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今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE! Vol.32 外資系企業の給与はなぜ高い?
外資系企業は一般的に給与水準が高く、転職で年収が上がったという声をよく聞く。特にIT・通信系職種では、外資系企業が転職時の決定年収をけん引していた時期があった。現在も外資系企業に転職すると年収は上がるのか。そもそも年収が高いのはなぜかを考えてみた。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/Onsel BEHICH) 作成日:05.01.19
転職時決定年収は、外資系と国内大手で30万円以上の差が出る!?
   コンピュータ、通信、ITなどの情報産業における外資系企業が果たす役割は小さくない。中途採用市場では、外資の大手企業が中途採用を増やすかどうかで、転職時決定年収の相場全体が変化するとまでいわれている。

 エンジニア紹介実績の多いリクルートエイブリックがもつ転職者の決定年収データから年齢30歳の転職時決定年収の平均を見てみると、例えばネットワーク・エンジニアで外資大手が573.5万円であるのに対して、国内大手は541.2万円と約30万円の差がついている。ビジネス系アプリ開発でも、518.9万円対489.7万円で29.2万円外資系が高い。この「30万円前後の差」は、ほかのエンジニア系職種でも同様である(2003年7月現在)。現時点の年収相場がそのまま当てはまるわけではないが、やはり外資系企業と国内企業の給与格差は依然として大きいといわざるをえない。
   
福利厚生、手当、年齢という概念がもともとない外資系
 Tech総研では2004年11月に、ソフト・ネットワーク関連と電気・電子・機械関連のエンジニア1000人を対象に実施した調査で現在の年収を尋ねているが、やっぱり外資・国内という“国境”による企業の給与差が明確に出ている。

 アンケート回答者の現在の年収を「国内大手」「外資系」「国内中堅・中小」という企業規模・資本別に比べたところ、回答者の数が最も多かった層は、国内大手では「400万〜500万円未満」層(31%)、国内中堅・中小でも「400万〜500万円」層(34%)であったのに対して、外資系では「600万〜700万円未満」層(24%)となっている。

 こうなると転職で年収を大幅に上げるためには外資系へということになるが、その前に外資系はなぜ年収が高いかを考える必要がある。一般にいわれることだが、そもそも外資系企業は国内上陸を果たした当初は知名度が低いため、優秀な人材を国内の同業界から引き抜く必要があった。そこで高給与を提示せざるをえないという事情があった。その後現在でも高止まりする傾向があるというわけである。

 一方で、コンピュータ・IT業界に特徴的なことであるが、パソコンOSの典型的な外資系(というよりグローバル企業)の製品の商品力は日本でも極めて高い。強い商品と市場力をもつところが、社員に高い給与を支払えるというのは、理論的には当然のことである。逆にいえば、同じグローバル外資系でも日本で営業成績が上がらなければ、いつまでも本国並みの給与を払い続けることはできない。そうでなくても人件費の高い日本での外資系企業のビジネスには、常にリスクが伴っている。

DATA1 外資系の給与決定基準は業績・成果比率が高い
DATA1
 こうしたビジネス要因を踏まえつつ、社員への給与配分の考え方の違いも考慮に入れておくべきだろう。欧米系企業では伝統的に、利益はその成果に応じて個々の社員に還元するという、個人主義的・成果主義的な給与配分の考え方をするところが多い。年齢給という考え方はあまり存在しない。企業内留保を増やし、給与は終身雇用を前提にした年功型で配分するという日本企業の考え方とそこが異なる。Tech総研の調査でも、給与の最重要決定基準を聞いたところ、その特徴が明らかに出ている(※DATA1)

 また、福利厚生や必要経費についての考え方も日本企業と外資では異なる。日本企業は基本給+成果給以外に残業手当、住宅手当、家族手当などの諸手当部分が厚いのに対し、外資系ではそれらを全部込みの賃金体系であることが多い。つまり、外資の給与には日本企業でいうフリンジ・ベネフィット(福利厚生)部分が含まれると理解すべきなのである。近年は日本企業でもこの福利厚生費の見直しが進んでいるとはいうものの、給与体系の違いは今も根強く残っている。

 逆にいえば、「外資系は手取りが一見多いが、住宅費などを考えると、自分の自由になる可処分所得額という点では、国内大手とそう変わらない場合もある」ということでもある。
給与が下がり、解雇されるリスクもある
 外資系企業の給与体系が個人主義的・成果主義的であることから当然の帰結として、外資系では給与が大幅に下がることもありうる。最近は日本企業でも成果主義を明確にするために、ジョブ・ディスクリプション(職務記述)を明確にしたうえでの、個人目標管理型の評価制度を取る企業が多いが、日本企業ではこの制度には「次も頑張ってほしい」という奨励の意味があるのに対して、外資系では査定が下がるということはすなわち、“クビ”を意味する。年収1000万円の社員が、翌年には600万円に下がり、その翌年にはリストラされるということも日常的によくあること。こうしたリスクを前提にしたうえでの高給与ということを、転職にあたっては考える必要がある。

 それ以外にも短期的な実績を求めがちな経営風土、明確に意見を述べないと無視される企業風土、英語によるコミュニケーション、時差を超えたハードワーク、絶えざる事業撤退やM&Aのリスクなども、外資系転職にあたっては考慮すべき要因だ。これらの条件をネガティブではなく、ポジティブにとらえることができる人こそが、外資系に向いているといえよう(※DATA2)

DATA2 外資系企業の技術者は「今後の給与額予測」をポジティブに考えている
DATA2
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