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週刊 やっぱりR&D 求人トレンド解析室 解析テーマ 超臨界流体

固体、液体、気体でもない超臨界流体。エネルギー関連、ナノ材料、半導体、食品、医薬、環境など、
幅広い分野に横断的に応用の可能性があり、世界で研究開発競争が繰り広げられている。
企業で開発要員を募るケースも始まった。
(取材・文/伊藤憲二 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:04.06.02
「第4の物質」に先駆けて取り組み、今から第一人者を目指せ
業界事情
 物質に気体、液体、固体の三相があるのはだれもが知ること。だが今、そのいずれでもない状態の物質である「超臨界流体」の研究が注目を集めている。物質が液体から気体に変わる沸点は、圧力が大きくなるにつれて高まる。それが、ある圧力(臨界点:物質によって異なる)以上になると、いくら加圧しても沸点が高まらなくなる領域がある。その臨界点を超えた領域での気体が、超臨界流体と呼ばれている物質なのである。

 超臨界流体はもともと、軍用機の熱交換装置などに使用されていた軍事技術だった。熱効率に優れているため、大型冷蔵機器の冷媒に使用すれば、省エネルギー性を大幅に向上させることができる。
 また、最近は熱交換以外に、特定物質の吸着性に優れているという点も注目されている。例えば、ダイオキシンのような毒性の強い物質が混ざった物質があるとする。それを液体に漬けると、水溶性のものはダイオキシンもそのほかの物質も溶け出してしまう。ところが超臨界流体を使えば、ダイオキシンだけを抽出することができるのだ。

 こうした特定物質の抽出は、汚染された土壌や水質の浄化といった環境ビジネス、高純度下におけるナノ材料製造、世界的に化学物質規制が強められている半導体製造、医薬品・食品産業における各種エキス、特定物質削減食品(カフェインレスコーヒーなど)の製造など、幅広い応用が期待されており、一部は既に実用化されている。
 第4の物質形態、超臨界流体の研究開発競争はまだ始まったばかり。環境、資源、医療といった21世紀産業の先端テクノロジーに触れる、絶好の機会到来である。


採用動向
 超臨界流体は、政府の科学技術振興策のなかでも先端分野に位置づけられており、産学協同研究がメイン。ただし海外、特にドイツ、アメリカ、カナダなどでは既に産業化が始まるなど、実用化のめどはつきつつある。日本企業による超臨界流体分野の求人も、時折見られるようになってきた。リクナビNEXTでは「超臨界」、あるいは広い範囲で「流体」をキーワードに検索するとよい。

 エンジニアには、業種による経験よりも、研究活動に関する資質が求められる。スキル的には実験系と装置系に大別される。実験系では、固体、液体、気体といった物質様態や熱力学などの物理的知識。これは超臨界流体そのものを作り出したり、臨界状態を制御したりといった作業で必要とされる。
 また、超臨界流体がどういうことに利用可能かといった、特性についての研究を進めるうえでは、分子化学、物性化学関連の知識も要求される。

 一方、実験系に劣らず重要なのが、超臨界状態をつくり出したり、制御したりする装置の、作製およびシミュレーションである。CO2や水といった超臨界領域の現象を把握できる装置をつくる能力の有無に、ラボラトリーの研究開発能力が直接左右される。それだけに、投資もさかんである。
 試作装置づくりでは高圧配管、各種センサー、各種制御機器などの、プラントエンジニアリング関連の経験があると歓迎される。また、分子シミュレーション、量子化学計算の動的シミュレーションなど、ソフトウェア開発分野ではSEのニーズもある。

 超臨界流体の研究開発は今後、基礎研究から実用化に向けた応用研究に移行していくとみられている。研究開発の楽しみはこれからが本番という段階だけに、R&D志向のエンジニアにとってはぜひチェックしたい分野だ。


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