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週刊 やっぱりR&D 求人トレンド解析室 解析テーマ レーシングカー開発

ホンダやトヨタのF1参戦などでモータースポーツの人気が上昇。それに伴ってレース界の
エンジニア需要が急増している。車体やエンジンの設計だけでなく、パーツ開発やロボット制御、
無線技術など門戸は幅広い。厳しい世界でトップエンジニアを目指したい。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:04.08.04
レーサーやチームと一緒に世界最速マシンを生み出す
業界事情
 2004年のF1グランプリ第9戦、アメリカのインディアナポリスサーキットで佐藤琢磨選手が3位に入賞。日本人として14年ぶりに表彰台に立った。F1のみならずインディ、WRC、ル・マン24時間耐久など、世界のモータースポーツで日本人や日本チームの進境が著しい。
 モータースポーツの要となるのが、レーシングカー開発だ。勝てるクルマづくりには、長年の技術ノウハウが必要だが、それだけでは現代のレースを勝ち抜くことはできない。今日のレーシングカーはハイテクの塊なのだ。

 フォーミュラカーなら、ボディーをフルカーボン複合材でつくるのは当たり前。重量を増やさないでどれだけ強度を上げられるかが勝負どころだ。もちろん素材だけでなく、エンジンの各システム、サスペンションの油圧部品、ブレーキなどクルマの構成部品すべてにおいて、設計から開発まで、0.01秒のタイムを削るための熾烈な戦いが演じられている。
 また、レーシングカー開発は、自動車メーカーやレース専門のファクトリーだけのものではない。一般的な自動車部品メーカーや、複合材、金属、タイヤを含む高分子化学関連企業など、実に多くの企業がレースにかかわっている。中にはデータ収集や即時対応の必要性から、レースに自社のエンジニアを派遣するところもある。

 レースは、0.01秒を削るため、ドライバーとエンジニアが共同で死闘を繰り広げる世界。マシン開発には技術水準の高さだけでなく、開発スピードも要求される。まさにR&Dの極致といえる世界であり、レース界のカリスマエンジニアになれるチャンスさえある。挑戦する価値は十二分にあるといえよう。


採用動向
 モータースポーツは市場規模をうんぬんする世界ではないが、企業が投じる資金や開発リソースはかなりのもの。モータースポーツは企業にとって、利益を出すというよりは、技術力を誇示したり、イメージアップを図ったりする格好の場だからである。
 そのためにエンジニアの募集も盛んである。自動車関連企業の中には、モータースポーツ部門が常設されているところもある。そのため、そういった企業に入社し、たとえ希望部署に配属されなくても、その後に配置転換をアピールするなどの手もある。リクナビNEXTでは「レーシング」で検索するのがよいだろう。

 求められるスキルは幅広い。まず応用範囲が広いのは、流体力学。マシンの空力特性はもちろんのこと、エンジン内部のオイル撹拌、エンジンの吸排気、燃料供給、ショックアブゾーバーなど、クルマと流体力学は切っても切れない関係にあるからだ。
 機械設計の経験はもちろん重要だ。マシン開発ではCAD/CAMによるデザイン、構造力学、材料など。パーツの開発では、電装系なら組み込みOS、回路設計、デバッグなど。機械、部品系は設計のほか精密加工技術、金属および樹脂材料など。トランスミッションであれば回路、油圧制御、機構設計などだ。 これら以外にも、生産系シミュレーションやロボット技術などは、自動車分野以外の人材でもスキルをすぐに応用させられるものが多いため、即戦力として重宝されるだろう。

 レーシングカーやレース部品の開発は、毎日が直接的な戦いの連続である。自分の努力と才能は、マシンの状態やレースの結果という明確な形で返ってくる。厳しい世界であることは間違いないし、限られたエンジニアしかトップレベルのフィールドには立てない。しかし、人一倍の充実感が得られる仕事である。


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