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ネットワークWindowsアプリの開発経験を生かしてプログラマが転職

URLフィルタリング技術で急成長するネットスターへ

インターネット閲覧を管理するURLフィルタリング製品で、国内トップシェアを握るネットスター。自社開発の高性能フィルタリングエンジンと、高品質のURLデータベースの提供を強みとする。今回はそんな同社の製品開発に応募した、中堅プログラマの面接現場だ。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:05.03.16
ネットスター
応募したエンジニア 企業の面接担当者
苗木さん
苗木 龍さん
(当時30歳)
岡本氏
製品開発部
マネージャー
岡本啓一氏
当時の職種
プログラマ
募集職種
プログラムデベロッパー
業務内容
VPNシステム開発プロジェクトにおけるWindows版クライアント(ドライバを含む)の開発
仕事内容
URLフィルタリングソフト・パッケージ製品の設計と開発
職務経歴
鉄工メーカーで3DCAD操作、製造関連ソフトの開発を5年半。インターネットソフト開発会社でWindows系アプリケーション開発を4年。
応募資格
C、C++、Javaのいずれかでのプログラム経験2年以上。ネットワークプログラミング経験、UNIXでの開発経験があればなお可。
志望動機
未経験のURLフィルタリング製品の開発に深く取り組みたい。
募集背景
事業拡大に伴い全社的な体制を強化するため。
面接の流れ
最初に管理部の人事担当者が選考。次に、製品開発部のマネジャーおよびリーダーが選考する。
製品開発部のマネジャー、リーダーの計2人が面接する。所要時間は1時間半から2時間。直前に自己紹介書を書いてもらう。
製品開発部の部長が1対1で、1〜2時間面接する。同時に適性検査も実施する。
社長と常務が面接する。所要時間は平均1時間半。
3次面接の当日に内定の旨を電話で連絡。追って雇用条件をメールで通知。正式書面は郵便で送付する。
【通過率:約4割】
【通過率:約8割】
【通過率:9割以上】
Part1
職務経歴と実務経験のレベル
アプリ開発に従事してきたプログラマの経験
岡本:
 苗木さんですね? 本日はご来社いただき、ありがとうございます。
苗木:
 いいえ、こちらこそ。
岡本:
 それではまず、これまでの職務経歴を簡単にご紹介ください。
苗木:
 はい。私は高等専門学校を卒業し、担任の推薦で○○○(鉄工メーカー)へ入社しました。その会社では主に3DCADのオペレーション担当でしたが、CAD/CAMに伴うソフトの開発も行うようになり、プログラミングの面白さを知りました。それが理由で、現在勤める×××(通信分野特化のソフト開発会社)へ転職しました。
 転職して4年近くたちます。この間、担当してきたのはインターネットやネットワークに関連したWindowsアプリケーションの開発です。開発環境にはVC++のv6.0を用い、WinSockによるインターネットアプリとGUIの開発を得意としています。ほかに開発言語ではJavaとVBを使えます。
ソフトウェアVPNの開発をほぼひとりで担当
岡本:
 【Point1】今までで最も印象深いプロジェクトは何ですか?
苗木:
 【Point2】やはり、今担当しているソフトウェアVPNの開発です。1年以上も続いている仕事ですが、ドライバ開発を含むWindows版クライアントの開発を、ほぼひとりで行っています。ドライバの開発はプログラミングとして面白いです。
岡本:
 【Point3】その仕事はひとりで行っているのですか?
苗木:
 この開発プロジェクトに加わっているWindowsプログラマは私ひとりで、ほかにヘルパーがひとりいます。Windows版クライアントの9割以上は私が実装してきました。
岡本:
 そのヘルパーとはプログラマですか?
苗木:
 はい。アップデートのような補助機能をつくる際に手伝ってもらいます。
岡本:
 プロジェクト要員は5人となっていますが、ほかの人は何を?
苗木:
 そこに記載した5人にはプロダクトマネジャーも含まれ、ほかはプロジェクトマネジャー、Linuxのサーバーを担当するプログラマです。
岡本:
 苗木さんは基本設計に携わっていないのですね?
苗木:
 はい。この仕事では例外的にかかわりませんでした。基本設計は大規模プロジェクトの経験をもつマネジャーが行いました。
岡本:
 苗木さんはその仕様に基づいてつくったと。
苗木:
 はい、そうです。
Point1
[面接官]この質問の狙いは応募者の関心の方向性を探ることです。成功した体験、苦労した体験、技術的に伸びた体験、何でも構いません。印象に残った理由がわかれば、人物像の一端が見えてくるものです。同時に技術力の判定もできます。
[応募者]経歴説明のあとすぐ、印象深いプロジェクトを尋ねられると予想していました。ほかの質問もそうですが、聞かれそうな質問の返答は用意していたのです。話し下手なので、そうでもしないと通過しないと思いました。
Point2
[応募者]ソフトウェアVPNの開発が技術的にハードルの高いものであり、レイヤー2の知識までないとできないことは、ネットワークに詳しい技術者ならわかるはず。それで、このプロジェクトを挙げました。私にとっては大きなアピールポイントでした。
[面接官]ドライバ開発やレイヤー2を経験しているソフト技術者は、全体からすると少数派。また、VPNは使う立場になるほうが多く、作る立場はまれ。そういう点で価値あるキャリアといえますし、ネットワーク関連の知識は大丈夫だろうと判断しました。
Point3
[面接官]ひとりで仕事を任されるのは技術力がある証拠であり、経験を深めただろうと推測される半面、チームワークの点が少し気になりました。そこで、これ以降の質問を始めたのです。
[応募者]私としては、ひとりで作ったという自己アピールはうまくできたと思いますが、確かに、チームワークについては念頭にありませんでした。技術力とチームワークの両方を、最初からアピールすればよかったですね。
Part2
トラブル対応能力と先端技術の知識

トラブル対応に表れるエンジニアの判断能力
岡本:
 低いレイヤーのソフトでは、どうしてもコンフリクトとか、Windowsのバージョンによる相性などが出てくると思うのですが、そういった問題が発生したことはありませんでしたか?
苗木:
 はい、ありました。△△△(外資系セキュリティーベンダー)のソフトとコンフリクトが発生したので、先方へ問い合わせました。
岡本:
 それは最終的に解決したのですか?
苗木:
 いいえ、だめでした。おそらくソフト自体に原因があり、先方も究明できないようです。
岡本:
 【Point4】そう判断したのはなぜですか?
苗木:
 私が問い合わせた先は技術営業の方でした。その方は△△△の本国技術部門へ話をして、返答をもらう形にしたのですが、その返答がいまだにきません。本国でも解決策を見つけられずにいるようです。
IPv6の将来性から応募者の見識を探る
岡本:
 話は変わりますが、苗木さんはIPv6にかかわるソフトの開発も経験しています。【Point5】IPv6は今後どうなっていくと思いますか?
苗木:
 必ず普及するでしょうが、急速な普及はあり得ないと思います。5年とか、そういう単位で見守るべきものではないでしょうか。
岡本:
 既にどのOSもIPv6に対応しているようですが、一般に普及しない原因はどこにあると考えますか?
苗木:
 ルーターなどの膨大なネットワーク機器が対応するようにならないと、普及は難しいでしょう。それに加えて、ISPが対応する形にならないと、一般家庭のネットワークには行き届きません。しかし今はまだ、ISPが機器を整えてペイできる状態にはなっていないようです。
Point4
[面接官]しつこく尋ねた理由は、問題解決の仕方に技術力の一面が表れるからです。直接先方とやり取りしたのか、プロジェクトマネジャーを介して対応したのかによっても、技術レベルを推測できます。
Point5
[面接官]実際の面接ではもう少し技術経験の質問をしましたが、インターネットWindowsアプリ開発の技術スキルは、この段階でほぼ合格と判断していました。また、IPv6について触れたのは、苗木さんが一般プログラマ以上にネットワークの知識をもっているからで、そのレベルを参考までに知りたかったのです。
Part3
転職動機と今後のキャリアパス

自社プロダクトをもつインターネット系開発企業を希望
岡本:
 今回転職を考えた動機を聞かせてください。
苗木:
 技術的にもっとスキルアップを図りたいというのが大前提です。未経験の開発案件に挑戦して、知識の幅を広げたいと思いました。今の会社よりもそれに適した環境を探しています。
岡本:
 【Point6】どんな基準で会社を探していますか?
苗木:
 大きく2点あります。ひとつには、インターネットに関連する会社であること。私はとてもインターネットが好きで、趣味でもよく使うのですが、インターネットに関連したソフト開発を専門の仕事にしたいと思っています。
 もうひとつの基準は、ベンチャーらしい理念や精神にあふれる会社です。
岡本:
 インターネット関連といっても、いろいろなタイプの会社があります。その中で何か限定している条件はありますか?
苗木:
 私はずっとWindowsアプリケーションの開発をしてきましたから、やはりWindows系のソフト開発をしている会社が希望です。ところが、自社で企画から開発まで行っているところを探すと、意外に少ないのです。ですから、御社には特に魅力を感じます。
岡本:
 ということは、今回はSI的な会社は避けて、インターネットの自社プロダクトをもつ会社に限定している?
苗木:
 はい、そうです。
岡本:
 日本では少ないですね。
苗木:
 ええ、非常に少ないのです。
社員の声が上まで届くのがベンチャー企業の魅力
岡本:
 もうひとつの条件のベンチャー企業らしさというのは、どんな点によさを感じますか?
苗木:
 いろいろありますが、【Point7】何といっても自分の意見が上まで届くという、風通しのよさが魅力です。
岡本:
 苗木さんの希望はわかりました。当社を志望するのはどうしてですか?
苗木:
 私の習得技術がストレートに生かせるだろうと思えるからです。TCP/IPに関する知識もバックグラウンドとして役立つだろうと考えます。
 また、御社はURLフィルタリング技術を軸に急成長しそうだと思いますから、私に任される仕事の範囲やチャンスが生まれると見込んでいます。
将来的なマネジメント志向は採否の好材料
岡本:
 【Point8】この先3年、あるいは5年くらいのスパンで考えたとき、当社への入社は関係なく、どんなキャリアを歩みたいと望んでいますか?
苗木:
 まずは、プログラミングをしながら新しい技術をどんどん吸収していきたいと考えています。そのうえで、年齢のこともありますので、プロジェクトマネジメントも行えるようになりたいです。
岡本:
 これまでにプロジェクトマネジメント的な仕事をしたことはありますか?
苗木:
 実際の経験はありませんが、やってみたいという気持ちはずっともってきました。
(このあと岡本氏は、製品開発部の体制などについて簡単に説明し、苗木さんからの質問を促した)
 
Point6
[面接官]この質問の意図は志向性の確認です。志向が当社とマッチする人ほど長く働いてくれると判断します。
Point7
[面接官]こういうタイプの方は大歓迎です。少人数で開発をしていますから、意見はどんどん出してほしい。
Point8
[面接官]苗木さんは応募時にちょうど30歳でした。今後のキャリアづくりを意識して当然の年齢ですから、率直な考えを聞きたかった。また、入社後1〜2年はインターネットアプリかネットワークアプリのWindowsプログラミングをしてもらい、そのあとはリーダーとしての技術指導を経て、プロジェクトマネジャーへ進んでもらうことを想定していました。その点のマッチングを、最後にどうしても確認しておく必要があったのです。
面接官はココを見た!
●ネットワーク関連Windowsアプリの開発経験はどの程度か。
●いくつかの志向性が合っているか。
●コミュニケーション能力と協調性に問題はないか。
 Windowsアプリの開発経験は必須だが、ネットワークプログラミングをどの程度行ってきたかがポイントになる。VC++のレベル判定をするとともに、低レイヤーの知識も見る。応募者がUNIXアプリのプログラマである場合にも着目点は同じ。人物面では開発現場、プロダクト、インターネット、キャリアなどの視点から、志向性と自社との適合具合を探る。ヒューマンスキルではコミュニケーション能力と協調性を重視する。
苗木さんはコレで決めた!
「ここなら興味のあるフィルタリングソフトの開発を
本当にやらせてもらえそうだと思えました。
入社後に上司となる人物(面接官)の印象も好ましかったのです 」
 事前に描いた会社のイメージと違っていなかったことが面接後の実感でした。質問内容から判断して、自社企画のプロダクトをつくる、開発主導の会社だと再確認もできました。ここなら、興味あるフィルタリングソフトの開発を本当にできると思えました。また、面接官である岡本さんは製品開発部のマネージャー。この人の下なら働きやすいと感じました。人当たりがよさそうな雰囲気は、入社を決める際の大きなポイントでした。
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エンジニアには必ずこだわりがあります。転職時にはある程度のこだわりを捨てる場合も出てきますが、「これだけは譲れない」と我をとおさなければ、転職の意味さえなくなる場合もあります。苗木さんのようなこだわり派エンジニアを、Tech総研は今後も応援していきます。
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