レーザー機器／業界を横断する光学スキルを手に入れろ

レーザー機器業界がにわかに活気づいている。次世代光ディスクBlu-Rayをはじめ、波長の短さを
利用した半導体やナノテク分野での微細加工装置、医療装置など、利用分野は広がる一方だ。
それに伴って人材ニーズも急増中。光学スキルを身につけるなら今だ。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.06.09

　計測、医療、各種加工機器、光学読み取り装置など、広範囲で利用されているレーザービーム。青色発光ダイオードが発明され、それをベースとした青色レーザーが登場したことで、レーザー機器業界が活気づいている。

　レーザーを高性能化するためには青色光を使えばいいということは、昔から知られてきた。青色光は光の中でも波長がきわめて短く、拡散しにくく、微細な穴を通しやすいといった特性があるからだ。
　問題は光源がなかったこと。しかし、青色発光ダイオードが発明されたことで、その課題は氷解した。青色光源はその後、波長400ナノメートルクラスと、ブラックライトに近い青紫色に進化した。青紫色レーザーの用途としてはBlu-Rayなどの次世代光ディスクがすぐに連想されるが、それ以外にも医療、バイオ、ナノテク、半導体加工といった幅広い最先端分野に利用可能である。

　青紫色以外の、既存のレーザーに関するニーズも高い。2D、3D光学完成検査装置などのオプトメカトロニクス関連、レーザー計測機器、次世代映像装置、プリンターその他と、多方面に拡大している。
　これに伴い、開発部門の人材ニーズもうなぎ上りである。光学設計の粋を集めたテクノロジーであるレーザー機器。自分の専門スキルを武器に、光学分野に飛び込むチャンスだ。

　レーザー機器開発のエンジニア需要は非常に多く、ほぼ途切れることなく求人情報が掲載されている。リクナビＮＥＸＴでは「レーザー」をキーワードに検索をかけると、多数の情報がヒットする。
　レーザーというとすぐに発光体が頭に浮かぶが、青色発光ダイオードの例でもわかるように、発光体の開発はそれ専門のノウハウが必要だ。しかし、レーザー機器の開発は、その発光体をいかにうまく利用して光源とするか、CCDなどの受光装置をどう設計するかといった、パッケージングの作業が主なのである。

　エンジニアに求められるスキルはさまざま。光学設計の経験があればベストで、レーザー顕微鏡、干渉計、光検査装置などのレーザー装置のトータルな企画・開発について、即戦力として期待される。
　一方で、未経験者でも独自スキルを生かせるケースは多い。例えば、レーザー照射のピックアップ部分。ここでは、安定した電力を供給するための電源回路や制御回路の設計、微小な動作を正確にこなすためのMEMS設計をはじめとする機構設計。あるいは、組み込みOSなどのスキル。これらの実務経験があれば、それらの設計を経て、いずれ光学設計に移行できる余地が大きい。
　また、レーザープリンタ、顕微鏡、投影装置などの映像関連機器については、画像処理ソフトのプログラマも必要とされる。そのほかにも、分野によって生かせるスキルはさまざまなので、募集要項の中身を十分にチェックしておきたい。

　レーザー機器開発は、通信、医療、ナノテクといった次世代技術の下敷きとなる光学分野のスキルを手に入れるのに、うってつけの場である。先端技術志向のエンジニアにとっては、思いきって挑戦する価値は十分にある。