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転職にあたって、今の自分に足りないものは?

ネットワーク技術と英語力を3年間磨いて転職したT・Nさん

ソフトハウスで開発業務に携わっていたが、社内システムの矛盾と将来への不安を感じ、転職を決意したT・Nさん。登録した人材紹介会社で、あるベテランコンサルタントと出会い……
(取材・文/長谷川恵子 総研スタッフ/山田せいめい)作成日:04.02.25

キッカケ編
エンジニアのプロとして一生やっていくための専門技術とは?

自分のために若手社員の給与が減っている

 一括受注で仕事をしていたうちの会社だが、営業的に厳しい状況になり、派遣でしかも孫請けという形態になってきた。仕事内容も与えられたポジションをこなすというものに変わってきた。

 給与は固定給で以前のままだが、それは会社の現状からいっておかしい。絶対赤字になるはずなのだ。そのことに気づいて上司に尋ねてみると、僕たちの給与を維持するために若手の給与が削られていて、しかも現在の待遇制度を改善するつもりもないことがわかった。この状況ではこれから伸びる人もモチベーションが保てないと思う。年齢が上だ、先輩だというだけで、同じ仕事で高い給与をもらっているのだから。かといって「私の給与をさげてください」と言うわけにもいかない。この会社ではもうやっていけないと思った。いま一度、自分の将来を考え直さなければ。

35歳までには転職したい

 エンジニアのプロとして歯車としてではなく、自主的に動けるようになるためにはどうしたらいいだろうか。
 今までは広く浅く技術を提供してきたが、将来を考えると「一生これでやっていける」という専門技術を身につける必要がある。遅くとも一般的な転職の応募年齢条件である35歳までには、自分の目指す会社に入っていたい。

転職準備編
自分に必要なのは英語力とネットワーク技術の追求だ!

コンサルタントとの出会いで発奮

 転職を考え始めて3カ月、初めて人材紹介会社に登録してみた。ITに詳しい年配のコンサルタントとの面接では、非常に得るものがあった。自分を理解してくれる人との出会いは大切だ。

 この時点でも具体的なことをまだあまり考えていなかったのだが、話をする中で、自分にとってどんな専門技術がいいのか、どんな会社がいいのかがだんだんクリアになってきた。コンサルタントには、「英語はどうなの?」とか「SIの会社でやるには経歴のここが足りないけれど、それでもやっていけるのか」とか、弱点もかなり指摘された。
 ある意味、自分をさらけだす作業だった。でもこの作業が自分を奮い立たせることになった。

PROFILE
試験機器メーカー
アプリケーションエンジニア
T・Nさん(39歳)

1984年音響関係の専門学校卒業後、PCの知識をさらに深めるためにソフトハウスに入社し、この業界にはまる。93年、元上司が興したソフトハウスへ転職。99年に現在の会社に。
T・Nさんの転職活動DATA
前勤務先 ソフトハウス ソフトウェア開発エンジニア
転職した時期 1999年6月
活動期間
(決意〜退社)
約3年
転職理由 一生使える専門技術を身につけたい
会社選びで優先したこと 国際的に通用する企業で、今までの技術が生かせること
実際に応募した社数 20社
内定社数 3社
落ちた社数 14社
辞退した社数 3社

応募からの日数
 A社:自動車関連のコンピュータシステム会社
 B社:ソフトウェア受託開発会社
 C社:通信機器関連の試験機器メーカー
 
A社
B社
C社
1次面接
30日
3日
30日
2次面接
45日
6日
(内定)
45日
最終面接
(不合格)
 
 
内定
 
(辞退)
48日

「よし、大事なのは自分にとって必要な専門技術を磨くことだ」とわかったからだ。これまでは第2種情報技術といった、広く通用するような資格取得を考えていたが、「もっと専門的な部分、行きたい方向の専門技術は何なのか、ネットワークエンジニアという資格も話のきっかけにはなるよ」と言われ、自分がそのへんをあいまいにして仕事をしてきたことに気づかされた。「これからは海外で通用する会社がいいけれど、外資系は英語ができないと困るよ」とも言われた。この前受けたTOEICはDランクだった……。これからネットワークエンジニアの資格取得の勉強をしながら、週1回英会話教室に通うことに決めた。

行きたい会社像が見えてきた

 これから会社を選ぶときのポイントも明確になった。
 国際的に通用する会社がいい。そして、今まで自分が手がけてきた技術をベースに応用していけるような仕事をしたい。それから、職種の区分が明確で、営業がしっかりしている会社であってほしい。ソフトハウスの営業は技術者が兼任しているようなケースも多いが、今のような景気に波のある時代には、営業面の強さがないとやっていけないと思うからだ。
活動編
失敗をバネに、ついに念願の外資系企業へ

A社の英語面接で四苦八苦

 人材紹介会社に登録して3カ月、初めて面接を受けたのが外資系のA社。自動車関連のコンピュータシステムをつくっている会社だ。1次はすんなり通ったが、2次の本社の本部長との英語面接はさんざんだった。まず自己アピールにしても何にしても、短い会話のやりとりではすまず、言葉をたくさん使って説明しなければならない。まともに答えられないと相手があからさまに不機嫌になるので、冷や汗が出た。
 終わった後、オブザーバーとして同席していた日本人社員から「今日の雰囲気で(合格かどうか)わかりましたね?」と言われた。うなずくしかなかった。これから自分が目指す仕事では、コミュニケーション能力も必要な技術のうちなんだなと痛感した。
 腕試しのつもりで受けた会社だったが、こうした失敗を経験しておくのも今後の参考になる。その会社が何を求めているのか、もっと把握してから面接に臨むべきだった。

PLとして迎えたいと熱心に言われたが……

 求人誌で見つけたソフトウェア開発会社B社の面接。自社のパッケージをもち、一括受注でやっている会社だ。国内系だが海外にも事業所があるとのことなので、海外勤務も可能なのかどうか聞いてみたら「今はあまり活動していない」との返事。

 B社はプロジェクトリーダーの経験者を早急に必要としているらしく、どんどん向こうのペースで話を進めていく。職場まで見せられた。しかし、経験上プロジェクトリーダーの大変さはわかっているし、今、僕が希望しているのはプロジェクトリーダーの仕事ではない。
 3日後の2次面接では内定書も見せられたが、収入の部分が「現在額保証」ただし「残業30時間見込み」となっていた。そういう部分に疑問を感じたのでお断りすることにした。


ほぼ希望どおりの会社が現れた

 地道に転職活動を続けてきて2年半。会社を先に辞めて転職した親しい同僚の紹介で、外資系C社を受けることになった。C社は、携帯電話などの通信機器ネットワークの試験機器メーカーだ。元は電話交換器の試験システムを扱っていたのだが、インターネット時代になってネットワーク技術やプログラム開発技術などが必要になり、新たにエンジニアを求めているという。これから伸びそうな会社だし、専門技術も身につきそうだ。それに外資で海外事業所との英語でのやりとりもあるなど、希望と7〜8割合致している。

 ネットワークに関しては資格取得のための勉強もしたし、派遣先でインターネット技術を扱ったのをきっかけに自分で実際に構築してみた経験がある。英会話も休まず続け、今ではかなり上達したと思う。自信をもって面接を受けられそうだ。

決め手はコミュニケーション能力

 1次面接は日本支社長が相手だった。職種はアプリケーションエンジニアだが、システムを売った後のサポートも大切な仕事のうちだという。つまり、アメリカ本社のエンジニアと日本の顧客の橋渡し的な役割も担うわけだ。プロジェクトリーダーだったときの問題解決方法について質問されたり、ケーススタディーも出されるなど、問題解決能力とコミュニケーション能力を試されているのがよくわかった。

 2週間後、アメリカから来日した本社の社長と2次面接。英会話にはもうだいぶ慣れているのだが、通訳がついた。英語よりも日本語でのコミュニケーション能力を重視しているようだった。話はきわめてスムーズに進み、社員を大事にするというポリシーも伝わってきた。
 3日後、内定の書類を受け取った。業界未経験だが年収もそれなりにアップ。転職を決意してから約3年の月日を要したが、ようやく納得して入れる会社に巡り合えた。
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