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【実録】一通のオファーがエンジニアを変えた! Vol.5
一度NGを出された会社から、オファーが届いて転職成功!
登録しておくだけで企業に自分のレジュメが公開できる「リクナビNEXTスカウト」。実際に利用したエンジニアの転職成功レポート第5回。今回は、専門の技術領域が異なるにもかかわらずスカウトされたエンジニアの転職プロセスを紹介する。

(取材・文/入倉由理子 総研スタッフ/宮みゆき イラスト/花山由理) 作成日: 04.09.08
デジタル分野とソフト開発の経験を生かし、一度落ちた会社に転職成功したケース

将来の理想像を実現するために、2度目の転職を決意
 大学・大学院で電子回路工学を学んだ後、大手精密機器メーカーでデジタルビデオカメラの撮像部分の回路設計に携わる。5年目を迎えたころ、日本の伝統的な社風の中で、ある特定の領域の技術をコツコツと積み上げていくキャリアステップに物足りなさを感じつつあった。そこで、個人の責任範囲が広く、伝統に縛られないITベンチャーに転職。その希望はかなえられた。
 しかし、携帯電話の画像処理関連の開発に携わるはずだったが、実際にはコンテンツやソフト開発がメイン業務になっていく。やはりデジタルカメラというプロダクトに携わりたい。わき上がる強い思いに突き動かされ、2度目の転職活動を開始したのは2003年6月のことだった。
中山喜勝さん(32歳)日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
中山喜勝さん(32歳)
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
DCESカンパニー ビデオ&イメージング事業部 カメラアナログフロントエンド製品部
▼中山さんの転職までの流れ(2003年6月〜11月)
▼中山さんの転職までの流れ(2003年6月〜11月)
2003年6月人材紹介会社に登録
外資系企業にチャレンジしたいと、希望を告げる

 2003年6月、転職活動のスタートは、人材紹介会社への登録。一度目のベンチャーへの転職でお世話になった信頼のおける人材コンサルタントがいる会社だ。今回の転職では、デジタルカメラの開発職で、できれば外資系企業がいいという希望を告げた。外資系に興味をもったのは、日本的な堅苦しい風土はやはり合わないから。とはいえベンチャーで不確実な方針転換に悩まされたので、屋台骨がしっかりしている企業に入社したいと考えたからだ。
 
POINT
人材紹介会社を通じた転職活動でも、「どんな会社に転職したいのか」明確にしておくべき。不明な点はコンサルタントが相談に乗ってくれるメリットがある。
 
2社面接で不合格
日本TIに不合格。すごく入社したかったのに……

 人材コンサルタントの紹介で、2社の面接に進む。そのうちの1社は、日本テキサス・インスツルメンツ(以下、日本TI)。カメラ付き携帯電話の開発者募集だった。日本TIは、外資系であること、デジタルカメラの開発ができることはもちろん、社風が合っていると感じたこと、技術力の高さへの魅力もあって、ぜひとも入社したいと思った。しかし、2次面接で不合格。経験内容などを深く聞かれ、準備不足で答えられないことが原因だった。残念だが、しかたがない。何年後かに再チャレンジしようと心に決めた。
 
POINT
不合格だった応募者に対して、再度応募を受け付けるかどうかは企業によって異なる。いずれにしても異なる職種への応募や、経験を積んだ後の応募でなければ、選考結果は変わらないので注意したい。
 
 
2003年8月レジュメ登録
1年前と市場価値は変わっているはず。レジュメを書き直した

 8月も終わりに近づき、だんだん焦り始めた。人材紹介会社だけに頼らず、自ら会社探しをしようとリクナビNEXTに登録。実は、1回目の転職でもスカウトサービスを利用したが、受けてみたいと思うような会社からのオファーはこなかった。しかし、1年たって自分の価値も変わったかもしれないと、気持ちも新たにレジュメを書いた。デジタルビデオカメラの撮像部分の開発経験に加え、ベンチャーで携わったソフト開発経験。ソフトとハードの両面で培った経験と、チャレンジ精神などをアピールした。
 
POINT
登録後、時間が経過すれば、新たな経験を積むのでレジュメを見直し、内容を書き換えることは大切だ。常に自らの「最新の価値」を公開しよう。
 
 
オファーが届く
日本TIからオファーが!応募してもいい?

 デジタルカメラのメーカー、関連会社などから次々とオファーが届く。その中の一通が、日本TIからのオファー。前回応募した職種ではなく、デジタルカメラのCCD信号をデジタイズするアナログ・フロント・エンドの開発エンジニアの募集だった。「任せたい仕事内容」「製品の概要」「部門について」などが詳細に書かれており、すぐにでも応募したいと思った。しかし、やっぱり一度落ちた会社は受けられないだろうと思い込み、1通目は泣く泣く見送った。すると、2通目のオファーが届く。「不安はあるだろうが、まずは連絡をしてほしい」といった内容のメールに、応募してもいいのか悩んだ。一度落ちたという状況も書き添えて返信してみると、「募集する事業部が異なるので大丈夫です」という返事。天にも昇る気持ちだった。
 
POINT
このように、募集職種が異なるために、一度不合格になった会社からオファーが届くことも。不安ならば、無視せずに、応募可能かどうか事情を書いてオファーで確認しよう。
 
面接を受ける
同じ失敗を繰り返さない。面接前に入念に準備

 2度目の応募。前回なぜ採用されなかったのか、面接のやりとりを振り返ってみた。突っ込んだ質問に答えられなかったのは「何がやりたいのか」、そして「それにはこれまでのどんな経験が生きるのか」だ。それを踏まえ、技術的な側面、仕事で培ったコミュニケーションスキルなどを自分の「売り」として、あらためてレポートにまとめた。今度こそ失敗できない。そうした緊張感は、このレポートを書いたことが功を奏して少しおさまったと思う。面接で、自分には経験のないアナログ回路設計の知識が必要なこともわかったが、落ち着いて面接に臨めたためか、新たな技術領域の開発にチャレンジし、経験・スキルの幅を広げたいという思いを明確に伝えることができた。
 
POINT
面接で失敗した経験を、反省点をあげて振り返るといい。同時に自分のキャリアを振り返り、整理することも大切。それを「次にどう生かすか」を前向きに考えると自分の強みが見えてくる。
 
 
2003年11月転職決定
一社で受けた面接の数だけ、納得感が高い転職ができた。結果オーライ!

 いつか再チャレンジしたい。そして日本TIで働きたい。そう思っていたので、内定の獲得は本当にうれしかった。一度目は不合格だったが、結果的に人よりも多くの面接を受けたことで、日本TIの社員と入社前に話ができた。その結果、「自分の求めていた会社」という実感をより強くもって入社することができたと思う。
 現在はデジタルカメラにおけるアナログ・フロント・エンドの評価環境構築や設計、デバイス評価などが主な仕事だ。顧客はワールドワイドで、個人の裁量権も大きく、グループ全体のミッションさえ見失わなければ、仕事の進め方も自分次第。日本企業からベンチャー、そして外資系の日本TI。道は長かったが、抱いた疑問をそのままにせずに行動を起こしたことで、最も自分に合う環境と仕事を得られたと思う。
 
POINT
現状に対する不満や疑問をそのままにしない。転職する、しないにかかわらず、常に自らをベストな状態に置くために、中山さんの姿勢は学ぶべきところが大きい。
検証 なぜ中山さんはスカウトされたか?
 中山さんを採用した当時、同社が募集していたポジションは、カメラのCCD信号をデジタル変換するデバイス部分のアプリケーションエンジニア。
「アナログ回路設計とCCD、タイミング・ジェネレーターに関しての深い知識という日本でも非常に数少ない人材をターゲットにしていました。そのすべて、あるいは一部の経験をもつ人材を登録レジュメから探し、対象になったのは数十人。そのうち中山さんを含めた数人が有力候補になりました。ただし、中山さんはアナログ回路設計を経験しておらず、それが募集のポジションにおいては致命的なスキル不足だったのです」(西川氏)
 なかには、同社が求める経験・スキルをすべて兼ね備えた人材もいたという。しかし、結果的に採用されたのは中山さんだった。
「コメント欄に『何でもやって吸収したい』という意欲が書かれていました。アナログ回路設計以外は、デジタルもハードもソフトも、カメラに必要な知識・経験はすべてある。しかも、これだけやる気のある人材であれば、アナログ技術もすぐにキャッチアップできると期待がもてたのです」(西川氏)
DCESカンパニー 人事部主事 西川広子氏
日本テキサス・インスツルメンツ株式会社
DCESカンパニー 人事部
主事 西川広子氏
経験・スキル不足の場合、スカウトサービスを利用するポイントは?
 
 オファーが届いても、「この仕事は自分には経験・スキル不足だ」と感じることがあるだろう。だが、その募集をすぐにあきらめることはない。経験・スキルを中心に募集するポストに合致する人材を探すことは間違いないが、今回のケースのように、本人の志向性やその仕事に対する意欲も同時に重視される場合もあるからだ。応募先企業に対しての経験・スキル不足を感じるのであれば、中山さんのように「なぜその仕事をやりたいのか」「その仕事に対して売りになる経験はあるのか」をしっかり整理し、足りない経験・スキルをキャッチアップするだけの意欲とバックグラウンドがあることをアピールしたい。
オファー可能性を上げるマル秘テク
経験不足の転職こそ、やりたいことやそれに役立つ仕事経験を整理。明確な回答をすることで、成長への期待を企業に感じさせることができる。
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宮みゆき(総研スタッフ)からのメッセージ
アナログ技術の経験はなくても、デジタル技術とソフト開発の経験からスカウトされた中山さん。採用担当の西川さんのお話によれば、アナログ分野でデジタル分野の技術者が採用されたことは社内でも話題になったそうです。応募条件に満たなくても新しい技術領域に挑戦するきっかけを与えてくれるスカウトサービス。今回はシリーズ最終回ですが、まだまだ意外なチャンスを手に入れたエンジニアは多いはず。ぜひ、皆さんもチャレンジしてみてください。

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