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国際的な大規模システム構築を行うアルパイン情報システムに応募
海外で培った折衝力で世界展開メーカーのBPRコンサルへ
アルパイン情報システムは、カーオーディオとカーナビで有名なアルパイングループのSI企業だ。現在、グループの全管理システムを統合する、巨大プロジェクトに取り組んでいる。今回は、そのリード役を務めるコンサルティングSEの面接現場をリポートする。
(取材・文/須田忠博 総研スタッフ/高橋マサシ) 作成日:03.10.15
THANKS! SEのスキルアップには多くの選択肢があります。技術レベルに特化する形もありますが、「技術力だけでなく、培った折衝力も生かした大きな仕事をしたい」と希望する方も多くいます。そんな方のレベル判定が、今回の面接現場のポイントです。
ALPINE
応募したエンジニア 企業の面接担当者
黒駒さんphoto
黒駒 和則さん(当時29歳)
江本さんphoto
IT推進部 部長 江本 吉隆氏
当時の職種 SE(応募時は無職)
募集職種 BPRエンジニア(コンサルティングSE)
業務の内容 ボツワナ共和国運輸省のシステムメンテナンス、主要PCソフトの操作法指導など
仕事内容 国内外のアルパイングループをERPで一元管理し、BPRの面からシステムコンサルを行う
職務経歴 金融系シンクタンクでSEを4年。青年海外協力隊員としてボツワナへ派遣、現地でSEを2年
応募資格 企業の業務システムの構築経験、または開発・設計・生産工程の業務知識やシステム経験。英会話力あればなお可
志望動機 アフリカから帰国後、上流工程に携わるSE職で地方勤務が可能な会社を求めた
募集背景 情報システムを通じてアルパイングループ全体の業務改革を推進するエンジニアの増強
BPR推進部長とIT推進部長がすべての応募書類に目を通す。両者が協議して面接者を選抜する。
【通過率:約4割】
BPR推進部長とIT推進部長が面談。所要時間は1時間半から2時間。同日、適性検査も実施。
【通過率:約5割】
社長と常務が面接。人物審査が中心になる。所要時間は約1時間。

【通過率:約9割】
基本的には、1週間以内に正式の処遇を明示したうえで通知する。
Part1 大学入学からの現在までの経験

専門の選択理由から素養を見る
(最初に江本氏は、この面接が双方理解の場であることを説明。後半は黒駒さんのほうから質問してほしいと要請した)
江本:
 【Point1】まず、大学についてうかがいます。筑波大学第三学群社会工学類を選んだ理由は?
黒駒:
 家から近い国立だったのと、3年になるときに文系と理系のどちらかを選べる仕組みになっていたからです。
江本:
 結果的に文系を選んだのは、なぜですか?
黒駒:
 【Point2】本当は理系寄りの経営工学を考えていたのですが、数学の単位があやしくなってきたので(笑)。同じようにコンピュータを使って勉強する社会経済にしました。
江本:
 コンピュータへの興味はもともとあった?
黒駒:
 ええ、少しは。ただ、コンピュータで何ができるかは漠然としか知りませんでした。
システムに必要な「効率性」を確信
江本:
 大学卒業後に××××(金融系シンクタンク)へ入社されますが、やはりコンピュータを使ってマクロ経済や企業活動の分析をしたかったからですか?
黒駒:
 【Point3】経営コンサルタント的な仕事ができればと思ったからです。しかし、配属先はシステム部門でしたから、正直がっかりしました。
江本:
 そのとき、どう考えたのですか?
黒駒:
 ひょっとしたら、自分では気付いていない素養を会社が見つけてくれたのかと。
江本:
 実際にシステム開発へ携わって、どう感じましたか?
黒駒:
 最初の半年間は技術研修でした。そこですぐわかったのですが、きちんと作ればきちんとモノができる。そして不確実性がない。この点は面白いと思いました。それと、コンピュータソフトを使う側から作る側に回ったことで、別の興味が湧きました。
江本:
 ソフトのアウトプットは1つでも、アプローチ法や開発言語の処理法などはいくつも考えられます。研修期間中か新人だった当初、そういう点で感じたことは?
黒駒:
 【Point4】システムに必要なのは効率性だと感じました。最初の仕事にループで回す部分があったのですが、gotoで飛ばしても同じ結果になる。しかし、処理効率とメンテナンス効率まで考えると、同じではない。そこまで判断して作る必要があると知りました。
Point 1
[面接官]いつでも大学のことから聞き始めるわけではありません。しかし、大学の学科・専攻を選んだ理由には関心があります。その人の興味の原型が見えるからです。
[応募者]中途採用の選考なのに、10年以上前の大学入学時のことを聞かれるのは意外な気がしました。ただ、割と思い出せるもの。質問の狙いが何であれ、正直に話しました。
Point2
[面接官]この答えには、論理的な思考を好むこと、コンピュータを用いて何かをしたいと学生時代から考えていたこと、数字を使って経済活動を理解するのに抵抗がないことなど、好感の持てる点が多々ありました。
[応募者]高校の数学には自信がありましたが、大学の数学は私には難しかった。これは本当のこと。「こんな私でも採用しますか」といった意味も込めて、こう答えました。
Point3
[面接官]この質問は、彼が望む仕事のベクトルを確かめるのが狙いです。BPRエンジニアは経営コンサルタントの一種ですから、元来そういう志向性を持っている人がいい。
[応募者]私は、当時の気持ちを率直に述べただけです。BPRエンジニアの採用選考だから有利に働くだろう。そんな思惑は全くありませんでした。
Point4
[面接官]情報工学科出身ではない新人SEが、入社数カ月でこういう点まで体得できたのは、潜在能力の高さを証明しています。彼に対するポイントが高くなりました。
Part2 エンジニアとしての技術レベルを総合判定

システム全体の最適化が何よりの課題
江本:
 1995年秋から1年間、東京都○○区向けの住宅管理システムの開発と、ネットワークの管理を担当していますね。プロジェクトの規模は?
黒駒:
 メンバーは4人ほどでした。【Point5】顧客対応、プログラミング、納品、設定と、すべてを行う必要がありました。ネットワーク管理も、プロジェクト参加当初から任されたのです。
江本:
 ネットワーク管理を通して何を学びましたか?
黒駒:
 クライアントのアプリケーションが速く動いても、全体が速く動くわけではないことを知りました。学んだのは、アプリに目を奪われるのではなく、システム全体の最適化を図る重要性ですね。
江本:
 ということは、このときのピアツーピア型LANはあまりスピードが出なかった?
黒駒:
 ええ。サーバーに標準とされる言語を使ったのですが、OracleのようなRDBを使ったほうが速いと、後々理解しました。
コンサルティングSEのスキルをユーザー対応から蓄積
江本:
 なるほど。そのあと企業システム部門へ異動し、基本設計からかかわるようになった。この□□建設のシステムとはどういうものですか?
黒駒:
 官公庁工事への入札参加の際、必要となる社内技術者の個人別データを、迅速に検索するシステムです。
江本:
 【Point6】そのユーザーインタフェース開発でOracleの△△を使用したのは、仕様で決まっていたからですか?
黒駒:
 Oracleの使用は実績と安定性の点から決定済みでした。△△にしたのは、C言語やVBよりもOracleとの相性がよいと判断したからです。ところが、××××では△△を使った実績がなかった。そのため、PL/SQLの技術検証も行いました。
江本:
 技術検証の期間はどのくらいですか?
黒駒:
 半年くらいです。
江本:
 そうすると、そのシステムの基本・詳細設計に1年くらいかかった?
黒駒:
 【Point7】顧客とはかなりやりとりをしました。
江本:
 PL/SQLの技術検証のポイントは?
黒駒:
 ひとつはモジュール化のしやすさと正確性です。複数のサブモジュールを作っておき、同じ機能のものは借用する。そういう作り方がしやすく、しかも正確に動くかどうかを重視しました。ユーザーにもこのような画面構成は便利ですから。
 もうひとつの検証ポイントは、ネットワークを介したときのレスポンスの速さです。
 
Point5
[面接官]新卒入社1年半後にはユーザー対応を始めている。これは貴重な経験です。また、この後でネットワーク管理の話が出てきますが、このようなことを早期に実地で学び知ったことで、彼がプログラマからSEへ急速に育っていったと推測されます。
Point6
[面接官]使用技術の決定に加わっていたのかどうかを知りたいのです。技術レベルを判定する、材料のひとつになります。
Point7
[面接官]1年間、企業ユーザーとやりとりをし、基本・詳細設計をしたという経験は高く評価できます。コンサルティングSEとしての訓練が十分になされているはずです。
 また、彼が技術力のバックボーンと技術吸収の潜在能力を備え、ITを提供する立場でのセンスもよいことが、ここまでの一連の話から感じられました。
 ただし、飛び抜けた力を身につけているとは、到底見なせませんでした。例えば、プロジェクトリーダーを経験していないからです。ここまでは、「活躍の場を与えられれば大きく伸びる人材」という判定です。
Part3 顧客折衝力と目標とするエンジニア像

青年海外協力隊でボツワナに派遣
江本:
 4年勤めた会社を辞めて青年海外協力隊に参加したのは、どうしてですか?
黒駒:
 海外で生活してみたいという憧れを、学生時代から抱いていました。それがいちばんの理由です。
江本:
 ボツワナへ派遣されて2年間、どんな仕事をしていたのですか?
黒駒:
 向こうの運輸省にあるコンピュータ部門のスタッフと一緒に、公用車管理システムのメンテナンスを行いながら、他部門のスタッフへ主要なPCソフトの使い方を教えていました。
江本:
 文化が違うから、戸惑ったのでは?
黒駒:
 それはありました。時間感覚とか、生活や仕事の価値観などです(ここで黒駒さんはエピソードを3つほど紹介した)。
相手主導のコミュニケーション手法を会得
江本:
 コミュニケーションのとり方に工夫が必要だったでしょう? その経験は今後、どう生かせそうですか?
黒駒:
 【Point8】こちらの言い分を伝えてから相手の言い分を聞くのではなく、相手の言い分が何かを先に把握するのが大切だと感じました。そういう姿勢ならコミュニケーションがスムーズになるし、物事が進みやすい。
 カッコよくいえば、抱擁力が身についたと思います。住む世界が別な人とも仕事ができそうです。
江本:
 【Point9】TOEIC645点、実用英検2級と書かれていますが、これはいつの成績ですか?
黒駒:
 どちらも今年の秋です。何も準備せずに受けたので、悪い成績でした。
江本:
 けれど、現地では支障がなかった?
黒駒:
 ええ。上司のインド人とはしょっちゅう議論していました。
江本:
 では、英語ならばどこの国でも使えそうですか?
黒駒:
 たぶん大丈夫だと思います。
2年間のブランクを補って余りある海外経験
江本:
 ところで、なぜ当社へ応募したのですか? 志望理由を聞かせてください。
黒駒:
 御社を知ったのは『iターンuターンフェア』(リクルート主催)の会場でした。数社と話をさせていただいたのですが、【Point10】どの企業も3年近く日本で仕事をしていないことが気になるようでした。ところが、御社はまったく逆。とても評価してくださる雰囲気でした。  職種もコンサルティングSEですから、希望とぴったりです。この縁を大事にしようと思いました
江本:
 【Point11】黒駒さんは今後、どんなエンジニアを目指したいと考えていますか?
黒駒:
 お客さんの立場に立ち、本当に必要なコンピュータシステムを提供できるエンジニアです。顧客から問い合わせがきたときは、その背景が推測できることが条件。推測できなければ、先方から詳しく話を聞き出す。そういうSEでなければならないと思っています。
 また、コンピュータは道具であって目的ではありません。仮に費用対効果と正確性を加味してほかの方法が勝るのであれば、コンピュータを使うべきではない。この判断を厳格にできるSEでもありたいと思っています。

(このあと江本氏は、転居への家族の同意、希望年収額の根拠、入社可能時期などについて尋ね、黒駒さんのほうからの質問を促した)
 
 
 
Point8
[面接官]彼には海外担当を考えていましたから、この答えにはとても好感が持てました。相手に合わせた、適切なコミュニケーションが期待できそうです。
 そうであれば、海外に限らず、彼には初体験となるメーカーの生産や物流、販売といった部門とも、意思のすり合わせができそうです。
 さらにいえば、このコミュニケーション能力と潜在能力の高さから、メーカーならではの業務知識も、そう長い時間を要せずに習得するだろうと思えました。
Point9
[面接官]全世界のグループ企業と仕事をするとはいえ、語学力があるから採用、ないから不採用ということはあり得ません。ただし、TOEICで600点以上ならば、判定に1ポイントをプラスするのは事実です。
[応募者]情けない成績でした。現地では問題なく通用するのに、テストではそれが現れない。実際の語学力とテストとは違うと思いました。
Point10
[面接官]当社が全く気にしなかったといったら、ウソになります。仮に同じ期間を国内のIT企業で過ごしていれば、技術力は確かにアップしていたはず。しかし、そのマイナスを補って余りある経験を彼は海外で積んできた。それが当社では役に立つのです。
Point11
[面接官]この質問に対する答えは、面接の全体を通じて得た応募者のイメージに大きく影響します。ちなみに黒駒さんの答えは、インハウスのSI企業でグループのBPRを担うエンジニアとして、模範回答のひとつといえます。
面接官はここを見た!
●ITスキルの基礎体力と技術への吸収力があるか
●どんな業務知識を持ち、知識吸収の潜在能力はどうか
●幅広く対応できるコミュニケーション能力があるか
 技術力は、仕事に着手するうえでのバックボーン足り得るレベルにあるかどうかがポイント。重視するのは、事務系アプリケーション開発で上流工程の経験がどれほどあるか。同時に、新たな技術を吸収していく能力も見る。業務知識は、製造や物流、販売、会計などのどこかの分野に詳しいかどうか。その分野で情報システムにどれほど触れてきたかをチェックする。コミュニケーション能力は、面接時の受け答えと過去の業務経験の内容から探る。
黒駒さんはココに燃えた!
「面接では強みもマイナス面もすべてさらけ出しました。
アルパイン情報システムはそれを受け止めてくれた。
躊躇せず自分を出して働ける会社だと思いました」
 私は、自分をより高く評価してくれる会社を選ぶべきだと考えました。また、入社後に「こんな人ではなかったはず」などと思われたくもなかった。それには、自分のすべてを知ってもらう必要がありました。ですから、脚色や逃げをいっさいせず、質問には正直に答えました。本当の面接では、不利な印象を与えそうな事柄も多く話したと思います。そういう私をアルパイン情報システムは買ってくれた。躊躇せず自分を出して働ける会社だと感じました。
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高橋マサシ(総研スタッフ)からのメッセージ
スタッフイラストイメージ  黒駒さんの一貫したスタンスは、「飾らない本当の自分を知ってもらいたい」でした。無骨ですが、いちばんの面接成功術なのかもしれません。そんな彼は取材の数日後、ドイツへと旅立っていきました。3年間の現地勤務だそうです。
 SEのこんな転職実例が知りたい、面接現場を見てみたいという方、ぜひご意見をください。もちろん、ほかの職種でも大歓迎です。よろしくお願いします。

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