デジタル一眼レフカメラ／ハイエンドモデル成長中！

デジカメ業界で注目を浴びているのが、デジタル一眼レフカメラ。小型のレンジファインダー型に比べ、
一段階上の画像が撮影可能だ。そのためには、高性能撮像素子ばかりでなく、
高品質な光学レンズ開発が欠かせない。表現力豊かなカメラづくりができそうだ。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.12.01

　デジタル家電ブームのけん引役、デジタルカメラに異変が起きている。レンジファインダー型モデルが低価格競争で収益性を落とす一方で、新たにデジタル一眼レフカメラが台頭してきたのだ。
　BCN総研（株式会社BCN）の調査によれば、デジタルカメラ全体の売上の伸びに占める一眼レフの割合は今年3月以降急増し、6月には38.7％にのぼった。デジタルカメラ市場の伸びのカギは、今や一眼レフが握っているといっても過言ではないのだ。

　デジタル一眼レフカメラは安価なもので10万円前後、高いものでは30万円以上と非常に高価。それだけにユーザーの性能要求は厳しく、開発する側にもこだわりが求められる。デジタルカメラの性能を左右するものといえば、真っ先にCCD、CMOSなどの撮像素子が思い浮かぶが、実はそれに負けず劣らず、光学レンズの設計が重要だ。
　誤解を恐れずにいえば、撮像素子の良し悪しは、従来の銀塩カメラにおけるフィルムの良し悪しのようなもの。高画質の画像撮影のためには高性能の撮像素子が求められるのは当然だが、それはいわば必要条件で、それにも増して光学レンズ、また描画を実行するプログラムなどが重要になってくるのである。

　デジタル一眼レフはシェアの大半を大手企業2社で握っているが、利幅の大きさに目をつけたほかの精密機械メーカー、家電メーカーなどが続々と参入を開始している。カメラの開発に携わりたいと思うエンジニアはもちろん、オプトエレクトロニクスのスキルを手にしたい向きにとっても興味深い業界だろう。

　デジタル一眼レフカメラ関連のエンジニアを募集している企業には、精密機械メーカー、撮像素子などの光学系開発メーカー（ファームウェア含む）、レンズメーカーなど。今後は、レンジファインダー型デジカメを手がけている、家電メーカーが参入する可能性もある。
　リクナビＮＥＸＴでは「デジカメ」「デジタルカメラ」「レンズ」「撮像素子」といった、カメラ関連全般のキーワードで検索可能だ。

　求められるスキルは、ジャンルによって大きく異なる。一眼レフのコア技術のひとつである光学レンズ開発の場合、真っ先に問われるのは石英、蛍石といった光透過材料や屈折、回折、分光などの光学系の知識だ。
　未経験者の場合、多少でも専門知識をもっていれば、3D-CADによる非球面設計など加工系スキルと組み合わせて、採用されるケースもあるだろう。しかし、知識ゼロという場合は厳しい。奥深く、やりがいのあるジャンルなので、未経験者は光学の基礎を自習するのも手だ。

　デジカメ固有の撮像素子開発については、レンズよりは広く人材募集が行われている。デジタル一眼レフはレンジファインダーの普及機に比べてピクセル数が格段に多く、入門機でも500万画素、ハイエンドモデルでは1700万画素あまりにもなる。高性能な撮像素子開発に常時携われるという点で、非常に魅力的だ。
　スキルとしては、撮像素子、受光体などのデジタル光学系の知識はもちろん、システムLSIなどの半導体設計の経験もある程度評価される。シャッターコントロール、撮影プログラム、撮影した画像の処理を行うファームウェア、アプリケーションなどについては、プログラミングやセンサーなどのスキルが生きる。
　デジタル一眼レフカメラは開発対象として、また開発で要求されるスキルの高さという点でも、多くのエンジニアを夢中にしそうだ。