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転職活動をスタートしても“残るか”“出るか”で悩みは続く「今は転職しない」と希望企業を断ったエンジニア
転職活動を始めて、順調にステップを進め、最終的に内定をもらっても、自分の意思で転職をやめるエンジニアがいる。彼らはなぜ、希望がかなう前に「転職しない」と決断したのか。100人のアンケートをもとに検証する。

(取材・文/総研スタッフ 高橋マサシ) 作成日:05.02.16 
Part1 100人のアンケート調査に見る転職を途中でやめた理由
 「転職活動をしたが途中で自主的にやめた」エンジニア100人に、転職を決めた理由、転職活動を中断した段階、転職活動をやめた理由、現在の転職意向などを質問した。転職活動をやめた理由は選択肢(複数回答)で尋ねたが、具体的な内容も併記してもらった。
応募書類の審査途中で断った人が3分の1以上
 転職活動をやめた段階で最も多いのは「書類審査の通過前」。つまり、転職サイトや求人情報誌から応募、あるいは人材紹介会社を通して履歴書や職務経歴書を送付したものの、企業の返事を待たずに断りの連絡をしたケースだ。その理由を具体的なコメントで見ると、「家庭の事情」と「転職原因の解消」が目立つ。
 家庭の事情とは「妻の反対」(家族・友人の反対)や「親の入院」(突発的な事情)、転職原因の解消とは「各種手当の増額」「職場の変更」(社内の引き留め)や「新プロジェクトへの加入」「嫌な上司の転属」(その他)など。当人にとっては想定外の理由といえる。
 一方で、「報酬が不満」の人も9人いた。ただ、「年俸がアップしなかった」「給与が半分になった」などのコメントもあり、一般的に給与額の詳細は面接で提示されるので、回答の選択肢を誤った人がいたかもしれない。
転職活動はどの段階でやめましたか?なぜ途中で転職をやめたのですか?(複数回答)
希望企業の内定を断った14%の
決断理由とは
 一方、内定まで進んで断った人は14人。かなり思い切った決断なので、理由をいくつか載せたい。
●「退社の意思を伝えたら特例として年俸制になり、年収も保証された」(研究・特許:35歳)
●「希望していた転勤がようやく実現した」(コンサルタント:29歳)
●「入社の際には短髪にするよう、髪の毛の長さに注文をつけられた」(SE:33歳)
●「給料が今より悪かったのと、面接官(入社後の上司)が信用できなかった」(FAE:29歳)
●「今の環境を変えて再スタートするほどの魅力を感じなくなった」(SE:33歳)
●「同僚の一人が徹夜続きで体調を崩した。上司や会社はどうでもいいが同僚や後輩はほっとけない」(パッケージソフト開発:30歳)
 このように理由はさまざまだが、今後の転職意向については半数の人が「今すぐ転職する意思がある」と答えている。内定を得た実績が自信につながっているのかもしれない。

Part2 内定を断ってまで「転職しない」と決めたエンジニア
希望した企業から内定を得ながら、結局は入社を断ったエンジニア。彼らはどんな理由で転職を決意し、どのような経緯から転職をやめる決断をしたのか。アンケート回答者の中から2人のエンジニアに取材した。
引き留められて断念したが、人事制度に変化なく転職意向が再燃
システムエンジニア 平林昭夫さん(仮名:36歳) 平林昭夫さん
同じ業務内容でも給与・昇進が違う
 平林さんは新卒入社以来、親会社に約15年間出向している。現在は常時3〜6人のメンバーを抱えるチームリーダーだ。職場では親会社の社員とチームを組んで同じ仕事をしているのだが、人事制度は自社(子会社)の規定に従うため、親会社の社員とは待遇が異なる。具体的には給与と昇進スピードだ。

「入社時期は人手不足でしたが、親会社の入社条件に『大卒以上』がありました。そこで私のような専門学校卒を子会社で採用し、親会社に出向させる手段が取られたのです。業務内容は全く平等ですが、親会社の社員より給与は低く、昇進も遅いうえに上限がある。部下は親会社の社員なので指示がしづらい。10年後もこんな状態が続いていたらと考えて、とても不安になりました」
 同僚が転職したのを見て転職を決意。リクナビNEXTから約10社に応募し、3カ月の転職活動を経て、情報システム開発企業から内定を得た。平林さんは入社の意思を伝え、退職まで1カ月の期間をもらった。
「制度が変わる」の言葉で内定を断ったが実現されず
 退職を上司(部署のマネジャー)に伝えたところ、返事は意外なものだった。
「人事制度の不満を正直にいうと、待てよと引き留められました。人事改革があり、子会社の社員も親会社の待遇になるというのです。最終的な結論は2カ月後に出るとのこと。まず間違いないようですし、仕事に不満はなかったので、悪いと思いながらも内定を断りました」

  しかし、予定の2カ月が過ぎても何の音さたもない。上司に尋ねると「だめだった」とひと言。それ以降、人事改革のうわさはないという。
「正直にいって、転職したい気持ちはあります。入社8年目の後輩が転職の相談にきたときは、『やりたいことができる会社を探せ』と背中を押したくらいですから(笑)。ただ、当時は34歳でしたが今は36歳。年齢的に厳しいと思い、悩んでいる最中です」
転職活動中に社内公募制度が設立され希望職種に異動
武田進さん ネットワークエンジニア 武田進さん(仮名:32歳)
妥協はしたくないと思い、新しい条件の提示に内定を断る
 新卒で入社して、セールスエンジニアとしてスタートした武田さん。3年を経験し、次はサポート部門に移った。ここで3年がたつうちに、仕事の楽さが嫌になってきたという。
「ルーチン的な業務が多いので慣れると楽ですが、成長がないんです。お客さんと直接対応しながらネットワーク構築を行う、ソリューション業務がしたいと思いました」

  仕事には自信があった。工事担任者デジタル一種(電話工事の資格)、ネットワークスペシャリスト(現テクニカルエンジニア)、CCNAなどの資格をもち、TOEICも670点の武田さん。しかし、当時は部署異動や職種転換を希望する社内制度がなく、現実的には相当な時間と十分な根回しが必要。この現実を知って転職を決め、1年半をかけて約8社に応募。最終的にはネットワーク・インテグレーター1社から内定を得た。
「内定後の条件の話し合いの場で、勤務地は九州でセールス寄りの仕事をお願いしたいといわれました。九州は私の故郷なのですが、先端技術に触れられるのはやはり都心。何より、ネットワーク構築が希望でした。迷いましたが妥協はしたくないと思い、断りました」
希望の仕事に就けて満足だが数年後の転職はありえる
 一方、武田さんの転職活動とほぼ同時進行で、人事制度に変化が始まっていた。彼に関係した事柄でいえば、社内公募制度が誕生したのだ。それでも転職を選択肢に入れていたのだが、内定を断ったこともあり異動を希望。無事に念願の仕事に就いた。
「異動して1年半がたちますが、とても満足しています。新しい難問が次から次と出てくるので、それをクリアするのが楽しいんです。ですが、転職を考えていないわけではありません。前回の転職活動を通して、良くも悪くも会社への忠誠心が薄くなったようです。今すぐはありませんが、数年後に次のステップを探すことはあるかもしれません」
Part3 Tech総研編集長が語る 転職で迷ったときはこうして判断する
 上記の2人のエンジニアは、人事・評価制度への不満が主な転職理由。だが、現在の仕事や環境に悩む理由は人それぞれであり、解決方法もおのずと異なる。Tech総研からの提案を編集長の前川孝雄に語ってもらう。
変化への対応次第で転職するかしないかを決める
 1つの会社で満足して一生を送れるのなら、私はそれがベストだと思います。どんな企業や組織にも不条理なことはありますし、逆にどんな仕事にも醍醐味はあるもの。これは業界や業種を問いません。つまり、100%の満足はないという前提で今の環境が相対的に納得できれば、転職する必要はないのです。せっかく希望して入社した会社でもあります。

 ただ現在では、会社の寿命が人の働く寿命より短くなりました。高度成長期が終わり、環境変化に呼応したM&Aが日常化し、企業戦略の転換が当たり前となったからです。すると、勤務先の企業や部署のビジョンが、自分が考えていたものと違う方向に進む場合が生まれます。自分が望む職種に就けなかったり、思うような評価が得られない場合もあるでしょう。そのときにどうするかです。

  ひとつは、状況に合わせて自分のビジョンを柔軟に変化させる。思ってもいなかった新しいステージが見つかるかもしれません。もうひとつは当初の希望を貫く。この方法を選んだ人が、転職活動を始めるのだと思います。
  もちろんどちらを選んでも正しいのですが、「いずれにせよ変化はあり、対応を迫られる」とは考えておくべきでしょう。特にエンジニアの場合は技術進化も含めて、変化のスピードがほかの分野より激しいと思います。
前川孝雄氏
株式会社リクルート
Tech総研編集部
編集長 前川孝雄
転職を決めたら締め切りを決めて前へ進む
  今後は転職するつもりはありますか?  ただ、転職するかしないかの決断は、すぐに答えを出さないでください。じっくり考えて、時には一歩引いて、第三者的に条件や状況を見ることも大切。ポイントは長期レンジで考えることです。

 例えば年収が100万円アップするとしても、それは入社初年度の話でしょう。今後の5年、10年を想定すれば、自社の昇給額のほうが勝るかもしれません。また、上司や評価制度に不満があるなら、それが転職先で解決できるかどうか。ひょっとしたら世間一般でよくある不満かもしれません。まずは、世間の相場感を知ることが第一です。
  ただ、私としては、打ち込む技術の将来価値を熟慮したうえで、「エンジニアとしての成長」を目的にすれば、お金や評価は後からついてくると思います。

 そして転職すると決めたら、自分の中に締め切りをもって活動をしましょう。いちばんよくないのは、転職をしようと決めたのにずるずると動かない人です。仕事に身が入らず、主体性ももてず、社内で「使い勝手のよい人」になってしまいます。決断したら前に進んでみることです。
 実際に転職活動が始まったら、かなり忙しくなります。特に20代後半から30代のエンジニアは時間的にも精神的にもプレッシャーが大きい世代なので、活動時間は取りにくいはず。
  しかし、皆が同じ土俵にいるのです。無理を承知でいいますが、自分を鼓舞して「次の一歩」を踏み出さないと、前に進めないのです。
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  高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ  
高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
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いうまでもなく転職にはリスクがあります。今の勤務先と全く同じ条件であれば、別の会社に移ろうと思う人はいないでしょう。つまり、総合的に考えたメリットがなければ転職の決断はできないものですが、この判断が難しい。私は、だれであれ、その人の下した決断は正しいと思います。なぜなら、過去の自分を責めるなんて不毛なことをしてほしくないからです。
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