ホログラフィック／用途も分野も拡大！最先端３Ｄ技術

3D映像を描写するための技術、ホログラフィックが注目だ。ITS、試作用、医療向けなどに加えて、
複数レーザーを使用する特性を生かした、新型大容量光ストレージにも期待が高まる。
オプトメカトロニクスの先端技術を身につける、絶好のチャンス到来である。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.03.31

　エンジニアから熱い視線を浴びている、3Dテクノロジーの最終形といわれるホログラフィック。複数のレーザー光を異なる角度で照射し、その干渉によって立体映像を描写する技術だ。90年代に半導体技術が急速に進歩したことに伴い、高度な描写が可能になった。

　当初は軍事関連技術として研究が進められていたが、近年では工業全般、遠隔医療、道路交通システムといった実学から映画やゲーム、広告などのアミューズメント関連まで、幅広い分野で研究が進められている。
　将来的には、工業分野では試作モックアップを3Dでこなし、医療分野ではロボット技術との組み合わせで遠隔手術が可能となり、家庭ではテレビも立体映像で見ることができるようになる。
　セキュリティー業界でも、ホログラムを暗号キーとして使用する企業が出てきている。こうした一連の流れを受けて、オプトメカトロニクス業界では、ホログラフィック関連の技術開発にリソースの多くを割いているのだ。

　ホログラフィック技術には、3D描画以外の用途も見いだされている。光ストレージの記録に複数のレーザーを使用して記録する「ホログラフィックデータストレージ」がそれである。DVD-ROMサイズのディスクに数百ギガバイトという大容量のデータを記録させることができ、読み出し速度もHDDを上回るとあって、ハイエンドストレージ向け技術として有望視されている。
　製造業からIT、アミューズメントまで、多くの分野を横断的に網羅するホログラフィックは、デバイス、回路、ソフトウェア、材料など、多くの分野のエンジニアにとって大いなる新天地である。

　ホログラフィック関連の求人は、現時点で頻繁に行われている（3月31日現在）。だが、ホログラフィックという用語自体がまだ一般的でないため、リクナビＮＥＸＴでは「3D」「レーザー」などをキーワードとして検索し、その中からホログラフィック関連の求人を探す方法をお勧めする。

　業界としては、3Dスキャナなどのオプトメカトロニクス、光ストレージ、医療機器、映像機器（ディスプレイ含む）、マルチメディア（映画含む）、印刷、ロボティクスなどが挙がる。ホログラフィックの利用法は業界によって差があり、自分のスキルと将来のビジョンを考慮して業界を選ぶ必要がある。

　求められるスキルとしては、ホログラフィック・ディスプレイやデータストレージの開発向けとして各色レーザー、Liをベースとした感光記録材料、投影用の樹脂・ガラス材料、受光装置などのオプトメカトロニクス関連分野。もちろん、レーザー照射角度の精密制御を行う回路全般、メカトロニクスも重宝される。また、表示機器関連では既存の3D関連ソフトウェア分野、すなわち3D-CADなどの3D技術、2次元3Dにおけるマルチ光源制御などの知識も役に立つ。

　ホログラフィックは今後、医療機器やロボットなどの先端分野に横断的に展開されていくと考えられている。そうした先端分野に今のうちから食い込むという意味で、転職を考える意味は大いにある。開発の本格化がこれからという意味でも、人材ニーズが増えつつある今が、まさに参入のチャンスである。