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エンジニア給与WAVE! Vol.38 中国・韓国・インド・日本技術者の給与評価を徹底比較!

アジアのエンジニアは「会社からの評価」をどう捉えているのか。Tech総研では、中国・韓国・インド・日本、4カ国の技術者に対して意識調査を行った。そのなかから給与の評価基準を彼らがどう考えているのかをみてみよう。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也) 作成日:05.04.13
「実績・成果」で評価されていると、どの国の人も思いたい

 今回は「あなたは現在の会社にどのような要素で評価されていると思いますか」という設問に対して、中国300人・韓国100人・インド100人・日本200人の技術者(25歳〜39歳、年収400万円以上、大卒以上、正社員)がどのように答えたか、それをベースに企業環境、文化、社会構成などの違いを見ていく。少ないサンプル数ではあるが、「アジアの技術者の自己評価は、こういう点で日本人とは違うのだな」と考えるヒントとしていただきたい。

 自分のどの部分が会社に評価されているのか──まずは日本人技術者のアンケートの結果を見てみよう。評価基準としてトップに挙げられるのが「実績・成果」。続いて「役割・職務」「取り組み姿勢」「発揮能力」「保有能力」「要領の良さ」「会社のビジョンや価値に合わせた行動」などが続く。
「自らが挙げた実績や成果で評価されている」という意識は、あえて成果主義・実力主義の人事制度に触れなくても、万国共通のものだと思われる。その意味で、すべての国のエンジニアの間でこの「実績・成果」が高くランクされているのは当然のことといえる。

「取り組み姿勢」が結果をもたらすのはどの国でも同じ

 これと同様に「取り組み姿勢」へのポイントが高いのも、各国共通している。もともと合理主義的な発想の強い中国、IMFショック以降、徹底した実力主義の“超”競争社会に生まれ変わったとされる韓国、欧米系経営スタイルが浸透しているインドなどでは、一見「結果さえ出せばプロセスは関係ない」とばかり、取り組み姿勢はそれほど高く評価されないのではないかと想像していたが、実際は違った。これはおそらくエンジニアの仕事の性格からきているのだろう。技術というものは、日夜たゆまぬ姿勢で取り組まない限り、大きな成果を挙げることはできない。これは、国情や文化を超えた、エンジニア共通の了解事項であり、それが結果にも表れていると考えられる。

 日本で2番目に挙げられる「役割・職務」も各国で高いランクにあるが、中国だけは低い数字が出ている。中国のITやエレクトロニクス企業でも、最近はアメリカ並みに技術者の職務範囲は明確で、中国人技術者はその範囲内ではきっちり仕事をこなすと言われるが、このアンケートでは「役割・職務」へのポイントは低かった。日本も韓国、インドに比べれば低い。「役割・職務」が自分を評価する基準になるということは、その前提として職務の定義が明確で、かつ会社と従業員の間でそれが了解されていることが必要だ。いわゆる“ジョブ・ディスクリプション(職務記述書)”などの存在の有無も重要になる。

 一般に、外資系を除く日本の企業では職務記述を明確にする習慣はまだ定着していないといわれる。一方韓国、インドの企業では、このように職務を明確にして、そこで求められる要件を満たせば評価されるという構造が浸透しているのではないかと想像される。

「特別な知識創造」や「要領の良さ」では、インド、中国に負ける?

 興味深いのは「特別な知識創造」へのポイントがインド人技術者で58%と、他の国に抜きんでて高いことだ。韓国、日本の11%から比べるとその差は歴然である。「0の発明」で知られるインド人の発想の豊かさを思い出さざるを得ないが、日本も企業内研究者からノーベル賞受賞者を輩出するなど、独創研究という点ではけっしてひけをとらないはずだ。日本は技術特許の件数でいっても、アジアはもとより世界でも有数の特許大国である。なのに、技術者の評価をめぐるこの数字の差はなんだろう。

 日本でも最近は、企業における職務発明報酬制度が改善されてきたとはいえ、高輝度青色LED発明に関する中村訴訟に見られるように、技術者の貢献に対する評価・対価はまだ不十分であるという意識が背景にあるのかもしれない。また、日常の業務ではその人にしかない「特別な知識」よりは、集団が共有する汎用的な知識の底上げのほうが優先されるという実態の反映かもしれない。将来における、アジア各国間での独創的技術開発競争を想定したとき、ちょっと気になる差ではある。

 インドでは「要領の良さ」という項目が異常なぐらい高いポイントを占めている。中国でも5位にランクインだ。

 ここでいう「要領の良さ」は、たんなる口先だけの要領の良さというよりは、仕事の手順やオンとオフの切り替えなど、「仕事の進め方が上手である」というふうに読み取るべきだろう。少なくとも日本の現状では、こうした暗黙知の部分はなかなか評価しづらいものだ。要領が悪くても熱心に残業すれば評価され、残業代も出るという悪弊が、日本にはまだ残っている。日本でもインド、中国にならって、よい意味での「要領の良さ」が、評価項目としてもっと注目されるようになればよいのだが……。

 製造業の海外シフト、IT産業におけるオフショア開発など、海外での生産・開発が当たり前になる時代。海外とりわけアジアのエンジニアたちの評価に対する意識や、彼らのモチベーションのありかを知っておくことはけっしてムダではない。これからの国際分業、グローバル化に対応する仕事の基準を自らのものにしていくうえでも、これは重要なことだ。

DATA 現在の会社にどのような要素で評価されていると思うか?
[調査概要]
  中国 韓国 インド 日本
調査方法 インターネット調査(パソコン)
調査対象 中国(上海、大連、広州)在住の25〜39歳技術者男性 大学以上卒 個人年収2万元〜30万元未満 業種限定(IT、通信、メーカー、商社、専門コンサル) 韓国・ソウル在住の25〜39歳技術者男性 大学以上卒 個人年収2,000万ウォン〜6,000万ウォン未満 業種限定(IT、通信、メーカー、商社、専門コンサル) インド(バンガロール)在住の25〜39歳技術者男性 専門学校以上卒 個人年収75,001ルピー〜1,000,000ルピー以下 業種限定(IT、通信、メーカー、商社、専門コンサル) 日本在住の25〜39歳の技術者男性 年収400万円以上 海外技術者との業務経験あり
総回収数 300件 上海(100件)、
大連(100件)、広州(100件)
100件 100件 200件
実施期間 2005年02月17日 〜 2005年02月22日
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  宮みゆき(総研スタッフ)からメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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アジアのエンジニアたちは何を考え、何を目的として働いているのか。同じアジアでも、評価基準ひとつをとっても、国によって特徴が出てきます。産業のあらゆる分野で海外生産が常態化するなか、国という垣根を越えてお互いを理解できると仕事もやりやすくなるのではないでしょうか。次はぜひ現地のエンジニアの生の声を聞いてみたいと思います。
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