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ブロードバンドビジネスに特化してSIを手掛けるエム・ファクトリーへ応募

プロジェクトマネジメント力を生かして新しい領域にチャレンジ

エム・ファクトリーは、ブロードバンド(BB)関連システムのトップエンジニアたちが大手企業をスピンアウトして旗揚げしたベンチャー。今年から本格稼働し、既に数多くの案件が動いている。1年後には社員数5倍を目指しており、人材採用意欲は旺盛だ。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:04.07.21
NEC電気通信システム株式会社
応募したエンジニア 企業の面接担当者
石原さん
David Kell(デイビッド・ケル)さん
(当時29歳)
橋本さん
システムインテグレーション本部
リアライズ2部 部長
松高弘昌氏
当時の職種
プロジェクトマネジャー
募集職種
インフラ系開発エンジニア
業務内容
大規模メールシステム再構築プロジェクトのマネジメント。
仕事内容
BB上で展開する新サービス、特にビデオ・オン・デマンドを実現させる各種システムの構築。
職務経歴
イギリスのLoughborough大学大学院航空工学科を修了後、日本の公立高校で英語講師を2年。その後イギリスのSI企業に入社し、日本支社でプロマネを3年半。
応募資格
インターネットサーバ、ネットワーク、DB、Web系システム、大規模システムなどの構築・設計・開発の経験。PM/PL経験あればなお可。
志望動機
特定業界向けの仕事に限られていたため、領域的にも技術的にも伸びていく会社を求めた。
募集背景
BBシステム構築プロジェクトへの参画要請や受注案件が相次いでいるため。
面接の流れ
SI本部長、部長2人、マネジャー4人の計7人がすべての応募書類に目を通し、合議制で面接者を選抜する。
部長とマネジャーの計2人で行う。所要時間は30分〜1時間。

本部長と、1次面接官とは別の部長の計2人で行う。所要時間は30分〜1時間。
待遇について相談したうえで通知。早ければ2次面接の当日、遅くとも1週間以内に連絡する。
【通過率:約2割】
【通過率:約6〜7割】
Part1
日本でのエンジニアとしての経験
※面接にはリアライズ2部マネジャーの松原靖季氏が同席したが、
  ここでは便宜上、 松原氏の質問やコメントも松高部長のものとして掲載した。
※この面接はすべて日本語で行われた。
来日のきっかけは高校の英語講師
松高:
 はじめまして。本日は、お忙しいところをありがとうございます。
Kell:
 こちらこそ、ありがとうございます。
松高:
 早速ですが、【Point1】自己紹介かたがた、経歴と職歴を簡単に説明してください。
Kell:
 私はイギリス人で29歳。David Kellと申します。○○○(イギリス系SI会社)に3年半勤め、特定業界向け大規模メールシステムのSIプロジェクトをずっと担当しています。現在のポジションはプロジェクトマネジャーです。
松高:
 【Point2】イギリスから日本へ来て働こうと思った、そもそもの動機は何だったのですか?
Kell:
 大学院を卒業するとき、それまでとは違ったことをしてみたいと思ったのです。日本が高校の英語講師を求めているというポスターを大学の図書館で見かけて、面白そうだと応募したら採用されました。日本での2年間の生活はとても楽しいものでした。
 そのあとイギリスへ帰り、現在勤める会社のロンドン本社に就職しました。そして、日本法人スタッフの社内募集があったものですから、手を挙げたのです。結局、ロンドンで働いたのは2カ月だけ。すぐに日本へ戻ってくる形になりました。
松高:
 最初のきっかけは当時の文部省のプログラムだった?
Kell:
 そうです。応募は興味本位でした。
松高:
 ところが2年間、日本の地方都市で高校生に英語を教え、生活してみたら、日本を好きになってしまった?
Kell:
 はい。また日本に来れたらいいなあと思って帰国したら、就職した会社で幸運が待っていました(笑)。
日本支社で学んだプロジェクトの現場
松高:
 日本へ転勤して日本人スタッフと働き始めましたね。そのとき、言葉の壁や文化の違いで仕事に支障をきたしたとか、困ったことなどはありませんでしたか?
Kell:
 本当に困ったということはありませんでしたが、コミュニケーションと仕事上の慣習の違いは多少感じました。問題が問題にならないように、みんなで努力しました。
松高:
 チームのメンバーとの理解を深めるように、意識しながら仕事をしてきた?
Kell:
 はい、そうです。私もメンバーたちも両方で努力しました。
松高:
 【Point3】大規模メールシステムを構築するプロジェクトに、最初からプロジェクトマネジャーとして入ったのですか? それとも、メンバーとして加わり、のちにマネジャーへ昇格したのですか?
Kell:
 日本へ赴任したときはアシスタント・プロジェクトマネジャーでした。そのプロジェクトには60〜70人が参加していて、マネジャー1人では管理ができないために、アシスタントが必要だったのです。【Point4】私は最初の1年間、ユーザー企業であるお客さんのところへずっと行っていました。
松高:
 その当時、技術的には不安があったのではありませんか? 大学でコンピュータ技術を勉強したとはいえ、○○○へ入社してから2カ月で日本に戻ったのですから。
Kell:
 はい。構築するシステムの技術仕様を細部まで、すべて理解することはできませんでした。アプリケーションの開発はヨーロッパで行われました。
Point1
[面接官]面接のいちばん最初に自己紹介をしてもらうように決めています。経歴を棒読みするのではなく、自分自身を売り込んでほしい。簡潔明瞭な話し方ができる人ほど、第一印象はよくなります。
[応募者]自己紹介という習慣は日本での生活を通じて慣れています。採用面接での自己紹介ですから、プレゼンテーションの仕方や仕事での自信などを観察するのだろうと思いました。
Point2
[面接官]これに続く二、三の質問の意図は、日本で働くことの真剣味を探るところにあります。腰掛け的に働いて帰国されたのでは困るのです。そもそも当社では英語力を採用選考の基準に置いてはいません。欲しいのは技術力であり、プロジェクトマネジメント力なのです。
[応募者]日本での定着を気にするのは、日本企業として仕方のないこと。企業の論理は理解しているつもりです。
Point3
[面接官]本国から赴任してきていきなりプロジェクトマネジャーになった場合、日本におけるSI事業の現場、各メンバーの仕事内容を知らない可能性があります。その点が気になって尋ねた質問です。
Point4
[面接官]アシスタント・プロジェクトマネジャーとして、顧客と直に対応した経験は大いに評価できます。マネジメント一辺倒ではない点がいいのです。
Part2
プロジェクトの遂行力・習得技術

トラブル解決に見るプロジェクト遂行能力
松高:
 いくつかのプロジェクトを担当する中では、トラブルもあったと思います。【Point5】トラブル解決の際、どんな点に気をつけてきましたか? 具体例を挙げて話してください。
Kell:
 技術的な問題に関してですか?
松高:
 技術上でも、仕事の進め方に関してでもかまいません。
Kell:
 確かにSIプロジェクトではトラブルが付きものです。元請けのSI企業が、勝手にお客さんの希望を次々と引き受けてしまったプロジェクトがありました。日程が大幅に狂って、大変困りました。元請けとベンダーと私の会社の3社で毎週、技術検討会や進捗会議を開いていました。そのあとの数カ月はうまくいったのですが、やはり相互に理解し合うのが大切だと感じました。
松高:
 相互理解のために工夫したのですか?
Kell:
 はい。3社間のコミュニケーションを密に取るように努めました。
松高:
 関係をよくするために中心的に動いた?
Kell:
 うーん、答えにくいですね。私は自分の過去を自慢げに話すのはあまり好きではありませんから。
プロジェクトの規模と具体的な業務内容
松高:
 技術面について少し突っ込んだ質問をします。担当したプロジェクトの規模はどのくらいですか?
Kell:
 【Point6】大きいものだと60〜70人。小さいもので10〜15人です。開発から試験、サービスインまでの期間は6カ月から1年程度です。標準プロダクトをお客さんに合わせてどこまでカスタマイズするかでも、プロジェクトの規模は違ってきます。
松高:
 自社パッケージを納入する際のローカライズ、カスタマイズが多いのですか?
Kell:
 他社製品も含めて、最近はそうです。【Point7】私の任務は、お客さんの希望に沿った技術提案書をお客さんと一緒に作って開発側へ渡し、カスタマイズ作業の進捗状況を見て納期に間に合うように、そして技術的なミスがないように管理することです。
Point5
[面接官]SIプロジェクトのマネジメントでは、トラブル解決の判断力が重要です。例えば、根本的な対策が必要なのか、臨時に手を打っておいて作業を優先させたほうがいいのかなどの判断です。こうした判断力は素養にプラスして経験がものをいいます。トラブル解決の実体験を話してもらえれば、応募者の判断力を推測できるのです。例に挙げるトラブルの内容は技術面でもマネジメント面でもかまいません。自信をもって話せる体験を例に出してほしい。
Point6
[面接官]このくらいの規模の開発プロジェクトを経験していれば、問題はありません。しかも、少なくとも1件は大規模プロジェクトに参加している。最近では10人以下のチームで3〜4カ月というプロジェクトしか経験していないSEが多いので、貴重な経験だと思います
Point7
[面接官]彼のセールスポイントはプロジェクトマネジメント力だとわかっていましたが、このように面接中に言葉を変えながら何度か繰り返されると、こちらの納得感が増すのは事実です。
Part3
転職理由と志望動機

伸びる分野にチャレンジしたい
松高:
 今回、○○○を辞めて転職したいと考えている理由は何ですか?
Kell:
 ×××という特定業界に向けた、メールシステムのSI受注案件は減少してきています。日本市場ではいずれメンテナンス程度になるでしょう。私としては、このあたりで別のシステム領域へ変わりたいのです。技術的にも新しい分野に挑戦したい。これから伸びていくSI会社へ移りたいのです。
松高:
 では、われわれエム・ファクトリーを選んだのはどうしてですか?
Kell:
 【Point8】実は、友人がエム・ファクトリーに入社しています。彼から仕事の進め方、技術的な面白さ、ブロードバンド特化型SI事業の成長性などについて話を聞き、全体的に考えてやってみたいと思いました。
松高:
 入社後に担当したいと具体的に考えている仕事はありますか?
Kell:
 エム・ファクトリーが現在行っている作業を具体的には知らないので、これをというイメージは浮かびませんが、マネジメント経験と技術経験をもとにお手伝いできることはあると思っています。
松高:
 【Point9】特にプロジェクトマネジメントには自信がある?
Kell:
 はい。ベンダーマネジメントにも自信がありますし、システムアーキテクチャーとSIビジネスも熟知しているつもりです。やっていけると思います。

(このあと、松高氏はKellさんのほうからの質問を促した。そして、入社可能時期と通勤時間を確認して面接を終えた)
Point8
[面接官]当社は今年になって本格稼働した無名のベンチャーです。入社している社員からよく話を聞いたうえで興味を感じてくれた点は好感がもてました。
Point9
[面接官]こういうふうに最後の念押しをしたとき、「自信がない」と答える応募者はまずいません。ですから、私は少し強く言葉を投げかけ、応募者の目の動き、態度、返答のタイミングなどに注目するのです。不安がある人には何かしら反応が表れます。
面接官はここを見た!
●納期にこだわったプロジェクトマネジメント力があるか。
●オープン系のシステム開発をどの程度経験しているか。
●向上心や挑戦意欲はあるか。
 重視するのはプロジェクトマネジメント力。どのくらいの規模のSIプロジェクトをマネジメントした経験があるかを見る。その際、納期を守るため何にこだわっているかに着目する。同時に、顧客への対応力も確認する。技術力のレベルはUNIX、Windows、Web系システムの開発経験から探るが、そのためには手掛けたシステムの分野、要素技術、担当工程などを尋ねる。人物素養では、転職の動機や入社後に希望する仕事内容などから向上心や意欲を確認する。
Kellさんはコレで決めた!
「実際の面接では、約4割が会社の説明でした。
企業の実務と将来性を応募者に知らせて行う面接の仕方と、
熱心に話してくれた企業ビジョンの、両方に感動しました」
 実際の1次面接では、これからのエム・ファクトリーについて多くの説明をしていただきました。面接にかかった時間の4割くらいで、珍しい面接法だと思います。実は、エム・ファクトリーの前に他社の面接を受けたのですが、2時間近く細々と質問したあと、会社説明は最後の5分だけで、あまり感心しなかった記憶があります。ですから、エム・ファクトリーではより一層、面接の仕方と話してもらった将来像に感動したのです。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
日本で国内系企業に転職した Kellさんの例は、日本人が外国でその国の企業に転職するようなもの。しかし彼に気負ったところはなく、とても自然体でした。このように海外に出て行く日本人エンジニアが増えればいいなと、取材をしながら感じました。あなたの望む「面接現場」を教えてください。

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