチームワークと完璧主義を高く評価
「日本人技術者の仕事へのコミットメントは、インド人技術者のものよりも高い」
(システム開発/30代前半)
「日本人は非常に勤勉である」
(回路・システム設計)
「インド人技術者は個人主義的に仕事をするが、日本人技術者はチームで仕事をする」
(研究・特許/20代後半)
「日本技術者は言い訳をせず、常に最高の結果を達成しようとする。最悪の条件下でもあきらめないところがすごい」
(生産技術・プロセス開発/30代前半)
「日本人技術者はインド人技術者と比べ、組織に対する忠誠心が高い」
(研究・特許/30代前半)
「日本人技術者は非常に勤勉だが、インド人技術者は働くとともに人生を楽しむ」
(システム開発/20代後半)
Part3 インド人技術者は、実は日本人技術者が大好き?
 驚いたことに、実に8割以上のインド人技術者が「日本人技術者と一緒に仕事をしたい」と回答している。これは中国人技術者や韓国人技術者と比べても高い数字だ。また、理由としても、単に日本の技術や品質管理方法を習得するため、というだけでなく、むしろ「日本人は親しみやすいから」「日本人は勤勉であるから」など、日本人技術者そのものへの高い関心と、評価であることが興味深い。

 Part2の調査結果でも、「日本人技術者の技術や教育への情熱・意欲」では7割以上のインド人技術者が高い評価をするなど、日本人技術者の姿勢や態度そのものに対する好評価なのだ。この点について前出の小島教授はこう解説する。 「実はインドの日本に対するイメージはもともと非常によいのです。経済面でいえば、1960年ころまでは日本・インドともに同レベルのGDPだったのですが、その後、急速に高度経済成長を遂げた日本に、インド人は再び尊敬の念を抱いたのです」。

日本人技術者を仕事のパートナーとしてどう思う?
 一般的に中国技術者と韓国技術者はビジネス志向型であるのに対し、コンピュータ工学やシステム工学などの高度な教育を受け、高い専門知識と技術力をもつインド人技術者は専門職型が多い。日本人技術者にとってのインドはいまだに遠い国かもしれないが、「米国に直結した最新の技術力」「欧米と比べて1/5といわれる低賃金」「100万人規模の豊富な技術者」をもつインドは、日本人技術者にとって、今後も目の離せない存在であることは間違いないようだ。
日本企業に届け!インド人技術者の熱いラブコール
「日本人技術者の丁寧に仕事をし、完璧を求める姿を好ましく思う」
(運用・保守/30代前半)
「日本技術者の仕事の仕方に大変驚いている。プロジェクトへ貢献する姿勢などがよい」
(コンサルタント/20代後半)
「日本の研究開発や先端技術を身につけたいので一緒に仕事をしたい」
(生産技術・プロセス開発/30代前半)
「日本人技術者は非常に品質志向である。どんな仕事も引き受け、限られた時間内に実行する」
(システム開発/20代後半)
「日本人がどのように歴史を形成したのか、実際に体験し分析してインドで実行したい」
(機械・機構設計/30代前半)
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  宮みゆき(総研スタッフ)からメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
国内の組込みソフト開発者不足から、SIerだけでなく、大手メーカーもインドの技術者に注目しています。ハードウェアとの組み合わせは複雑なため、海外技術者とのコミュニケーションもますます深くなっていくことと思います。課題が多いといわれるオフショア開発、ご経験者みなさんのエピソードなどあれば、ぜひ編集部までお聞かせください。

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