高密度基板／独自発想で「基盤開発」に挑戦したい

デジカメや携帯電話など、電子機器の高性能化のカギとして注目されているのが高密度基板。
小さいボディーに集積度の高い回路を詰め込むには、基板の高密度化しか手がない。
ビルトアップ基板などの新技術も生まれ、回路設計は今、熱い視線を浴びている。

（取材・文／伊藤憲二　総研スタッフ／高橋マサシ）　作成日:04.03.03

　FPD、携帯電話、デジタルカメラ、デジタル家電など、多くのIT分野の製品について、メーカー各社が激しい性能・価格競争を繰り広げている。その高性能化の一端を担う技術として実装分野、特に高密度基板の設計があらためて重要視されている。

　高密度基板は、あらゆる製品の小型高性能化に欠かせない技術。携帯電話やノートパソコンなどに使用されるICチップは年々集積度が上がっている。そして、ICの性能向上に伴い、実装される基板のほうも、微細化による集積度アップのニーズが高まっているのだ。
　積層基板間の微細な配線を可能にしたビルトアップ樹脂基板、ICのフリップチップ実装など、新しい実装技術への開発投資も各社が盛んに行っている。

　実装技術には地味なイメージがあるかもしれない。しかし、デジタル製品の性能競争の中で、「実装技術が製品の性能を直接左右する」と、一躍脚光を浴びる分野となっている。海外との競争でも、「日本の高密度基板は世界の中でも独歩といえる」(基板製造会社社長)と、日本が強みを見せる分野のひとつだ。
　仕事への充実感を求めるエンジニアにとって、高密度基板開発はまさに穴場的存在といえよう。

　基板開発の人材需要は非常に高い。リクナビＮＥＸＴで検索する場合、「基板」ないし「実装」をキーワードにすると、かなりの数がヒットする（3月3日現在）。企業規模は、大企業からベンチャー企業までさまざま。企業の中心業務も、PCB製造の下請け、実装技術開発、素材開発など多岐にわたっている。求人内容をよく吟味することが大切だろう。

　高密度基板開発に必要とされるスキルは幅広い。LSI、デジタル・アナログIC、機械語を使用しての回路の理論設計など、回路設計に携わった経験が重宝されるのは言うまでもない。
　それ以外にも、基板用の素材開発者としては化学系のスキル、機構の微細化ではMEMSなどの開発経験が有利に働く。

　実装分野で求められているのはまさに技術革新であり、既存の文法に縛られない柔軟な発想が要求される。技術力とクリエーティブな思考力の両方に興味があり、やりがいを感じるエンジニア。そんな人なら、専門分野が多少異なっていても、思い切って門をたたいてみてはどうだろうか。