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白熱座談会☆プロジェクト運営から業界用語まで 懐かしロボットアニメがエンジニアの原点だ

小さいころ、胸躍らせて見たロボットアニメ。リアルでメカニックなロボットワールドに、大きな影響を受けたエンジニアも少なくないはずだ。今回はそんなロボットアニメとエンジニアの働き方の接点を探ってみたい。
(取材・文/金沢桃子 総研スタッフ/山田せいめい) 作成日04.06.02

ロボットアニメ座談会:テーマ「エンジニアとロボットアニメ 2つの世界の共通点とは?」
 子供のころ、ロボットアニメに熱中したエンジニア4人を招いた座談会を開催。ロボットアニメに対する熱い思いから、実際の職場で思わず口から出てしまった「アニメのセリフ」まで、熱狂的なファン以外には理解不能!?な熱いトークが展開された……。
*注釈:本文中に登場する、理解に苦しむと思われる用語については、本文右側に簡単な解説をしているので、そちらを参照していただきたい

座談会に登場した4人のプロフィール
Hさん、33歳
ネットワークエンジニア
好きなアニメ:ガンダム(※1)、松本零士作品、蒼き流星SPTレイズナー(※2)
Nさん、32歳
ソフトウェア開発
好きなアニメ:マジンガーZ(※3)、ガンダム
Kさん、36歳
エネルギー技術
好きなアニメ:ガンダム、サーキットの狼(※4)マクロス(※6)
Mさん、27歳
ソフトウェア開発
好きなアニメ:ガンダム

まずはロボットアニメの出会いについて教えてください。
:4歳ぐらいに見始めました。最初に好きになったのは宇宙戦艦ヤマト。そのままハーロック、銀河鉄道999とはまっていきました。ロボットアニメを最初に意識したのはマジンガーZですね。合体変形ロボットが好きでした。

:私もマジンガーZで、7歳くらいから見ていました。ロボット系や戦闘ものが好きでした。2歳上の兄の影響です。

:サーキットの狼とか小学校1、2年の頃に見始めましたね。ヤマトとかマジンガーとか、ゲッターロボ(※5)とか。ガンダムの後はマクロスですね。

:小学校2年くらいからテレビ東京系のアニメの再放送とかを見るようになりました。ガンダムが好きでしたが、それ以外だと、マジンガーZ、黄金バット、妖怪人間ベムとかを見た覚えがありますね。

全員がお好きというガンダム。その魅力は?
:乗組員全員、特に主人公がごく一般的な少年(素人)で現実味があってよかったです。その前のアニメはエースパイロットが主人公でしたから。

:それまでは敵が異星人とかだったので、敵も味方も人間というところが新しかった。

:一話完結の勧善懲悪じゃなくて、敵側にも深い設定がありましたからね。

:あとはMS(※7)の質感というか高級感ですね。それまでのロボットアニメにないものでした。

:だからガンプラ(※8)も売れたんですよね。もちろん、登場人物も魅力的でしたが。自分も子供のころは朝から並んで買っていました。

:やはり物語ですね。それから設定の深さと世界観です。

:あとは……今になってのエンジニアの目から見て、ロボット設計のおかしさや矛盾をつっこめるところかな(笑)。

実際の職場でロボットアニメの影響はありますか?
「V-MAX発動でよろしく」(※9)と言って頼んだりします(笑)。

:上司と現場に出たときに「スタンバったか!?」(※10)とか使っていますよ。車を出すときに「ガンダム出ます!」(※11)なんて言ったり。

「ニューガンダムは伊達じゃない」(※12)の台詞のもじりで「C#は伊達じゃない」とかかな。

:世間知らずがポカをやってプロジェクトがこけたとき「坊やだからさ」(※13)とかも言っちゃいます。

:こういう言葉って共通理解があるんですよ。プロジェクトに人手が少なくて手が回らないときに「弾幕薄いよ」(※14)と話したり。

:上司の人とかと使うと職場の中での潤滑油にもなりますね。

プロジェクトや職場にいてほしいキャラクターはだれですか?
スレッガー(※15)みたいな人柱(笑)。奴みたいにみんなを助けるために自らの命を捨ててくれる人。例えば本当に3倍に動く(働く)ならシャア(※16)

アムロ(※17)を従えたいですねえ。最終動作のテスト中にいきなり止まったときとかニュータイプの速さで助けてほしい(笑)。

:確かにアムロは必須ですね。例えば、ここまでシステムができたのにあと一歩うまくいかない。そんなときに天性のひらめきで救世主になってほしい。いるのはハヤト(※18)ばっかりですが(笑)。がんばっているのはわかるんだけど、君の能力では足りないんだよ、みたいな。

:多少扱いづらくても、エンジニアは非凡なセンスがあって、ひらめきのあるほうがいいですよね。

:上司ならランバ・ラル(※19)です。エンジニアの集団は個性的だから、それをまとめられるだけの人間がほしい。

:技術屋って感じがしますよね。

:現場で働くエンジニアのよき理解者って感じもあります。

:子供のころはセイラさん(※20)が好きでしたが……そういう人は職場にはいませんね(笑)。

ガンダムの話が多く出ましたが、その世界とエンジニアの世界の共通点って何ですか?
:本人は一生懸命なんだけど、自己中心的で、対人能力に欠ける、とほかから思われるところがMSのパイロットとエンジニアは似てますね。実力主義なところも。

:人間関係が悪くなるとガンダムの操縦をやめちゃうアムロみたいに、人間関係の悪化がモチベーションの低下につながりやすいです。

:「サーバの設定で呼ばれたはずなのに、なんでクライアントのほかのことまでやらなきゃいけないんですか」みたいな理不尽なことが多く起こることも似ていますね。
そういうときには「悲しいけど、これ、戦争なのよね」(※21)とスレッガーのように、あきらめをつけてやりますが(笑)。

:次々にレベルアップしていく敵に対応するためにガンダムを改良していくのと一緒で、より高性能なものを逐次投入していかなければならないところがありますね。

常に新しいものが出てくるから、それに追いつくように自分の技術を磨かないといけない。エンジニアの世界はガンダムの世界同様、技術が日進月歩ですから。

ホワイトベース(※22)のクルーと、プロジェクトのメンバーの関係が似ています。それぞれに、この人はSQLが得意、この人はアセンブラが得意、と役割があり、その個々の能力が結集して、一つの仕事をやり遂げる。でも常に開発して出したものが全部ダメ出しを食らうとか緊急事態に遭遇するから、シャア(緊急で難解なトラブル)と戦うのに全体で出撃しないといけない(笑)。

:いつも順調にいかないのが似ています。実はシステムがもう壊れちゃってて、会社が動かなくなっちゃうからすぐに直してくれとか、もう最初からホワイトベース破損状態(笑)。それを個々の能力を結集させて乗り切っていくところなんかは特に。最初からちゃんとした指揮官がいればうまくいくのにと思うときもある。現場を知らずにあれこれ言ってくる上に対し、不満を持つというところも似ています。
それと、自分がプログラムを書いているとき、アムロのように「あ、見えた」ってひらめくときもありますよ(笑)。そういう仕事環境や仕事への取り組み方、ひらめきとかが共通していますね。

:職場や上司が不満でも、緊急事態が起きれば「僕しかやる人はいないんでしょう!?」と文句を言いながら戦うアムロのように、「やるしかない」ですものね。

(注)この後もガンダムに関する熱いトークが繰り広げられた……。
※1 ガンダム
機動戦士ガンダム。1979年の放送開始以来、斬新なデザインのロボット(MS)や緻密なストーリー展開など、リアルロボットアニメの草分け的な存在となる。今年で25周年を迎えた現在もTVやビデオでの続編や、プラモデルに代表される多種多様なグッズ展開など、子供から30代の「ファーストガンダム世代」まで幅広いファンから絶大な支持を得ている。

※2 蒼き流星SPTレイズナー
1985年〜1986年まで放映されたリアルロボットアニメ。当時の世界情勢や科学知識を色濃く反映していた。

※3 マジンガーZ
1972年〜1974年に放映された永井豪原作のロボットアニメ。

※4 サーキットの狼
1975年〜1979年まで連載された池沢さとしの漫画。スーパーカーブームの火付け役。

※5 ゲッターロボ
1974年〜1975年に放映されたダイナミックプロの「マジンガーシリーズ」と並ぶ代表作。陸・海・空の3タイプに合体変形するロボットが人気だった。

※6 マクロス
超時空要塞マクロス。1982年〜1983年まで放映された。登場するアイドル、リン・ミンメイが人気を博した。

※7 MS
モビルスーツの略。ガンダムに登場する人型ロボットの総称。

※8 ガンプラ
ガンダムプラモデルの略。80年代前半に爆発的なブームになり、ガンダム人気を不動のものにした。

※9 「V-MAX発動でよろしく」
レイズナー(ロボット)の機体についている危機回避システム。

※10 「スタンバったか!?」
ホワイトベースの艦長・ブライトの台詞で「スタンバイできたか」の意味。「ガンダムをスタンバっておけ」といった使い方をする。

※11 「ガンダム出ます!」
ホワイトベースからガンダムを発進させるときのアムロの有名なセリフ。

※12 「ニューガンダムは伊達じゃない」
「逆襲のシャア」(1988年公開の劇場版ガンダム)で落下するアクシズ(小惑星)を止めようとするときのアムロの台詞。今までのマシンと違うんだという意味。

※13 「坊やだからさ」
ジオン軍ザビ家の長男ギレンのTV演説「ガルマ・ザビはなぜ死んだ!」を聞き、シャアがぽつりとつぶやいた台詞。

※14 「弾幕薄いよ」
ブライト艦長の有名な台詞。本来の意味は、敵の攻撃から自分の戦艦を守るべく、クルーを総動員して砲弾を乱射して、ミサイルのバリアを作ること。

※15 スレッガー
補充要員としてホワイトベースに乗り込んだベテランパイロット。あとをアムロたち若者に託し、自らの身を犠牲にする。

※16 シャア
主人公アムロの最大の宿敵。エースパイロットであるシャアのメカは、ほかのメカの3倍の速さで動くといわれることから「3倍」という言葉がシャアの名前とともに定着した。搭乗するモビルスーツの色から「赤い彗星」と呼ばれる。その生きざまに憧れるファンも多く、その人気はガンダムの登場人物の中でも圧倒的。
一部マニアの間では、その存在自体が神格化されているとのうわさも。

※17 アムロ
ガンダムの主人公。モビルスーツの操縦では非凡な才能を発揮して、次々と登場する敵を倒し続けたが、それを除けば内気でごく普通の少年。

※18 ハヤト
ガンタンクというメカのパイロット。まじめなのだが気が弱く、才能のあるアムロにコンプレックスを抱いていた。

※19 ランバ・ラル
青い巨星。親が派閥争いに負けたため、不遇の境遇にあったが、それに腐らず、常に現場で成果を上げ続けたたたきあげの職業軍人。部下の生活の安定のために出世を目指し、部下たちも自分たちとともに現場で頑張るランバ・ラルに絶大な信頼を寄せていた。

※20 セイラさん
勝気な性格とその美貌から、多くの男性ファンから高い支持を得る。シャアの妹。

※21 「悲しいけど、これ、戦争なのよね」
ビグザム(モビルアーマー型巨大ロボット=強敵)に特攻をかけるスレッガーの台詞。

※22 ホワイトベース
アムロやアムロの乗っているガンダムが搭載されている戦艦。
 今回の座談会を受け、エンジニアの仕事にロボットアニメがどう影響しているか、以下の3つのケースで考察してみた。

エンジニアとロボットアニメの相関関係事例
1 トラブル対応 2 プロジェクト内の人間関係 3 上司・管理職との関係
毎回、敵に襲われ、素早い判断で緊急事態を乗り切らないといけないパイロット。エンジニアもプロジェクトの中で同じような事態が起きることが多い。そこを個人の才覚で乗りきるところに影響が見られる。また、強い敵(難問)と対峙することを通して、飛躍的にレベルアップしていくところにも共通性がある。 ロボットアニメにはパイロット以外にもオペレータや艦長、メカニックといったさまざまな役割がある。そしてそれぞれの能力をいかんなく発揮することで活躍できるが、エンジニアにも、C言語が得意、サーバ構築が得意など、能力の違う人が一緒に助け合いながら仕事を進めていく姿に近いものがある。 エンジニアは仕事の中で現場を熟知する上司と知らない上司を峻別する。
座談会に出たランバ・ラルやシャアのように能力のある人なら付いていくが、そうでない場合、それ相応の対応しかせず、自力で解決しようとする。
そのような実力主義的なところが、能力のない者は生き残れないロボットアニメの過酷な世界と相似している。

 ほかにもパイロットの人格やエンジニアの性格など共通する点が多い。実際の職場や仕事のシーンを思い浮かべながら、ロボットアニメの世界を重ね合わせて見ると、また違った、新たな発見があるかもしれない。

等身大のガンダムが迫力満点!「ガンダムミュージアム」

 今回の座談会で、話題の中心になったガンダム。
「世界初のガンダム博物館」があると聞いて、早速訪ねてみた。
「宇宙世紀100年を記念してサイド7(スペースコロニー)に建てられたMS(モビルスーツ)ミュージアム」というコンセプトで作られたのが、バンダイミュージアムの7、8階に位置する、ガンダムミュージアム。
ガンダムファンの聖地として開館時から人気があり、2003年7月19日のオープン以来、すでに20万人以上が来館した。
中でも注目なのが、全長約5.6メートルの実物大ガンダム(胸像)。特にリフト(有料)に乗って間近に見るガンダムは、圧巻のひと言。ガンダムカフェで「ザビ家の食卓」コースを食べながら、ガンダムを見ることもできる。
「連邦がモビルスーツ開発の研究に使った」ザクの頭もこだわりの作品。リピーターも多く、特に1000アイテム以上のガンダム商品があるショップに何度も足を運ぶファンも多い。ここだけの限定品もたくさん出ているので要チェック。編集部が訪ねたときには、「赤いジオング」と「赤い百式」が限定品として販売されていた。
© 創通エージェンシー・サンライズ
バンダイミュージアム
千葉県松戸市松戸1230-1
営業時間10時〜18時30分
(ただし一部23時まで)
休館日は不定休
http://www.bandai-museum.jp/
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山田せいめい(総研スタッフ)からのメッセージ
じつは私も、子供のころに「ガンプラ」に熱中した多くのガンダムファンのひとりです。ですので、正直、今回のレポートはほとんど仕事を忘れ、ひたすらガンダムワールドに懐かしみながらも熱中してしまいました。今回の座談会を通して、ロボットアニメの中でもとりわけガンダムの存在の大きさを実感しました。ガンダムはみなさんの仕事ぶりに対してどんな影響を与えましたか? ぜひお聞かせください。

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