ライン構築技術／世界が欲しがる日本の生産技術の要！

日本が世界に誇る、隠れた巨大産業。それが生産設備の業界だ。
コストダウン、フレキシブル生産などのニーズが高まるにつれ、内外の設備投資意欲は回復基調。
世界を股にかけて生産ラインを構築する――これほどのダイナミズムを味わえる業界はそう多くない。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.03.17

　製造業の生産設備におけるロボットやプラントエンジニアリングなど、生産ライン構築業界は、日本有数の巨大産業だ。国内での設備投資は、不況が長期化している今日で年間10兆円前後。海外への装置輸出、プラント輸出を勘案すると、売り上げはさらに膨らむ。

　その設備関連ビジネスの中で今、特に注目を浴びているもののひとつに、生産ライン構築技術がある。製品の製造装置やベルトコンベヤーなどの設備設計全般、または一部を手掛けるという業種だ。
　大量生産方式から多品種少量のフレキシブル生産に大きく舵を切った電子部品業界をはじめ、多くの業界が大型の設備投資計画を打ち出し始めている。生産ラインの優劣はすぐさまコスト差という形で反映されるだけに、生産ラインメーカーは技術革新に余念がない。

　日本の生産ライン構築業界の国際競争力は世界でも最先端。海外政府の通商担当者がまず口にする分野でもある。
　日本の製造業の根幹を支える生産ライン構築は、モノづくり志向の強いエンジニアにとって、必ずややりがいを見いだせる場になるはずだ。

　生産ライン構築を手掛けるメーカーは数多く、プラント全体を設計する総合メーカーから、ロボット、CNC、自動化ライン制御など得意分野に特化してラインの一部を手掛ける企業までさまざまである。
　設備業界は一概に総合メーカーが有利とはいえない部分があるので、エンジニア自身がもっているスキルを生かせる企業であるかどうかを、企業選択のカギとしたい。

　リクナビＮＥＸＴでは「生産設備」「工作機械」「ライン構築」などのキーワードで検索すれば、必要な求人情報を得られるだろう。レーザー加工機、ロボット、ライン設計などの企業のほか、商社もエンジニアにとっては狙い目である。
　必要とされるスキルは、生産に関するものが中心。機械設計全般、ロボティクス、オートメーションなど、自動化に関するスキルはもちろんのこと、コストダウンのための設備レイアウト（工場内の作業員の歩数差でコストが違う）をはじめ、メーカーで生産ライン構築に携わっていた人材のニーズが高い。

　生産ライン構築は、一般のユーザーの目に触れる機会の少ない仕事だが、その実、世界を股にかけた雄大なビジネスである。
　先端的な日本の生産技術関連スキルは、世界のほとんどの国で通用する。国によっては、大手企業の技術監督として迎えられる場合もある。上昇志向の強いエンジニアにとっては、「世界を股にかけて生技を極める」という選択肢も魅力的ではないか。