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エンジニア給与WAVE! Vol.37 技術者の貢献度が反映されない? 業績給に4割が不満

成果主義制度の導入で、業績給・業績連動給という考え方が徐々に浸透してきた。自分や部署、そして会社の業績が上がれば自分の給与も上がるという仕組み。わかりやすく、かつ仕事へのモチベーションもわくが、むろんリスクもある。制度の実態、満足度を500人のエンジニアに聞いた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/kucci(クッチー) 撮影/加納拓也) 作成日:05.03.31
仕事の成果を評価して、給与に反映する仕組み
DATA1 年々増加する業績型賞与の導入状況

 まず「業績給」という言葉の説明をしておこう。業績給は広く成果主義的な人事制度において用いられる給与決定方式のひとつで、一定期間の仕事の業績(成果)を評価して、それを給与に反映させていく仕組みである。

 意味合いとしてはふたつあり、ひとつは従業員の給与を企業の業績に連動させる「業績連動給」の場合である。業績連動給とは、企業の財務的視点から業績をとらえ、業績に見合った人件費割合を設定したうえで、成果主義による人事考課によってそれを社員に分配するもの。簡単にいえば、期中の利益が多ければ、ボーナスも多くなり、逆の場合は少なくなるということだ。ここ数年、この業績連動給システムを導入する企業が増えている。(DATA1)

 もうひとつは、業績給を成果主義による人事考課によって分配される賃金そのものを指す場合もある。この場合、賃金決定の基準は必ずしも企業の業績だけではない。個人目標の達成度や業績への間接的貢献度などを勘案して賃金が決定される。
開発者に「収益リンクボーナス」を支払う企業も

 いずれにしても、成果主義の導入で業績給の考え方が徐々に企業の中に浸透しつつあることはたしかだ。これまでは、月々の給与は従来の年功型・職能型の体系のままにしながら、賞与(ボーナス)に業績評価を大きく反映させる方式をとる企業が多かった。しかし、最近は月例給与にも業績評価を導入する企業が増えている。また、給与体系を業績と連動した年俸制に一本化し、前期の業績が次期の年俸にストレートに反映するという仕組みを、管理職はおろか一般社員にまで適用するような“先進的な”企業もチラホラ出てきている。

 例えば、あるゲームソフト会社では、全社員に年俸制を導入しているが、その方法はまず独自の年俸給テーブルに基づき、クラスとレベルに応じた年俸給を一人ひとりに設定する。そのうえで、開発職には各製品の収益に応じた「収益リンクボーナス」を支給、非開発職には全社事業収益などに応じた「業績リンクボーナス」を加算するというものだ。

業績給だが、その実態には不満ありあり

 業績給についてそのように理解したうえで、今回のアンケートでは、会社の業績で決まる業績連動給について、その満足度を見てみよう。「あなたの勤務先では、会社業績や売上利益に対する“技術者の貢献”は給与・賞与面で反映されますか?」という問いに対して、「業績給に関する規定があり、実際、給与・賞与に反映されている」という答えは32%、「規定はないが、反映されている」(31%)も含めると、約6割の企業でなんらかの形で業績給が導入されているということになる。(DATA2)

 しかし、その結果に対する満足度は全般的に低い。「会社業績や売上利益に対する“技術者の貢献”は給与・賞与面で反映されている」と答えたエンジニアのうち、そのことに「かなり/やや満足している」のは39%だ。「どちらともいえない」がほぼ同数の34%、「あまり/まったく満足していない」人が28%いる。(DATA3)これはどういうことだろうか。

 不満の理由はおそらく、業績に応じて給与・ボーナスが増減する仕組みになっているにもかかわらず、「好業績に対して、期待したほど給与に反映されていない」ことへの不満か、「業績が悪化し、予想以上に給与が下がった」ことへの不満のいずれかが考えられる。つまり、どちらの場合も業績がどう給与に反映されるかが不透明なため、「自分は頑張ったのにそれが正当に評価・連動されていない」という根本的な不満とともに、常にくすぶっていると思われる。

 実際、会社の業績への自分の貢献度については、総計で「かなりの貢献をしている」(17%)「どちらかといえば貢献している」(58%)と、高い自己評価をしている人たちである。この評価のギャップは、そう簡単に埋まりそうにない。

 もちろん、「“技術者の貢献”が給与・賞与面で反映されていない」会社における、給与への不満はもっと高まる。「業績給に関する規定も、給与・賞与面の反映もない」企業では、「まったく満足していない」が32%に達する。それに比べれば、業績給が導入されているだけまだまし、ともいえるのだが、それでも全員が満足するにはほど遠い。

DATA2 勤務先企業で業績給制度は導入されているか?
DATA3 技術者の貢献を認めてほしい……業績給に対する高い不満
業績を何に基づいて評価するか

 そもそも個人の「業績」を何に基づいて評価するのかというのは、かなり難しい問題ではある。企業の売り上げ・収益などの業績は数字で明確に表されるが、そこに個人の仕事ぶりがどのように影響しているかを、定量的に見定める効果的な方法がなかなかないのだ。業績を一人ひとりの個人にまで分解せず、部署単位で測る方法もあるが、その場合、「私は頑張ったのに、同僚(部下、上司)の業績が悪いので、足を引っ張られた」と不平を言う社員が必ず出てくる。

 一般的に成果主義・業績主義賃金を導入した企業では、従業員の間に、評価システムの公正さへの不安、自分の職務の特性の成果主義へのなじみにくさへの戸惑い、給与が頻繁に変動することによる生活への不安などが出てくるとされる。そうした不安を取り除きながら、メリハリの利いた評価や処遇を通して、個人のモチベーションアップにつなげるという、本来の成果主義が浸透するにはまだまだ時間がかかるというべきだろう。

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  宮みゆき(総研スタッフ)からメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
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自身の成果だけでなく、会社の業績が給与に影響をおよぼすとなると、今までは会社の経営など他人事だったのに、今後は無関心のままではいられなくなります。個人の成果主義の浸透に加え、ますます厳しい給与制度の時代になっていきそうですが、みなさんの実感値はいかがですか?
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