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売れるエンジニアはキャリアバロメータを賢く使う 転職に満足してもスカウト登録をやめない訳
転職後もスカウト登録をやめないエンジニアは意外に多い。優秀なエンジニアは、常に自分の技術の市場価値を測るバロメータとして、スカウト登録を賢く使っている。その活用テクニックを実践者の座談会発言から探ってみた。
(取材・文/栗原知女 総研スタッフ/山田せいめい)作成日:05.01.12
匿名座談会テーマ:私がスカウト登録をやめない理由
 今回登場する3人は、いずれも転職後もスカウト登録を続けている。最年長の辻本さん(仮名:39歳)は転職歴5回で、「まだ自分に市場価値があるか知りたいのでスカウト登録を続けている」。36歳の藤岡さん(仮名)は3年前、ソフトハウスの取締役にスカウトされた。「組織の中に埋没しないために外との接点を持ちたい」と言う。最も若い桑原さん(仮名:27歳)は、「30歳まで次の転職はないが、スカウト登録を自分の市場価値を高めるバロメータにしたい」とのこと。経歴の異なる3人それぞれの観点から、スカウト登録をやめない理由を語ってもらった。
座談会イメージ
     
まずは転職のご経験について教えてください
   
藤岡:
前にいた会社の経営が苦しくなってきたので、3年半前からスカウト登録を始め、その半年後ぐらいに転職しました。設立5年目で従業員10人程度のベンチャー企業の取締役からオファーがきました。
   
辻本:
転職歴は外資系企業や健康食品の中小企業など、全部で5回あります。新卒のときが大手電機メーカーのSEだったせいか、ずっとシステムの仕事とは縁が切れません。前職を辞めた後は半年ほど就職が決まらず、フリーター生活も経験しました。「倉庫業のピッキングもしました」と面接で言って、感心されましたよ(笑)。2年前に医療系商社に入社し、情報部門の責任者を任されています。
   
桑原:
SIerのSEをしていましたが、職場の上司が新技術をキャッチアップできない人で、その肩代わりの激務で心身の健康を害して休職したときにスカウト登録しました。昨年の11月に現在のSIerに転職し、今はプロジェクトマネジャーをしています。
   
転職後の今の仕事には満足していますか?
   
藤岡:
「ベンチャーは5年もてば成功」といわれるので、今の会社はまあ合格ですが、5年後も存続する保証はない……。取締役として会社を存続させる責任はありますが、「自分のキャリアは自分でつくるもの」と思って、社外の人材ニーズ情報との接点を失わないようにしています。
   
辻本:
同感です。私の会社はバックに大病院がついているといっても、今の時代は何が起きるかわかりませんから、常に危機意識をもっていたいですね。
   
桑原:
今どきのエンジニアで終身雇用をアテにしている人なんていないでしょう。ただ、自分は30代になるまでは現在の会社に腰を落ち着けて、プロジェクトマネジャーとしての自信をつけたい。ほかの会社でも通用する実力が身についたら、そのときが2回目の転職のタイミングだと思います。
   
転職後もスカウト登録を続けている理由は?
   
藤岡:
自分の今の待遇が世間並みかどうかチェックしたいし、自分に対するニーズがいつまであるかを調べたいからです。36歳という私の年齢は、前回のときより転職難易度は上がっているでしょうし、今が求人の分かれ目でしょう。このまま会社の仕事に埋没して、感性が鈍ってしまうのが怖い。とはいえ、実際に面接に出かけたくなるようなスカウトはまだきていません。情報収集に夢中になると本業に手が付かなくなるので、ほどほどにしていますが、情報は欲しいですね。
   
辻本:
39歳の自分の市場価値が、まだどのくらい残っているかを知る判断材料にしたいのです。今日、この座談会へ来る前にチェックしたら、オファーがまた1通きていましたから、自分はまだイケてるかと思います。
   
桑原:
率直に言うと、せっかく苦労して書いたレジュメを消すのがもったいないから。今までの備忘録になるし、新しいプロジェクトを経験するたびに更新しています。
   
辻本:
自分の経歴のデータベースになり、いつでもコピー&ペーストして使えますからね。
   
スカウト登録を続けてみて、何か気づいたことはありますか?
   
藤岡:
スカウトの職種や業種、採用企業の規模に変化が現れてきたことがよくわかります。最近では数百人単位の大規模プロジェクトで人を求めるケースは珍しく、小規模になっていますね。常に世の中の流れをつかみ、次の波に乗るタイミングを損なわないようにしたいですね。企業には浮き沈みがあり、一緒に沈みたくないですから。
   
辻本:
「人は余っているが人材は足りない」と、よく言われるでしょう。私は常に求められる「人材」でありたいから、イザというときのために自分を磨いておきたい。オファーがくるかこないかが、いい動機づけになります。
   
桑原:
オファーがくれば、今の自分を求めてくれる会社がほかにもあるという証拠だから、いつでも今の会社に「辞めてやる!」と言える心の余裕ができます。その逆にオファーがこなくなったら、自分のキャリアに黄信号が点灯したという意味でしょう。危機意識を持続するためにスカウト登録を続けている面もあります。
   
レジュメの書き方や更新のペースなどについて何かいいアドバイスはありますか?
   
桑原:
読みやすくわかりやすく書くっていうのはだれもがやっているだろうけれど、「コミュニケーション能力があります」など、ありきたりのことは書かないほうがいいでしょう。自分のセールスポイントをどのように生かし、どのように貢献できるかをハッキリ書けば、採用担当者の目を引くと思います。
   
藤岡:
人を採用する立場から言わせていただくと、エンジニアの経歴書は、技術の羅列になりがち。そうではなく、その人なりのキャリアのストーリー、つまり、どんな状況でどのように問題を解決し、どのような成果を上げたかが見えるように書いてほしい。そのほうが市場価値を明確に印象づけられます。
   
辻本:
アピールポイントで差がつく。目立たせないとダメ。私の場合は、フリーターの下積み仕事や、小さな会社でトイレの温水洗浄便座の設置から床の配線からすべてやったことが結構、ウケたようです。
   
桑原:
レジュメの内容で「なんだろうコイツは?」と思わせて、ユニークな市場価値で勝負する作戦もありますね。
   
最後にズバリ、あなたにとってのスカウト登録とは?
   
藤岡:
まだ次の転職もあり得る。次の波に乗るタイミングをつかみ、そのときのために「自分の技術を磨こう」というキッカケを与えてくれるペースメーカー。
   
辻本:
スカウト登録をしていれば、常に新鮮な気持ちで自分の市場価値と向き合える。オファーは、新しいチャレンジへと背中を押してくれるサポーター。
   
桑原:
登録したレジュメは、自分のキャリアデータベース。消すのはもったいないし、新しい仕事を経験するたびに更新して、どんどん充実させていきたい。
座談会参加エンジニア3人の「スカウト活用」プロフィール
藤岡さん(仮名)
藤岡さん(仮名)
プロフィール
 
36歳、従業員10人のソフトハウスの取締役
スカウト登録年数
 
3年半
転職経験と最近の転職年
 
転職経験2回。直近は3年前
転職満足度
 
満足しているが、「次もあり得る」と思っている
スカウト登録継続理由
 
今の自分の待遇が世間並みかチェックするため
スカウト利用状況
 
特に更新していない
辻本さん(仮名)
辻本さん(仮名)
プロフィール
 
39歳、医療系商社の情報
部門で責任者を務める
スカウト登録年数
 
5年
転職経験と最近の転職年
 
転職回数は5回。直近は2年前
転職満足度
 
満足しているが、危機意識はもっている
スカウト登録継続理由
 
イザというときのために
自分を磨く動機づけとして
スカウト利用状況
 
現在も月に2通程度のオファーがくる
桑原さん(仮名)
桑原さん(仮名)
プロフィール
 
27歳。SIerでマネジャー職
スカウト登録年数
 
2年
転職経験と最近の転職年
 
転職1回。直近は昨年11月
転職満足度
 
入社後半年で昇進・昇給して満足している。30歳まで次の転職をするつもりはない
スカウト登録継続理由
 
苦心して書いたレジュメを消すのがもったいないから
スカウト利用状況
 
最も多かった月は7〜8通
 
まとめ
 今回の座談会では、「会社の中に埋没してしまい、いつの間にか自分のスキルが『井の中の蛙』になって市場価値が低下してしまうことに、常に危機感をもっている」と参加者が異口同音に語っている。ここに登場した「売れるエンジニア」は、スカウト登録を外とつながる「情報の窓」として利用している。「オファーがこなくなったら黄色信号」。このような危機意識を常にもち続けることこそが、自分の市場価値を高く維持できる秘訣ではないだろうか。
コラム:市場価値判定のプロに聞くースカウト転職システムと市場価値の関係
「あなたの市場価値は○百万円」と、現実の年収よりも低い数値がはじき出されたらショックだ。シビアに出てくるかもしれない市場価値の数字を実際の転職に生かすには、どうすればいいのか。スカウト転職はベターな作戦か? 市場価値判定のプロに聞いてみた。

 今の会社に不満だからと、実績のないままに会社を辞めるのは得策ではありません。まず、実績を積みましょう。その結果、市場価値を高めた人には必ず声がかかります。その意味で、戦略的に「待ちの姿勢」のスカウト転職システムは理にかなっています。「今の自分の実力で通用するか」と不安に思いながらオファーを待つ。そういった状況下にあえて自分を置けば、自己変革と成長の動機づけになります。自分を変えるには、「今の自分ではダメだ」と気づいて意識を変えることが第一歩。

 市場価値、つまり社外の基準で自分の強みと弱みを評価した結果を知れば、“気づき”のきっかけになります。市場価値は一般的に推定年収で算出します。実際に算出してみた人の多くは、現状より低い数字に驚くでしょう。数字にとらわれる必要はありませんが、「今のままではいけない」という危機意識をもち、結果を冷静に見つめて自分の強みを伸ばし、弱みを補強する方法を考える――すべてを一度にできませんから、できることから始めればよいのです。
藤田聡さん
市場価値測定研究所
代表取締役社長 藤田 聰氏
慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程専修。日本IBM、人事コンサルティング会社取締役等を経て、1995年10月に独立。大手ヘッドハンティング会社の事業開発責任者等を歴任。97年10月市場価値測定研究所を設立。現、立教大学兼任講師、社会経済生産性本部主任講師。
     
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