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今月のデータが語る エンジニア給与知っ得WAVE! Vol.28 管理職vs専門職 給与はどっちが高い?
かつては、管理職に昇進しなければ高額の報酬や、地位、権限が得られなかった。ところが今は、専門職に特化した人事制度を導入する企業が増えている。管理職に進むのとどう違うのか。エンジニアにとってのメリットを給与面から探った。
(取材・文/広重隆樹 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/Onsel BEHICH) 作成日:04.11.17
社内資格制度の一環として専門職制度を設ける企業が多い
 ある年齢、キャリアに達したエンジニアが、その後のキャリアステップとして、専門技術・知識をスペシャルなものとしてどこまでも深めていくか、それとも組織横断的に複数の専門をもつゼネラリストや、部下の人事・労務に関する権限をもつ管理職としての道を選ぶか。30代後半から40代にかけて、エンジニアのキャリアの階段は、大きく2つに分かれるといわれる。

 一方、企業にとっても、企業競争力を高めるためには、管理職への登用以外に、専門性の高い人材の能力を十分発揮させられるように処遇する制度が必要だという認識が生まれ、その結果整備されてきたのが、企業の競争力を高めるために、専門性の高い人材を社内にとどめ、その能力を十分発揮できるように処遇する専門職制度だ。従業員規模の大きい企業では、約半数近い企業が導入している。(データ1)

データ1 [従業員規模別]企業の専門職制度の導入状況
データ1
出典:厚生労働省 平成14年6月発表 (約5800社を調査)
 
 Tech総研では、現在、専門職として処遇されている、またはかつて処遇されたことがある100人のエンジニアにアンケートし、制度の実態や給与などについて質問したところ、制度の中身については下記のような声が寄せられた。
 
「専門職は、上級の技術者という位置付け。一般職→主任職の後、管理職か専門職を選択する。その後“匠”として認定されると定年がなくなるが、今のところそれに該当する人は出ていない」 (システム開発・32歳)
「いろいろな分野にカテゴリ分けされており自己申請もしくは推薦により審査後認定される。期間は3年」 (システム開発・38歳)
「公的機関の資格を取得し、ある一定の社内研修および業務に携わり、面接と社内試験をパスした人」 (ネットワーク設計・29歳)
 
 アンケートを見る限り、専門職として認められるためには、社内の資格試験や公的資格試験への合格、業務経験年数、提出特許件数、上司の推薦など複数の要件を課している企業が多いが、なかには、たんに上司の判断だけで認定される場合もある。技術系は入社時点で全員が専門職として位置づけられる企業もあり、企業によって考え方の差異が目立つ。
専門職は優秀なエンジニアを引き留め、組織の中で生かすための処遇策
 これまでの日本企業の慣行は管理職偏重の傾向があり、とにかく管理職にならなければ給与も権限も増えないという実態があった。そのため、半ばいやいや管理職への道へ方向転換せざるをえないエンジニアも存在した。

 エンジニアのなかには管理職になって現場を離れるよりも、特定の分野の専門的な技術や能力を磨き続けながら、その研究・開発の実績で評価を上げていきたいと考える人も増えている。「研究・開発をずっと続けられる環境を求めて」ということが転職理由になる場合もある。「上は管理職→役員への道だけ」という単線的な処遇管理が、実はエンジニアのモチベーションを損ない、ときには優秀な人材の社外流出を招きかねないという現状があるのだ。

 その萌芽はすでに1960年代からあるが、多くは「職能資格制度の一環で、技術系についていえば昇進時のポスト不足を解消するための便宜的な方策だったようだ」というのは、リクルート・ワークス研究所の豊田義博・主任研究員だ。
「とはいえ、近年はエンジニア個人がもつ優れたナレッジ(知識)を組織的にも活用するために、新たな処遇制度を導入し、それを専門職制度とかプロフェッショナル人事制度などと呼ぶ企業も増えています。例えばIT業界におけるプロジェクト・マネジャーなどは、従来の管理職ではなくプロデューサー型の専門職に近いもの。職制として固定したものではないにしても、プロジェクトの成果に応じた給与を支払うようにすれば、従来の賃金テーブルでは評価が難しいエンジニアをきちんと処遇できるようになります。抜きんでた技術や知識をもつ高度な技術者をフェローとして遇したり、高度な発明・特許などにスポット的に報酬を与えたりするのもその一環といえます」(豊田氏)

 日本IBMのように技術系・事務系・営業系を問わず、社員全員プロフェッショナル化をめざし、社内認定制度を整える企業もある。また、これまでの中間層対象の専門職制度は廃止したものの、技師長、技監などの役職名で高度専門職を特別待遇する企業もある。

 このように、制度と中身は企業によってさまざまだが、一般には専門職制度とは、「社員が生み出す付加価値に応じて、管理職と同等またはそれ以上に処遇することを可能にする制度」といえる。研究者や技術者、法務・税務・金融などのスタッフのほか、近年は営業、SEやコンサルタントなどの職種も専門職制度の対象となっている。
管理職vs専門職――「管理職のほうが給与は高い」が45%
  エンジニアにとって、専門職制度はなにより働きがいを高めるものでなくてはならないが、その前提になるのが給与だ。実態はどうなのだろうか。

 給与の形態は、職能制度に基づいて給与のベースを決めながら、一定額の専門職資格手当などを上乗せしているケースが多いが、変動要素の強い体系のところもあれば、特に変動させていない企業もある。
 
「専門職資格手当が1万円から3万円で職級によって異なる」 (機械設計・39歳)
「プロジェクトメンバーになった場合、ボーナスの査定に加味される」 (研究・39歳)
「称号が与えられるのみで、手当はなく、給与は一般社員の給与体系と変わらない」 
(システム開発・36歳)
 
データ2 「専門職」と「管理職」はどちらの給与が高い?
データ2
 
データ3 企業が考える「専門職制度についての今後の方針」
現在の専門職制度、運用方法を維持していきたい 31.9%
現在より専門職の処遇を優遇し、さらに能力主義的なものに強化していきたい 9.8%
専門職の処遇は現在程度とするが、さらに能力主義的なものに強化していきたい 26.4%
縮小または廃止したい 1.2%
出典:厚生労働省 平成14年6月発表 (約5800社を調査)
 
 管理職と比べたときの格差はどうだろうか。総じて「専門職のほうが管理職より給与額が高い」と回答したのは全体の13%にすぎなかった。「同じくらい」が31%、反対に「管理職のほうが専門職より給与額が高い」という人が45%いた。

 アンケート対象者は、20代後半から40歳未満で、フェロー待遇や技師長など、ふつうの管理職を超えた特別待遇のケースは今回含まれていないことも、結果に反映されていると思われる。(データ2)当然、その満足度は専門職に対する待遇・評価の高さに比例する。

 「専門職制度は変わりつつあるとはいえ、現状の仕組みの下では、やはり管理職コースに進んだほうが生涯賃金は高くなる人が多い、と言わざるをえない。しかし、近年企業の管理職に求められるスキルも高度になっており、だれもが管理職になれる時代ではない。

 むしろこれからの企業は、事務・管理系のスキルと技術系のスキルを融合したような、いわばプロデュース型の人材を専門職にも管理職にも求めてくるのではないか。どちらのコースを選ぶにしても、求められる要件の高度化は自覚しておかなければ、年収増にはつながらないだろう」と、豊田氏は述べている。(データ3)
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