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週刊 やっぱりR&D 求人トレンド解析室 解析テーマ エアコン・空気清浄機

エアコンや空気清浄機が成長株として大いに注目されている。日本製モデルの省エネ性能や高機能性は世界の
知るところであり、国内需要に加えてエアコン普及率の低いアジア、欧州などで引き合いが強まっているのだ。
し烈な開発競争によって驚くような新技術も続々誕生。エンジニアにとっても面白み満載だ。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:05.01.12
省エネ化、高機能化、環境対策などにより世界でニーズが急増中
業界事情
 日本では一家に1台どころか、ひと部屋1台が常識となりつつある家庭用エアコン。一時は飽和状態の様相を見せていたが今、再び注目を浴びている。インバーター、制御用コンピュータの高度化などで省エネ効果が飛躍的に高まったのに加え、マイナスイオンを発したり酸素濃度を上げたりといった、既存の空調に対する概念を覆すような新機能が、買い換え需要を大いに喚起しているのだ。

 エアコン需要の増大は日本に限らず、世界的なトレンドとなっている。日本冷凍空調工業会によれば、経済成長を遂げるアジアでは、2007年には年間3000万台規模に市場が拡大すると予想されている。さらにエアコンの普及率が低い欧米でも、近年しばしば熱波に見舞われたのをきっかけにエアコンへの関心が高まっており、販売増が見込まれている。
 日本国内の市場規模でも約7000億円とかなりのものだが、これら海外市場の伸びを見越して、新商品の開発熱はさらに高まっているのが実情だ。また、世界のエアコン業界を見ると、米国に巨大な冷熱メーカーがあるが、こと省エネ技術では日本陣営が世界のライバル企業を圧倒。その技術力は世界から注目されている。

 日本のメーカーに追い風となっている要素のひとつが、温暖化防止のための二酸化炭素の排出量削減を定めた京都議定書である。京都議定書を批准している欧州では、エアコン使用による二酸化炭素の増加を最小限に抑える必要がある。省エネ性能に優れた日本のエアコンは今後、国際競争の舞台でかなり有利に戦いをリードできると見られており、実際、既に多くの日本メーカーが海外販売の増強に成功している。

 一方、花粉やダニ、果てはディーゼル粉塵までも取り除くという新世代の空気清浄機も、エアコンと並んで人気商品となっている。近年はアレルギーの原因といわれているホルムアルデヒドなどの毒性成分をも分解する高機能タイプが人気で、売れ行きを順調に伸ばしている。
 エアコン、空気清浄機の人気は性能や機能に大きく左右されるため、企業サイドの研究開発意欲は相当に高い。エンジニアにとっても、かなり面白みのあるフィールドである。
採用動向
 エアコンや空気清浄機関連の人材ニーズは、昨今の技術開発競争を背景にかなりおう盛である。外資系企業を含めた大手家電メーカーはもちろん、回路、コンプレッサー、触媒など要素技術の設計を受託されるサプライヤーやラボラトリーまで、参入企業はさまざまだ。
 リクナビNEXTでは「エアコン」「空気清浄機」をキーワードにするか、業種別で「総合電器」や「家電」などを選び、職種で絞って検索すると求人情報をゲットできる。

 要求されるスキルは冷熱、触媒および電気が主だ。冷熱関係はエアコンの省エネ性能、空調性能の高さに直結するもので、ある程度の実務経験を要求される場合が多い。自動車、航空機、冷凍倉庫などの空調の経験があれば有利だ。
 熱交換以外の部分では、他業界からの転職希望者に対してもある程度門戸が開かれている。中でもエアコンの出力制御をきめ細かくコントロールするためのマイコン設計は、省エネ化のコア技術のひとつ。PAM、センサーを実装した回路設計の経験者なら、異業種からでも転職可能だろう。

 空気清浄機のほうは臭気、有害物質の分解のための技術が主となる。具体的には光触媒をはじめとする触媒全般、低温プラズマ、フィルター用の高分子素材などの経験があると有利。もちろんマイコンなど制御用回路設計をこなせる人材も必要とされている。また、最近のエアコンは、空気清浄機としての役割も重視されるようになってきており、これらのスキルがあるとエアコン開発の面でも有利だ。
 日本のエアコン、空気清浄機の省エネ性能、浄化性能は世界トップクラス。日本の空調メーカーで経験を積めば、外資系企業を含めて、活躍のステージは大いに広がる。関心のあるエンジニアはぜひ業界研究から始めてほしい。


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