動画圧縮・展開技術／次代エンタメ必須で今がチャンス

携帯電話やDVD、DVCなどの高性能化、インターネットでのコンテンツ配信の普及に伴い、
動画圧縮・展開技術が注目を浴びている。高性能なDSP回路、高機能かつ軽量なファームウェアや
アプリケーションの要求も高まっている。今が動画への参入チャンスだ。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.03.24

　デジタルビデオカメラやDVDレコーダー・プレーヤー、3G型携帯電話など、映像装置の普及で勢いづく動画デバイス業界。その優劣を決定づける動画圧縮・展開技術がエンジニアにとって、旬なテクノロジーとして注目を集めている。

　現在の動画圧縮・展開のトレンドは、MPEG-4の処理を専用のチップで行うDSP方式。既に次世代携帯電話、大容量光ディスク、双方向通信デバイスなどに使用するための、DSP開発競争が激化している。
　性能とコストを両立させなければならないため、競争に打ち勝つのは容易ではないが、動画市場そのものは年々急伸している。そのため、業界全体の雇用力は今後も上昇傾向を示すとの見方がもっぱらだ。

　ハードウェアを使用するものばかりでなく、インターネット上で動画配信を行うためのソフトウェアによる動画圧縮・展開技術も注目されている。また、現行の再生プレーヤーソフトに代わる、リッチコンテンツ配信技術のニーズも高まっている。日本はもともと動画圧縮のノウハウが豊富なだけに、ネット上での次世代エンジンでデファクトを取りにいく企業や陣営が出現しても不思議ではない。
　次世代のエンターテインメント業界に必要不可欠な動画圧縮・展開技術。そのコアテクノロジーを身につけるのは、今がチャンスである。

　動画圧縮・展開は旬の技術だけに、中途採用を進める企業は数多い。リクナビＮＥＸＴでは「動画」「MPEG」「DSP」「配信」などのキーワードを使用すると検索しやすいが、異なる業界も交じることがあるので、内容をよく見てほしい。

　求められるエンジニアはハードウェア系とソフトウェア系に大別される。DSPボードベンダーはASIC/FPGAを利用したDSPチップの実装などの回路設計が中心。エンドユーザー向け機器では、システムモジュールやドライバIC設計も要求される。D/Aコンバータ、システムLSIなどの経験も役に立つ。

　動画圧縮・展開技術ではエンベデッドOSもハードに劣らず重要。MPEGの知識が要求されるほか、組み込み系ファームウェアとしてWindows、Linux、TRONのいずれかのOS知識も必須に近い。インターネット配信ではWindows、Linux、Javaアプリケーションの開発経験があると好ましい。
　動画に関連するテクノロジーは現在、急速な進化を遂げる過程にある。先端技術志向の強いエンジニアにとっては、必ずや満足できる分野となろう。