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賛否両論!アジア技術者が採点する日本技術者の実力 (1) 中国編 中国技術者が「会社への忠誠心」を評価する真意とは?
開発拠点の海外シフト、巨大化する中国マーケットへの脅威。その最前線で活躍する中国人技術者は日本人技術者の実力をどう評価しているのか。Tech総研では、両国の技術者に緊急調査を行った。さて、その採点結果は……
(取材・文/小平達也 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/有田満弘) 作成日:05.03.23
Part1 開発・生産・販売拠点のアジアシフトがもたらす海外技術者への脅威
 Tech総研では、中国・韓国・インド3カ国の技術者に対して、日本技術者の実力に対する意識調査を行った。また、日本技術者に対しても、開発・生産・販売プロセスが海外シフトされることに対する脅威について聞いている。3回シリーズでお届けする第1回目は、中国人技術者300人に聞いた日本技術者観を紹介しよう。

研究開発が、製造が……進む海外シフトを日本人技術者はどう感じているか
 国内大手メーカーのみならず中堅企業までもが、当然のように海外へ開発拠点をシフトしている。IT分野でも中国やインドでのオフショア開発が一部の話であったのは昔のこと。いまや、営業活動の際にもオフショア拠点を活用することを前提に受注に結びつけることは当たり前になっている。日本企業の製造、販売、そして研究開発機能までもが「最適地化」の名前のもと世界中に、特に最近ではアジア全域にシフトしているのだ。

 では、開発・生産・販売拠点が海外にシフトされることを、日本人技術者たちはどう感じているのだろうか。海外技術者と仕事をした経験がある25〜39歳のエンジニア200人に聞いたところ、半数以上の56%が「脅威を感じる」と回答している。

 脅威に感じる主な理由としては、人件費などのコスト面に加え、技術力、語学などに対する習得意欲や向上心、そしてなにより開発工程が海外に移管されることに対する危機感などが挙げられた。
日本技術者の56%が脅威感じる!
海外技術者に脅威を感じるのはなぜ?

・ 「人件費も安いし、技術ノウハウの吸収も早い。そのうち日本のほうが下請けになるかも」 (37歳/システム開発)
・ 「開発工程が徐々に中国に移管されているので危機感はある」 (29歳/プロセス開発)
・ 「中国人技術者の技術や日本語習得に対する向上心にすごみを感じた」 (28歳/通信インフラ設計)
Part2 中国人ハイパー技術者たちは日本の技術者をこう評価している
 では次に、「技術力・専門知識」「ビジネスコミュニケーション力」「課題やトラブルへの対応力・解決能力」「技術や研究開発などへの情熱・意欲」「会社に対する貢献度、仕事に対する責任感」について、中国人技術者が日本人技術者の実力をどう評価しているのかを見てみよう。

グラフ 中国人技術者が日本人技術者の実力を採点
日本人技術者の印象は?
「業務管理が完璧」 (30代後半/コンサルタント/大連)
「日本人は仕事に対して敬意を持っている」 (30代後半/パッケージソフト開発/大連)
「日本人は集団を重視し、会社に服従することを好む」 (30代前半/システム開発/上海)
「日本人はプロセスの規則を重視し、規範を尊重するため、同じ失敗をしない」 (30代前半/半導体設計/上海)
「日本人は困難に立ち向かうのが好き」 (30代後半/機械・機構設計/大連)
「技術に対する愛情が違う。日本の技術者にとって技術は命だ」 (20代後半/通信インフラ設計・構築/上海)
「中国人は家庭を大切にし、日本人は仕事を大切にする」 (20代後半/ネットワーク設計/広州)
「日本人はある仕事に対していつも残業して完成度を高めている」 (30代前半/制御設計/広州)
※中国(上海、大連、広州)在住の25〜39歳技術者(大卒、年収2万元以上)300人に調査(2005年2月)
「技術力」「研究開発の情熱」以上に高い「会社への貢献度」、の評価

 中国技術者の全般的な認識として、日本人技術者の「技術力・専門知識」に対する評価はやはり高い。本調査でも中国人技術者の半数以上が評価している。事実、中国に限らず海外では「カイゼン」に代表されるような日本の品質や工程管理は、高い評価を得ている。

 一方で、「技術力・専門知識」や「技術・研究開発への情熱・意欲」以上に、高い評価だったのが「会社への貢献・仕事の責任感」だ。独立志向の高い中国人技術者から見た日本人技術者の「会社への忠誠心」は、「協調性」の高さでもあり、「自主性のなさ」ともとらえているようである。また、「仕事に対する姿勢・責任感」の強さに尊敬を感じているコメントも多く見られた。
日本人技術者への評価の高い都市、大連
「巨大な消費市場を背景に研究開発から製造までのみ込む中国」は人口も日本の10倍、面積も26倍あり、文字どおり広大だ。そもそも中国政府は数十年前に、海外に行く留学生向けの外国語学習に際し「英語は上海」「ロシア語は北京」「日本語は大連」と都市ごとに機能分けをした歴史があるほど、それぞれの地域色が強い。現在、日本企業との関係性でいうと下記図表を見ていただければわかるとおり、「マーケットの上海」「製造業の広州」「オフショア開発の大連」さらに「研究開発の北京」と大きく分けることができる。

 今回の調査で、特に地域差が表れたのは大連だった。調査項目「ビジネスコミュニケーション力」では上海や広州の技術者の場合、日本人技術者を高評価しているのは3、4割程度だったのに対し、大連では6割にも達している。その他の項目でも大連では日本人に対する評価がずば抜けて高い。日本向けビジネスを拡大させようとしている大連には日本人との仕事の進め方を積極的に理解する姿勢があるからだろう。裏を返せば、海外では「言わないとやらない(指示待ち型)」「言った範囲でしかやらない(期待以上のパフォーマンスがない)」は当然のことともいえる。
  研究・開発、製造、販売……地域で変わる日本企業との関係性
  北京 主な機能:研究開発 清華大学をはじめ、優秀な研究者が多い。中関村は大学からスピンオフしたベンチャーが多く「中国のシリコンバレー」といわれている。 大連 主な機能:オフショア  中国を代表する日本向けオフショア拠点。豊富な日本語人材と大連ソフトウェアパークを背景に対日ビジネスを増加させている。
広州 主な機能:製造 世界の「加工工場」。パソコン、携帯などエレクトロニクス企業であったが、最近では自動車産業を中心に集積。 上海 主な機能:市場 中国を代表する一大消費地。現地日系企業がエンドユーザーとなり、ERPやSCMの導入が増えている。
日本人ブリッジSEが語る「暗黙知で仕事する」日本の常識は海外では通用しない
 
 現在は日本を拠点に米国・中国との技術提携の実務を担当しています。米国人技術者は、バグひとつにしても「出たら直せばいいだろう」という考え方が多く、こちらから不備を指摘しても「で、実際にどんな問題が起こるんだ」と平然と聞いてくることが多いですね。具体的に問題を明示すれば対応する、言わなければ対応してくれない、というスタイルは中国人技術者と仕事をしていても同じです。逆に日本では盲目的に品質第一で、優先順位のつけ方があいまいになりがちです。

 役割についても大きく異なります。アメリカでも中国でも技術者の職務範囲は明確で、その範囲内できっちりこなします。それぞれが自立して機能しているんですね。そのうえで会社の中であっても人間関係はフラットで目上の人にもはっきり自分の考えを言っています。日本の場合は、どのプロジェクトでも縁の下の力持ち的な「お世話係」がなんとなくいるのですが、リーダーは不在。その一方で時々しか現場に来ない「エライ上司」が、何かひと言いったら無条件で聞いてしまう「なあなあ」な雰囲気もあります。

 海外の技術者と仕事をしていて、黙っていてもわかってくれるだろうという甘えはなくなりました。同様に日本人技術者との間でもはっきり言わなくて後から問題になることもあるので、今は以前と比べて「言わなくてはいけないことはしっかり伝える」ことを心がけるようにしています。
 
Iさん
Iさん(情報処理/31歳)
シリコンバレー発のストリーミング技術を採用したパッケージを日本国内で展開する企業で、日本対アメリカの技術サポートを務める。中国オフショア開発の推進や、中国マーケット向けの事業展開など、日本・米国・中国3地域での海外プロジェクトに従事している。
 
       
Part3 「今後も一緒に仕事をしたい」中国技術者の本音と思惑はどこにある?
 最後に、中国人技術者に「日本人技術者を仕事のパートナーとしてどう思うか」と聞いたところ、実に8割近くが日本人技術者と一緒に仕事をしたいと答えている。代表的な理由としては「技術レベルを上げるため」「先進技術を吸収したい」というもの。彼らの場合、具体的に自らのキャリアを意識したうえで「一緒に仕事をしたい」としているのが特徴だ。概していえることは、日本人技術者と一緒に仕事をすることによって自らの技術レベルを上げ、より速くそれぞれの目標到達を目指しているということだろう。つまり日本人技術者と一緒に開発などを行うことをあくまでも「手段」としてとらえているのだ。

 一方で、日本人技術者で「中国人技術者と一緒に仕事をしたい」と答えた人は6割弱。理由には「コストが安いから」「避けては通れないから」「これからの時代必要不可欠」といったようなコメントが多く、一見ポジティブなものの、実は国内のコスト圧力へ適応するために、というイメージが強い。そのほか、「刺激になるから」というものも複数目立ったが、これにも少々受身の姿勢を感じる。

  今後、中国人技術者と一緒に仕事をすることは日本人技術者のキャリアや技術レベルを高めるためのチャンスなのか、それとも「脅威」「学ばれ損」と考えるか。もちろん、答えは人それぞれ違うだろう。チャンスととらえる場合でも、コスト削減などへの適応と海外技術者とのコミュニケーション自体を目的とするのか、自らの技術レベルの向上や明確化されていなかった業務内容を精査し、マニュアル化をするための手段として考えるかによって大きく異なることを理解しておきたい。
「今後も仕事をしたい」中国技術者は78%
一緒に仕事をしたい

   「日本の同じ業界の業務プロセスを知ることができる」 (20代後半/システム開発/大連)
   「日本の技術者の能力レベルはやはり相当高い。学べるところもある」 (20代後半/回路システム設計/上海)
   「日本の技術者の積極的な仕事の態度と責任感が好き」 (30代後半/機械設計/大連)
   「日本は電気、機械と通信ソフト面で進んでおり、協業を通じで彼らの長所を学ぶことができる」 
      (20代後半/回路システム設計/広州)

一緒に仕事をしたくない

   「少なくとも私が会ったことのある日本人は英語能力が低い」 (20代後半/パッケージソフト、ミドルウェア開発/上海)
   「中国の技術者の能力は既に十分。日本人と一緒に仕事をする必要がない」  (20代後半/通信インフラ設計/上海)

次回はデジタル家電や携帯電話、自動車企業が好調で、欧米やアジアなどの海外市場でも日本企業に
脅威を与えている韓国技術者の意識を紹介します。
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  宮みゆき(総研スタッフ)からメッセージ  
宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
アジアの技術者たちが日本技術者をどう見ているか。アジア3カ国の技術者に調査を行いましたが、同じアジアでも歴史的なことや、ビジネスでのかかわり方、国民性などで違いが見えて興味深いものがありました。技術者が活躍する場が海外に広がることにより、同時に一緒に仕事をする仲間やライバルも、国内だけでなく海外の技術者が増えていきます。それを脅威と見るか、チャンスととるかはみなさん次第。次回の韓国編はまた違った角度からお届けします。お楽しみに!

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