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卒業後N年目の転職事情 東京工業大学理学部'98年春卒・K氏(システムエンジニア・29歳)
小学生のときから理科実験が得意で、中学、高校とずっと理系できたKさん。東京工業大学は国立で、通学も便利という理由で受験。学部を卒業して研究科に進学するが、卒業を半年後に控えながらも中退。就職する道を選ぶ。
(取材・文/綿谷禎子 総研スタッフ/山田せいめい)作成日04.03.03
(写真提供:東京工業大学)
Q なぜ研究科を中退されたのですか?

「パソコンのシミュレーションを行う研究科に入ったのですが、シミュレーションというからには、もっと現実に近い研究だと思っていたんです。ところが数十個の分子をころがすという単純作業が来る日も来る日も続いて・・・・・・。いったい自分は何をしているんだろうと疑問を感じるようになったんですね。もっとわかりやすいものを作りたいと、卒業を待たずして中退を決意。周囲のみんなにはもったいないと言われましたが、早く就職して現場で学ぶほうがいいと思い切ったんです」
Q 就職活動はどのようにされましたか?

「書類は通るのですが、面接で落ちるということを繰り返して、結局、20社くらいの企業を回りましたね。とにかく早く就職したくて、求人情報誌で見つけた設計支援会社(アウトソーシング業)で、自動車やプリンターなどの3Dモデリングをする、CADエンジニアの職を手に入れました。ですが2カ月間の研修後、CADの仕事量がさしてないということで、システム部に異動。そこでカメラの開発や携帯電話の端末づくり、携帯電話のコンテンツ制作などのプロジェクトにかかわりました」
Q 転職しようと思ったきっかけは?

「仕事の内容的にはやりがいがあったし、満足もしていたのですが、退職をする前の4カ月間、仕事がかなりハードになったんですよ。いつも深夜の1時、2時まで仕事をしていて、ひと月193時間の残業になったこともあります。派遣先も都内から遠方に変わり、近所に部屋を借りて暮らしていました。ですが特に上司がケアしてくれるわけでもなく、異動の交渉をしても、会社の誠意が感じられなかったんですね。それで肉体的にも精神的にも持たなくなって、辞めようと思ったんです」
Q 転職するまでに期間が空いていますが、その理由は?

「退職した直後に母親が入院したということもあったのですが、今まであまりに仕事がハードだったので、海外旅行をするなど少しリフレッシュする時間がほしかったんです。一応、退職する前から人材紹介会社に登録してはいましたが、それほど焦ることなく、じっくり転職先を探しました。結局、30〜40社に書類を送り、5、6社に内定をもらいました。今の会社に決めたのは、得意分野である制御系のSEであったことと、開発を社内の人間だけでやっていることが決め手。以前は派遣スタッフという立場で対等ではなかったので、ここなら遠慮することなく、対等に仕事ができると思いました」
Q 今でも同窓生との交流はありますか?

「学生のときは学部やクラスの友達と仲が良かったので、そのメンバーとは今でもお盆や年末年始に集まったりしていますね。その何人かは転職を経験していたので、私が転職するときも温かく見守ってくれたという感じです。なかには、いい転職方法があったら教えてくれ、なんていう人もいて、比較的、転職には肯定的だと思いますよ」
Q 振り返ってみて今の自分をどう思いますか?

「残業時間は以前の3分の1になりましたし、さまざまな技術をもつエンジニアと一緒に仕事ができるので、常に向上心をもって仕事ができます。それに今は医療機器の開発に携わっているので、社会に貢献できる仕事を行っているという満足感もありますね。正直、大学院を中退したことが履歴書の傷となり、就職活動ではとても苦労をしましたが、いろいろな経験を踏んだ今、ようやく軌道に乗ってきたように感じます。今となってはあのときの思い切りが、退職や転職するときも役立ったんじゃないかなと思いますね」
PROFILE システム会社 システムエンジニア Kさん(29歳)
大学院を中退後、設計支援会社(アウトソーシング業)に就職。電機メーカー系システム会社にて勤務。やりがいのある仕事だったが、あまりにハードワークだったことと、異動を申し立てたときに会社の誠意が感じられなかったことで転職。現在はシステム会社でSEとして活躍する。
K氏の人生満足度チャート
K氏の人生満足度チャート
東京工業大学理学部卒業生 97年当時の進路状況
97年度理学部卒業生の進路状況 99年度大学院・理工学研究科卒業生の進路状況
 一時的に就職率が好転したものの、依然、氷河期が続いていた97年度卒業生の就職状況。今まで就職に有利とされてきた理系学生にも、不況の波が押し 寄せてきた年でもあった。東京工業大学理学部では、例年どおりその76%が大学院に進学。その後進学した学生が修士課程を修了する99年は、完全失業率が初の5%台にのった年ではあるが、就職者 の64%が採用に消極的だった製造業への就職を果たしている。その中でも電気機械器具分野への就職者が24%と多く、次いで化学工業、精密機械器具と続いている。
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山田せいめい(総研スタッフ)からのメッセージ
前回ご紹介した東京大学のケースと同じように、東京工業大学でも大学院へ進学する方が多く、Kさんもその一人です。ただし中退を選択したKさんのその後は苦労の連続で、特に転職時期のお話では、身につまされる思いで聞いていました。しかし、そこで一度立ち止まってリフレッシュしたことが結果的によい方向に向かったようで、そのことを和やかに話すKさんの姿を見て、内心ほっとした次第です。

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