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電動パワーステアリング(EPS)の機械部品設計に挑戦!

開発志向の若手エンジニアが未経験で日本精工へ転職

ベアリングで有名な日本精工は多角化を進め、いずれは世界中の車に搭載されるだろうといわれるEPSでシェアを拡大している。EPS技術者は日本精工グループのグループ会社である、NSKステアリングシステムズへの出向を前提とするため、技術面接も同社で行う。今回はその面接現場を取材した。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:04.12.15
日本精工
応募したエンジニア 企業の面接担当者
M・Kさん
M・Kさん
(当時25歳)
松井さん
NSKステアリングシステムズ
NSS技術センター 設計部EPS設計室
グループマネジャー
松井安雄氏
当時の職種
生産技術者(前職。退職して転職活動をした)
募集職種
機械部品設計技術者
業務内容
自動車ボディー部品の生産用設備の設計、海外生産拠点でのボディー部品生産の準備など。
仕事内容
EPS機構部品の開発・設計。
職務経歴
完成車メーカーに2年8カ月勤務。うち約2年間は試作・量産用ボディー部品の納入手配、生産設備設計、号試トライ対応などを担当。
応募資格
機械部品、機構部品などの開発・設計経験および2DCADの使用経験。自動車部品設計経験、3DCAD経験、英語力があればなお可。
志望動機
自動車の機械部品設計に携われること。主体的な開発ができること。
募集背景
EPSの新たなマーケット獲得へ向けて技術力を強化するため。
面接の流れ
最初に日本精工本社人事部のキャリア採用担当マネジャーが選考。次に、出向先のNSKステアリングシステムズ技術部門で数人が選考する。
NSKステアリングシステムズ技術部門の部長、室長、グループマネジャーが2〜4人で面接する。所要時間は1時間から1時間半。
日本精工本社人事部のキャリア採用担当マネジャーなどが2〜3人で面接する。所要時間は1時間から1時間半。
2次面接のあと2〜3日中に連絡する。
【通過率:約3〜4割】
【通過率:8〜9割】
Part1
転職理由、志望動機、EPSへの興味
機械部品の開発・設計に携わりたいと転職を決意
松井:
 本日はわざわざお越しいただき、ありがとうございます。私はEPS設計室の松井と申します。よろしくお願いします。
M・K:
 M・Kです。こちらこそ、よろしくお願いいたします。
松井:
 【Point1】早速ですが、M・Kさんの職務経歴を簡単にご説明ください。
M・K:
 私は大学卒業後、○○○(完成車メーカー)に入社し、昨年11月までの2年8カ月間勤めました。主な担当業務は自動車ボディーの生産技術でした。具体的には、ボディーの外側の鉄板スポット溶接の設備計画です。
 その仕事を担当した期間は1年2カ月ほどで、その前の8カ月は試作用ボディーの製作準備や手配、納入対応、設計側と生産側の調整などを行うチームに所属していました。
 また、新人研修の一環として、3カ月間の機械加工実習のあと、経理部で原価企画の実務実習を7カ月間行いました。基本的なコスト管理の知識、コスト低減の手法などを学びました。
松井:
 【Point2】既に退職しているわけですが、転職しようと思ったのはなぜですか?
M・K:
 私は機械部品の開発・設計に携わりたいと思っています。しかし前職では、生産現場や設備メーカーとの調整業務が中心でした。大切な仕事ではあるのですが、私としては関心が深まらず、不満が募りました。かといって、社内での異動はままなりません。そこで、このまま調整業務を続けるよりは、思い切って転職しようと退職しました。
松井:
 では、当社に応募した動機はどんなところにあるのでしょうか?
M・K:
 まず、機械部品の設計職での募集であること。それも、最近搭載車が増加している、EPSの開発・設計であることです。もともと興味がある自動車の機構部品ですから、やりがいがありそうに思え、応募させていただきました。
EPSの知識がなくとも不利にはならない
松井:
 EPSについては、どのくらい知っていますか?
M・K:
 前職ではピックアップトラックのボディーを担当していたので、EPSに触れる機会はありませんでした。しかし、小型車から中型車へとEPSの搭載が広がっていることは知っています。
松井:
 先ほど当社の製品であるEPSの概略を説明しましたが(面接の前にEPSの実物を使って構造や動作などを説明した)、ある程度は理解できましたか?
M・K:
 【Point3】おおまかな構造は理解できました。自分でもぜひ設計してみたいです。
Point1
[面接官]私が面接する場合、大体は経歴説明を求めることから始めます。提出書類の記述だけではわからない点、わかりにくい点を本人の生の声から探りたい。応募者の仕事内容と当社の募集職種とのマッチングを見る、第1段階のチェックです。
[応募者]日本精工の面接を受ける前に5社ほど面接を受けましたから、冒頭で経歴説明を聞かれることは予想していました。簡潔に話すのが大事だということも知っていました。
Point2
[面接官]自らの意思で転職する以上、これまでの仕事に何らかの不満があったはず。その内容と次に尋ねる当社への志望動機とを考え合わせたとき、筋が通っていないとおかしい。その点を見たいのです。
[応募者]仕事や会社への不満を面接時に話すのは要注意だといわれますが、不満を感じていたのは事実です。それを隠したり脚色したりするつもりはありませんでした。そんなことをして疑問をもたれたら、逆効果ですから。
Point3
[面接官]EPSを初めて見た人であれば、こんな感じの回答でよしとします。EPSに対して本当に関心がもてるかどうかを確認できればよいのであって、理解のレベルをチェックするのが目的ではありません。もしここで、あまり理解できなかったとか、どうもピンとこないといった答えが返ってきた場合には、再度EPSをもってきて説明し、応募者の反応を観察します。
Part2
CADのスキルと英語力のレベル

採用で重要視されるCADの実務経験
松井:
 職務経歴書によると、生産設備の計画や準備のほかに設備設計も担当していて、そこには2DCADの使用や、3Dデータの作成・検討という表記があります。【Point4】CADを実際にはどの程度まで使ったのですか。
M・K:
 設計がつくった図面を、生産技術という立場から把握して検討する必要がありましたから、3DCADデータになっているものを日常的に見ていました。また、設備をつくるための部品の断面取りが必要ですから、寸法を測るためにCADを使っていました。
松井:
 【Point5】CADを使って図面そのものを作成した経験はありますか?
M・K:
 図面作成の経験はありませんが、御社で使用されているCADシステムに慣れさえすれば、操作には問題がないと思っています。
松井:
 CADを図面作成で使用した経験はないけれども、日常的に用いてきたので操作に戸惑うことはないというわけですね?
M・K:
 はい、そうです。
TOEICが600点なら十分に合格ライン
松井:
 ところで、当社ではEPS製品の世界展開を視野に入れています。そこで伺いたいのですが、英語はどのくらいできますか?
M・K:
 【Point6】3年近く前に受験したTOEICの点数は600点でした。仕事で使ったのは、タイの工場から日本へ来るタイ人エンジニアとの、打ち合わせくらいです。お互いに母国語ではない英語なので、ぎこちないものでしたが、支障はありませんでした。
松井:
 英語の読み書きはどうですか?
M・K:
 難しい文献は別ですが、一般的な文書ならば大丈夫です。わからない単語は辞書で調べればすむことですし。文書作成のほうは英文メール程度でしたら苦にしません。
松井:
 今、TOEICを受けたら、何点くらいになりそうですか?
M・K:
 少なくとも500点は取れると思います。
松井:
 海外赴任への抵抗感はありますか?
M・K:
 【Point7】入社してすぐに海外赴任ということでしたら、やはり抵抗感はあります。EPSについて自分なりに自信がついてからならば、海外赴任も勉強になるだろうと思います。
Point4
[面接官]M・Kさんは機械部品の開発・設計経験がないため、いきなりCADスキルの話に移りましたが、通常ならここで開発・設計した機械部品に関する質問をします。応募者がEPSの経験者であれば、事細かに担当した内容を聞きます。
Point5
[面接官]EPS開発・設計の即戦力として採用する際、CADのスキルは重要な審査項目になります。ウエートは3割程度です。この質問に対するM・Kさんの答えを聞いて、経験不足が少し気になりました。
[応募者]CADでの図面作成経験が、そんなにも大きなウエートを占めているとは思っていませんでした。操作できれば問題がないはずだと、単純に考えていたのです。
Point6
[面接官]TOEICが600点で、仕事で使ったこともあるというレベルの英語力なら、採用選考上で十分に合格点といえます。
Point7
[応募者]抵抗感などありませんときっぱり答えたほうが、面接官の心証はよくなるのでしょう。しかし、私が求める第1条件は機械設計ですから、それが満たされないうちに海外へ赴任する気にはなれません。ですから、正直に本音を明かしました。
Part3
対象の志向性と提案・交渉力

応募した他社から転職の本意をくみ取る
松井:
 前職を辞めてから半年ほどたっています。この間は転職活動をしてきたのですね?
M・K:
 はい、そうです。
松井:
 【Point8】どんな会社に応募したのかを、差し障りのない範囲で教えてください。
M・K:
 設計の立場でモノづくりをしたいという希望ははっきりしていたのですが、最初のうちは機械に限定する必要はないと思い、IT業界の会社へも話を聞きに行きました。実際に、ソフト開発を行う会社にも応募しました。
 しかし、よくよく考えて、目に見える物をつくるほうが合っていると、改めて思い直したのです。そこで機械製品の設計に分野を絞り、さらに好きな自動車関連だけに応募しようと決めました。それからは完成車メーカーや自動車生産設備メーカーに応募しています。正確にはこれまで6社に応募しました。
松井:
 M・Kさんの場合、生産設備のほうが経験を生かせると思います。現在の気持ちとしては自動車部品と自動車生産設備の、どちらに関心が向いているのでしょうか?
M・K:
 やはり自動車自体に携わりたいですし、身近な物をつくるという意味でも自動車部品を手掛けたいと思っています。
完成車メーカーと部品メーカーの関係
松井:
 M・Kさんが勤めていたのは完成車メーカーです。当社にとってはお客様で、前の会社のサプライヤーに当たります。それをどう考えますか?
M・K:
 そのことに抵抗感はありません。特に御社は完成車メーカーの系列に属していない独立系ですから、いろいろな完成車メーカーと仕事ができ、製品自体のよさの追求に集中できるのではないかと思います。
松井:
 当社では、完成車メーカーへ提案したり、打ち合わせをしたりという仕事が割と多くあります。M・Kさんには、そういう経験はないわけですね?
M・K:
 いえ、受託生産車がありましたから、お客様との作業の詰めも、多少ですが経験しています。【Point9】他社との打ち合わせという点では、プレス部品の金型メーカーさんと頻繁に話を続けた時期がありました。
将来の希望キャリアや夢は?
松井:
 【Point10】当社に入社した場合、将来のキャリアや夢といったものはありますか?
M・K:
 EPSの現物を見たのは今日が初めてですので、開発・設計上でどこが難しく、どこに改善の余地があるのかなどはわかりません。ですから、当面の目標はEPSを熟知することです。その次に、EPSの中で得意分野をもちたいと思います。
松井:
 EPSの開発・設計という仕事に真剣に取り組んでみたい。そういう気持ちであると受け取ってかまいませんか?
M・K:
 はい、結構です。
(このあと、松井氏はM・Kさんの長所と短所、入社可能時期などについて質問し、面接を終えた)
 
Point8
[面接官]この質問はほとんど全部の応募者にします。内定を出した場合に、本当に入社する意思があるのかどうかを探るためです。
Point9
[面接官]この経験は1ポイントのプラス評価になります。部品メーカーのわれわれにもサプライヤーがいて、設計の立場からの打ち合わせが必要な場合があります。
Point10
[面接官]この質問の意図は人物像を探るところにあります。主にスキルアップの意欲をチェックしたいのです。また、入社後にどのようなサポートが必要なのかを知っておく狙いもあります。
 
面接官はココを見た!
●機械設計の経験と、CADスキルはどの程度か。
●ある程度の英語力はあるか。海外赴任への障害はないか。
●本気で入社する意欲はあるか。
 技術経験は2点からチェックする。ひとつは、どんな機械部品を設計してきたか。機構設計の経験者にはその内容を細かく聞き、レベルを判定する。製品設計の経験がない場合には、生産設備などでの設計経験を見る。もうひとつのポイントは2DCAD、3DCADでどの程度図面を書けるか。入社後、業務の半分はCADでの図面作成が占めるためだ。英語力はTOEICで500点台以上が目安。入社意欲は自動車部品への興味の度合いなどから探る。
M・Kさんはコレで決めた!
「高出力型EPSはこれからが開発の正念場。
希望する仕事ができると感じられました。
面接官の印象もよく、働きやすそうな会社に思えたのです」
 EPSはこれからも開発・設計が続く製品です。特に高出力型は正念場で、それだけに自分の希望する仕事があるはず。そのことを、面接を受けて感じ取れました。また、日本精工の前に数社の面接を受けていましたが、中には見下すような態度で印象の悪い会社もありました。その点、日本精工ではとてもフレンドリー。しかも、若い私をひとりのエンジニアとして尊重する雰囲気がうかがえて、この会社なら働きやすいだろうと思いました。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
最近は第2新卒の若い転職者が人気です。これはエンジニアにとってもチャンス。基礎的な知識や経験のベースがあれば、未経験分野にもチャレンジできるからです。M・Kさんのように、やりたい仕事を探してみませんか?

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